リリカルなのはvivid クローンの生き様   作:紀野感無

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「ただまー」
「お帰り〜」
「およ?母さん珍しいね。こんな時間に家にいるとは。どうしたの。有望そうな男性職員を食事に誘うも断られたの?」

その瞬間スパコーンとめちゃくちゃいい音がなった。
私のおでこで。

「痛っっ…冗談じゃんか…」
「一生そのままツルペタになる呪いかけてあげるわ。ちょっとこっちこい」
「いーやーでーすぅー。そっちこそ一生独身の呪いかけるぞ!」
「おーそうかそうか、かけれるもんならかけてみい」
「よしヴィータさんから聞いた母さんの黒歴史を管理局に匿名で投げ込んでくる」
「いやーユタ。今日何食べたい?ユタの好きなものなんでも作ってあげるで」

そう言いながら魔力弾で執拗に胸狙うのやめませんか母上。本当に胸が凹む。平ら通り越して凹む。


16話 〜過去の精算〜

〜とある日〜

 

「あ、母さん。今日はヴィクターさんの家に行くから帰り遅くなるー」

「わかった。了解やで〜。しっかり話して来いや?

「うん」

 

今日はオフの日なので、少し遅くはなったけど雷帝ことヴィクトーリアさん、略してヴィクターさんのところへ行くことにした。

 

「プライド、ヴィクターさんに連絡しておいてもらって良い?」

 

『畏まりました。それにしてもマスター』

 

「ん?」

 

『ピンクの髪留めと黄色いリストバンドは…』

 

「え?何か変?」

 

『いえ、大変お似合いかと』

 

「ん、ありがと」

 

唐突にプライドが誉めてくるなんて何かあるんじゃなかろうか、とか思ったけど誉められたのは純粋に嬉しかったので軽く流す。

うん、後できっととんでもないこと言ってくるヤツだ間違いない。

 

『お望みならそうしましょうか?』

「やめて」

 

心の内を読んでくるプライドはいつものことなので聞き流しながら体を充分に慣らし、プライドの合図で私は走り出した。

 

 

 

「ハッハッ…とうちゃーく。にしても相変わらずデッカ……」

『さすがはお嬢様、ですね』

 

ヴィクトーリア家へ無事到着。さてさて、ヴィクターさん達いるかな。とか思ってたんだけど家を前にした瞬間に謎の緊張感が出てきた。

 

「……」

『逃げたらどうなるかお分かりですよね?』

「うぐっ…わ、わかってるって」

 

プライドに逃げ道を絶たれ、意を決して呼び鈴を鳴らす。

 

しばらく経って出てきたのは執事服を着た若い男の人。確か…エドガーさん、だっけ。

 

 

「ようこそお越しくださいましたユタ様にプライド様」

「お久しぶりです。エドガーさん。去年は色々とお世話になりました」

「いえいえ。お嬢様のご要望でもありましたからお気になさらず。応接室へご案内しますね」

「はい」

 

そうして通された応接室は、本当に応接室なのかと疑うくらいに広い

私の部屋の倍はあるんじゃなかろうか。

 

「広すぎて落ち着かない……」

『発情でもしてるんで?』

「してないわっ!」

 

くだらないと思いつつも体が勝手に反応して言い合いしてるとドアが開いてそこから1人の女性が入ってきた。この家の持ち主、ヴィクトーリア・ダールグリュンさん。ヴィクターと呼ばせていただいてる嘗て私がインターミドルで戦った上位選手の1人。

長い金髪に気品ある緑の瞳に、ロングスカート系を身につけているめちゃくちゃ綺麗な人(そして巨乳)。古代ベルカの「雷帝ダールグリュン」の血をほんの少しだけ受け継いでいる遠縁の子孫の貴族のお嬢様、だっけ?。その縁もあってか仲良くさせてもらっていた。

 

「お久しぶりですヴィクターさん。まずは最初に。去年は本当に色々とありがとうございました」

 

と深々と頭を下げる。すると肩をもたれてゆっくりと優しく上げてくる。

 

