ありふれない狂戦士で世界最凶   作:黒い兎♪

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今、20時固定で投稿してるけどそれでいいかな?決まった時間じゃなくてもいいのかね?
というどーでもいい、話題しかない。


ライセン大迷宮 2

横穴の通路はずっと奥まで続いている。特に枝分かれしている通路がある訳でもなく、見える範囲でずっと真っ直ぐだ。なんの捻りもなく逆に怪しい、ミレディの今までの意地の悪さからして。

警戒しつつも数百メートルは進んだろうか。前方に大部屋が見えたのだ。何かありそうだと思いつつも、躊躇わず部屋へと踏み込んだ……直後、ガコンッとお馴染みの音が響く。

 

「今度はなにって……天井かっ、凶夜頼む!」

 

「……シアっ」

 

「は、はいですぅ!」

 

「了ー解、スフォは伏せてろよ」

 

「はい」

 

ハジメの言う通り天井が降ってきた。なんとも古典的であるが魔法の使えないこの領域で範囲型のトラップは反則だ。

静寂が漂う。一見すれば部屋全体を押し潰した天井により中にいた凶夜達も圧殺されたとしか思えない状況だ。

が、その数分後。凶夜達が通ってきた道とは反対側の壁に面する通路。その壁が紅いスパークを放ち始めたかと思うと、人が通れるほどの穴が空いた。そこから這い出てきたのはもちろんハジメ達だ。

 

「ぜはっーぜはっー、ちょっと焦ったぜ」

 

「……ん、潰されたら困る」

 

「いやいや、困るとかそんなレベルじゃないですからね?」

 

「ぜはっー、重かった」

 

「お疲れ様です、凶夜さん」

 

逃げ場はなく、通路までは遠く、咄嗟にハジメ、凶夜、シアの膂力で天井を支えて、その隙にハジメが天井を錬成し穴を空けることで、どうにか窮地を脱した。

ハジメが奈落の頃を思い出したのか荒い口調になっているのをユエとシアが和ましていた。

そして再び前に進もうとした時、

 

"ぷぷー、焦ってやんの〜、ダサ〜い"

 

ミレディ・ライセン……嫌がらせに努力を惜しまないヤツである。

シアがそれに向かって反論している。シアのミレディに対する敵愾心は天元突破しているようだ。

その後も、進む通路、たどり着く部屋の尽くで罠が待ち受けていた。その罠一つ一つに丁寧にウザイ文がついてくる。凶夜達のストレスはマッハだった。

それでも全てのトラップを突破し、この迷宮入って一番大きな通路に出た。結構急なスロープ状の通路で緩やかに右に曲がっている。おそらく螺旋状に降っていく通路なのだろう。

凶夜達は警戒する。こんないかにもな通路でなんのトラップも作動しないなどあり得ない。

そして、その考えは正しい。嫌というほど聞いてきた「ガコンッ」という何かが作動する音が響く。

今度はどんなトラップだ?と周囲を警戒する凶夜達の耳にそれは聞こえてきた。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

明らかに何か重たいものが転がってきている音である。

 

「「「「「………」」」」」

 

無言で五人で視線を合わせて、頭上を見上げた。スロープの上方カーブになっているため先は見えない。異音はさらに大きくなり、そして……

カーブの奥から通路と同じ大きさの巨大な大岩が転がって来た。岩で出来た大玉である。全く持って定番のトラップだ。逃げた先にはきっとウザイ文が待っているのだろう。

ユエとシア、スフォが踵を返し脱兎の如く逃げようとする。しかし少し進んで直ぐに立ち止まった。ハジメと凶夜が付いて来ていないからだ。

 

「……ん、ハジメ?」

 

「ハジメさん!?早くしないと潰されますよ!」

 

「凶夜さーん?」

 

三人の呼びかけに答えず、その場で腰を深く落としてハジメは右手を凶夜は左手を真っ直ぐ前方に伸ばした。掌は大玉に照準を合わせるように掲げている。ハジメの左手は限界まで引き絞られた状態で「キィイイイイ!!」と音を立てている。凶夜は"狂界突破"を口にしている。

ハジメも凶夜も獰猛な笑みが浮かべられている。

 

「いつもいつもやられっぱなしじゃあなぁ!性に合わねぇんだよぉ!」

 

「そろそろ、ウザってぇんだ!ぶっ壊れろぉぉ!!!」

 

ゴガァアアン!!!凄まじい破壊音を響かせながら大玉とハジメの義手と凶夜のオルトロスによる一撃が激突した。二人の拳の衝突点を中心に大玉が破砕していき、全体に亀裂を生じさせた。大玉の勢いが目に見えて減退する。

 

「「ラァアア!!」」

 

