今日は更新しないと言ったな!ストックができた(1.5話分)から更新するんだよぉ〜。
オリジナル成分が強くなるんで気をつけてね〜
凶夜とハジメが落ちていく中それがスローモーションの様に緩やかな時間でただ見ていることしかできない香織は絶望する。
「離して!南雲くんのところに行かないと!約束したの!私が守るって!」
飛び出そうとする香織を光輝が羽交締めにする。雫はへたり込み唖然としている。
「香織!君まで死ぬ気か!南雲と北野はもう無理だ!落ち着くんだ!」
「無理って何!?南雲くんは死んでない!行かないと!きっと助けを待ってる!!」
周りの生徒達もどうしていいかオロオロしている。その時、メルド団長が問答無用で首に手刀を落とす。そのまま意識を失う香織。キッとメルド団長を睨む光輝だがさっきから雫の様子も気になる。
「もう、一人も死なせるわけにはいかない。全力で迷宮を離脱する。……彼女達を頼む」
そしてメルド団長達は迷宮を離脱する………
「ヒヒヒ。アイツが悪いんだ。雑魚の癖に……ちょ、調子にのるから…天罰だ。俺は間違ってない……し、白崎のためだ……俺は間違ってない」
みんなが宿で休んでる中で檜山大介は街の目立たない場所で膝を抱えて自己弁護していた。ハジメを襲った火球を放った正体は檜山だった。証拠は何もないと暗い笑みを浮かべていた。その時後ろから話しかけられる。
「へぇ〜。やっぱり君だったんだ。異世界初めての殺人がクラスメイトかー」
「だ、誰だ!?」
そこには見知ったクラスメイトがいた。そのクラスメイトはクスクスと笑い楽しそうな表情を浮かべている。人が死んだというのに、喜劇を見ているかの様に笑っている。まるで堪えていない様子だった。
それが本性かと尋ねる檜山に猫の一つ二つ被ってるというクラスメイト。そして檜山を脅しにかかる。
「ど、どうしろってんだ!?」
「ふふ、別に今すぐどうこうしようという訳じゃないよ、取り敢えずまぁ、僕の手足となって動いてくれるといいよ」
実質の奴隷宣言。流石に躊躇する、断りたいがそうすればハジメを殺した事を言いふらされるだろう。仄暗い考えをするが…
「白崎香織、欲しくない?」
檜山は驚いて声も出ない。クラスメイトは続ける。
「僕に従うのなら…彼女が手に入るよ?」
クラスメイトに何がしたいのかと叫ぶがクラスメイトは欲しいモノがあるとだけ言った。
「……で?返答は?」
「……従う」
「アハハ、よかった!クラスメイトを告発するのは心苦しかったからねぇ。楽しくやろうよ、人殺しさん?アハハハハ!」
楽しそうに笑いながら宿に帰るクラスメイト。檜山は上手く立ち回らければいけない。もう檜山は一線を越えてしまったのだ。あの人物に従えば、白崎香織が手に入る可能性があるのだ。
「ヒヒ、ヒ。大丈夫だ。上手くいく。俺は間違ってない俺は間違ってない……」
膝を抱えて顔を埋め、ブツブツ呟く檜山を邪魔するものは今度は現れない。
水の流れる音がする。冷え切った体が身震いする。ズキズキと痛む脚に、目が覚める凶夜。
「痛ってぇぇえ!」
ふらつく頭を手で押さえて記憶を辿りつつ現状を把握することに努める。周りは薄暗いが迷宮特有の明るい石のお陰で何も見えない程ではない。視線の先には川があり下半身が浸かっている。そしてよく見ると左脚が折れている。その痛みで頭の霞が取れて現状を把握してくる。
「ぐっ…そうか奈落に落ちて……ハジメっ!!」
バッと周りを見渡すがハジメの影はない。奈落に落ちるときまでは一緒だったんだ。自分が助かっててハジメが助かってない訳がないと思い、幸い折れていなかった二つの剣を松葉杖代わりにし、ハジメを探す。
岩や壁があちらこちらからせり出し通路自体も複雑にうねっている。二十階層の最後の部屋の様だ。ただし、大きさは比較にならない。縦横二十メートルはあるだろうか。歩き辛くはあるが隠れるところもある。迷宮の中なのだから魔物が出てもいい様に警戒しながら慎重に歩いていく。
どれくらい歩いただろうか。視界の端で何かが動く。警戒しながら剣を構える凶夜、片脚は使えないが両腕は幸い無傷だ我流二刀流は使える。動かず様子見をしていると白い毛並みの狼の様な魔物が姿を現した。白い毛並みに二尾の尻尾、それに赤黒い線が体に走って脈を打っている。凶夜は本能で感じた。勝てない。勝てる訳がない…とそして逃げた。気付かれているのか、いないのかさえ理解する前に逃げた。凶夜の17年間初めての逃走だった。不意打ちされた時も殺されそうになった時も逃げなかった凶夜が初めて逃げた。
