ありふれない狂戦士で世界最凶   作:黒い兎♪

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モチベーションがなくなりそう…
まぁ、ストックが無くなれば不定期更新になるんでよろしくです。
あ、でも20時に投稿するのは変わらないと思います。


ライセン大迷宮 5

ミレディは砕いた浮遊ブロックから素材を奪い、胸部の表面装甲を再構成するとモーニングスターを射出しながら自身も猛然とハジメ達に突撃を開始した。

 

「ど、どうするんですか!?ハジメさん!」

 

「まだ、手はある。なんとかヤツの動きを止めるぞ!」

 

「……ん、了解」

 

火力不足というどうしようない事情に、シアが動揺した様にハジメに問う。ハジメは、まだ切り札が残ってる様で、それを使うためにミレディ・ゴーレムの動きを封じる様に指示を出した。迫るモーニングスターを回避すべく近くの浮遊ブロックに飛び移ろうとする。しかし、

 

「させないよぉ〜」

 

ミレディ・ゴーレムの気の抜けた声と共に足場にしていた浮遊ブロックが高速回転する。

いきなり、足場を回転させられてバランスを崩すハジメ達。

そこにモーニングスターが激突する前に凶夜がオルトロスで殴り軌道をズラす。

 

「オレを忘れてんじゃねーよ!」

 

「的確に邪魔してくるねぇ〜」

 

モーニングスターを殴った後の無防備な凶夜にヒートナックルを繰り出す、ミレディ・ゴーレム。食らう事を覚悟して両腕をクロスして最低限の被弾で済まそうとする凶夜。

凶夜がモーニングスターを殴り逸らしている間に足場を移動したユエが"破断"で右腕を攻撃するが傷付けるだけで切断までにはいたらない。

そのままヒートナックルを食らってしまう凶夜は吹っ飛ぶがそれを予想していたスフォが体当たりで凶夜の勢いを止める。そのまま近くにあった浮遊ブロックに二人で倒れ込む。

 

「ゴホッ!サンキュー、スフォ」

 

「いえ、私にはこれぐらいしか出来ませんから」

 

ヒートナックルの直撃を受け、大怪我を負うがすぐさま"不滅"で回復する凶夜がスフォに礼を言うが、スフォは俯いたまま言う。そんなスフォの頭を撫でながら言う。

 

「さっきも言ったろ、………」

 

「分かってます」

 

前回は歯噛みしながらだったも今回はしっかり凶夜の目を見ながら頷くスフォ。そんなスフォにニヤリとしながらハジメ達と戦ってるミレディ・ゴーレムに突撃する。

シアが吹っ飛ばされハジメがキャッチして、シアが歓喜の言葉をあげている。憧れていた抱っこ救出に喜色の満ちた声だったが、そこはハジメクオリティー。かつて魔物の群れに放り込んだ様に振りかぶる。

 

「ハ、ハジメさん!?」

 

「もう一回、逝って来い!」

 

義手に装填されたショットガンシェルが、音を鳴らしてリロードされて激発する。発生した衝撃の反動で回転するハジメは、その遠心力を利用してシアをミレディ・ゴーレムに向かって投げた。

 

「こんちくしょうですぅー!」

 

憧れが叶った瞬間には、敵に向かって特攻させられるというなんともやりきれない状況に、シアは自棄くそ気味に雄叫びを上げながらドリュッケンを構える。

それを迎撃しようとヒートナックルを放とうと拳をグッと後ろに引き絞った。とその瞬間、手元に戻した、モーニングスターに繋がってる鎖がいきなり大爆破を起こした。

 

「わわわっ、なにっ!?」

 

いつの間にか仕掛けられていた大量の手榴弾が爆発したのだ。爆発の原因はハジメに大量の手榴弾をもらい、"気配遮断"でせっせと凶夜が仕込んだのである。凄まじい爆発力により鎖が半ばから弾け飛び、鎖を巻きつけていた左腕が連鎖的に大きく損傷する。衝撃によりミレディ・ゴーレムの体勢も崩れた。

そこへ、ドリュッケンを振りかぶったシアが到達する。

 

「りゃあああ!」

 

気合いのこもった雄叫びと共に、手元の引き金が引かれ内蔵されたショットシェルが激発する。衝撃により一気に加速したドリュッケンがミレディ・ゴーレムに迫った。

ミレディ・ゴーレムは反射的に損傷の激しい左腕を掲げる。直後、ドリュッケンの一撃が左腕に直撃する。ドリュッケンは脆くなった左腕を打ち砕き、肩口から先を容赦なく粉砕した。