凶夜とハジメの気合と共に拳を一気に振り抜いた。そして、大玉は轟音を響かせながら木っ端微塵に砕け散った。

ハジメは義手を握ったり開いたりして異常がない事を確かめる。凶夜は"狂界突破"を解き"不滅"を発動させる。そして二人ともユエとシア、スフォに振り返る。

その顔は清々しいものだった。「やってやったぜ!」という気持ちが如実に表情なら出ていた。凶夜はもちろん、ハジメも感知出来ない上に作動させなくても作動するトラップにウザイ文字にストレスが溜まっていた様だ。

 

「ハジメさ〜ん、凶夜さ〜ん、流石ですぅ!すっごくスッキリしましたぁ!」

 

「……ん、スッキリ」

 

「ふぅ、こうもスッキリするものなんですね」

 

「ははは、そうだろう、そうだろう。これでこの道を--」

 

三人の称賛に気分良く答えるハジメの言葉は途中で遮られた。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

聞き覚えのある音によって笑顔で固まる、凶夜とハジメ。そしてギギギっと油を差し忘れた機械のようにぎこちなく振り向く凶夜とハジメの目に映ったのは……

黒光りする金属製の大玉だった。

 

「「うそん」」

 

思わず呟く二人。

しかもその金属製の大玉は表面に空いた無数の小さな穴から液体を撒き散らしながら迫って来ており、その液体が付着したところがシュワーというヤバい音を響かせながら溶けているようなのである。

ハジメ、凶夜は笑顔のままユエ達の方を向けた。その笑顔がスッと消えたかと思うと「逃げるぞぉ!ちくしょう!」と叫び一気にスロープを駆け下りていった。ユエ達も踵を返しハジメ達を追って一気に駆け出した。

シアがハジメに先に逃げるなんて鬼!とか言っているハジメもそれに誤差だ!とか言い返していて案外余裕そうなハジメ達。

そうこうしているうちに通路に終わりが見えた。"遠見"で確認すると相当な大きさの空間が広がっているようだ。だが見える範囲が少しおかしい。部屋の床がずっと遠くの部分しか見えないのだ。おそらく空間の天井付近に今、走っている通路があるのだろう。

 

「真下に降りるぞ!」

 

「んっ」

 

「はいっ!」

 

「OK!」

 

「分かりました!」

 

ハジメの掛け声と共にスライディングする様に通路の先の部屋に飛び込み出口の真下へと落下した。そして、

 

「げっ!?」

 

「んっ!?」

 

「ひんっ!?」

 

「マジかっ!?」

 

「はいっ!?」

 

三者三様の声を上げた。真下に広がっていたのはやばそうな液体で満たされたプールになっていたからだ。

 

「んのやろうぉ!」

 

「ちくしょうめぇ!」

 

ハジメは、とっさに義手からナイフを射出、同時に壁にアンカーを打ち込み右手でユエを掴まえ落下を防いだ。凶夜は左手で素早くマチェットを抜き壁に突き刺し、右手でスフォを掴まえて落下を防ぐ。

直後、真上から溶解液を撒き散らしながら金属玉が飛び出していき、目の前のプールへと落下した。そのままズブズブと煙を吹き上げながら沈んでいく。

しばらく周囲を警戒したがとくに何も起こらない。そこでようやく肩の力を抜くハジメ達。

 

「ぐすっ、ひっく、どうせ私なんて……うぅ、ぐすっ」

 

横を見るとシアが数本のナイフによって衣服を縫い止められた状態で磔になっていた。ハジメ達が情緒不安定とか言ってるが扱いが可哀想なのは今更なので放置。スフォに声をかける。

 

「スフォ、大丈夫か?」

 

「へぇ!?は、はい。だ、大丈夫です!」

 

「何、変な声出したんだ?」

 

「ここまで優しく扱われると思って無かったもので……」

 

「俺、ハジメみたいな扱いした覚えないぞ?」

 

「そうなんですけど…嬉し恥ずかしいような」  

 

下は溶解液プール、自分達はぶら下がり状態にもかかわらずラブコメする凶夜達、結構余裕である。

ハジメ達はアンカーを振り子の要領で移動し、凶夜は魔力ごり押し"空力"で溶解液プールを飛び越えて今度こそ地面に着地する。

その部屋は長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには窪みがあり、騎士甲冑を纏い大剣と盾を装備した全長二メートルほどの像が無数に並び立っている。部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のような物が設置されている。

 

「いかにもな扉だな。ミレディの隠れ家に到着か?……この周りの騎士甲冑に嫌な予感がするのは俺だけか?」

 

「……大丈夫、お約束は守られる」

 

「ここまでテンプレだったんだ、ここもテンプレだろ」

 

そんな事を話しながら凶夜達が部屋の中央まで進んだとき、お約束は守られた。毎度お馴染みのあの音である。

ガコン!

