というわけで本日3話目そして今日ラストの話。
まだオリ成分が薄いけど許してちょー
翌朝、凶夜達は【オルクス大迷宮】の正面入り口がある広場に集まっていた。少し想像と違い博物館の入り口の様に整備された入り口であり、制服を着たお姉さんが迷宮の出入り口でチェックをしている。
ハジメは仄暗な不気味な洞窟を想像していたがイメージが完全に壊されていた。
迷宮の中は外とは違い賑やかとは、無縁のものだった。通路は明かりもないのにぼんやりと発光しており、明かりがなくともある程度視覚が確保出来ていた。ある程度広いドーム状の大きな場所に出たと、その時壁の間から魔物が出てきた。
「ヨシ、光輝達は前に出ろ!他は下がれ!交代で前に出てもらうからな!準備しておけ!あれはラットマンという魔物だ、素早いが大した敵じゃない、冷静にいけ!」
前衛組が前にでて後衛組が詠唱する。
「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、''螺炎"」」」
後衛組が同時に放つ螺旋状に渦巻く炎がラットマンたちを吸い上げながら燃やし尽くす。
「あぁーうん、よくやったぞ!次はお前らにやって貰うから、気を緩めるなよ!」
生徒たちに気を抜かない様に注意するメルド団長。しかし、初めての迷宮で初めての魔物退治、テンションが上がらないわけがない。しょうがないと口をこぼしつつ肩をすくめるメルド団長。
そこからは特に問題なく戦闘を交代しつつ、順調に階層を下げていった。
凶夜は前衛組にたまに混ざり、その他はハジメの隣で魔物を弱らしてトドメをハジメに任せるといった作業をしていた。ハジメも錬成を使いトドメを刺したり、一人でオオカミの様な魔物を倒していた。
ハジメは気づいてないが騎士達は初めは期待してなかったが、今まで見た事のない錬成の使った戦法で確実に魔物を倒していくハジメに感心した様な視線を送っていた。
その事に気づいていた凶夜は(どうだウチのハジメは凄いだろう!)と親バカの様なことを思っていた。
「ヨシ、ここからは一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を取って襲ってくる。今まで楽勝だからといってくれぐれも油断するなよ!」
そして小休止に入り、ハジメは香織と目が合い逸らしていたり、香織は微笑んでたり昨日の事でなんかあったのかと勘繰る凶夜だったがこちらに向いてる視線に気付きそちらを見ると雫がこちらを見て目が合い逸された。
そして何か香織と話して笑いあっていた。
凶夜達一行は二十階層を探索する。
せり出す壁のせいで隊列が組めないので縦列になって進む。すると先頭のメルド団長が止まり戦闘態勢に入る。魔物のお出ましの様だ。
メルド団長の忠告が飛ぶ。
「よく擬態してるぞ!周りを注意しておけ!」
壁に擬態していたのはロックマウントという魔物でカメレオンのような擬態能力を持っていた様だ。
「二本の腕に注意しろ、剛腕だぞ!」
メルド団長の声が響き、光輝と雫が取り囲もうとするが地形のせいでうまくいかない。
ロックマウントは後ろに下がり大きく息を吸い込む。直後、
「グゥガガガガァァァァァァァーーーー!!!!」
部屋全体を振動させる様な咆哮が発せられた。
ロックマウントの固有魔法"威圧の咆哮"だ。光輝達前衛組が硬直してしまい動けない。その隙をついてロックマウントは岩を香織達後衛組に投げる。それを香織達は魔法で撃墜しようとするが、なんとその岩までもが擬態したロックマウントだったのだ。くるりと空中で一回転し、さながらル○ンダイブの様に香織達後衛組に飛びかかろうとしている。なんとも気持ち悪い絵面で香織達も「ヒィッ!」と悲鳴を上げて魔法を中断してしまう。後衛よりも後ろにいた凶夜が香織達を飛び越えロックマウントを叩き斬る。すると香織達を助けようとしていたメルド団長が「こらこら、戦闘中に何をしている、凶夜助かったぞ!」と言いつつ、香織達も「す、すみません」と謝るも相当気持ち悪かったらしくまだ青ざめている。
そんな様子を見てキレるものが一人我等が勇者である。
どうやら気持ち悪さで青ざめてるのを死の恐怖で青ざめてると勘違いしたらしい。純白の魔力が噴き出し、聖剣が輝く!