ドリュッケンを振り切って宙を泳ぐシアに一撃入れようとするミレディ・ゴーレムの右腕に下方から水のレーザーが迸り、先程入れられた切れ込みに寸分違わずに命中した。そして、その傷口を抉り切り裂いて、遂にミレディ・ゴーレムの右腕を切断する。

 

「……ふふ、油断大敵」

 

「っ、このぉ!調子に乗ってぇ!」

 

ミレディがイラついた様子で声を張り上げた。

 

「まだまだ、調子に乗らせてもらうぜー!」

 

いつの間にか心臓部に張り付いていた凶夜が叫びを上げる。右手を高々と振り上げていて、今にも振り下ろそうとしている。そして振り下ろす。

 

「我流 鬼骨鉄拳!!」

 

人間の出した音とは思えない衝撃音が響き渡り、ミレディ・ゴーレムを吹き飛ばす。凶夜も反動で後ろに吹き飛ばされ、スフォにキャッチされる。

 

「ハッハァ!硬ってぇ!流石に人力で壊すのは無理だなー」

 

「壊せないとしても、吹き飛ばす時点で凄いですよ」

 

シアはハジメにキャッチされていたが抱っこではない。それに文句を言っているシアが確認できた。それを確認した後、ミレディ・ゴーレムを確認すると、両腕を失ったミレディが何故か、周囲の浮遊ブロックを呼び寄せて両腕を再構築することもなく天井に眼を強く光らせている。

猛烈に嫌な予感がする。

 

「皆さん、避けてぇ!降ってきます!」

 

凶夜達はシアの固有魔法が発動したのだろうと考える。そして、それはシアにとって死に繋がる程、危険性の高いなにかが起こるという事を示している。凶夜達は何が起こっても対応出来るように身構えた。

直後、それは起こった。

空間全体が鳴動する。天井からパラパラと破片が落ちてくる。いや、破片だけではない、天井そのものが落下しようとしてるのだ。

 

「マジかよー」

 

「ふふっ、お返しだよぉ。騎士達以外は同時に複数指揮することは出来ないけど、ただ一斉に"落とす"たけなら数百単位でいけるからねぇ〜。見事凌いでみせてねぇ〜」

 

のんきなミレディの言葉にイラつくが、そんなことに気を取られてる余裕はない。この空間の壁には幾つものブロックが敷き詰められているのだが、天井にも敷き詰められた数多のブロックが全て落下してこようとしているのだ。一つ一つのブロックが軽く十トン以上ありそうな巨石である。そんなものが雨の如く降ってくるのだ。

ハジメとシアがユエと合流するのを見てからスフォに声をかける。

 

「俺を信じて掴まってろ」

 

「はい、誰よりも信じてますよ」

 

天井からブロックが外れ、地響きが鳴り止む代わりに轟音を立てながら自由落下する巨石郡。しかもご丁寧にハジメ達と凶夜達のいる場所へ密集して落ちてくる。ミレディ・ゴーレムは壁際に撤退している。今からではもう間に合わない。

ハジメ達はハジメ達でどうにかするだろうと思い自分達だけの事に集中する。

視界を全てを覆い尽くす程の巨石郡の一つ目が凶夜達に激突する瞬間。

 

「一秒"狂界覇壊" 我流 鬼骨鉄拳!」

 

凶夜の引き絞られた左腕が放たれる。十トンを超える巨石の一つが凶夜の拳とぶつかり合う。

 

「ラァアア!!」

 

雄叫びと共に左腕が壊れるが巨石が少し弾かれて次々落ちてきている巨石郡にぶつかり隙間が生まれる。すぐさま"不滅"で回復しながらスフォがしっかり掴まってる事を確認し、次の固有魔法を発動する。"瞬光"だ。いつぞやのヒュドラの時"狂界覇壊"をした時に止まって見えた現象がこれによるものだったのは後から気付いた。"瞬光"を使うと世界が色褪せ、落ちてくる巨石郡を一つ一つが鮮明に確認できる。ボーリングのピンのように弾け飛び隙間、隙間が次々生まれ消えていく、糸を縫う様にその隙間を通り抜け時には短時間の"狂界覇壊"を使いすぐに"不滅"を使い回復し避けていく。痛みなど知らない、気にしてると一瞬で潰される自分だけなら助かるかもしれないが今は愛おしい奴もいる事だ。カッコいいところを見せたいと思って避け続ける。

