リリカルなのはvivid クローンの生き様   作:紀野感無

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番外編その1

タイトルの通りVSミウラ

それではどうぞ


番外編 VSミウラ

「んっ、んー」

 

都市本戦の会場に着き、控え室でゆっくりじっくり柔軟をしていく。時折母さん達とも喋りながら心を落ち着かせていく。

 

「どうや?ある意味チーム内でのぶつかりやけど」

 

「どうって言われてもいつも通り全力でやるだけ。ミウラも同じだろうし」

 

「せやろなぁ」

 

「そういやシグナム姉さんは?」

 

「どっちかに肩入れしたくないから今日は観客として見るって」

 

「シグナム姉さんらしいね」

 

 

コンコン

「八神ユタ選手、入場お願いします」

 

係員の人に呼ばれ、とうとうその時は来たと改めて実感する。

 

 

 

「おぉ…相変わらず凄い観客の数だこと」

『いくらマスターでも慣れませんか」

「うん無理だね。この緊張感は一生慣れないと思う」

 

バシィ!

 

「いだっ⁉︎」

 

プライドと話しているといきなり母さんに思い切り背中を叩かれる。

涙目で睨むと、いたずらが成功したかのように笑っていた。

 

「緊張は取れたか?」

「取れたけど!もう少しまともな方法お願いできない⁉︎」

「断る」

「断んな!」

 

 

ユタとはやてのじゃれ合いは、リングへの入場アナウンスがかかるまで続いていた。

 

 

 

 

アナウンスと同時にリングに上がる。向かい合うは初戦の相手ミウラ・リナルディ。

八神家道場での期待の新星、ザフィーラやヴィータさん、シグナム姉さんの直伝の教え子(私も同じだけど)。

 

「ミウラ、今日はよろしくね」

「はい、僕の方こそよろしくお願いします。今日も本気でやらせてもらいます!」

「こっちもだよ。手なんか抜かずに、出し惜しみは無しで…全力で叩き潰しに行くよ」

「ええ、僕も遠慮なく斬り伏せにいきます」

 

物騒なことを言って、互いに笑いあって2人同時にリング際まで移動する。

 

「「セットアップ」」

 

そしてまた2人同時にセットアップをする。

 

「ん?八神選手。その腕は?」

「ただ黒い感じにセットアップ姿を変えただけです。触ってもらって大丈夫ですよ。何かの魔法をかけてるわけじゃないので」

 

硬化魔法をかけてる時ほどじゃないけど少し黒い色になっている両腕を審判の人に見せ、念入りに確認をしてもらう。インターミドルの運営さんに事前に確認しておいたから大丈夫だと思うけど。

 

「ありがとうございます。問題ありません」

「どうも」

 

 

 

 

『本日はどのようにされますか?』

「いつも通りにいくよ。ヴィヴィオちゃんを斬り伏せた抜剣…というよりは全部に要警戒。当たったらライフが削れるどころじゃないと思うから」

『かしこまりました。クラッシュエミュレートへの判断もいつも通りで?』

「うん、ボディ蓄積ダメージは60%超えたらね」

 

そのほかの細かいところも、いつも通り愛機(プライド)の采配に任せるとしよう。

 

「準備はええか?」

「バッチリ。それじゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 

 

審判の人による最終確認を経て規定の位置まで下がり、拳を構える。

 

 

 

【試合開始!】

 

 

 

 

コングが鳴ると同時に私たちは動き出した。

 

 

「ロケット……点火(イグニッション)!」

 

ユタが影を実体化させるより早く、ミウラが超速スピードで接近する。

ユタはそれに一瞬面食らったが、すぐにカウンターの構えをとる。

 

「はあっ!」

「っ⁉︎」

 

まだ拳は届かないはずの距離まで近づいた瞬間、ミウラは真上に飛んだ。

 

ユタはそのまま飛び蹴りをして来ると予想して受け流そうと構えるが、ミウラは続けて空を()()()

 

「旋空牙!」

「あっぶ…」

「鉄槌!」

「がはっ…」

 

ミウラは足払い…どころじゃない蹴りを足に撃ち込み、ギリギリ威力をそらされるが、体勢が不安定なユタの腹に拳を撃ち込んだ。

 

