リリカルなのはvivid クローンの生き様   作:紀野感無

32 / 40
よーし、あと5話前後で完結させるかな…

終着点は決めてありまして+αでユタvsアインハルト、ヴィクター、ミウラなどを番外編として書く予定です

それではどうぞ


31話 〜またもう一度、みんなと〜

母さんとのある意味最初で最後の親子喧嘩は私の完敗で終わった。

魔力切れからくる倦怠感に抗えずへたり込んでしまったけど不思議なことに全く辛くない。それどころか何処か清々しい気もした。

 

 

思えば、自分の内にある感情を全部吐き出したのは初めてだったかもしれない。

 

 

『どうもマスター。ご機嫌麗しゅう』

 

ただの首飾りに戻ったプライドが陽気な雰囲気で話してくる。それをジト目で見ながら口を開く。

 

「…何。絶対ロクでもないこと言おうとしてるでしょ」

『今日ばかりは違いますね。……そうやって1人で全部抱え込んで悩むからいつまで経っても貧乳なんですよ』

「やかましいわ!」

 

案の定ロクでもないことを言われ思わず叫んでしまう。

お着替え中の皆様がこっちを見てくる感じがあるが、もう条件反射のようなものだからしょうがない。なお着替えているのらファビア選手によって裸にされていた為です。

 

『事実でしょうが!だいったいなーーにが『自分は聖王とは関係がない』ですか!一番馬鹿みたいに引きずってるのマスターでしょうが!』

「それもこれもあーだこーだ言いがかりつけてきたの向こうじゃんか!」

『他の人を見習ってくださいよ!全員が自らの血統に責任を持って動いてるでしょうが!それを逃げる言い訳だけはうまい具合に探して問題を先送りにしてたツケでしょうが!』

「うるっさいなぁ!わかってるよそんなこと!私の心が弱いせいだって私が一番よくわかってるっての!」

『そう言う問題だけでは済まないというのもいい加減わかってください!』

 

 

 

「あはは…」

「やっといつものユタって感じだな」

「ですわね」

 

「相変わらず仲良いなー」

「ですねー」

「良くない!」『良くありません!』

 

 

 

 

「よしっ、修復完了!それじゃ…色々と話が逸れてしもうたがファビアちゃん。改めまして管理局海上司令の八神はやてですー」

 

「っ…」

 

「大丈夫やで。ウチはもうそんなに怒ってないから。君が悪意を持ってこんなことをしたわけじゃないのも分かってる。君もユタ達と同じで心に傷を負ってしもうただけ。ここの建物や傷みたいに治せるもんなら治してあげたい。命があって元気もあるならわざわざ悪いことをしたり辛いことをしたりする必要はない。ちゃんと話して迷惑をかけた人には一緒に『ごめんなさい』をしよ。そしたらきっと全部がいい方向に進んでいくから」

 

ファビアを優しく諭した母さんはそのまま皆へ向き直る。

 

「痛い痛い!あの、ちょっ!」

「ええからはよ来い」

 

ついでに私の首に腕を回しながら。

 

「それじゃあ皆。ウチらはこの子を連れていったん戻るな~」

 

「はいっ!」

 

「ファビア、別れ際に皆に謝っとこうか?ほら!ユタ、お前もや!」

 

母さんに強引にみんなの前に連れ出される。だけど、みんなの顔が見れない。

 

「……」

「……ごめんなさい」

 

横でファビアが謝るけど、どんな顔をしてみんなを見ればいいのかわからず下を向いてしまう。謝るべきなのはわかってる。だけれどどうしても言葉に詰まってしまう。

そんな私を母さんは責めたりする訳でもなくただ無言で背中をさすってくれていた。

 

「ユタさん」

 

私の前に来たアインハルトに声をかけられビクッとなってしまう。

けど、怯えている場合じゃない。

 

「その…アインハルト。ごめ…」

 

「ごめんなさい」

 

「え…?」

 

謝ろうとすると、アインハルトに言葉を被せられ先に謝られてしまう。それに動揺してしまい思わず顔を上げてしまうと深々と頭を下げていた。

 

「え?え?ちょ、ちょっと待って、今回悪いのは私だよ?なんでアインハルトが謝るの」

 

「元々といえばこれは私の蒔いた種なんです。ユタさん…本当にごめんなさい。そして…一つだけ言いたいことがあります」

 

「……」

 