「万翔羽ばたき、天へと至れ、"天翔閃"!」
「あ!こら馬鹿者!」
メルド団長の声も無視し、大上段に振りかぶった聖剣を振り下ろす。
その瞬間、聖剣の光が斬撃となってロックマウントを意図も容易く切り裂き、さらに奥の壁も粉々に破壊し尽くしてようやく止まった。
「ふぅ〜」と息を吐き香織達にもう大丈夫だと言おうとして振り返ると青筋を浮かべたメルド団長の拳骨が振り下ろされる。
「へぶぅ!?」
「この馬鹿者が!こんな狭いところで使う技じゃ無いだろうが!崩落でもしたらどうする!」
メルド団長に叱られバツが悪そうに謝罪する光輝。香織達が寄っていって慰める。その時、ふっと崩れた壁の方に視線を向ける香織。
「…なんだろう?キラキラしてる」
全員、香織の指差す方に目を向けるとそこには青白く発光する宝石の様な鉱物があった。
「あれはグランツ鉱石だな。大きさもなかなかだ。」
グランツ鉱石は宝石のいわば原石みたいなもので、ご婦人ご令嬢に加工されたイヤリング、指輪、ネックレスなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際にも選ばれるらしい。
その話を聞いて香織が「素敵……」と呟く。そして気づかれない程度にチラリとハジメをみるが雫と凶夜ともう一人は気付いていた……
「だったら俺らで回収しようぜ!」
そう言って檜山が崖をヒョイヒョイと登っていく。それに慌てるメルド団長、安全確認もまだという忠告も無視してグランツ鉱石に触れてしまう。
「団長!トラップです!!」
一足遅い警告があり、鉱石を中心とした魔法陣が形成される。魔法陣は一瞬にして部屋全体を埋め尽くし、光が増していく。
「撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」
メルド団長の言葉に生徒たちが部屋を出ようとするが間に合わなかった……
部屋の中が光で満ち、凶夜達の視界を真っ白に塗りつぶす。と同時に一瞬の浮遊感。そして空気が変わった。凶夜はすぐに立ち周りの警戒をする。ハジメはまだ尻もちを着いた状態だ。どうやら、先程の魔法陣は転移させるものだったらしい。
転移した場所は巨大な石造りの橋の上だった。橋の下は全く何も見えない深淵が広がっており、まさに奈落の底に通じている様なモノだった。橋の横幅は十メートルくらいで橋の両サイドにはそれぞれ、奥に続く道と上階への階段が見える。メルド団長が指示を飛ばす。
「お前たち、立ち上がってあの階段の場所まで行け!急げ!」
ワタワタと動き出す生徒達、だが迷宮はそんなに甘くなかった。橋の両サイドに魔法陣が現れた。片方は十メートル程、もう片方は一メートル程だが魔物の数がおびただしい。階段の方からは剣を持った骸骨トラウムソルジャーが脈打つ様に溢れ出してくる。
十メートルの魔法陣の方からは体長十メートル級の四足で頭部に兜の様なモノをつけ、そこから炎を放っている魔物が出現する。
メルド団長が呆然と呟いた一言が明瞭に聞こえる。
「まさか……ベヒモス……なのか」
いつも頼りになるメルド団長が焦燥感をあらわにしている。
ベヒモスはそんな悠長な時間を与えない。
「グルァァァァァアア!!!!」
その咆哮で正気に戻り騎士達に矢継ぎ早に指示を飛ばして生徒達を逃がそうとする。
そんな中一人だけ少し冷静なものがいた。凶夜だ。メルド団長の指示よりも早くトラウムソルジャーに突っ込み暴れ散らかす。襲われそうな生徒がいれば助けて離脱しまた暴れ散らかす。気分は【鬼】の時みたく暴れることのみが快楽というふうな感じだがしっかりと守るべき者のことを考えている。
ハジメも一人の女子に襲い掛かるトラウムソルジャーの足元を隆起させ、それを波の様にし周りのトラウムソルジャーも巻き込み奈落に落とす。
そして女の子を励まして凶夜の近くまで来る。
「ハジメ!この状況で足りて無いものは何だ!俺は暴れるしかできねーぞ!」
「この状況で足りないもの……強力なリーダー……道を切り開く火力……天之川くん!」
「OK、相棒。そこまでの道は作ってやんよ。」
階段の方を向いていた凶夜は押し迫ってくるトラウムソルジャーを一閃し薙ぎ倒す。そしてベヒモスに向かって走っていく。その道中にいるトラウムソルジャーも蹴散らしつつ。
ベヒモスは騎士達の貼った障壁に向かって突進を続けていた。メルド団長、光輝、龍太郎、雫が言い合っていた中に唐突に、凶夜が現れる。そして遅れてハジメも。
「早く撤退を!みんなのところに!早く!」
「いきなり何だ?それよりここは俺たちに任せて南雲は……」
