NEXT TIME 仮面ライダーヒリュウ、ファースト   作:祝井

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 二話同時投稿です。先に前話、結「ファーストコネクト2018」を読んでいただけると幸いです。
 この話は映画でいうところのポストクレジット的なものです。ヒリュウのエピローグであり、今後投稿する作品のプロローグでもあります。ヒリュウだけで完結したい方はブラウザバックしていただいた方が良いと思います。


EPilogue「21人のジオウ!」

 

「ショッカーの強みは、何度やられても蘇るしぶとさなんだよ」

 

 バチバチ、と火花が散る。フィーニスは破れた服から機械の身体を晒したまま、咄嗟に逃げ込んだ地下水道で身体を休めていた。壁に背中をもたれて、瞳を閉じる。

 

 ネオアナザーウォッチは失われた。だが、まだ手はある。この世界の自分からアナザー1号ウォッチを作成できれば──

 

「今度こそ、ボクが歴史の──」

 

「貴様ごときにその器はない」

 

 かつて聞いた覚えのある、しわがれた老人の声がする。文字通りグギギと音を立てながら音源を見てみると、一人の幼い男の子だった。

 

 反射的にブランクウォッチを突き付けようとするが、その時には右腕ごと崩れて消えていて。やはりキミなのか。

 

「オーマ、ジオウ」

 

「終わりだ。貴様の歴史は」

 

 諦念を浮かべたフィーニスに、男の子は手をかざす。すると先程の右腕と同じく、彼女の身体は崩壊していった。

 

「さて。何だ、貴様は」

 

 男の子は振り向いた。視線の先には誰もいなかったが、男の子が手を振るだけで化けの皮が剥がれる。

 

 変身解除して水浸しの地面に落ちたのはウォズ。昼食を食べ終えソウゴ達をクジゴジ堂に、飛流を自宅に帰した後、フィーニスを探していたのだ。

 

「なるほど、私ではない常磐ソウゴの従者か」

 

 パラレルラトラパンテが早急にウォズの情報を脳に伝達する。男の子はしゃがみ込み、倒れているウォズの顎を掴む。ウォズは恐怖した。

 

「ならば仕えるがいい。真実の常磐ソウゴである、私に」

 

「……わかり、ました」

 

 ウォズは小さい声で応えることしかできない。男の子──否、真実のソウゴは満足したように頷いて立ち上がる。

 

「始めようではないか。新たな命の選定を」

 

 真実のソウゴの背後が歪み、異世界を映し出す。異世界に控える化物達が、歓喜の声をあげた。

 

 

○○○

 

 

 城南高校に所属する、ちょっと遺跡が好きなだけの普通の社会科教師、寺井戸大介──通称ティードは喜んでいた。彼が気にかけていた生徒の一人である加古川飛流が、ついに自分の夢を見つけ、進路を定めたのだ。

 

「それにしても、図書館の司書さんか……確かにアイツ、歴史に割と興味あったしなぁ」

 

 普段の授業態度を鑑みても納得できる進路だった。個人的にも後輩が増えて嬉しくもある。しかし、どうして急に決められたのか、少々気になるところではあるが。

 

 無粋だな。邪推を振り払おうとティードは再び進路希望調査に目を通す。

 

「まぁいい」

 

 さっさとデータベースに登録しておこう、とティードがノートパソコンを起動した時、社会科準備室の扉が勢いよく開く。古いんだから勘弁してほしいんだが、と扉の方を向くと、そこには新人化学教師、日西彗美──通称フィーニスが息を整えながらスマートフォンをいじっている。

 

「何、どうしたよ」

 

 ただ事ではない行動をする遠縁の親戚その二に声をかけると、スマートフォンが突き出される。

 

「ティード、これ」

 

 その小さな画面に映っていたのは、SNSに投稿された動画。動画に添付されていた文章にはただ事ではないことが書いてあって。信じられないから、恐る恐るティードはそれを読んでいく。

 

「教師や生徒と共に──」

 

 

 

 

 

「──光ヶ森高校が消えた……?」

 

「ああ」

 

 同時刻。光ヶ森高校があったはずの場所。下校途中の加古川飛流はQuartzerにメールで呼び出されてここまでやって来た。

 空っぽになった敷地を囲んでいる野次馬も含めた大勢から少し離れた場所で、飛流はQ-KIMIと名乗る昨日とは別のQuartzerに詳細を聞いている。

 

