なくなったらエタるか(感想が有れば生きる)
一週間に一回くらいのペースになると思います。
気配察知を使っていた凶夜はすぐに気がつく。ハジメと思わしき人物と少女に告げる。と同時にソレが降ってくる。
「上だ!逃げろ!」
ハジメと思わしき人物も気付いたらしく少女を抱え、一瞬で移動する。おそらく縮地だろう。凶夜も二人に合流し、地響きと共に姿を現したソレを見る。
その魔物は全長五メートル程の四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をうごかしながら近づいて来ている。そして二本の尻尾の先に鋭い針が付いていた。わかりやすい例えでサソリが最も高いだろう。尻尾の針は毒持ちと考えて最新の注意を払った方がいいだろう。ここまで会ったどの魔物より一線を画した強さの気配を本能的に感じる。嫌な汗が流れるがそれよりも……
「ハジメで……あってるよな?」
「そういうお前は、凶夜か?」
「そうだ!色々話したい事があるが、とりあえずはアイツか」
ハジメは少女と目を合わせ、少女の瞳を見た瞬間不敵な笑みを浮かべる。
「上等だ。……殺れるもんならやってみろ。付き合えよ、相棒」
「ハハ、人が変わったみたいだなぁ。まぁ相棒の期待には応えないとなっ!!」
凶夜はサソリモドキに突撃し、ハジメは少女の口に試験管の様なものを突っ込んで掴まってろ、と叫んでいる。
サソリモドキは一瞬肥大化した尻尾から凶夜とハジメに向かって紫色の液体を凄まじい勢いで噴射する。かなりの勢いで噴射されたソレをハジメは飛び退いてかわす。凶夜は縮地を使い加速する事でかわす。着弾した液体はジュワーっという音を立てて床を溶かしていた。
剣を上段に振りかぶり勢いよく振り下ろすがソレをハサミで受け止めると長い間連れ添った剣がここにきて真ん中から折れた。それと同時に後ろからドパンッ!と音がして閃光の様な攻撃がサソリモドキに直撃するがどちらも効いていないかの様に微動だなしない。おそらく空力を用いた移動で上にいるハジメが凶夜に指示を飛ばす。
「凶夜離れろ!」
指示が出た瞬間にその場を離れる凶夜の上から小さい球の様なものが降ってきてコロコロとサソリモドキの所にいき、爆発サソリもどきが燃えてソレを振り払おうと必死にもがいている。まさに焼夷手榴弾のようだ。
「剣が折れたみたいだがいけそうか?」
「誰にもの言ってんだ、こちとら狂戦士!素手でも相手してやらぁ!」
銃に弾を込めつつ凶夜に聞くハジメだが凶夜は問題ないどころか拳同士をぶつけて息巻いている。
"焼夷手榴弾"が燃え尽きたのかほとんど鎮火してしまっていた。あちらこちらからケムリを吹き上げているサソリモドキから怒りが伝わってくる。
「キシャァァァーーー!!」
絶叫をあげ八本の足を猛然と動かし凶夜とハジメに突進してくる。四本のハサミが伸び、器用に二本ずつで凶夜とハジメに攻撃する。ハジメは一本目は縮地でかわし、二本目を空力でかわし、銃で攻撃しながらサソリモドキの背に降り立つ。凶夜は一本目は剛脚で蹴り飛ばし、二本目は縮地で避ける。そして顔?というか目玉に向かって拳を振るう。流石に目玉は痛かったのか暴れ回るサソリモドキにハジメバランスをとりながらはゴトッと外殻に銃を押し付けゼロ距離射撃をおこなう。
ズガンっ!!
