リリカルなのはvivid クローンの生き様   作:紀野感無

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聖王とか私の血筋の事なんて本当にどうでもよかった。

ただお姉ちゃんと一緒にいられたらそれだけで。
そりゃ2人きりの時はとても辛かったけど、それでもよかった。

母さん達と出会ってからは、毎日がずっと楽しかった。
なのに……

だから2度と悲しませたくなくて、強く在りたいと思って。

だけど、母さんを悲しませることの方が多くって。そうしない為に何をすればいいのかずっと考えて。


……もう、これしか、思いつかないや。


27話 〜本音〜

頭が、割れるように痛い。

 

おかしい、古代ベルカとか、の、末裔とか、に、あっ、てか……ら……ず……と

 

記憶も、いろ、んな物が頭の中、で、ごちゃ、ご、ちゃして

 

『マスター、目を覚ましたのなら早く拾っ…マスター?』

 

ユタは、無意識のまま起きていた。そして、セットアップをし、虚ろな目をしながらもどこかに行こうとする。

 

そばで服と一緒に漂っていた愛機であるプライドの言葉も届いていなかった。

 

「………」

『マスター、どうしたんですか!』

 

プライドが声を荒げる。

それも当然だ。

 

ユタの変換した影が右腕、そして顔の左半分、正確には左目の部分を覆っていた。いや、覆うというよりは溢れ出していると言った表現が正しいかもしれない。

 

「さがさ…なきゃ…」

『マスター!いい加減目を覚ましてください!』

 

そんなプライドの声も届かずユタは誰かを探しに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミウラ・リナルディ、ヴィヴィオ・()()()()

 

ファビアは、ヴィヴィオ達を見つけると同時に名前を呼んだ。そして掌にいた悪魔っぽいものが巨大化し飲み込もうとする。

 

「ディバインバスター!」

 

それをヴィヴィオは魔力弾を撃ち回避した。

 

「ファビア・クロゼルグ選手ですよね?インターミドルで勝ち残ってる。説明してくれませんか?どういうことか」

 

「私は『魔女』だから。欲しいものがあるから魔法を使って手に入れる。【失せよ光明(ブラックカーテン)】」

「「⁉︎」」

 

突然、2人の視界が真っ暗になる。

 

「魔女の呪いから逃れる術はない」

 

そして、2人ともあっけなく飲み込まれた。

が……

 

「……?オリヴィエの末裔は……?」

 

ヴィヴィオだけ瓶詰めにされていなかった。

 

「名前を間違えたかな?…いいよ、瓶詰めできなくてもどうせ逃げられないし。ダールグリュン達の方もそろそろ制圧できてる頃。念のため人質も預けてあるし、入り口の守りも万全。もう誰もここにたどり着けない。あとはゆっくりエレミアの手記を探すだけ」

 

 

 

 

 

 

別の場所では、ヴィクターとコロナが大量の悪魔相手に応戦していた。

 

「ヴィクターさん、あれ…」

「?」

 

コロナが親玉のような悪魔を指差す。

すると、そこには瓶詰めにされたハリー、エルス、ミカヤ、リオたちがいた。

 

「なんてことを……」

「?」

 

だが、瓶の中の人たちは危機とは思っていなかったらしい。

 

エルスは口パクで『あと1分』と伝えた。

それは、イレイザーの準備完了まで1分という意味に他ならなかった。

その意味を受け取った2人は不敵に笑う。

 

「ハリーさんのイレイザーなら自力で脱出できますね!」

「まあ、そのくらいは当然ですわね!むしろ1分以内に全滅させてあの不良娘に恩を着せてあげますわ!」

「そうしましょう!」

 

 

 

 

 

 

場所は少し戻りファビアのいる場所。

 

「(エレミアの手記、別に興味があるわけじゃないけど奪って私のものにする。オリヴィエ、エレミア、イングヴァルトの三人への復讐はクロゼルグの血統に課せられた使命)」

 

「『魔女の誇りを傷つけたものは未来永劫呪われよ』だっけ?」

 