「全ては"真実のソウゴ"を名乗る常磐ソウゴが引き起こしたことだ」

 

 曰く、彼はこの世界とはまた別の並行世界の常磐ソウゴ──いわゆる並行同位体である。

 

 曰く、彼は既にオーマジオウに覚醒している。

 

 曰く、彼は別の世界で無限に繰り返されるデス・ゲームを引き起こし、多くの被害を出したために多くの並行世界のQuartzerに存在を把握されている。

 

 曰く、彼は今回この世界の一部を奪い取り、複数の並行世界から同様に奪った一部と融合させて一つの異世界を誕生させた。既に時の流れは切り離されている。その中には侵入できず、様子も窺い知ることはできていない。しかし、他世界のQuartzerとの情報交換により、異世界の中には複数の常磐ソウゴが存在していることが逆説的に判明している。

 

 曰く、彼がそこまでの行動を起こした理由は未だに完全不明。

 

 飛流には伝えていないが、真実のソウゴは別のオーマジオウのパラレルラトラパンテによる探りをシャットアウトさえしている。といっても、Quartzerに協力するオーマジオウは、Q-KIMIが把握する限り一人しかいない。

 

「情報量が多すぎるッ……!」

 

「まぁ、常磐ソウゴ達にとっても、俺達にとっても危機的状況なのをわかってくれればいい。今回はウォズとも連絡がつかないからな……」

 

 昨日愚痴ってたし着信拒否してるんじゃねぇかな、と飛流は一瞬思ったがすぐさま否定する。常磐ソウゴの危機に動かないウォズではない。

 

「王を含めた他の奴らは門矢士を動かそうとしているらしいが、奴が想定通りに動くとは思えない」

 

 Q-KIMIは肩を竦める。門矢士とは一回戦ったきりだが、相当な問題児なのか。飛流がそう認識をあらためたところで、Q-KIMIの話はようやく本題に入る。

 

「ということで、だ。俺とKENZOの独断だが、お前にも動いてもらうことにした」

 

「それ自体は俺にとっても歓迎すべきことだが……」

 

 Quartzerとして動くには知識や経験が足りないのではないか、という懸念点がある。飛流はそれを素直に伝えると、織り込み済みだと返答された。

 

「経験については時間も事件もないからどうしようもない。代わりに知識を限界まで蓄えてもらう」

 

 Q-KIMIは指を鳴らす。すると飛流は黒い空間に跳ばされた。巨大な時計が中心にそびえ立っており、その前には一個の机と椅子が。

 

「いい手段ではないが、今回は詰め込み学習装置とアガスティアベースの本を併用していく」

 

「何だよここ……!?」

 

「大丈夫だ。すぐ知ることになる」

 

 台車を押しながらQ-KENZOが現れる。台車の上には、仰々しい機械と大量の本が乗っていた。Q-KIMIは飛流を椅子に座らせ、仰々しい機械を頭に装着していく。

 

「とにかく今は時間がない。厳密に言えば、こちらとあの異世界での時の流れがどれほど違うのかすらもわからないから、早く対処するに越したことはない、ということなんだが」

 

「KIMI、説明が長い」

 

 Q-KENZOがQ-KIMIにぼやく中、飛流はQ-KIMIが言っていたことについて思考を巡らす。こっちの1秒があっちでは1日に相当する可能性もある、ということか。

 

「荒療治になるぞ」

 

「覚悟はしている」

 

 生きていろよ。明光院、ウォズ、月読、ソウゴ。俺に何ができるか、今はわからないけれど。きっと、お前達のために。

 

 目をつむると、学習装置が音を出して起動する。情報の洪水が飛流の脳味噌に流れ込んでいく──

 

 

○○○

 

 

 時は遡って、放課後の光ヶ森高校。校舎の内外では生徒達が盛り上がりながら文化祭の準備をしていた。

 

 光ヶ森高校に所属する、色々と普通ではない社会科教師の月読織次──自称スウォルツは、生徒が斜め上の暴走をしないように見回りをしていた。今は昇降口付近にいて、買い出しに行く生徒や終わらせて戻ってくる生徒を見ている。

 

 生徒指導部長でもある彼としては、受験も近づきつつある10月に文化祭をするのはどうなのだろう、という気持ちはある。だが、それはそれとして息抜き──悪く言うと現実逃避は程々に必要なのはわかっていた。