ユタは踏ん張らずに素直に吹っ飛ばされた。正確には踏ん張ることができなかった、が正しいか。

 

勢いよく吹っ飛ばされたユタは壁は激突する。

 

『ダウン』

 

 

ライフ

ユタ 15000→9600

ミウラ 15000→13800 クラッシュエミュレート 軽度脳震盪

 

 

「っ…」

「ほー、ユタのやつ、あれでカウンター決めるか」

「ミウラなりに意表をついたと思ったんだが、さすがと言うべきか」

 

しかしユタはただやられた訳ではなく、しっかりと顎はカウンターをかすらせていた。

 

 

『10……9……8……7……』

 

 

「痛っ…。ゲホッゴホッ……。…うん、まだやれます」

 

審判の人に確認されていたが、まだ大丈夫なようだった。

 

「あ゛あ゛ー。いっだぁーー。威力受け流して、ごれ、て、ほんど、なんなの、マジで」

『わかりきっていた事でしょうに。それよりもどうですか?感触のほどは』

「ゲホッガホッ。スゥーーハァーー。うん、()()()()。だけど課題も残ったね。予想外のスピードとは言え不意を突かれちゃった」

 

 

「(あの不安定な体勢から的確に顎にカウンターをぶつけてきた…。あのスピードでもまだカウンターを殺しきれないのか…)」

 

 

『それで、どうされます?』

「んー、本当は『抜剣』と撃ち合ってみたいんだけど…」

『んなことを私が許すとでも?』

「全く思ってない。ヴィヴィオちゃんとの試合のおかげで、影への対処も似たようなことしてくるだろうし、距離とりつつ、かなぁ」

『畏まりました』

 

 

互いに向き合うと、試合再開のゴングが鳴った。

 

 

ミウラは、再度超速スピードでユタに接近する。

ユタは影を作るのを一旦諦め、ひたすらに距離を離しにかかる。

 

「ユタさんには、影を創る暇はあげません!」

「そう?じゃあ、やってみなよ!」

 

ミウラの猛攻に対してユタは避け、避け、受け流し、バックステップで距離を取り、詰められ、避け、時には背中を見せて逃げていく。

 

「(これだ。師匠が言っていたユタさんが練習で見せない本来のスタイル。今までの映像で何度も見た…。死ぬ気で喰らいつくんだ!ここで逃したら何されるかわからない!)」

 

「(…よし、()()()()()()()。このまま続けていこう。けどこれは予想以上にキッツイな……)」

 

「やっ!」

「はあっ!」

 

今度はミウラの上段蹴りが繰り出され、ユタはしゃがんで避けた後に足を持って投げつけた後、急いで距離をとった。

 

 

ライフ

ユタ 9600→8100

ミウラ 13800→11000

 

 

「創主ユタの名の下に、冥界へ誘え【ハーデス】!」

 

ユタは影のゴーレムを創生しミウラにけしかける。

 

「『抜剣』!槌牙(ついが)!」

 

それを瞬殺し、勢いのままユタへ突撃する。

 

「プライド、残り時間、少し無理するけどよろしく」

『止めたいところですが、どうせ聞かないでしょう?』

「よくお分かりで。さぁーて。技借りますよ小さな大先輩」

 

ユタが創造した影のゴーレムは十分なほどの時間稼ぎをしてれた。()()()()()()()()()は潰されたが、お釣りが来るレベルだと考える。

 

「うん、魔力散布も十分。仕込みも上々。あとは……」

 

「空牙!」

 

「っと…(このラウンドは時間切れまで耐えて…2ラウンド目で決着をつけに行こう)」

 

ミウラは短期決戦に持ち込もうとしてるらしく、抜剣を容赦なく撃ち込む。

 

突きをバックステップで避け、蹴りをジャンプで避け、左拳のストレートを少し軌道をズラして避ける。

対するユタは距離を取ろうにもミウラの速さから逃れることができずにいた。

 

 

 

 

「…?あれ?」

「どうされましたヴィヴィオさん?」

「あ、いえ。ユタさんの魔力運用…なんか見覚えあるような……。というか…」

「…見覚えがあるどころじゃねーぞ」

 

ユタの魔力運用の流れに、観客としてきていたヴィヴィオとノーヴェが真っ先に気づいていた。

 

 

 

 

「鉄槌!」

 