そんなファビアの探索を中断したのは

 

「そんなこと言ってるから時代に取り残されるんだよ。時空管理局嘱託魔道士ルーテシア・アルピーノ!盗聴・窃視及び不正アクセスの件でお話を聞きに来ました!」

 

ルーテシアだった。

 

「なら、ルーテシア・アルピーノ、これを見て」

 

ファビアはユタたちに使った悪魔を使う。

 

『真名認識、水晶体確認』

 

そして、また巨大化し飲み込まれ---

 

「ソニック」

 

たかと思ったが飲み込まれておらず、いつの間にかヴィヴィオを抱きかかえていた。

 

「名前を呼んで相手を飲み込む……古典的な技だねえ。だけど時代はスピードなんだよね。古い技に固執してちゃあ取り残されるよ」

 

ルーテシアを睨むファビア。その懐を何かが駆け抜けた。

 

「ティオ、ナイス〜♪」『にゃー♪」

 

それはティオだった。ティオは的確にアインハルトの入っていた瓶を取り返していた。

 

「……!」

「さーて、おとなしく降参したほうがいいよ?でないとお姉さんがお仕置きしちゃうから」

「魔女をあまりなめないほうがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「あ!ユタさん!よかった無事……で?」

「ユタ?」

 

ファビアとルーテシアが向かい合っている頃、ヴィクターとコロナの元にユタが現れる。

だが、二人とも困惑していた。

 

ユタの影を見たことはあったがあんな使い方をしたのを見たことがないから。

 

だがそれ以上にユタの冷たい目に驚いていた。そんな表情をする人じゃないのを知っていたから。

 

「……邪魔」

「「⁉︎」」

 

ユタの足元から突然影が絨毯のように広がったと思うと無数にいたと思えた悪魔に向かって影が下から一気に伸び突き刺さる。

 

だが、コロナたちの安全を全く配慮しておらず結果的にコロナもヴィクターも僅かだが傷を負った。

 

『キィ!』

 

それを見てまずいと思ったのかリーダーっぽい悪魔は何処かに行ってしまった。無事だということは避けたということだろう。

それを追いかけるようにしてユタもどこかに行ってしまった。

 

「ゆ、ユタ⁉︎」「ユタさん、どうしたんですか⁉︎」

『コロナさん!ヴィクターさん!』

 

2人が追いかけると途中で通信が入った。それは人ではなくユタの愛機のプライドからだった。

 

「プライドさん?」「プライド?どうしましたの?」

 

『2人とも、急いでマスターを追いかけて止めてください!でないと、マスターは……ああもうっ!またですかっ!』

 

「え?」「どういう……」

 

『とりあえず、早くお願いします!ああついでにコロナさんかヴィクターさんのどちらか私の回収をしてください!すぐ近くなんで!それじゃ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?投降する気になった?」

「…………」

 

ファビアは壁際に捕らえられていた。が、諦めている気配はなく何かを詠唱している。

 

「警告だよ。詠唱を止めなさい。でないと公務執行妨害も追加に……」

 

ルーテシアが右腕をあげると、そこには人形のようなものが張り付き、グローブが花へ変えられる。

その直後に真上から瓶詰めにする時に使っていた悪魔がのしかかってきた。

 

「コノ……ッ」

悪魔合体(デビルユナイト)

 

リーダー格のような小さい悪魔たちが次々とファビアに取り込まれていく。そして最後には飲み込まれたかと思うとその中で光りだし、少し大人びたファビアがいた。

 

 

「魔女誇りを傷つけた者は-」

「未来永劫呪われよって?まー向かってきてくれるなら望むところ!」

「【這え 穢れの地に(グラビティプレス)】」

「んんっ⁉︎ふおおっ⁉︎」

 

突如ルーテシアが地面に激突した。まるで、そこだけ重力が発生したように。

 

「(重力発生系、ミッドやベルカのとは随分違うなぁ!)」

「撃って」

 

悪魔によって槍がルーテシアに放たれる。

 

「!」

 

が、それはアインハルトによって止められていた。

 