そんな凶夜達やハジメ達の様子を壁際で観察していたミレディの目には一瞬で巨石郡に呑み込まれたようにしか見えなかった。悪あがきしていたようだが、流石にあの大質量は凌ぎきれなかったかと、僅かな落胆と共に巨石郡の"落下"を解いた。

巨石郡の落下に呑み込まれ地に落ちた浮遊ブロックが天井の残骸と共に空間全体に散開するように浮かび上がる。

 

「う〜ん。やっぱり、無理だったかなぁ〜。でもこれぐらいはなんとか出来ないと、あのクソ野郎共に勝てないないしねぇ〜」 

 

ミレディは、そう呟きながらハジメ達の死体を捜す。とその時、

 

「そのクソ野郎には興味ないって言っただろうが」

 

「え?」

 

聞き覚えのある声が響いた。そう、ハジメの声だ。そこには確かに荒い息を吐き、目や鼻から血は流してるものの五体満足のハジメが、浮遊ブロックの上に立っていてミレディを睥睨していた。

 

「ど、どうやって…」

 

自分の目には確かに巨石郡に呑み込まれたように見えたハジメが目の前にある事に思わず疑問の声を上げるミレディ。そんな彼女に、ハジメはニィと口の端を吊り上げて笑う。

 

「答えてやってもいいが……俺ばかり見てていいのか?」

 

「え?」

 

先程と同じ口調で疑問の声を上げるミレディ。だか、その疑問は直後、魔法の直撃という形で解消される。

 

「--"破断"!」

 

ユエの詠唱が響き渡り、幾筋ものウォーターカッターがミレディ・ゴーレムの背後から背中や足、頭部、肩口に殺到する。着弾した、ウォーターカッターは各部位の表面装甲をざっくりと切り裂いた。

 

「こんなの何度やっても同じだよぉ〜。両腕を再構成するついでに直しちゃうしぃ〜」

 

「いや、そんな暇は与えない」

 

ハジメはアンカーを打ち込みながら一気に接近する。片手にはシュラーゲンを持っている。

ミレディはまたそれ?と言いながら余裕そうだ。やはり一度耐えてるから余裕そうだ。胸部に突き付けられても「じゃあ撃てば?」と言わんばかりだ。ハジメもシュラーゲンが通じないことは把握済み、それでもゼロ距離から吹き飛ばす。轟音と衝撃にミレディ・ゴーレムが弾かれ吹き飛ぶ。ハジメはアンカーを巻き取り吹き飛ぶミレディ・ゴーレムに張り付き、義手を砕けたミレディ・ゴーレムの胸部に押し当て、ショットガンシェルを残弾尽きるまで撃ち尽くす。激しい衝撃がミレディ・ゴーレムを吹き飛ばし、背後に浮いていた浮遊ブロックの上に叩きつけた。

 

「こ、こんなことしても結局は……」

 

「ユエ!」

 

ミレディの言葉を遮り、ユエの名前を呼ぶ。すると跳躍してきたユエがさらに魔法を発動した。

 

「凍って!--"凍柩"!」

 

願いと共に魔法のトリガーが引かれる。しかし、氷系統の魔法は上級魔法でこの領域では中級以上は使えないはず。それでもミレディ・ゴーレムを一時的でも拘束するにはこの魔法が必要だった。

背中から浮遊ブロックに叩きつけられていたミレディ・ゴーレムの背面が一瞬で凍りつき、浮遊ブロックに固定される。

 

「なっ!?なんで上級魔法が!?」

 

ユエが上級魔法を使えたのは単純な話だ。あらかじめ"破断"で水を撒いておき消費魔力を抑えたからである。

それでも、莫大な魔力が消費され所持していた魔晶石から全ての魔力ストックを取り出すハメになった。

 

「よくやったぞ、ユエ!」

 

固定されたミレディ・ゴーレムの胸部に立ち”宝物庫"から切り札を取り出す。それは全長二メートル半程の縦長の大筒だった。外部には幾つものゴツゴツした機会が取り付けられており、中には直径二十センチはある漆黒の杭が装填されている。下方には四本の頑丈そうなアームが付けられており、中程に空いている機構にハジメの義手をはめ込むと連動して動きだす。ハジメはそのまま身動きが取れないミレディ・ゴーレムをアームで挟み込み合計六本のアームが浮遊ブロックに深々と突き刺さり固定する。

ハジメが魔力を注ぎ込むと大筒が紅いスパークを放ち、中に装填されている漆黒の杭が猛烈に回転を始める。

凶悪なフォルムのそれは義手の外付け兵器"パイルバンカー"である。

 