「私は、あなたともう一度仲良くなりたいと思っています。ご先祖様のことは関係なく、私と、あなたとで」

 

「………うん」

 

アインハルトは言い終わるとみんなの元へ着替えをとりに行った。

 

アインハルトの言葉へ当たり障りのない返事しかできなかった。私はもうみんなと魔法戦技をやっていく資格なんかないのに。殺しにきた相手をどうしてこんな直ぐに許せるのだろうか。普段通り接してくれるのだろうか。

 

それが分からず余計に心が苦しくなってくる。

 

それからしばらく経ちみんなが着替え終わって私たちの周りに集まってきた。

 

…今しかない。謝るなら今しか…。

 

「ぁ…そ、その…みなさん…。今回、迷惑をかけて…」

「ユタさんっ」

 

詰まりながら頑張って声に出そうとするとヴィヴィオちゃんに手を掴まれる。それに驚いて顔を上げると屈託のない笑顔がそこにはあった。

 

「ヴィヴィオちゃん…?」

 

「私なら見れますよね。だってユタさんに傷つけられてませんもん」

 

その笑顔はどこまでも温かく、どこまでも優しかった。

 

「それにしてもユタさんって本当に凄いです!私、本気で打ち込みに行ったのに全然決定打が取れなくて!ユタさんの頑張った結晶の塊って感じがしました!これからもユタさんのインターミドル見るのすっごく楽しみですし、一緒にトレーニングしたいなって心の底から思いました!」

 

「で、でも。私、錯乱してたとは言えみんなを殺そうとして…シグナム姉さん達に鍛えてもらった技術を傷つけるのに使っちゃって。もう魔法戦技なんてやる資格…もうないよ」

 

自嘲気味に言うとヴィヴィオちゃんがまっすぐ、真剣な瞳でこっちを見てくる。

 

「……ユタさん。一つだけお願い聞いてくれませんか?」

「お願い…?」

 

「はい。明後日の午前中に少しだけお時間をください。そして私と試合をして欲しいんです」

 

「っ、さっきも言ったけど私にはもう、魔法戦技をやる資格なんて…」

 

「いいですから!今回だけです!約束ですよ!」

 

そう言って断る暇無くみんなの所に戻っていく。

それに釣られてみんなの方を見るとジークさんや番長達とふと目が合う。

 

「おいユタ!」

「ユタぁ!」

 

「っ…」

 

その瞬間に番長とジークさんが思い切り私の名前を叫ぶ。びっくりしてしまったが2人はさらに叫び続けた。

 

「今回はお前に不覚とったけどな!都市本戦では見てやがれ!お前の【影】も吸収放射も!全部を使わせた上で完膚なきまでに叩き潰してやっからな!間違っても予選落ちするんじゃねえぞ!」

「うちはユタと戦えるのをずっと楽しみにしてる!てっぺんで待ってるから、早よ登ってきてなー!」

 

「……」

 

どうしてこうも、みんなは優しいのだろうか。私にまだ魔法戦技をやってもいいと言ってくれるのだろうか。

 

「ユタ!わたくしが一昨年の雪辱を晴らすまでは負けるんじゃありませんわよ!そこの不良娘にも、ジークにも、誰にもね!」

「いつか真剣勝負をしようじゃないか!ユタちゃんの【影】と私の居合抜刀でね!」

「また練習を一緒にしましょう!それにボクもユタさんと全力で戦いたいです!」

 

ジークさん達に続きヴィクターさんにミカヤさん、ミウラがそう叫ぶ。

 

「ユタさーん!また練習一緒にやりましょう!ゴーレムと影の応用操作とか詳しく教えて欲しいですし!」

「余裕ができたら是非とも実家へご招待させてください!じーちゃん…春光拳の師範もきっと喜びますし、ユタさんにとっても楽しいですよ!」

 

引き続きコロナちゃんとリオちゃんも。

もう胸が苦しくて-だけれど不思議とどこか気持ちよくて-涙を流してしまうが、これだけ言ってくれたのに応えない方がどうかしている。

 

「……。スゥーー。勿論です!全員に、特にジークさんには絶対に負けないつもりです!今年こそ全員を蹴散らして都市本戦優勝してみせますんで、首を洗って待っててくださいね!

