NEXT TIME 仮面ライダーヒリュウ、ファースト   作:祝井

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 スピンオフ短編第二弾です。



「昔の懐かしく愛おしい夢2018」

 

「おはよー飛流」

 

「おはようアタル」

 

 4月28日。土曜日であったが、三年生は校内模試のため登校しなければならない日である。

 

 二人はいつものように並ぶと、今日の模試はどうしようやら、ガチャで金が飛んだやらといつも通り駄弁りながら歩いていた。

 

「そういえば今日、懐かしい夢を見たんだ」

 

 懐かしい夢、と繰り返すアタルに飛流は頷く。

 

「ちょうど9年前に行ったイチゴ狩りだったんだけどさ」

 

「イチゴ狩り!?」

 

「お、おう」

 

「えっ事故とか大丈夫だったの!?」

 

「事故て」

 

 コイツ特撮の話じゃないのに妙に食いつきいいな、と飛流は内心困惑した。それはそれとして食いつきがいいのは嬉しいので話を続ける。

 

「事故とかも起きなかった普通のイチゴ狩りだったよ」

 

「……へぇー」

 

「何でそんな嬉しそうなんだよ」

 

「え、いやまぁ良い休日だったんだなって」

 

「そうだったけど、うん」

 

 なんか釈然としないな、と思いつつも。アタルと話していてたまにそんなことはあるのでこれ以上考えるのはやめておく。

 

「そういえば同じバスに結構な人数の団体が同乗しててな。俺は親と一緒に行ったんだけど」

 

「そんな印象に残るほど多かったんだ」

 

「子供の人数のわりには大人が少なかったからかもしれないな。同年代の子供6人に二十歳ぐらいが1人だったか」

 

「10人もいないじゃん」

 

「それでも何故か印象に残ってるんだよ」

 

「まさか、お前がちょくちょく言ってる空洞と何か関け──」

 

「それは無い」

 

「いや俺にはそれとしか──」

 

「無いから」

 

「アッハイ」

 

 とは言ったものの、ちょっとだけ何かを感じた気はする飛流。認めなかったのは確信が無いからだった。

 

「こんな話してるとイチゴ食べたくなってくるな……帰りにどっか寄って買ってかないか」

 

「無茶を仰ることで」

 

 

○○○

 

 

「おはよーゲイツ、ツクヨミ」

 

「おはよう常磐、月読」

 

「おはよう常磐君。明光院君もおはよう」

 

 4月28日。土曜日であったが、三年生は校内模試のため登校しなければいけない日である。

 

 三人はいつものように並ぶと、今日誕生日なのにどうして模試なのかやら、王様になるから模試受けなくてよくないかやら、でも叔父さんのケーキが待ってるじゃないかやらといつも通り駄弁りながら歩いていた。

 

「ケーキといえばさ、俺昔の夢見たんだよね」

 

 昔の夢、と繰り返す有日菜にソウゴは頷く。

 

「ちょうど9年前の今日に皆で行ったイチゴ狩りの」

 

 ああ、と二人は得心が行く。

 

「順一郎さんは仕事で行けなかったけど皆で行ったわね!」

 

「スウォルツさんやウール、オーラ……あと誰だったか?」

 

「ツトムだよ。今は鬼の弟子やってる」

 

「ああアイツか……」

 

「それにしても、どうしてそんな夢見たんだろ?」

 

「──めちゃくちゃ良い知らせなんじゃないかしら、その夢。皆おはよう」

 

「いや模試の時点でそれは無いでしょ……おはようオーラ」

 

 会話に入ってきたオーラはソウゴの自転車の籠に小さな箱をポトンと落とす。

 

「プレゼント。めちゃくちゃ良いお菓子よ」

 

「ありがとうオーラ。……またイチゴのやつ?」

 

「お察しの通りよ」

 

 ほんの少し苦々しい顔になるソウゴ。イチゴ狩りの時に食べ過ぎてしまったことで腹を壊し、それ以降少しイチゴが苦手になってしまったのだ。後に持ち帰ってきたイチゴで叔父さんが作ってくれたショートケーキを食べられなかったのはツラかった。

 

 それを気の毒に思っているのかはたまた面白がっているのか、その翌年からオーラからの誕生日プレゼントはイチゴのお菓子である。ちなみにとても高い。

 

「お返しは常磐君の高得点でいいわよ」

 

「無茶を仰ることで……」

 

 

○○○

 

 

 王座に腰かけた青年、常磐ソウゴ。彼は目蓋を開けると同時に夢から覚めた。何とも愛おしく幸せな夢だった気がする。

 

 ふわあ、と口に手を当てあくびをするソウゴの歳は19だが、髪だけは色が抜けて雪のように白くなっていた。そもそも外見での年齢は彼にとって無意味なのだが。時の王者であるが故に。

 

 19歳で白髪の常磐ソウゴはいつの間にか置かれていたショートケーキを初めて認識した。側に置かれていたメッセージカードらしきものをざっと読み、問題も無さそうなので食べようとフォークを手に取る。

 

 食事を取る必要は無い。夢の影響か、イチゴを食したいと思ったのだ。

 

 しかし頂点のイチゴを見て片頬がピクリと動くのを感じた。

 

 未だにトラウマは消えないか。

 

 変わらぬ自分に苦笑しつつ、そのイチゴにフォークを突き刺して口へ運ぶ。甘さよりも酸味が勝っている。あまり美味しくはない。

 

 残ったケーキ本体も小さく分けながらゆっくりと食べていく。ケーキ自体は特に可も不可も無い味に思えた。叔父の料理で舌が肥えている自信はあるため、その評価が正しいのか分からないが。

 

 食べ終えて一息ついているその時に、6人の男が現れた。かつての家臣、ウォズと同じ制服を身に纏ったQuartzerだ。その内の一人、Q-KENZOが進み出て王座に跪く。

 

「如何か、我らが王。私達のプレゼントは」

 

「……叔父さんのケーキなら言うことは無かったんだけどね」

 

 それにしても、とソウゴはQuartzer達にギラリと疑問の目を向ける。

 

「何も無いのにプレゼントなんて何のつもり?」

 

「今日は逢魔の日だ。……かつての、だが」

 

 どの逢魔の日?とソウゴはぼやくが、即座にQuartzerにとっての逢魔の日は1日しか無いことを思い出す。

 

「なら尚更叔父さんのケーキが欲しかったな」

 

「無茶を仰ることで」

 





 これはある種試験的な作品でした。三種類書きたいストーリーラインがあり、それを一つの作品としてまとめるにはどうしようかと。その結果生まれたのが「無茶を仰ることで」であり、この作品なのです。
 時系列は劇中で示されている通り2018年4月28日土曜日です。土曜日なので模試があってもおかしくない。
 当然のごとく皆の記憶は戻っていません。とはいえ、不審な言動をするアタルや19歳で白髪の常磐ソウゴはなんなんでしょうね。前者はともかく、後者は拙作「8人のジオウ!」を読めばわかるかもしれません(ダイマ)
 ちなみにこの作品は2020年の10月に執筆されました。
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