「いいのよ。あれくらい。それに…私にはあれくらいのことしかできなかったのだもの。プライドも久しぶり」

『ご無沙汰しています。ヴィクトーリア様。私はもう疲れましたので本日のツッコミ役は任せします』

「そんな役を任されても困るのだけれども…。……ジークの件よね?」

 

「『はい』」

 

名前が出て一瞬体が固まってしまうが、なんとか返事をする。

 

「少し待っててちょうだい」

 

そうしてヴィクターさんは部屋の外へ向かった。

 

「失礼します。ユタさん。お茶を入れて来ましたのでどうぞ」

「あ、ありがとうございます。エドガーさん」

「執事ですのでこれくらいは当然です。そんな畏まらずとも大丈夫ですよ」

 

途中でエドガーさんがお茶を淹れてくれたが緊張して味なんてあまりわからなかった。

何度も深呼吸してると扉の外からヴィクターさんの話し声が聞こえてきた。

 

(……ク!ユタがわざわざ……てくれたのよ?はや……行きまし…)

(いやや!ユタには……る顔がない!)

(いいから……)「来なさい!」

 

と、ヴィクターさんが連れて来てくれたのは……

 

 

メイドだった。何言ってるかわからないと思うが私もわからない。

 

 

「……ジークさん、とうとうそっち系の趣味に走りましたか…雑草生活だけでは飽き足らず…」

「なんか勘違いされとる⁉︎」

『趣味に関してはマスターも人のことは言えませんよね?』

「……プライド」

『はい?』

「カメラ起動して」

『サーイェッサー』

「ちょっ⁉︎なんで写真を撮るん⁉︎」

「なんか、面白いしレアだったので」

「ユタ……」

 

あれ?なんかヴィクターさんが震えてる。

 

「よし!いったれ!ヴィクター!」

「その写真あとでくださいな!」

「へ?ヴィ、ヴィクター?何を言っとるん?」

「いいですよヴィクターさん。いくらでも」

「やめえやーーー!!!」

 

『はぁ………みなさん。当初の目的をお忘れで?』

 

「「「あ」」」

 

 

 

「「……」」

 

「まあ…こうなるのは…」

『ある意味想定通りです』

 

気まずい。ほんっとに気まずい。まともに顔を見れない、穴に入りたいとはこのことか。

だけどそうも言っていられないし……とかいって何から切り出せば……。

プライドをチラ見するも今回は口を出す気がないのかダンマリしている。自分でやれですねはい。わかってました。やれば良いんでしょうやれば。

 

「えーと…改めてお久しぶりです。ジークリンデさん。一昨年は世界選手権優勝おめでとうございます」

「う、うん…ありがとう…」

 

そう、目の前にいるメイド………じゃなくて黒髪のロングのツインテール。ちょっとロリ要素が混じってそうな顔のこの人こそがジークリンデ・エレミア。

 

2年前の世界選手権優勝。その他数々の実績。

疑いようもない名実共に10代次元世界最強。

 

 

そして……

 

 

私の右腕と左目を潰したのもこのジークリンデ・エレミアだ。

 

 

 

 

 

「「……………」」

 

やっばい。やっぱり超気まずい。

私もジークさんも無言で目の前の机を見つめている。

だが、いつまでたっても話はできそうにない。

 

えーい、いつまでもこんなんじゃダメだ。

 

「え、えーと。ジークさん。私、2年前のことで話をしにきました」

「やっぱりまだ怒っとるん……?」

 

と、ジークリンデさん改めジークさんは未開の地に放られた小動物のようにビクビクしながら聞いてくる。

……なんか言いづらいな。

 

「ええまあ、正直なところで言うと()()()()に関してはまだジークさんには怒ってます。けど…あの時は私はジークさんの事情を何も知らないでいました。見舞いに来てくれたヴィクターさんが教えてくれるまでは。……ですけど、けど今回話をしに来たのは別件です」

 

「別件…?」

 

また怒られる、罵られるとでも思っていたのか、怯えつつも不思議そうな顔でこちらを見てきた。

 

何度か深呼吸をして、まっすぐジークさんを見つめる。

 