それと、みなさん。本当にごめんなさい!謝って済む問題じゃないけれど、本当にごめんなさい!」

 

 

 

 

ほんなら、行こか?」

「はいー」

 

そうして、私と母さん、リインさん、クロゼルグ、ルーさんでこの場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜帰路の途中〜

 

「そういえば、ヴィヴィオのこととかみんなに話したんですか?」

 

「うん、大人のみんなには一応なー。ヴィヴィオの生まれとか…高町家の子になった経緯とか。ま、なのはちゃんとヴィヴィオはどこに出しても恥ずかしくない親子やし、余計なお世話かと思ったんやけどなー」

 

「それで言ったら八神司令もですよ。ユタと初めて会ったのは最近ですけどもう普通の親子にしか見えません」

 

「えー、そうかなあ」

 

あ、母さん照れてる。珍しいから写真を撮ってやった。

 

「ちょっ!ユタ!写真撮るな!」

「いつも色々とやられてる仕返し」

「それどうする気や?」

「いろんな人に送ってあげようかと」

 

そして、普段通りの八神家での会話をしてみた。

おどおどしていたと思う。

 

けど少しずつ、母さんや皆の言葉のおかげでちゃんと前を向けそうだった。

 

 

あ、ファビアが呆れた顔してきた。

これが日常的なんだ。そんな顔されても困るよ。

 

 

「あははー、やっぱり親子ですねぇ」

「せやろー」

 

「過去は過去であって、現在(いま)じゃない。先祖の記憶を黒い呪いにするか未来へのギフトに変えるかは……今生きている自分の選択。ってことですよね」

 

「そーやねぇー」「私もそう思うですよ〜」

 

ルーさんの言葉に、母さんとリインさんが賛同した。

 

うん……本当にその通りだ。私は……危うく黒い呪いにするところだったんだ。

 

本当に……何をしてたんだろうね。

 

「……うぇっ」

「どうしたの?」

「いや、シグナム姉さんからメールが来てまして。『話があるから出来る限り早く帰って来い』って。……遺書書いておかなきゃ」

「せやなー」「ですねー」

「そこは慰めてくれたりとかじゃないの⁉︎」

「多分ウチらが言っても何も変わらんやろし」

「シグナムさんはユタちゃんのこと大好きですから死ぬまでは怒らないですよ。……多分」

「最後の一言さえなければ良かったんだけど⁉︎」

 

 

 

 

〜翌日〜

 

「……」

「……」

 

「な、なぁ、大丈夫か?」

「心配いらへんよ。…多分」

 

家に帰ると予想通りシグナム姉さんに首根っこを掴まれて正座させられた。かくいうシグナム姉さんも真正面に正座をしていたが。

 

「ユタ」

 

「はい」

 

「無限書庫での経緯は主はやてを通して見させてもらっていたから大体の事情はわかっている」

 

「はい」

 

「それでも、それでもだ。私はお前に一度謝らねばならない」

 

「え…?」

 

てっきり怒られるものだと思っていたけど発せられた言葉を疑わざるを得なかった。

だって、謝るべきは私なのにシグナム姉さんが謝る?なんで?

 

「どういうこと?私の方こそ謝ろうと思ってたんだけど…」

 

「マリナの事だ」

 

「お姉ちゃんの…?」

 

「ああ。なんせ、マリナが死んだのは私の教えた技術が原因と言っても過言じゃないからな」

 

シグナム姉さんから言われたことに思わず立ち上がってしまう。

 

それだけは許容できなかった。お姉ちゃんが死んだのは攫ったあいつのせいで、間違ってもシグナム姉さんのせいじゃないはず。

 

「違うよ!それは…」

 

「違わない。それだけは断言する」

 

だけど鋭い目つきで言い返され、思わず尻込みしてしまう。シグナム姉さんに座れと小さく言われ、大人しく従うと再び口を開いた。

 

「私が身体操作の技術さえ教えていなければ形はどうあれマリナは生きていたはずだった。確かに胸を貫かれたのも原因だったが身体操作による身体への負担も影響していただろうからな」

 

それを更に否定しようとしたけどシグナム姉さんの目を-悲しげで後悔に満ちていた目を-見てしまい、何も言えなくなってしまった。

 

「マリナがユタへ抱いていた愛情を私は見誤っていた。お前が危険に陥れば自分の体など顧みず限界を超えた身体操作を使うことなど予想できていたはずなのに、だ。……あの時の後悔は未だに消えないよ」

 

「……」

 

「もう少しお前達の安全を強固にしていれば、居場所を発信する類のものをつけていれば、情報提供者について詳しく調べていれば。…こんなたらればを言っても意味はないのはわかっているんだがな。本来ならお前に恨まれて蔑まれてもおかしくないんだ私は。マリナもこんな家族で不甲斐ないと思っているかもしれないな」

 

自責の念からか力無く苦笑していた。

 

 

励ますべき?