一瞬の隙を突いてミウラの拳がユタのお腹へ深々と突き刺さる。

 

「(さっきまでと手応えが違う⁉︎これってヴィヴィオさんのセイクリッドディフェンダー⁉︎)」

「ぐっ……いったい」

 

だが、ユタはヴィヴィオの魔力運用を真似て、インパクトの瞬間に魔力を集中させることで何とかダウンすることなく耐える。息をつく暇なく、ミウラの腕を掴み、影を実体化させていく、

 

「でも…捕まえた。影の拘束(シャドウバインド)三重(トリプル)

「っ…、この…」

「まだまだ。影の雨(シャドウレイン)

 

ユタは重い打撃を受けてしまったが、逆にゼロ距離になったことを利用しバインドを仕掛け、取れる限界まで距離を取る。

 

続いて巨大な影の壁を作り出し、そこから数多の触手を作り出し、破壊の雨をミウラに向かって降らせる。

 

ミウラは全てを完全に避け切ることは無理と判断したのか、バインドを強引に引き千切り、ヴィヴィオのようにできうる限り砕き、厳しいものは避けることで被害を最小限に抑えた。

 

 

ライフ

ユタ 8100→3500

クラッシュエミュレート ボディ蓄積ダメージ45% 腹部重度打撲 軽度脳震盪

 

ミウラ 11000→7500

クラッシュエミュレート 腕部軽度裂傷 軽度脳震盪 

 

 

 

「よっ!」

「やあっ!」

 

 

ユタは引き続き、影を何本もミウラに向けて穿つが、抜剣により相殺されていく。

 

 

【第1ラウンド終了!】

 

 

双方が気づくと、第1ラウンドが終わっていた。

 

 

「ふぅ…なんとかなったぁ……」

 

「やっぱりミウラはやりづらいか?」

 

「んーやりにくいかって言われたらやりにくい…かな。特にジークさんやアインハルトの時と同じように、カウンターや受け流しミスった瞬間死ぬ!ってプレッシャーがすごい。

それに1発受けて分かったけど、抜剣を受け止めるの本当に無理。ヴィヴィオちゃんの防御技を成功させてあのライフの減りようだよ?何なのあの威力」

 

ユタは苦い顔をしながらクラッシュエミュレートを治していく。はやてとの会話も必要最小限に、集中力をより高めていく。

 

「いよっし。それじゃあ行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

ライフ

ユタ 3500→9500

クラッシュエミュレート 全回復

 

 

 

「どうだ?本気のユタとの試合は」

 

「思った以上に楽しいんですけど、やっぱり苦しいですね。抜剣をあんなに乱発をしたのも初めてですし、予想以上に魔力を削られちゃいました…。でも、なんでですかね。不思議と力だけは溢れてくるんです。ヴィヴィオさん達と戦っている時のように…」

 

「その調子なら問題はなさそうだな」

「そうだな、ミウラ、師匠命令だ。ユタを遠慮なくぶっ飛ばしてこい!」

 

「はい!!」

 

ライフ

ミウラ 7500→13500 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

 

 

「(1ラウンド目で勝つための布石は全部打てた。判定勝ち狙いとか言わずにこのラウンドで……)」

「(苦しいとはいえ、調子はかなりいい。けどユタさんも同じ。これ以上長引かせずにこのラウンドで……)」

 

「「(決着をつける)」」

 

 

 

 

 

【第二ラウンド 開始!】

 

「『抜剣』・四天星凄(してんせいおう)、天破の型」

 

「フゥーーー……。大丈夫だ、練習では上手くいってるんだから。大丈夫…」

 

私は、右手を高く上げると共に、影を私を中心に、足元には円状、背後には壁のように実体化させる。

ミウラは抜剣の、ヴィヴィちゃんとの試合で見た四天星凄・天破の型を取った。

 

互いに完璧な状態になるまで、示し合わせたわけでもなく待つ。

 

「行くよ、ミウラ」

「行きますよ。ユタさん」

 

ミウラが地を蹴り突進してくる。

影の触手を何本かさし向けるも、やっぱり魔力を込めた拳で破壊されてしまう。

 

「(やっぱり…これくらいじゃ無理か)」

 

「飛燕!」

 

「っと」

 

ミウラの抜剣に対し影を瞬間的に硬くし防ぐ。硬化魔法ほど硬い訳ではないため砕かれはしたが、逆にいい目隠しになってくれる。

 

これ以上懐にはいられないように、そして()()()()()()()()()()()()()、腕は上げたままで距離を取る。

 

巻き込まない最低限の距離を確保して私は……

 

 

バチィン!