何度も倒れそうになっても走って走って走って、走って走ってついに転んだ。転んだ先にちょうど大人一人が這いつくばって通れるくらいの穴があり、そこに急いで入っていく。穴の先にはドーム状の空洞があった。洞窟より広い天井がベヒモスの橋の天井くらい七十メートルくらいだろうか。その奥にハンドボールくらいだろうか、それくらいの大きな青白く発光する鉱石があり、そこからチョロチョロと水が流れている。ちょっとした深い水溜まりになっている。走って喉の渇いた凶夜はその水溜まりに顔を突っ込みガブ飲みする。すると走って疲れた体がスッキリとし折れていた脚が痛くなくなっていた。
「なんだ、コレ」
凶夜は知らないが実はその石は【神結晶】といい歴史状最大の秘宝で伝説の鉱物だったりする。
神結晶は大地を流れる魔力が長い年月をかけ集まり、偶然魔力溜まりになりその魔力そのものが結晶化したもので更に年月をかけ内包する魔力が飽和状態となると液体となって溢れ出す。
その液体を【神水】といいコレを飲んだ者はどんな怪我でも病でもたちまち治るという。
凶夜はどうしようかと考える。あんな化物をみてそれでも心は折れていなかった。ハジメならきっと大丈夫と言い聞かせて、脚は治った、剣はあるひとつだけ賭けにしかならないが【狂化】だ。メルド団長には死ぬから使うなと言われたがこの水が有れば生きられるのではないかと考えている。だが賭けだ。死因が分からない、狂化を使えば問答無用で死だとすると狂化はただの無駄遣いだ。だが、素の力では絶対に敵わない。コレは絶対だ。あの二尾狼レベルの魔物が彷徨いてるならここを出るべきではない。だがと凶夜の考えがずっと堂々巡りしていると、その時、
ズリ……ズリ…ズリ……
と何かが這いずる様な音が徐々に近付いてくる。とても嫌な予感がする。とてつもなく嫌な予感だ。凶夜は立ち上がり剣をとり、構える。ドーム状の空洞をよく見ると複数に凶夜が入ってきた穴の様なものがある。その一つの奥から赤い眼が二つ、そしてその全容が顕になる。白い鱗の大蛇だ、全長数十メートルの大蛇で赤黒い線が脈を打っている。凶夜はまたもや本能で悟る。コレは二尾狼より強い。ゲームで例えるなら軽いボスクラスの魔物だろうか。実際大蛇の口にはナニカ兎の様な魔物が咥えられている。そして、飲み込んだ。このドーム状の空洞はこの大蛇の巣だった様だ。
「ヤベェなぁ、ハジメ。俺ここで死ぬかも…」
ゴウッ!と大蛇の尻尾が凶夜に向かって振るわれる。辛うじて剣で受け止めたが吹き飛んで壁にぶつかって勢いは強制的に止まる。
「カハッ」
体の中の空気が全て口から出たか様な気持ちだが、そんな事考えたら場合ではない。感覚的に体の骨が数本折れたがそれも気にしてられない。大蛇を視野に入れるとあることに気がついた。尻尾のちょうど剣で受け止めたところら辺が切れ傷がある。
「ゴホッ、もしかして防御力は大した事ないのか?」
口から出た血を拭い、大蛇の様子を見ていると傷がたちまち治っていく。
「何だと!?クソが!防御力の代わりに回復力がチートかよ!?」
そんなことを言っているの目の前に口を開けた大蛇が迫っていた。それをすれすれでかわす。壁に大蛇の牙が突き刺さって大蛇が暴れる。牙が抜けない様だ。ここだ!と思い叩き斬る!一発で両断してやる!っと勢いで両腕の剣を振り下ろすが途中で止まってしまう。
「クッソ!硬ぇじゃねえーかよ!」
それでも斬ると思い両腕に力を込める瞬間、有り余る大蛇の体が凶夜に巻き付き締め上げる。体中の骨が折れる様な音がドーム状の空洞に響く。
「ガアァァァァァァァア!!!」
痛みで意識を飛ばし、痛みで意識が戻る。
(目の前がチカチカする。何だ俺は死ぬのか?体中が痛え)
いつのまにか牙が壁から抜けた大蛇の顔が凶夜の顔を上から丸呑みしようと近づいてきている。
(このまま食われるのか?俺は、やり残した事がある!ハジメを見つけれてない。俺を孤独から救ってくれた唯一の友達を救えていない!このまま死ぬなら大暴れしてから死んでやる!せめてオマエダケデモミチヅレニ!!!)
