リリカルなのはvivid クローンの生き様   作:紀野感無

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ユタの過去 後編になります
前編 中編を投稿しておりますので読んでいない方は先にそちらをお読みください
世にも珍しく同日投稿しているので私のノロマ更新に慣れていらっしゃる方は読み逃している可能性大です

それではどうぞ


25話 〜ユタのお姉ちゃん 後編〜

 

 

 

「………」

「オイオイ、そんな睨まないでくださいよ。一緒の研究所にいた仲じゃないですか?ま、元ですけど」

 

どこ、ここ。突然後ろから目隠しされて縛られて、車で連れ去られたところまでは覚えている。

 

目隠しを取られるとどこかの廃屋みたいな場所にいて、目の前には研究所で見たことある人が。

 

「(ユタは……⁉︎)」

「そんなあたりを見回さなくても大丈夫だよ。あのガキはまだ生きてます。ま、もうすぐ始末する手筈ですが」

 

「……!」

 

「息苦しいでしょう?口枷くらいは外してあげましょう」

 

「プハァ!ふざけるな!なんでそうまでして……ユタの人生を弄ぶ!」

 

「あーもう、うるさいですよ。上からの命令なんですから私に怒鳴り散らさないでいただきたい。私が命令されたの2つ。1に『聖王の出来損ない(ユタ)が生きているかどうかの確認』。2に『生きていたのならば確保。その際マリナがいるようなら一緒に連れてこい。もし抵抗したならば生死は問わない』。ま、ということですので抵抗しないのであれば命は取りませんので大人しくしてくださいね?」

 

「……嘘をつくな。そんなことをあの研究者達が言うわけがない」

 

私が指摘すると、真顔だった顔が急に歪んだ笑みになる。ああそうだ。こいつは、こんなやつだった。

 

「ははっ!やっぱりわかるか!ああそうさ、そうだよ。今のは嘘だ。俺、ちとポカやらかしてなぁ。間違って作りかけの奴殺しちまってそれでお上の奴らカンッカンなの。で、下手すりゃ殺されるってんで研究者たちから逃げている訳」

 

取り繕っていた敬語が急に砕け、研究所で1()()()()()()()男だと、確信した

「ま、そゆわけだからどうやったら許してくれっかなーって思って、ふと思ったワケ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って。でもその場合の手土産は何がいいかなーって考えたところお前たちのことを思い出した」

 

「……まさか」

 

その男の、言わんとしていることがわかってしまった。つまりは…。

 

「お、わかったか?お前の考えている通り聖王の出来損ない(ユタ)が生きていることを研究者達は知っていた。で、時折【マリナ達から情報が漏れるとまずい】って懸念してるのも思い出したんだ。

 

てことはだ。

お前とユタの首を差し出せばあいつらも許してくれるんじゃね?

 

って考え今に至る。その為にお前が捨てられた場所を匿名で管理局に放り込んで、ずーっと監視を続けて、お前達がどうなったのか探っていたんだ。いやしっかし、まさかあの八神司令のところに引き取られるとは思わんかったわ。お陰で予定が大幅に狂ったわぁ。…っと、だらだら喋って機動六課とか出されちゃ流石にまずいんだよな。さっさとお前らは始末させてもらうよ。俺の自由のために」

 

と、男は魔法式を展開し始めた。

 

「……ざけるな」

「あぁ?」

 

「身体操作…」

 

「うぉっ⁉︎」

 

男は突如立ち上がったマリナに蹴り上げられとっさに避ける。その隙を使い無理矢理縄を引きちぎって立ち上がる。

 

 

ふざけるな…ふざけるなふざけるなふざけるな!

 

なんの権利があって、ユタの命を弄ぶ!なんでユタから人生を奪う!あの子は…

 

 

ただの女の子なんだ…!

 

 

「〜♪やるじゃん。研究所での記憶とか他の情報源からだと戦闘はからっきしだって話だったんだけどな。一般人の男数人に対して何もできなかったって。けど……そうじゃないみたいだな」

 

男の言葉はもう耳には入ってこなかった。私の胸の内は、ただ2つの感情が支配していた。

 

「殺してやる…。絶対に……」

 

「おお怖いねぇ、なら俺はその前にお前を殺すとしよう」

 

 

 

「待っててね、ユタ。すぐにいくから。私は、ユタと一緒に生きるって約束したもんね。約束は、守るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…」

「おいおい、威勢がいいのは最初だけか」

 

まずい、この男…強い。

 

「よっと」

「きゃあっ!」

 

男は突如私の周りから魔力弾を撃ち込んできた。

いつの間に展開したの⁉︎

 

「がはっ…」

「はぁ、最初のを見たときはちょっと期待したんだけどな…こんなもんか」

 

魔力弾に気を取られているうちに懐に潜り込まれ鳩尾を殴られ吹っ飛ばされた。

 

ああ、身体中が痛い。骨も内臓もかなり損傷してるな…。

右腕なんて、ちぎれてもおかしくないくらい痛いし血が出てるし…。ていうか、動かしてるって感覚すらないし。

 

けど……!

 

「まだ…ま…だ!」

 

私は身体操作のリミッターを解除した。

 

 

いつかシグナムさんに教わった中で、1番得意だった身体操作魔法。だけどずっと使い方には注意されてたっけなぁ。

 

(いいか?これは使い方を間違えれば強くなる代わりに体を壊してしまう。だから…そうだな、これくらいがちょうどいいだろう)

 

(はい、わかりました。…大体魔力3分の1くらい、って感じですか?)

 

(そうだな。いいか?間違ってもこれ以上強い操作をしようとするな。特に…怪我をしているときはな。怪我をしているときにも使えるのが利点でもあるが欠点でもあるのがこの魔法だ。下手をすると、体の限界を超えて動かされた代償に死ぬ可能性すらある。それだけは絶対にしてはダメだ。…お前は、ユタと一緒に生きていくんだろ?)