「ジークさん……いや、ジークリンデ・エレミアさん。2年前は数々の暴言を言ってしまって、すいませんでした」

 

と、私はジークさんに頭を下げた。

 

「えっ⁉︎いやアレはウチが…」

「それと1つ、お願いをしにきました」

「へ?」

 

言い返そうとしてくるジークさんの言葉を遮るように言葉をかぶせて言う。これは、絶対に譲れなかったから。

 

「これから、私と戦う時……あの技を使うことを()()()()()()()()()()

 

それを言った時、ジークさんもヴィクターさんも驚いて目を見開いていた。

 

「え?え?どういう……」

「ユタ?それはどう言うことなの?」

 

「どう言う意味も何もそのままの意味です。……その技に選手生命を断ち切られかけた私がこう言うのも悪いかもしれないですが、気にするほどの技では無いのかもしれないと、そう思いました。それに対策も考えましたから。なので……終わったあと勝ったのに謝るなんて真似は2度としないでください。お願いですから。

 

……私にとって、それが一番嫌なんです。それに関してはジークさんが一番よく分かっているはずです」

 

「うん………わかった」

 

「ありがとうございます。では、私はこれで。今日は突然なのに時間を空けてくださってありがとうございます」

 

ジークさんは来なかったが、ヴィクターさんとエドガーさんが見送ってくれた。その帰り際にヴィクターさんが手首を掴んできた。

 

 

「?どうしました?」

「ユタ、今年から復帰するって言うのは本当なのよね?」

「もちろん。その為に鍛えてますから」

「なら覚悟してなさい。都市本戦で一昨年の雪辱は晴らしてあげるわ」

「望むところですよヴィクターさん。…ジークさんも頑張ってくださいと伝えておいてください。では」

 

私は軽く挨拶、もとい宣戦布告を済ませるとヴィクトーリア家を出て家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

『さて、マスター、本当はどうなんですか?』

「あーうん。正直いうとアレに関してはどーにもならないんじゃないか、と思ってはいる。あんなハッタリ……言うんじゃなかったかな?」

『どーでしょうね。どちらにしろやることは変わらないんですから良いのでは?』

「それもそうだね。母さんにも、エリオにも、シグナム姉さんにもかっこ悪いところは見せないように頑張るだけだしね。目指せ都市本戦優勝、そして更には世界選手権出場!」

『では微力ながらお力添えをしましょう。しかし以前にも申し上げましたが小さな獅子に足元を掬われないよう』

「もちろん。誰であろうと全力を尽くすよ」

 

 

 

 

 

 

 

「ジーク、いる?」

 

「いるよヴィクター」

 

ユタを見送った後応接室に戻るとジークの顔つきが少し変わっていた。まるで何か覚悟を決めたかのように。

だけど何処か安堵しているかのような感情も読み取れた。

 

「ね?言った通りだったでしょう?ユタは怒ってないって」

 

「うん…」

 

ユタの気持ちは痛いほど理解できた。けどジークの気持ちも痛いほど理解ができた。自分で制御ができない力のせいで大切なものを壊してしまう。格闘戦技は大好きなのにその技のせいで相手に消えない傷を植え付けてしまう。一昨年はユタの左目と右腕。去年はミカヤの右手。この子はとても優しいから途轍もない重荷になっているのがわかっていた。

 

だからこそ常に相手を気にかけて試合をしていた。取り返しのつかないことをしない為に。そしてその優しさ故に起こったすれ違いは見ていられなかった。

 

だけれど今のジークは少し違っていた。

 

「ジーク、予め言っておくわね。ユタと同様、わたくしもあなたの首を狙っておりますので、精々首を洗って待っていなさい!」

 

「……!うん、絶対負けへんよヴィクター。ウチは誰にも負けへん」

 

 




次回 二年前のインターミドルでは何が⁉︎

改めて思ったんですけどインターミドルって女子限定なのか?とか思ったり。
描写されてないだけで男女別なだけだよね!うん!と自己解釈してましたが、実際どうなのか。
あと読み返して思ったのはミウラかわええ。ボクっ娘は至高。

みんなもロリコンになろうな(小声


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