「クラウス…!」

「スパークスプラッシュ!」

 

更に、驚いているファビアの後ろからヴィヴィオが現れ殴り飛ばした。

 

「ロック!」

 

ヴィヴィオによりバインドをかけられ、ファビアは再度捕らえられた。

 

「2人とも目覚めたんだ?ナイスタイミングだよー」

「ええ、ルーテシアさんのおかげです」

「助けてくれてありがとルールー!」

「なんのなんのー。他のみんなも急いで探さないとだね」

 

そこに、新たに1人-----ちっちゃくなったジークリンデが現れた。

 

「魔女っ子どこ行ったー!」

「チャンピオン…」

「ハルにゃん⁉︎」

「あの子の魔法にやられちゃいました?」

「ううー恥ずかしながら」

「じゃ、魔女っ子に元に戻してもらいましょうか。事情も聞かないといけないですし」

 

だがジークリンデとアインハルトを見たファビアは更に怒りを露わにする。

 

「私は----呪うことをやめない!私を見捨てた王たちを私は絶対に許さないから!」

 

ファビアは、バインドを無理やり解き姿がさらに変化し、翼が生える。

 

 

 

「……!みつ…け…た!」

 

そこに、さらに乱入者-ユタ-が現れた。

 

 

 

ユタのその姿を見て、この場にいる人はどう思ったのだろうか。

思ったことはいろいろあるだろうが一つの思いだけは全員にあった。

 

 

今のユタは止めないといけない、と。

 

 

「クラウス…!あと、クロゼルグにエレミアも……。嗚呼、やっと……」

 

ユタはアインハルトとファビア、ジークに向かい影を一気に伸ばす。

3人は慌てて避けはするもいた場所は綺麗に削られていた。削られた跡をみて3人は臨戦体制に入る。だけどアインハルトとジークリンデの2人には明らかに迷いが見られた。

 

「ユタさん!正気に戻って!」

 

ヴィヴィオが叫ぶが届かず、この場の全員に対して敵対行動をとりはじめる。縦横無尽に影を伸ばし、縮め、拡げ、命を狩らんと動く。

 

「黒炎!」

「ちょ、ちょっとまって!」

「ユター!何やってんねん!あっ、ちょっ、あぶっ⁉︎」

「ユタさん!どうしたんですか⁉︎」

 

ファビアは魔力弾を撃ち対抗する一方、ヴィヴィオやアインハルトたちはどうするのが正解かわからず避け続けている。

 

「イレイザー・バーストッ!」

 

そんな、縦横無尽に伸縮していたユタの影の大半を誰かの砲撃が一気に消しとばした。

 

「ユタ!お前何やってんだよ!」

「ユタさん!なんで………」

「これはまたとんでもないことになってるね」

 

「ばん…ちょ、リオちゃ、ミカヤさん…」

 

それは、ハリーのイレイザーだった。それにより瓶をぶち破り捕まっていた人が脱出、すぐさまセットアップを済ませる。

 

「みなさん!」

「無事だったんですね!」

 

そこにコロナとヴィクターも集合し、全員がユタを取り囲む。

 

「じゃあ、とりあえずは…行くわよ?プライド」

『ええどうぞ。ちょっとやそっとじゃ壊れませんので思い切り』

「せえやぁっ!」

 

ヴィクターは手に持っていたプライドを思い切りユタへ向かって投げつける。それを影で受け止められたりすることなく、ユタのお腹へ着弾する。同時にユタの体の中へ取り込まれ左手の甲にプライドの紋様が現れる。

 

『どうもマスター。お気分はいかがですか』

「ぜんっ…ぜん良く、ない。ああ、また、まただ。頭が、グラグラして……ああああぁ!!!!」

 

ユタは影を全員に向かって鋭利にした影を勢いよく伸ばす。

全員避けるか撃墜をしようとしていたがその直前に影が地面に突き刺さる。

 

「プ…ライド!なんで、なんで邪魔するの!」

 