 

 

いや違う。

 

 

今言うべきことは……

 

 

「そんなことはないよシグナム姉さん」

 

「なに…?」

 

「無限書庫でも言ったけど、私は、()()()()

 

八神ユタと八神・サミダレ・マリナお姉ちゃんは、ずっとシグナム姉さん達が大好きなの。特にお姉ちゃん、絶対にシグナム姉さんのこと大好きだったよ」

 

「そう…らしいな」

 

あの頃の記憶は生きてきた中で1番鮮明に思い出せる。あの時のお姉ちゃんは…うらやましいくらいに…

 

「だって、家で2人きりの時のお姉ちゃん、本当に楽しそうにみんなのこと…特にシグナム姉さんのことは楽しそうに話してたの。本当のお姉ちゃんみたいだって言ってたから」

 

「…そこまで慕われていたのか」

 

「それに特訓をはじめたときも本当に嬉しそうで楽しそうだったの。『私もシグナムさん達と一緒にユタを守れるようになるかも!』って。特訓も辛かったみたいだけどそれ以上にシグナム姉さん達と一緒にいられて嬉しそうだった」

 

「そうか…」

 

「だから…そんに自分を責めないでシグナム姉さん。それに家族になってからいまの今まで、一度たりとも恨んだりしたことないよ。私は、私たちはずっと感謝してるんだから」

 

「……ありがとう」

 

「え?」

 

「なんでもない。それよりも、だ。私の言いたいことは終わった。ユタはまだ何かあるか?」

 

「いや、無い…かな」

 

「そうか。ならいい」

 

シグナム姉さんが立ち上がるのを見て話は本当に終わったんだと思い私も立ち上がる。そのままシグナム姉さんは私の近くまで寄ってくる。

 

「ふんっ!」

「いだっ⁉︎」

 

シグナム姉さんはめちゃくちゃ穏やかな顔つきで私の脳天にゲンコツを落とした。

 

めちゃくちゃ痛い

 

「私たちを心配させた罰だ」

「っ〜〜今の流れ的にそういうのないパターンでしょ…いったぁ…死ぬ…」

「心配するな。毎回言ってるだろう?死ぬ限界はちゃんと見極めていると」

「だから肉体の方を見極めてって毎回言ってるよね⁉︎」

 

抗議するも涼しい顔をして流される。そういうのが無ければ完璧超人なのに…。

 

「何か思ったか?」

「いえ何も」

「そうか」

 

その瞬間にまたゴンっと私の頭でいい音が鳴る。

 

「いったぁ…」

「さっさと準備をして砂浜に来い」

「えぇ…?今日特訓入れてたっけ…」

「高町の娘と試合をするんだろう?」

「あーうん。そうだけど…」

「特訓なしで戦うつもりか?」

「そんなつもりはないけど…シグナム姉さん達忙しくないの?」

「少し無理を言って休みをもらっている。で、どうするんだ?お前が嫌だというなら…」

「やる、もちろんやる」

 

食い気味で答え、すぐに部屋に着替えをとりに向かう。

シグナム姉さんと特訓できる機会を逃すわけにはいかないからね。

 

 

 

 

「な?大丈夫だったやろ?」

「そうだな。シグナムも安心してたしユタも全く変わっていないしな」

「無限書庫では過去の記憶と自分の記憶がごっちゃごちゃやったんやろなぁ」

「ユタ自身もずっと自分を責めてたのもわかったし、これからもユタのことは注意深く見てないとなー」

「そうやね。でも…もしかしたらもう大丈夫なんじゃないかな?」

「それはまたなんで?」

「うーん、母親としての勘、かな?」

「そうか、ならいいか。さーてと私も心配かけてきた分ユタをしばき回してくるよ」

「お手柔らかになぁ」




これにてきっとユタは改めて八神家の家族になれたのでしょう。
予定としてはユタvsヴィヴィオと+でもう少し書いてから最終話ですかね

もう少し頑張ります


それでは読んでくださりありがとうございます
感想や評価などくださると嬉しいです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。