「そんなこと言ってる場合じゃない!」
光輝の胸ぐらを掴み、指を刺し叫ぶ。
そこには右往左往しているクラスメイトの姿、訓練で培った連携が頭から抜け落ち効率的に戦えておらず未だに突破できていない。
「アレが見えないの!?みんなパニックになってる。リーダーがいないからだ!一撃で切り抜ける力が必要なんだ!それが出来るのは天之川くんだけでしょ!前だけじゃなく後ろもちゃんと見ろ!」
「あぁ、わかった。メルドさんすみま--」
「下がれぇーー!!!」
メルド団長の警告と共に障壁が砕け散った。
ハジメは咄嗟に錬成で石の壁を造り出したがそれも砕かれ土煙が舞うがベヒモスの咆哮でそれも晴れる。倒れるメルド団長と騎士達三人、光輝の指示で香織は回復、雫と龍太郎はベヒモスの足止め、光輝が最大威力の"神威"を放つがベヒモスは無傷。ベヒモスが魔物特有の赤黒い魔力発しながら頭を掲げた。頭の角がキッ----っという甲高い音を立てて赤熱化していく。そして兜全体がマグマの様に燃えたぎる。
「ボケッとするな!逃げろ!」
メルド団長の叫びに咄嗟に回避行動をとる光輝達だったがベヒモスの隕石の様な攻撃の余波で誰もが満身創痍になる。メルド団長は光輝だけでも連れて逃げろとハジメに指示を出すが、ハジメは必死の形相でメルドに何か提案する。近くにいた凶夜にもそれは聞こえていた。
「……やれるんだな?」
「やります」
「俺も付き合います」
「凶夜にすることはないよ」
「いーや、無理矢理にでも活躍してやんよ」
覚悟のある目でメルドを見つめるハジメと凶夜。そんな目を向けてくる二人に笑みをこぼし告げる
「まさか、お前さんに命を預けることになるとはな。必ず助ける。頼んだぞ、凶夜は狂化は絶対に使うな生きること諦めるなよ!」
「「はい!」」
ベヒモスがまた赤熱化した兜を掲げ跳躍し隕石の如く降ってくる。メルド団長は直前まで引き付けバックステップでかわし風魔法で余波を散らす。
頭をめり込ませたベヒモスにハジメと凶夜が飛びつく。
ハジメは最も簡単で唯一の魔法を発動する。
「"錬成"!!!」
「俺は魔法も何にも無いけどよぉ。暴れることは得意なんだ」
ベヒモスは頭を抜こうとして止まる。ハジメが抜ける前に直してるからだ。今度は踏ん張って抜こうとするが前脚が少し斬られる。そして埋まる。
「ハッハァ!硬ってぇなぁ!」
凶夜はハジメの錬成を邪魔しない様にだが、確実にベヒモスが力を入れようとしてるところに小さな、でも着実に切り傷を作っていく。それを何分いや何十分にも思える攻防をしてクラスメイト全員の撤退が終わる。
「前衛組!トラウムソルジャーを近寄せるな!!後衛組は遠距離魔法準備!!もうすぐ坊主の魔力が尽きる!アイツが離脱したら一斉攻撃で化物の足止めをしろぉ!」
数十度目の亀裂が地面に入ると同時に凶夜に声をかけ最後の錬成を行う!
「凶夜!これで最後だ!逃げよう!!」
「了解!!」
同時に駆け出す二人。その数秒後、地面が破裂するかの如くベヒモスが咆哮をあげながら起き上がる。ハジメ達を追いかけようと四肢に力を込めた瞬間、流星群の如く色とりどりの魔法がベヒモスに襲い掛かる。傷にはなってないが足止めにはなっている。いける!ハジメは転ばない様に頭を下げながら走る。敏捷力の差ですでに凶夜は前を走っている。とてつもない数の魔法の中で一つの火球だけクイッと曲がるのをハジメは目撃した……ハジメに向かってだ。
ハジメの目の前に火球が着弾し爆ぜる。そこにベヒモスが突進してきて追い討ちをかける。なけなしの力を振り絞りその場を飛び退いた。そこにベヒモスの怒りが収束した様な衝撃が橋全体に広がる。そして橋がついに崩れた。
「ハジメぇぇ!!!」
前を走っていた凶夜は足を止め、ハジメの方に全力で走る。
ベヒモスは奈落に落ちハジメもギリギリのところで倒れている。倒れているところが崩れる瞬間、凶夜の手が間に合った!!だがハジメは気絶していて重い、凶夜の足場も崩れていく。
「クソがっ!」
クラスメイトの方を見るも香織が飛び出しそうなのをみんな必死で抑えている。青ざめているクラスメイトもいる。
そして凶夜の足場も完全に崩れた。奈落に落ちていく。徐々に小さく光に手を伸ばしながら……
読んで頂きありがとうございます。
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次の話からオリジナル要素が出てくるから嫌な人は気をつけてねー
クラスメイト組の話みたい?
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