 

 だからこそ特に抗議もせず、普通に業務に取り組んでいるわけだ。だがそこまで忙しくはない。生徒達は注意される時間は無駄なのをわかっており、ちょっと騒ぐくらいで済ましているために。

 

 故に本業とは別のことを考える時間ができるわけで。日曜日の早朝のことだ。もっと言えば、金曜の放課後からのことだ。

 

「あのアナザーウォッチは何だったんだ……?」

 

 金曜日の放課後に唐突に生まれ、よくわからないから奪われないように保管していたら、日曜の朝にこれまた唐突に飛んで行ったアナザーディケイドウォッチ。

 まぁ、アナザーディケイドウォッチは今もポケットの中に入っているのだが。何故か残っていたオーマジオウの力の一片から、万が一のために以前作っておいたものだ。

 

 明光院景都──通称ゲイツが救世主を夢にしだしたり、それこそ先週末のアナザーウォッチの発生に、今日から海外にボランティアに行くはずの我が妹にして生徒会長──有日菜の遠出だったりと、最近何か変なことが多い。

 

 確実に何かが起きている。とはいえ、王家の力をほとんど失ったスウォルツにはそれを知る術は無いのだが。

 とにかく、記憶を無くしているらしいソウゴ達に何かあった時は俺自身が動かねばなるまい。

 

 そう心の中で決意したところで、スウォルツが見たのは大声をあげて走る生徒達。互いを押しのけ追い越し、ただ事ではない様子だ。

 

「オイお前ら、何して──ッ!?」

 

 声をかけようとしたら、生徒達の後ろに何かの群れが見えた。それは、この星にいてはならないはずの異形。ある一人のライダーが、自分を犠牲に背負っていったはずの存在。

 

「何故インベスが……!?」

 

 スウォルツも多少はライダーの歴史を知っている。だからこその困惑。だが理由をどうこう考えている暇は無い。今は生徒を守ることだけ考えねば。

 

「校舎に入れ! 昇降口にバリケードを作って閉じ籠もるんだ!!」

 

 先頭を走る男子に怒鳴ると、スウォルツは跳び蹴りでインベスを後退させる。

 

「せんせー!!」

 

「いいから早く行け! 意見は求めんッ!!」

 

 襲われかけていた女子生徒の背を押すと、スウォルツは残された王家の力とオーマジオウの力の一片をミックスさせて自分の身体を強化する。

 

 そしてインベスに殴りかかる。この時、ヘルヘイムの種子を備えるインベスの爪に触れないようにしなければならないが、スウォルツはギリギリのところで避けながらインベスを次々に昏倒させていく。

 

 本当はアナザーディケイドになりたかったが、生徒を更に怖がらせるのは論外だしそもそもその時間が無かった。

 

「ギャァァァァァーッッ!!」

 

「ああああああああああ!!」

 

 スウォルツが群れ全てを昏倒させて消し去ったところで、校庭側から、別の校門がある方向から悲鳴が聞こえる。

 

「まさかッ……!?」

 

 スウォルツは最悪の可能性を予感しながらも、ここから比較的近い校門側に向かって走る。

 

 到着して見えたのは、インベスに多くの同僚や僅かな生徒が貪り食われている光景。何故インベスが人間を食らっているのかとか、そんな些細な疑問は頭から吹っ飛んだ。

 

「ガァァァァァァァァァァッ!!」

 

〈DECADE……!〉

 

 怒りの咆哮と共に、スウォルツはアナザーディケイドへと変貌する。まだ生き残っている生徒からインベスを引きはがし、無茶苦茶に殴って命を完膚なきまでに壊していく。壊して壊して、また獣のように咆哮する。

 

 そんなアナザーディケイドを見て、さっき助けた生徒が腰を抜かす。まだまだたくさんいるインベスはその生徒を逃さず噛みつく。また悲鳴が、哀しみの咆哮が上がる。

 

 地獄は当分、終わりそうになかった。

 

 

 

 

 

 一方、校庭ではジオウとゲイツが生徒と共に逃げながら戦っている。ライダーも化物も生徒達にとっては謎の存在だったが、言語コミュニケーションができて自分達を守ってくれているライダーに従うことを選ばない者はいなかった。いや、生徒達にそこまで考える余裕はなかったのだが。