物凄い音と共にサソリモドキの胴体が地面に叩きつけられる。しかし、サソリモドキの外殻は少し傷付いたくらいでダメージらしいダメージは与えられていない。ハジメは銃で追撃をするがソレもあまり意味がない。サソリモドキがいい加減にしろ!という様に尻尾の針を散弾銃の様に自分の背中に放った。ハジメは飛び退いて空中で体を捻り、散弾針の尻尾の付け根目掛けて発砲するが、尻尾を大きく弾くだけで痛手にならない。
凶夜は顔を殴り続けていたがまるで鋼鉄以上の硬さを持ったナニカを殴ってる様で傷を負わすことが出来ずに、むしろ自分の手が血だらけになっていた。お互い完全に攻撃力不足だ。
空中のハジメと地上の凶夜に再び四本のハサミが高速で襲い掛かる。ハジメは苦し紛れにサソリモドキの背中に焼夷手榴弾を投げて、再びサソリモドキに炎が襲うが時間稼ぎにしかならない。
どうすべきかと考えるハジメ、その隙をサソリモドキは見逃さない。
「キィィィィィ!!!」
ハジメも凶夜も悪寒を感じその場を縮地で距離を取ろうとするが遅かった。サソリモドキの絶叫が響き渡ると同時に、突如、周囲の地面が波うち、円錐状の棘が無数に突き出して来た。
地上にいた凶夜は距離を取るためにバックステップした後で方向が変えられず後ろから突き出た円錐状の棘に突き刺さされる。
「凶夜!チクショウが!」
ハジメは空中に逃げるが途中少女を庇いながら銃や"剛脚"で何とかするが、散弾針と溶解液の尻尾がピタリと照準を合わせている。次の瞬間両尻尾から散弾針と溶解液が発射される、溶解液は何とか空力でかわすが散弾針をかわすのは無理と判断して顔などを守るが下から何かに突き飛ばされる。
「凶夜!?」
そう、さっきまで円錐状の地面に突き刺さっていた凶夜がハジメの代わりに散弾針を受ける。ハジメは咄嗟にポーチから何かを投げ、ソレが爆発と共に鋭い光を放つ。"閃光手榴弾"の様だ。
「キシャァァァァ!!」
思わない閃光により後ろに下がるサソリモドキ。吹き飛ばされたハジメと少女は凶夜の元に駆け寄る。凶夜は顰めっ面をしながら針を抜きながら立ち上がろうとしていた。
「大丈夫か!?凶夜!」
「こんくらい平気だ。」
ハジメは見た。先程円錐状の地面に貫かれてた場所が服に大きな穴が空いているが傷がなかったり、針を抜いた先からシュウ!と音を立てて傷が塞がっていく凶夜の姿を。
「まぁ、コレについてはまた後でだ。俺も色々聞きたい事はあるし、さてどう攻略するよ、相棒」
「攻略法が見つからねぇ。硬すぎる。目か口を狙おうにも尻尾の針と溶解液、あと四本のハサミが邪魔すぎる。………ダメージ覚悟の特攻か?」
「……どうして?どうして逃げないの?」
攻略法を相談している所に少女がポツリと呟く。自分を置いていけば助かるかもしれない、その可能性が高いのを理解しているはずだとハジメを方を見ている。
「ちっとばかし強い敵が現れたって見放すほど落ちてねぇよ」
その言葉に凶夜はニヤリと笑い、少女は何かに納得して、ハジメに抱きつく。状況が状況だけに何してんの?となるハジメと凶夜。
「……ハジメ、信じて」
そう言って少女はハジメの首に噛みついた。そしてハジメは苦笑いしながら少女を抱きしめ支える。凶夜の頭の上は?ばかりだ。
「キィシャァァァ!!!」
"閃光手榴弾"のショックから回復したサソリモドキの咆哮と共に地面がまた波うつ。周囲の地形を操る固有魔法だろう。
「とりあえず時間を稼げばいいんだな?俺に任せてくれねーか?」
凶夜が一歩前に出てハジメと少女に告げる。ハジメは任したと短く答える。"狂界突破"を使う凶夜。
「ア■■■■■■■!!!」
絶叫の様な咆哮をあげサソリモドキに"縮地"を使いながら突進する凶夜。円錐状の地面が突き出てくるが殴って破壊しながら前に前に前に進みサソリモドキの目の前まで到達する。後ろでハジメが驚いてる気配がするが関係ない。メノマエノエモノヲコロス!!そんな勢いでサソリモドキの四本のハサミが襲いかかってくるが『冷静に』見切って紙一重でかわして顔面にラッシュするが硬くてこちらの手の骨が折れるが瞬く間に"不滅"で回復殴り続けて偶然一発がサソリモドキの目に入る。
「キィィィ!」
悲鳴を上げ後ずさるサソリモドキに追撃を加えようとしたところでハジメの声が聞こえる。
「引け!凶夜!」
咄嗟の指示に『従い』後ろに下がるために"縮地"を使いハジメ達の元に戻ると同時に少女がサソリモドキに向けて腕を掲げ、黄金色の魔力が暗闇を払う。
「"蒼天"」
直後サソリモドキの上に青白い炎の球体が出来上がり、指で操っているのか指を立てて振り下ろす。青白い炎の球体はサソリモドキに降りおり直撃。
「グゥギィヤァァァァァ!!!」
サソリモドキは断末魔の様な悲鳴をあげる。青白い光が着弾とともに弾けハジメと凶夜は目を覆い隠し、ただその壮大な魔法を呆然と眺めた。
やがて効果時間が終わったのか青白い炎が消滅する。と同時にハジメは思い出した様に凶夜に銃を向ける。
「あの攻撃力の跳ね上がり方は狂化を使ってる筈だ。狂化を使えば敵味方関係なく殺す。そうメルドから聞いていた。だが、俺の指示を聞いた事から狂ってんのか、違うのか判断がつかねぇ。どっちだ」
「"狂化"解除、とりあえず襲ったりしねーから銃を降ろしてくれ、相棒。その事も後から話す」