【狂化】
「アぁ■■■■■■■■■■■■■!!!」
雄叫びの様な悲鳴の様な金切り声をあげ、ブチブチと大蛇の体を引き裂きながら凶夜は大蛇のトグロから脱出する。
「フッーフッー」
「ガア■■■■■■■■■■■■■!!」
剣も捨て、引き裂かれた体を既に元通りにしてる大蛇に突進していく凶夜。大蛇も体くねらせ、しなる尻尾を凶夜に向けて振るうが凶夜は片手で受け止める。受け止めた手は無事では済まない、がそんな事関係ないとばかりに尻尾を掴む。そしてがむしゃらに、
叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける、叩きつける。
狂化を使った者に理性はない本能がままに目につくものを壊すだけ。大蛇も怪我をした部分を治してどうにか抵抗しようとするが狂化された凶夜の力の前では無力だった。
そして、数分間ドームの空洞から振動が途絶えることは無かった。
振動が止んだ時、大蛇の死体と中央に倒れる凶夜の姿があった。凶夜は少しずつ少しずつ前に進んでいる。体はとうに限界を迎えている大蛇に全身の骨を折られ、狂化で更に体がボロボロになって血だらけだ。それでもある一点に向かって少しずつ少しずつ前に前に進んでいる。
(生きてる!俺は生きてる!ならアレを飲めば………)
目の前の敵を倒した事により凶夜は正気に戻っていた。メルド団長の言っていた前の狂戦士の狂化で死んだ者は、目の前に敵味方が多数存在して狂化がきれなかった事により体が耐えられず限界を迎え死んでしまったのだ。凶夜の場合敵が大蛇のみで大蛇を殺した事により狂化がきれ正気に戻れた。運が良かったのだ。
凶夜は激痛に襲われながらも神水の水溜まりに辿り着き、また顔をつけてガブ飲みする。と、たちまちに全身の傷が治る。
「生き残った!生き残ったぞ!ヨッシャぁ?」
ありったけの声で叫んだとたん意識が暗転。当然、神水は傷は治しても流した血などは元通りにはならない。凶夜は貧血で倒れたのだ。しばらく、いや、何日か経過して朦朧とした頭で凶夜は目が覚める。
(どんぐらい寝てた? 何で体が動かねぇんだ?)
貧血で朦朧とした頭で考える。そして思い当たる節がある。
(血か!血が足りねぇのか!鉄分がいるんだ!血を作るには何がいる?食べ物か…でもここには食べ物が)
………………ある。
目の前の大蛇だ。体がデカいぶん、ドーム状の地面ほぼ埋め尽くすくらいの大蛇の死体がすぐ横にある。ふらつく体にムチを打ち剣で大蛇の肉を切り取り‥‥かぶりつく、貪り、咀嚼する。
「クッソ不味いな、でも仕方ねぇ。生きる為だ」
不味くて涙目になりながら剣で切り取り食べ、神水で飲み込む。腹が膨れ始めた頃、凶夜の体に異変が起きる。
「アッ?ガッァァ!!」
内側からの激痛、体内からナニカに作り替えられるようなおぞましい感覚。その痛みはどんどん増してくる。だが狂化や全身骨折を根性で乗り切った凶夜には耐えられない程の痛みではなかった。だがのたうち回るくらいには痛い。
「痛ってえええ!クソがァァァァァ」
たまらず神水を飲む凶夜。痛みが引くがしばらくするとまた、痛みが増してくる。そして、痛みと共に脈動し、体のいたるところから、ミシッ、パキッという音さえ聞こえてきた。そして神水の効果で痛みが引き、またしばらくすると痛みが襲うという苦痛が始まった。修復し、痛み修復し痛む。しばらくすると凶夜の体に変化が始まった。
まず、髪の毛の色が所々抜け落ち、黒と白のコントラストの様になり、体には見えないが、数本赤黒い線が走っている。まるで奈落の魔物の様に。
「痛かった〜!何だコレ?でも貧血は治ったぽいぞ?」
立ち上がり体に変化がないか、調べるために血だらけの上の服を脱ぐ。腕や腹を見ると筋肉が前よりもついている事が明白にわかり、元々少し高かった身長が高身長と呼べるほどに伸びている。
「どうなってんだ?俺の体。魔物みたいな線もあるし。そうだ!ステータスプレート!こいう時はアレに限るよな?壊れてないといいけど…」
激しい戦闘の後で壊れていないか心配だったがどうやらステータスプレートは壊れておらず無事にポケットから出てきた。
北野 凶夜 17歳 男 レベル : 12
天職 : 狂戦士
筋力 : 400
体力 : 390
耐性 : 350
敏捷 : 320
魔力 : 400
魔耐 : 320
技能 : 狂化[+狂界突破]・魔力操作・胃酸強化・不滅・物理耐性・剛力・縮地・先読・気配感知・言語理解
「やっぱ壊れたかも……」
そう呟く凶夜だった。
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