「存分に喰らって逝け」

 

そんな言葉と共にミレディ・ゴーレムの核に漆黒の杭が撃ち放たれた。

胸部のアザンチウム装甲は一瞬で亀裂が入り、杭はその先端を容赦なく埋めていく。あまりの衝撃にミレディ・ゴーレムの巨体が、浮遊ブロックに放射線状の亀裂を入れながら沈み込んだ。

……しかし、ミレディ・ゴーレムの目から光は消えなかった。

 

「ハ、ハハ。どうやら未だ威力が足りなかったようだねぇ。まぁ大したものだよぉ?」

 

若干、かたい声で、それでも余裕を装うミレディ。内心は冷や汗を掻いている。巨石郡から生き残ったのはハジメだけだと思っていた。そっちに惹かれていたミレディは何度目かの驚愕を表す。ハジメはパイルバンカーを"宝物庫"にしまいその場を飛び退く。

 

「ハッハァ!!オレタチヲ、ワスレテンジャネーヨナ!?」

 

ボバッと未だもうもうと煙が漂っていた天井ブロックの瓦礫の中から凶夜がスフォを担ぎながら飛び出してくる。飛び出す寸前に"狂界覇壊"を使い限界以上に身体強化している。そんな、担がれたスフォは右手に凶夜のオルトロスをつけている。ちょっと前にハジメがシアに言ったように凶夜がスフォに言う

 

「イッテコイ!!!」

 

ドカンっと人間が人間を投げた音とは思えない音を響かせながらスフォを投げる。

そんな中スフォは少し前に凶夜に言われたことを思い出す。

 

----------

 

「活躍しようと思うな。最後の最後まで魔力を温存しろ。使わなかったらそれでいい。でも使う時があるなら迷わず全身全霊で使え。後は考えるな。俺達に任せればいい」

 

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最初は期待されていないなどと考えていた。目立った事をしてないおかげかミレディにも狙われずに冷静にハジメ達の活躍やシアの頑張っている姿が見えた。彼らは自分に出来る事を精一杯やっている。目の前の事に全力でだ。期待されていない?そんなことはない!されていないのなら今こういう風に攻撃を任してもらっていない。皆んなと同じように目の前の事に全身全霊でやるだけだ。

 

「支援魔法 "剛化 十重" "硬化 十重" "敏化 十重" 『 我流 彗星』!!」

 

凶夜のようにニヤリと笑い、勇気を貰い、ハジメの打ち込んだ杭に全力で拳を撃ちつける。杭が更に奥に深く沈み込みアザンチウム装甲を貫き止まる。

 

「すみません。もう魔力がないです」

 

「ハ、ハハハ。二人とも生きていた事には驚いたけどぉ!まだ足りてなかったみたいだねぇ〜。装甲は貫いたかも知れないけど核には届かなかったみたいだねぇ」

 

落ちていくスフォを凶夜がお姫様抱っこでキャッチし、浮遊ブロックに着地する。ミレディはもう隠しきれない程のかたい声でもう余裕を感じられない。

 

「よくやったぞ。スフォ、俺たちの勝ちだ」

 

「やれ!シア!終わらせろぉ!!」

 

スフォが拳を撃ち付けたあとに、シアがドリュッケンを大上段に構えたまま、遥か上空から自由落下に任せて舞い降りるシアだった。

シアが何をしようとしているのか察したのだろう。何かしようとして諦めたように動きを止めた。

シアはそのままショットシェルを激発させ、その衝動を利用して渾身の一撃を杭に打ち下ろした。そしてシアは内蔵されたショットシェルの残弾を全て撃ち尽くすつもりで引き金を引く。

 

「ああああああああ!!!」

 

シアの絶叫が響き渡る。これで決めて見せると強烈な意志を全てを相棒の戦鎚に注ぎ込む。全身全霊、全力全開。ミレディ・ゴーレムの核を粉砕する。

ミレディ・ゴーレムの目から光が消える。シアはそれを確認すると、ようやく全身から力を抜き安堵の溜息を吐いた。

直後、背後から着地音が聞こえ振り向くシア。そこには予想通り、ハジメ、ユエ、凶夜と凶夜にお姫様抱っこされたままのスフォがいた。四人に向けてサムズアップをする。四人もそれに応えるようにサムズアップを返した。

 

七大迷宮が一つ、【ライセン大迷宮】の最後の試練が、確かに攻略された瞬間だった。




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