確か、お姉ちゃんが死んじゃって、強くならなきゃって思って。
でも、きっとみんな、私が強くなろうとすると反対するだろうって決めつけてて。
だから1人でこっそり色々と調べて、インターミドルっていうのに行き着いた。
世界各地から腕自慢魔法自慢の人たちが集まって、文字通りの10代最強を決める大会
最初は強くなるために、少しでも勉強をするために見ていただけだった。
それだけだったはずなのに
気づくと私は、お姉ちゃんと同じか、もしくはそれよりも年下の人たちが繰り広げる戦いに魅入っていた。
たまたま見ていたインターミドル都市本線決勝。カウンター主体の格闘技選手と魔法主体ながらも体術も引けを取らない選手。
まさに一進一退の、どっちが勝ってもおかしくない試合で、最後に決めたのはカウンター主体の選手。
ダメージを負ってふらついたかのように見せ、隙を晒し相手の強打を誘い出した。
目論見通り放たれた強打を手のひらで受け後ろへ受け流し、その勢いを使い回転、相手の裏拳を側頭部へ打ち込んだ。
言葉にすればたったそれだけの内容だけど、当時の私の心にずっと残っていた。
それから、そんな風に戦えたらと思い、格闘技が出来るようになればと思い、魔法戦も出来るようになりたいと思い。
まあ結果として見つかったわけだけど。それでもシグナム姉さんからは
母さんやヴィータさん、ザフィーラにも見てもらい、その結果ちゃんと鍛えてもらうことになった。
ま、それで実は見よう見まねでやってただけ、ってのはバレたんだけど。
無限書庫での出来事の後、そんなことを思い出してて気づいた。
私の特技は、なにも影操作やカウンターじゃない。
それが他の誰にも負けない私の得意技だ。
そう気づいてからは早かった。
なんせ、私より強い人の手本なんて周りに沢山いるんだから。
互いに笑いがおさまった後、お互いに作っていたモノを消す。
そして示し合わせたかのように一歩後ろに跳ぶ。
「さ、続きやろうかヴィヴィオちゃん」
「はい!」
ヴィヴィオちゃんが構えるのを見て私は更に後ろに跳ぶ。それを合図とでも言うように私へ向かって走ってくる。
「やぁっ!」
「っ⁉︎」
まっすぐ来るかと思ったけど、緩急をつけ不規則な動きで向かってくる。右、左、右、左かと思うとまた右。目で追い切れたと思った瞬間に今度は目の前から消える。
「はっや…」
ヴィヴィオちゃんとミウラが対戦した時より更に速く、鋭い動きになっていて、なおかつあまり見ない動きなせいで思わず対応が遅れた。そう思った一瞬後には目の前まで来ていた。
「まっず…」
「アクセルスマッシュ!」
それに気づいた時はもう遅く、放たれた右腕はきれいに私の顎を下から撃ち抜いた。
「わぁ…」
「よしっ!」
その光景を見ていたなのはとフェイトは小さくガッツポーズをしていた。
「……」
「かぁー、ノーヴェの仕込みだな?」
「うん、だけど…ユタがただ撃ち抜かれるだけとは思えんなぁ」
シグナムとヴィータはヴィヴィオの速さと正確さに感嘆し、はやては称賛しつつも自分の子がただ撃ち抜かれただけとは思っていなかった。
「……〜〜っ」
その理由はすぐに明らかになる。なぜならアッパーを決めたはずのヴィヴィオはその場に少しふらついていたから。
「え?え?ヴィヴィオが決めたのになんでふらついてるの?」
「ユタがカウンターを決めたからやね」
大人組を除く観客席のほとんどがヴィヴィオの様子に困惑していたが、ライバル達の中で1人だけ全部見えていた人がいた。
「どういうことだ?ジーク」
「ヴィヴィオちゃんがアッパーを決めに行った瞬間、ユタもカウンターを仕掛けに行ってた。でもあの体勢からカウンターを決めれるとは思ってなかったんやけど…」
「そこまでは私も見えてました。ですが…、その、一瞬ですがユタさんの腕が
「「「「「?」」」」」
アインハルトの言葉に更に困惑してしまうが見えていたジークだけは先に答えに辿り着いていた。
「うん、伸びたって表現に間違い無いと思う。ユタの腕から一瞬だけやけど
その事実に全員が驚愕する。唯一驚いていなかったのは…
「ふふ……」
ただ1人、ユタの師匠だけだった。
「やってやれ。ユタ。お前の技は、努力の結晶は、その程度じゃ無いだろう?」
「あ゛ーーー。クラクラする……」
『どうします?脳震盪ですから治しましょうか?』
「い゛や、いら、ない。それよりも魔力、とっといて」