 

 ジオウとゲイツの姿はいわゆる通常形態だった。最強の力であるグランドジオウライドウォッチとゲイツマジェスティライドウォッチは、いかなる理由か起動しなかったのだ。

 

 ジカンギレードの銃モードやジカンザックスの矢で怯ませることで、距離に余裕を持たせているが、流石に化物の数が多い。

 

 校舎がだんだん近づいてきたその時、複数の化物が突然ジャンプして生徒達に跳びかかる。もちろんジオウとゲイツは反応して銃弾と矢で撃ち落としていくが、それでも撃ち漏れは出てしまう。襲われる生徒が出てしまう。

 

 ソウゴの仲の良いクラスメートの一人である、小和田もその一人だった。

 

「小和田ッ!!」

 

 ジオウは走って小和田に手を伸ばす。しかしその背には化物の爪が迫っていて。

 

「ソッ──ジオウ!!」

 

 ゲイツは化物達を蹴って走る生徒達から距離を離してから、ジオウを押しのけて化物の爪をジカンザックスで受け止める。ジオウはそれでちょっとつんのめってしまう。

 

 これでジオウは傷つくことはなかった。

 

「だずげ──」

 

 だが、小和田は化物にその身体を咀嚼されていく。ゲーマーになるには健康な体が必要だと考え、最近ストレッチを始めてちょっと引き締まってきたその身体が。

 

「小和田ぁぁぁぁぁッ!!」

 

 手を伸ばしても、もう届かない。化物は既に食事を終え、群れに合流している。

 

「ジオウ。……すまん」

 

 ジオウは無言で首を振り、生徒達の元に戻るべく走った。

 

 

 

 

 

 夜。生き残った生徒の数は、三学年二十一クラス中、精々三クラス分程度。教師で生き残ったのは、スウォルツのみ。

 

 そして、外は何故か化物だらけの荒野になってしまっており、生き残った生徒は事実上、この高校に閉じ込められてしまったことになる。

 

 スウォルツの主導の元、存在していなかったはずの給食センターに詰め込まれたもので夕食を終えると、何故か用意されていた寝袋にくるまって眠る。

 

 だが、ソウゴは眠れない。寝袋を抜け出して、廊下に出る。月光に照らされるグランドジオウウォッチが光源の役割を果たしてくれた。

 でもそれだけだ。ソウゴが祈るようにスターターを何度押しても、ウォッチは開かない。

 

「何が、最高最善の魔王だよ……」

 

 展開しないグランドジオウウォッチを額に当てて、ソウゴはすすり泣いた。孤独な王を見ていたのは月だけだった。

 

 

○○○

 

 

 太陽に照らされながら、崩壊した校舎の間を堂々と歩く者がいた。ああ、その名は真実のソウゴ。

 

「変身」

 

〈祝福の刻……!〉

 

 最高最善最大最強の、この世を統べる王である。

 

 そんな素晴らしき王が複数の並行同位体を選定なさっている。シェフ見習いのソウゴがいた。OREジャーナルのファンのソウゴがいた。クリーニング店のアルバイトをするソウゴがいた。人類基盤史に興味を持つソウゴがいた。

 

 まだまだいた。鬼に弟子入りしたソウゴがいた。サバ味噌が好きなソウゴがいた。多重人格でタイムパトロールなソウゴがいた。天才ピアニストで初恋の人を探し続けるソウゴがいた。

 

 探偵事務所に入り浸るソウゴ。ストリートダンサーのソウゴ。警察に憧れているソウゴ。霊感が強いソウゴ。様々なソウゴがいた。

 

 だが誰も、真実のソウゴのお眼鏡には適わない。恐らく、今選定しているソウゴもそう。

 

〈ファイナリィー・タァイム!〉〈超天才!"ビルド"・ジィ~ニアァ~ス♪〉

 

「お前を、倒ォすッ!!」

 

〈ジーニアス!〉〈タイムブレーク!〉

 

 ビルドの最強の姿、ジーニアスフォームの力を持つアーマーを纏ったジオウは、超高速でオーマジオウに殴りかかる。その腕はハリネズミの針が無数に生えてドラゴンと不死鳥の二色の炎を宿し、ダイヤモンドの固さとゴリラの筋力とロケットの噴射力とを合わせ持っていた。しかも身体を発光させて目をくらまし、薔薇の鞭や鎖で拘束することで必ず当たるように計算されている。