立ち止まる凶夜達、周囲を見ると、騎士達の兜の隙間から眼の部分がギンッと光輝いた。そしてガシャガシャと金属の擦れ合う音を立てながら窪みから出てくる。その数五十体。

 

「ははっ、ホントにお約束だな、全員やるぞ?」

 

「んっ」

 

「か、数多くないですか?いや、やりますけども…」

 

「まぁ、すぐに終わるだろー」

 

「私、やれるでしょうか…」

 

ハジメはドンナー&シュラークを抜く。ユエは無様は見せないっと意気込み、シアは少々腰が引け気味だ。凶夜はマチェットではなく籠手のオルトロスでやるつもりらしい。スフォはシア同様、腰が引け気味で小刀を構えている。

ハジメはシアに凶夜はスフォに言う。

 

「シア、お前は強い。俺たちが保証してやる。こんなゴーレム如きに負はしないさ。だから下手な事考えずに暴れな。ヤバい時は必ず助けてやる」

 

「スフォ、お前もだ。支援魔法なんてなくてもお前は強い。俺の弟子でもあるんだ。暴れろ、ちゃんと見ててやるさ」

 

シアはハジメの言葉に涙目になった。単純に嬉しかったのと色々扱いが雑だったので、ひょっとして付いて来た事も迷惑に思っているんじゃないか、ちょっぴり不安になっていたのだが……杞憂だった。

スフォは単純に自分の得意な支援魔法が使えず、役立たずになるのではと思っていたのだが、そんな不安は凶夜が吹き飛ばしてくれた。それに惚れている人が見ていてくれると言うのだ。頑張らなくてはいけないと身体強化をし地面を踏み締める。

 

「かかってこいやぁ!ですぅ!」

 

「ふふ、もう何も怖くないですね!」

 

「いや、だから、なんでネタ知ってんだよ」

 

ゴーレム騎士達は一斉に侵入者を切り裂かんと襲い掛かった。

ゴーレム騎士達の動きは、その巨体に似合わず俊敏だった。まるで四方八方から壁が迫って来たと錯覚すらしそうだ。

先手を取ったのはハジメだ。左右に握られた二丁のレールガンが普段の威力は出さないとはいえ、普通の対物ライフルを超える威力でゴーレム騎士達に放たれる。寸分違わず眼の部分に吸い込まれる二条の紅い閃光。衝撃で後ろに倒れる騎士達を飛び越えて、後続の騎士達がハジメ達に迫る。ハジメは連射を続けて致命的な包囲をされまいと隊列を崩していく。

そんなハジメの嵐の攻撃を大剣と盾と仲間の体で凌ぎながらついにハジメの目の前に迫るが、そこは青みがかった白髪をなびかせ、戦鎚を大上段に構えたまま飛び上がったシアのキルゾーンだ。

 

「でぇやぁああ!!!」

 

気合一発、振り下ろされたドリュッケンは凄まじい衝撃音を響かせながら一体の騎士をペシャンコにした。そのままドリュッケンの機能を使いながら騎士達を薙ぎ倒すシア。

 

「ハッハァ!負けてらんねぇなー!!」

 

オルトロスをガチンッとぶつけ合わせてから騎士達の中に突っ込んでいく凶夜、持ち前の膂力と身体強化で騎士一体を殴り飛ばしドミノ倒しのように薙ぎ倒していく。「まだまだぁ!」と言いながら隊列をなど関係ないと言う風に目についた騎士を殴り飛ばしていく。

一方、油断したシアの後ろにいる騎士を細いレーザーのような水流がスッパリと両断した。

 

「……油断大敵、お仕置き三倍」

 

ユエの両手には金属で出来た大型の水筒を持っていた。肩紐で更に二つ同じ水筒を下げている。これらは、ハジメの"宝物庫"から取り出した物だ。ユエが"破断"と呟くたびにウォーターカッターが水筒より飛び出して敵を両断していく。

 

「私だけ、決定打がないんですけど!」

 

スフォはハジメから貰ったコテツを使い騎士達に傷は付けれるが一発で両断とまではいかない。そこまでの膂力が身体強化を足してもないのだ。普段なら支援魔法も使えて、それこそ通常の凶夜達に並ぶくらいの身体能力になるのだが、今は生憎使えない。それ故、騎士達の大剣を受け流しては浅い傷を入れているだけとなり決定打がない状態となっていた。そんなスフォの近くに凶夜が近付いて来て言う。

 

「スフォ、攻撃は任せろ、防御は任せた」

 

短い言葉で要領を得ないがスフォには分かったようだ。「ふふっ」と笑い任されましたと言う。そんな凶夜達に騎士の一体が大剣を振り下ろす。それをスフォが小刀で受け流す。そしてまるで二人でダンスを踊っているかのようにステップ、ターンをして凶夜が前に出て殴る。それを繰り返していく。

 

「なんだ、アイツら息ぴったりじゃねぇか」

 

「ん……熟練のパートナーみたい」

 

「スフォが羨ましい限りですぅ!」

 

そうやって次々にゴーレムを屠っていった。だが……

 

「ハジメ……おかしくねーか?」

 

「ああ」

 

「……再生した?」

 

「みたいだな」

 

そう、ゴーレム騎士達は破壊された後も眼光と同じ光を宿していて復活していた。

 




読んで頂きありがとうございます!
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