『承知しました』
『……!』
「大、丈夫だよ。心配しないで。それよりも、もっともっと、ギアを上げていくから、サポートお願いクリス」
『!』
2人のクローンはフラフラしながらもゆっくりと立ち上がる。
顔を思い切り振り、意識を覚醒させる。
「い…よっし、それじゃあ続き行こう」
「はいっ!」
再開のゴングが鳴ると同時、ヴィヴィオはまたもや駆け出す。それを見たユタは足元に影を楕円状に展開する。それと同時に左目を陰で覆う。
「悪いけど…馬鹿正直にインファイトに付き合う気は無いよっ!」
ユタの足元から影が飛び出しヴィヴィオへ向かっていく。それをヴィヴィオは避けずにその場に止まる。
「アクセルスマッシュ!」
「……わーぉ」
ヴィヴィオは魔力を手に纏い、真正面から影を破壊することを選ぶ。
「確かに…いつかはやられるだろうとは思ったけど、こうもあっさりとは」
『どうします?戦法は変えずにいきますか?』
「うん、だけど硬化魔法は準備するかな。あの速さだと懐に入られるのも時間の問題だし」
『承知しました』
「よーし、成功!どんどん行こうクリス!」
『(ピッ)!』
「(とはいえ…あのユタさんが何も対策しないとは思えない。油断しないように…)」
「ま、いつかはそうなるわな」
「ああ。あれは単なる魔力の塊だから殴り壊すなど造作もない。ましてや素早さと鋭利に特化させていると言うことはそれだけ脆くなる」
「今までの選手は魔法主体じゃない限り真正面から壊そうなんてせずに避けてばっかりやからなぁ」
「魔法主体の選手なら吸収放射や
「だけど…殴り壊すなら反射や吸収に気を配る必要もない」
「ユタちゃんの魔法の厄介なところは影魔法に上乗せして吸収か反射のどっちかを付与してるところだからね。下手な魔法の撃ち合いだと逆に負けちゃうし」
「どっちかパッと見でわからないのも怖いよね。その辺はシグナムさん達が流石と言うべきなのか、それを実現させてるユタちゃんの技量が凄いのか…」
「よっ!」
「はあっ!」
しばらくの間2人の攻防は変わらなかった。
ユタが影を射出し、ヴィヴィオはアクセルスマッシュで打ち砕いていく。
時には避けながら着実に距離を縮めていく。
ユタは影を出しながら移動していき、ヴィヴィオも影を壊しながら追いかける。
「ディバインバスター!」
「
ヴィヴィオが放った砲撃を影で受け止める。
しかしディバインバスターは、正確にはユタではなく床と影の境目を狙われており、爆発で土煙が巻き上がる。
「……!なるほどね」
タッタッタッ
そして土煙に紛れ縦横無尽に走り回る。
「だけどヴィヴィオちゃんも見えないはず…」
そこまで考えてユタは自分に疑問を持った。
「(ヴィヴィオちゃんが何の考えもなしにこんなことを?自分も見えなくなることくらい分かりそうなものなのに?)」
その疑問はすぐに解消される。
「アクセル…」
「っ!」
「スマッシュ!」
そして本日二度目のアクセルスマッシュがユタへ命中した。
「痛っ…!」
「はぁー、お見事ヴィヴィオちゃん。でもどう?流石に拳、折れたんじゃない?」
ヴィヴィオがユタの居場所を的確に当てられた理由はとても単純で、ユタが展開していた影の魔力を探知していたからだった。ユタもそれに気づき、あえて誘い込むように動いていた。
「読まれて…ましたか」
「というよりは、ヴィヴィオちゃんならそうくるかなって。私が影展開してたなら魔力探知なんて余裕だろうし
渾身の一撃を腕で防がれたヴィヴィオは右拳に骨折判定を受けていた。その理由は単純で、ユタの腕に硬化魔法が発動されており黒くなっていたからだった。
とはいえ、元から体がそんなに頑丈でないユタも無論、無事ではなく…
「さあ、続きだよ。
「……っ!」
ユタの背後に影が巨大な壁がせり上がるかのように広がっていく。その全てから影の触手が大量に顔を覗かせる。
「ゴー!」
ユタの掛け声で数多の触手が-鋭利な刃先や殴打しやすく丸まったものなど様々な形状に変化し-ヴィヴィオへ降り注ぐ。
拳の骨が折れてしまったヴィヴィオは、今度は無理せず避けれるものはしっかりと避けていく。それを見たユタはわずかに口角を上げる。
まるでイタズラに成功したかのように。
「それじゃあプライド、秘策その2いこう」
『畏まりました』
影の雨の残弾をほぼ撃ち尽くしたのと同時、再度魔力を練り上げる。ユタの影は腕を伝い、形を作っていく。