 

「なるほど、悪くない」

 

 その拳を受けて、オーマジオウは唸る。これまで戦ってきたソウゴの中でも、この一撃は高水準。

 

「だが、お前は成長しきっている。完成してしまっている。残念なことだ」

 

「んなもん、わかっとるわァ!」

 

 ジーニアスジオウには、隣に立って共に戦う仲間がいなかった。師匠達と違って。自覚はあったし、だからこそ残り僅かな高校生活で見つけようと思っていたのに──

 

 無駄な思考を振り払う。再び成分をかけ合わせながらジーニアスジオウは跳び上がって空で大の字になる。ドライバーが再び回り、電子音声も再び鳴り響く。放つは、右脚に全ての成分を流し込んだ最終必殺。

 

 しかしその一撃は、オーマジオウが張った時計型のエネルギーシールドに阻まれて本体には届かない。更に無防備な腹にオーマジオウは拳を振りかぶる。咄嗟に固くしたため変身こそ解除されなかったものの、その衝撃はジオウの──ソウゴの内臓をぐちゃぐちゃにした。

 

 仮面の下で血反吐を吐くジオウを見下ろし、オーマジオウは溜息を吐く。

 

「選定は失格、だな」

 

「……は?」

 

 さらりと言ってのけたオーマジオウに、ジオウは血を吐きながら問いただす。

 

「バケモンをけしかけたのも、学校壊したのも、アイツら全員殺したのも、並行世界混ぜこぜにしたのも、全て──」

 

「そうだ。全ては私、真実のソウゴが新たな命を得て、世界を良くするためだ」

 

 意外に頭が回る。オーマジオウは感心して、要らぬことさえ喋ってしまう。

 

 その内容にジオウは絶句した。そんな意味わからんことに、学友は巻き込まれたのか。

 

「ふざ──」

 

「興が乗りすぎたか」

 

 オーマジオウは腕の一振りでジオウを吹き飛ばした。残っていた壁にぶつかり、更に身体が悲鳴をあげる。

 

「さて、次の私候補を探しに行くとしよう」

 

 そう軽い調子で言い放ち、オーマジオウは手をジオウに向ける。手のひらに凄まじいエネルギーがほとばしるのを見て、ジオウは自分の運命を理解した。

 エネルギーが放たれようとするその時、突然オーマジオウの身体が発火し、エネルギーが消失していく。

 

「……ほう」

 

 オーマジオウは即座に力を上空に逃がす。その衝撃で天候が変わり、雨が降ってきた。もう一人ライダーが現れる。四本の禍々しい角に、肩を始めとした刺々しい身体。しかし、その複眼はピンク色だった。

 

「ようやく私の手を取る気になったか」

 

「これ以上、あなたの選定は行わせない」

 

〈凄まァじき戦士!"クウガ"ァ~・アルティメェットォ~ッ!!〉

 

 壁の残骸の向こう側から現れたジオウ・アルティメットアーマーはジオウ・ジーニアスアーマーに向かって親指を立てる。

 

「大丈夫。アイツは、俺が倒すからさ」

 

 そう言い残して、雨に濡れながらジオウは走り出し──

 

 

 

 

 

 意識を失っていたらしい。眼鏡をかけたソウゴは目を覚まして起き上がる。ジーニアスの力で身体はどうにか治癒できていたが、身体は重い。

 

 瓦礫による埃を払いながら周囲を探索したが、ここに残った命は自分だけだとあらためて再認識しただけだった。

 

 だがあの子供──真実のソウゴが、死んでいるとは思えなかった。真実のソウゴに創られたこの世界はこの世界のままだったから。

 

 このままのたれ死ぬのもありかもなァ、と地面に寝っ転がってぼうっとしていると、あのジオウのサムズアップを思い出す。

 

 やれやれ、と独り言ちて、ソウゴは立ち上がる。あれとかあれとかあれはどこに埋まってるやら。

 

「あの野郎、今に見ときィ……!」

 

 まだ頬の筋肉に力が入らず、吐いた血の跡を遺したまま、ソウゴは凶暴に笑うのだった。

 





「NEXT TIME 8人のジオウ!」で、いずれまた。

結の回にはカットシーンがあります。ツクヨミとアーマードライダー達の戦闘シーンです。

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