『当っったり前でしょうが!私は、マスターが人を殺しそうになるなら、全力で!邪魔をすると!言いました!忘れたとは言わせませんよこのアンポンタン貧乳マスターが!』

 

「う…るさいうるさい!私のことなんて何も、なにも知らないくせに!」

 

『えーえーそうですとも知りませんとも!どこぞのアホマスターはなんっっっっにも言ってくれませんからね!ですがこれだけは言えます!マスターにそんな他人を傷つける姿なんて似合いませんよ!ああついでに悲劇のヒロインぶってる姿もですね!』

 

「じゃあどうすればいいの!私は……」

 

「パニッシャー!」

 

動きが止まった隙を見逃さずエルスがバインドを仕掛ける。それもそうでプライドから全員へ、ユタの動きを止めるからその隙を狙って力づくで止めてくれと通達されていたから。

が、エルスのバインドは影で即座に対応され防がれる。

 

「私は……」

「…っ!ユタさん!」

 

アインハルトがユタに接近する。

 

「ああ、そうだ。アインハルト、キミだよ……キミと会ってから………私は……」

 

ユタは周りに散らせていた影をアインハルトに向ける。それに対しアインハルトは覇王流の構えを取る。

 

 

しかし2人が戦うよりも先に、ユタが悲痛な声を上げる。

 

 

「私は……私は!普通に生きたかった!笑っていたかった!母さん達と家族として過ごしていたかった!くだらない事で喧嘩になったりとか、そういう普通の子として生きていたかった!

 

オリヴィエのクローンとしてじゃなく、普通の女の子として!お姉ちゃんとした最後の約束も守りたかった!普通に生きようと頑張った!

 

なのに!アインハルトもクロゼルグも!みんな!私を、オリヴィエとしてしか見ようとしてくれない!私に深く関わってくれるのは、オリヴィエのことしかない!それでいっつも悲しい思いになる!思いにさせられる!

 

なんで昔のもういない人のことで私が苦しい思いをしなきゃいけないの!

大好きな母さん達にも心配させてばっかりで!もう母さん達の悲しい(あんな)顔なんて見たくなかったのに!

 

 

なんで……なんでなんで!オリヴィエじゃなく私として見てくれないの!

 

 

こんなことなら私は……生まれないほうがよかった!」

 

 

この身がどうなろうともユタを止めようと覚悟し接近したはずのアインハルトの心を、ユタの言葉が最も容易く砕く。

 

「私、は……」

 

何かを言おうとするも、何を言うべきか、言ってもいいのか、そんな思いのせいでアインハルトは口を開くことができずにいた。

 

「こないなら…こっちから、いくよ」

「っ⁉︎」

 

ゾオッと寒気を感じ、崩れかけていた構えを再度整える。それと同時に影が今まで見たことのない速度で放たれる。

 

首を横に逸らすことでなんとか避けはしたが、頬には一筋の傷ができていた。

 

『アインハルトさん!構いません!思い切りぶっ飛ばしてください!』

「プライドさん、ですが……」

『話をしたいならまずはマスターを止めてから!でなければもっと酷い事になります!』

 

ユタの左手の甲から響くプライドの声にアインハルトは改めてユタと向き合う。

 

その時に影で顔半分が覆われていたせいで分かりにくかったがユタはずっと涙を流している事に気づいた。その事実が余計にアインハルトの心を苦しくする。

 

 

「…わかりました。ユタさん。これより力づくで止めさせていただきます。多勢に無勢ですが…今だけはお許しください」

 

 

「やれるものなら…やってみろ」

 

 







悲報 作者、コロナにかかる。ワロス(*´Д`*)
まあ喉が痛いくらいで他は殆ど症状ないんすけどね

今回で無限書庫での戦いをかき切ろうと思ったら12000字になってるのを見て分割をしなければ…と思いこんな形になりました。


ユタの本音
聖王として生きる気なんてさらさら無く だけど周りがそれを許さない。

今のユタにとってはそう見えています。いやぁシリアスを描いてると筆が進む進む(外道)




それでは読んでくださりありがとうございます
感想や評価などくださるととても嬉しいです
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