「くっ…」
「さ、第2ラウンドだよ。ヴィヴィオちゃん」
「…!はは、ユタさんの影って、本当に何でもありですね」
「それが私の持ち味だからね」
ユタの手には弓矢が握られており、それを見たヴィヴィオは冷や汗を垂らす。
「ヴィヴィオちゃんに同じ手は何度も通用しないのはよーく分かってるからね。さ…ここからは引き出しの多さで勝負といこうか?」
「望むところです!」
「……」
「あれ、シグナムが?」
「い、いえ。見せたことはありますが…ユタが小さい頃でした。……まさか、あの時の記憶から再現してみせた…?」
ユタの握っていた弓矢は、紛れもなくシグナムが使っていたモノ。数多くある形態のうち1つを、色彩こそ違うがそっくりそのままだった。
ユタが弓を引き、5本程度の影の矢が放たれる。
まっすぐ向かったかと思うと矢は-1本は左へ、一本は右へ、更には上へ、下へ、急停止など-あり得ない挙動をしてヴィヴィオへ襲いかかる。
まるで先ほどの意趣返しとでも言うように、ヴィヴィオを困惑させ一瞬の隙を生む。
その間にユタはヴィヴィオへ急接近する。
それに気づいたヴィヴィオは構えるが影の矢がそれを許さず、背後から直撃する。
「っ…やあぁぁ!」
「ハァッ!」
ヴィヴィオの右ストレートをユタは手のひらで受け止め、その場で回転。その勢いでヴィヴィオの側頭部へ裏拳を決め-
「…へぇ」
決めたかのように思えた拳は空振りに終わる。ユタが少し距離を取ると、前屈みになっていたヴィヴィオがいた。
「ストレートを打った勢いでそのまま前傾姿勢になって避けたのか。なるほどねぇ」
『こんな避け方する選手は何気に初では?』
「それね。このカウンター決めれた人ってほとんど初見の人たちにだし、ジークさんは受け止めてくるし。ハリーさんは根性で耐えるし」
カーーーーン!
『はーい2人とも。インターバルだよー。5分間ね』
「はーい」
「はいっ!」
『セコンドの人と作戦会議もできるけど、どうする?』
「私はパス」
「お願いします!ノーヴェで!」
ルーさんの合図でリングの外に出る。
用意されていた椅子に座り水などをゆっくり摂る。
「さーて、ノーヴェさんと話すってことは、バレるだろうね」
『でしょうね。あまり展開は変わらなさそうですが』
「ヴィヴィオ、気づいてるか?」
「え?」
「リングの床、見てみな」
「床…?」
ノーヴェに言われるがまま、リングの床を凝視する。
特に変わったようなことなんて…
「床の色、始める前と変わってないか?」
「……言われて見れば、ちょっと黒い?」
「そうだ。しかもこうなったのはいつからだと思う?」
「…ごめん。わからない」
「正解は、影の雨を撃たれた時からだな。その時からユタは陰で致命打をとるんじゃなくて床一面に魔力を散布させてた」
「あの時から…。でも、狙いは死角からの攻撃、なんだろうけどそんなバレやすい戦術、ユタさんが組むかな?」
「それはなんとも言えないな。だから…ユタだけじゃなくもっと周りにも気をつけて戦ってこい。その上で…ユタのやつをぶっ飛ばしてやれ。都市本線2位をな!」
「押忍!」
インターバルが終わり、互いにクラッシュエミュレートを治し切る。
ライフという仕様は今回に限ってはないため、意識を刈り取るか、ダウン後のカウントを10までに立ち上がれないか、もしくは負けを宣言するしか無い。
「さぁーて。魔力量も充分残ってる、仕込みも上々。後は…」
『根気、ですね』
「仰るとおり。魔力切れならないよう気をつけながら、魔力操作にも力を割いて、かつヴィヴィオちゃんに懐に入られないようにしなきゃならない。
さあ、気張ろうか」
『御武運を』
「ユタさんの影はもう、リング全体に溶け込んでていつどこから襲ってきてもおかしくない。目に見えてるものだけに注意しちゃダメ。全部に気を配りつつ…出来るだけ早く決着をつけにいく」
「おう、行ってこい!」
「押忍!」
戦闘 難しい(´・ω・`)
リリなのvivid、vivid strikeも見直したけど、普通にむずい
ワロエナイ
あまり納得がいかないが故に投稿ができず伸びる伸びる…
あー、えー、一応次回、決着予定です
読んでくださりありがとうございます
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