 

(はい、わかってます)

 

 

「(ごめんなさい、シグナムさん。けど…そんなことを言ってられそうにありません)……ふぅ、身体操作、フルバースト!」

 

「ん?」

 

私は、密かに練習していた外部からの完全操作をする。完全操作に切り替えると同時にシグナムさんの行動を()()()()()()()()()()()()()

 

すぐそばの鉄パイプを取りシグナムさんのような剣撃を叩き込む。

 

「うぉっ⁉︎」

「はあぁ!」

「ちっ!」

無理やり蹴り飛ばされ距離を取られるも、手応えは確実にあった。

 

「逃さない!!」

 

身体中が悲鳴を上げる。けどお構いなしに追撃をしにいく。するとさっきまで立ちっぱなしでほとんど動こうとしなかった男が初めて回避行動を見せた。

 

やっぱりシグナムさんのレベルなら通じる!

 

「せやぁっ!」

「ふんっ」

 

先ほどと同じように突如周りに魔力弾が出現し私に向かって撃ち込まれてくる。

それを鉄パイプで弾き飛ばしていく。

しかし、数が多いこともあり何発か受ける。

だが私はそんなことも御構い無しに男に突っ込む。

 

 

だけど、これはしてはいけなかった。

 

私は、魔力弾を受けながらも男に突撃するべきだった。

 

 

「……え」

「そんなんだから…お前は負けるんだよ」

 

男が盾にしたものを見た瞬間に体が止まってしまう。盾にされたものは見間違えようもない。

 

ユタだった。

 

それを見て私は身体操作を思わず解除してしまう。

 

「(なんで⁉︎いつの間に⁉︎)

 

そして、冷たいものが私の胸を貫く。それと真反対に、とても温かい感触が。

 

男はいつの間にか刀を装備しており、私の胸を綺麗に貫いていた。

 

「お姉…ちゃん?」

「ユ……タ……」

 

「さようなら、五月雨マリナ」

 

ああ……ごめんね…ユタ……

 

そのまま私の意識は、消えていった。

 

 

 

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

「あーあー、うっせえよ、どうせお前も死ぬんだよ」

 

そんなことを男はいうがユタは聞く耳を持っていなかった。

それはそうだ。目の前で一番大事な人が倒れているんだから。

 

死という概念をまだ理解していないユタにも、これがどう言った状況かわかっていた。だからこそ、マリナのそばから離れようとしない。いや、できなかった。

 

 

 

ドカァァァァン!

 

 

 

「な、なんだ⁉︎」

 

突如、男のいる廃屋の壁が爆音と共に崩れ去る。

正確にいうなら爆破された、だろう。

 

その先には……。

 

「やっぱり……!」「………っ!」「オラてめえか!ユタとマリナに何しやがった!」

 

怒りに満ちた八神はやて、シグナム、ヴィータがいた。

 

「…シグナム、ヴィータ。10…いや5秒で片付けるよ。最優先は……ユタとマリナを助けることと……その男の確保や」

「了解した…」

「絶対許さねえ!」

 

 

 

 

 

 

「ごめん…ごめんな、マリナ…。ウチの…せいで……」

「マリナ!気をしっかり持て!」

「ユタ、みちゃ…だめだ」

 

そこからは言った通り5秒で決着した。

 

本物のシグナムの剣撃とヴィータの怒涛のラッシュにより、男は一瞬で戦闘不能になった。

 

はやては、マリナのそばに跪き泣いていた。

シグナムはマリナに止血を施し手を強く握って声をかけ続けた。

ユタはヴィータに抱き抱えられていて、マリナの姿を見せないよう離れたところにいた。

 

マリナは体も冷たい。もう、命はないように思えた。

 

「……は…やて……さん?しぐな…む、さん」

「マリナ⁉︎」

「よかった、目が覚めたか!安心しろ、すぐに医療班が来るからな」

 

「ユ…………タは…?」

 

「無事や!後はあんたを助ければ終わりや!」

 

「ああ、よかった……。シグ…ナムさん、ごめ…さい……おしえ…もらたのに……」

 

「大丈夫だ。今は無理に喋るんじゃない。傷口が開くぞ」

 

「はや…さ…。伝言を……お願い…ます。あの子に……ユタに…」

 

「アホ!自分で言いや!なに弱気になってんや!」

 

「ユタ……あなたは普通の女の子。クローンであるとか関係ない。女の子らしく、恋もして、元気に、幸せに……って……。はやて…さん、シグナムさん……ユタを……お願……」

 

こんなに喋れるのは、死ぬ直前に死者は一時的に回復するというよくわからない現象なのか。マリナは血を吐きながらもしゃべり続けている。

 

「なんでや!約束したんやろ!ユタと、これからはずっと一緒にいるって…」

 

「はや…さ…嘘…ついたことになっ……ごめんなさい…ごめんなさい…。これからは…あの子を…よろしくお願いします。それと…ありがとう……ございました。私を……家族にしてくれて…。みんな…だいすき…です」

 

「マリナ!」

 

その言葉を最後にマリナは

 

息を引き取った。

 

「……。シグナム、ヴィータ、撤収しよう。これ以上こんなところに……マリナを置いておくわけには、いかんからな」

「承知した」

「わかった」

 

はやては、涙を拭いながらも立ち上がり、男とマリナを回収し本部に戻った。




これにてユタの過去編終了。

まあなんとなくは…みんな察していたんだろうな、とは思ってます。
ちなみにですが私は機動六課についてはにわかですので何か変な点があっても優しい目で見守ってくださいお願いします(小声


それでは読んでくださりありがとうございます
感想や評価などくださるととても嬉しいです
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