凶夜の"狂化"は確かに敵味方関係なく襲うが、ソレを解決するのが"狂界突破"だ。理性を保ちつつ狂化の発動が行える。デメリットは変わらず全身を襲う痛み、骨が折れたり筋肉が断裂したりする。だから解除した今、"不滅"の効果で体全身からシュウー!と音を立てて修復してる最中だ。
とりあえず危険はないと判断したハジメは銃を降ろし、表面をドロリと溶かした悶え苦しむサソリモドキに視線を向ける。アレだけ硬かったサソリモドキがあの様になっていることに驚いていると、トサリと少女が座り込み肩で息をしている。どうやら魔力が枯渇したようだ。凶夜も修復が終わり肩で息をしている。こちらも魔力が枯渇しかけていている様だった。
「ユエ、凶夜、無事か?」
「ん……最上級……疲れる」
「無事だが、トドメは任せる正直動けるがしんどい…」
「ハハ、ユエの魔法凄かったからな。助かった。分かった、トドメは俺がやる」
「ん、頑張って……」
ハジメはサソリモドキに近寄り、サソリモドキも最後の抵抗をするがハジメの鮮やかな手腕でサソリモドキに手榴弾でトドメをさす。そしてピクリとも動かないサソリモドキの口に向かって銃をニ、三発撃ち込んで「ヨシ」と納得して頷いた。振り返ると、無表情ながらどことなく嬉しそうな眼差しでハジメを見ているユエと腕を組んで楽しそうにニヤリと笑っている凶夜がいた。どうやら頼もしい相棒が二人もできた様だ。
サソリモドキを倒した凶夜達はサソリモドキやサイクロプスの肉や素材をハジメの拠点に持ち帰った。そんな訳で現在凶夜達はハジメの消耗品の補充をしながらお互いの事を話していた。
「そうすると、ユエって三百歳以上なわけ?」
「……マナー違反」
「思っても口に出すなよ…ハジメぇ」
ユエがジト目でハジメを見る。女性に年齢の話はタブーである。吸血鬼は三百年前の大規模な戦争で滅んでいる。ハジメは吸血鬼はそんなに長生きなのかと質問し、ユエは"再生"のおかげだと答える。聞けば十二歳の頃に"自動再生"の固有魔法を手に入れてから年をとっていないらしい。それから封印された経緯、魔法に全適性がらある事、"自動再生"について迷宮の事について話し、反逆者の住まうところには転移陣があるかもという希望を見出していた。
次に凶夜の番だ。目が覚めてからハジメを探し回った事、二尾狼ならおそれを成して逃げた事、大蛇との死闘、不思議な水の事に、ここまで来た経緯を全て話した。
「今、ユエさんの話を聞いて"不滅"が"自動再生"の劣化版だということがわかった」
凶夜は語る。腕や脚をちぎられても生えてはこず、引っ付けて"不滅"を発動すると回復出来るが自分の意思を持って発動しなければ"不滅"は発動しないだから頭を潰される、または首を切られると死んでしまうだろうと説明した。
「ソレを引いても十分チートだと思うけどなー」
「俺も倒して食ってれば手に入れられたかもしれねぇのか」
「いや、どうだろうな?ボス級は一体じゃないか?」
次にハジメがユエに催促され語る。
召喚された事から、無能扱いされていた事、ベヒモスとの戦い、誰かに裏切られた事、爪熊との闘い、ポーションの事(後でユエから神水だと教えられた)、故郷の兵器をヒントに現代兵器モドキをツラツラと話す。すると隣からグスッと鼻を啜る様な音が聞こえ出した。ハジメのためにユエが泣いていた。それをハジメは優しく拭き訳を聞いているあいだ、凶夜は難しい顔をしていた。ユエとの故郷に一緒に帰るという話でまとまる頃、その顔にハジメが気づく。
「どうした?凶夜」
そして、凶夜はカバッっといきなり土下座をする。ユエもハジメもびっくりして声がでない。
「すまない!俺がしっかりしてたら、お前は左腕もなくならなかったはずだ、守れなくてすまない。そしてユエさんハジメと出会ってくれて感謝する!」
と急に、ハジメには謝罪し、ユエには感謝を述べる。凶夜なら言ってる事は本心だ。一緒にいれば守れたかもしれない。もっと早く行動していればハジメを変えずにすんだかもしれない。そしてユエにはハジメが人間としての最後の一線を越えなくて済んだことへの感謝だ。だがハジメに一蹴される。
「アホか、全部たらればで話にならねぇ。その気持ちはありがてえけど俺はこうして生きてるし、無事に会えたんだ。ソレでチャラだ。それが嫌ならこの先の攻略で助けてくれ。」
「ありがとう!本当に生きてくれててよかった」
凶夜もズビッと鼻を啜り少し泣いているようだった。凶夜は奈落に落ちてからずっとハジメの事を心配ながら行動していた。ここにきて変わってしまったが根っこは変わってないハジメに出会えて緊張の糸が切れて泣いてしまったのだ。
その後ハジメの親友だからユエでいいと言われユエとも少し距離を縮められた凶夜であった。
読んで頂きありがとうございます。
感想聞かせてください。泣いて喜びます。
あくまでも、凶夜が主人公なのでユエやドンナーの事を聞くまで少女や銃といった単語を使っています。
雫をオリ主のヒロインにしてもいいか?
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いいよ
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ダメ
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好きにしろよ