 

 

手を振り下ろし、指を鳴らした。

 

「⁉︎」

「ふぃー、成功ー。プライド、今のうちに腕の硬化魔法準備」

『承知しました』

 

指がなったと同時にミウラの足元が爆発したかのように粉塵が舞い、更にミウラの体から()()()()()()()()()()右肩及び全身を斬りつける。ユタの魔法はまだ終わらず、続けてミウラより一回り大きい影の箱を形成し、閉じ込めた。

 

 

ライフ

ミウラ13500→11500 クラッシュエミュレート 全身軽度裂傷 右肩重度裂傷

 

 

「っ!」

 

「よし、硬化魔法も完了」

 

ミウラが影をぶち抜いて出て来たと同時に硬化魔法を腕にかけ終わり、腕全体が真っ黒になった。

 

「でも、()()がうまくいっただけ。魔力量も辛くなって来た」

『ここからが正念場ですよ。しっかりと、悔いのないよう。マスター』

 

「右肩やられた…。でも、まだ動ける。まだやれる…!スターセイバー。師匠達には怒られるかもしれないけど、相当無茶するけど、ごめんね。頑張るから、スターセイバーも頑張って」

『All right!』

 

 

 

 

 

「(…残り魔力は40%弱くらい。抜剣をモロに受けたお腹はまだズキズキする。腕とか脚も痛みで鈍ってきた。でも…)」

「(右腕が痛みで感覚マヒしてきた。けど、動けないわけじゃない。脚も、左腕もまだある)」

 

 

「「((まだ、やれる))」」

 

 

 

 

 

「やっ!」

 

試合再開のコングが鳴ると同時に、ミウラは無事な左腕を使って床を殴り、瓦礫と粉塵を巻き上げた。

 

「彗星!」

 

「⁉︎」

 

目隠しかと思って懐に入られるのを警戒をしてると、ミウラは瓦礫を()()()()()。散弾銃のように散らばってきたのもあれば、拳大より大きめのものがそのまま飛んできたりした。

 

とっさに影で壁を作るけど、粉塵の中かつ全方位から飛んでくるものだから、防ぎきれず数発もらってしまった。

 

 

ライフ

ユタ 9500→7400 クラッシュエミュレート 腹部軽度打撲

 

 

「旋空牙!」

「っ、影の壁(シャドウ・ウォール)!」

 

ミウラが背後から強襲してきたのを、魔力で感知して影の壁で防ぐ。

 

「こっ…のぉ!」

影網(シャドウネット)!」

 

強行突破されそうになったところで影の壁を即座に網に作り変え、ミウラを捕縛しにかかる。

 

「ブレイジングコメットッ!」

 

が、今度は岩を蹴飛ばすのではなく、魔力弾を抜剣で蹴り飛ばして影網を相殺してきた。

 

影槍(シャドウランス)・乱舞!」

 

それをみて、あらかじめ空中に散布していた魔力から、小さめの槍を大量に作り出し、意趣返しにとあらゆる角度からミウラに向かって降り注がせる。

 

「ぐっ…」

「あぐっ⁉︎」

 

ミウラが怯んだから、追い打ちをかけようと影を新たに生成すると、真上から魔力弾が降ってきて、見事に私の頭へ命中する。

 

 

ライフ

ユタ 7400→5400

ミウラ 11500→8000

 

 

「っ…!やっ!」

「こ…のっ!」

 

そんな中、確実に右腕は潰したと思っていたのに、なんともないかのようにミウラは近接でラッシュを繰り出してくる。

 

右ストレート、左ジャブ、膝蹴り、アッパー、それらを視界が悪い中なんとか避けていく。

 

 

その反面、少しずつ()()()()()()()

攻防の中で、隙を作られたかのように、さりげなく。

 

 

「抜剣、飛龍!」

「っ、影の壁(シャドウ・ウォール)二重(ダブル)!」

 

少しだけ距離を空けると、ミウラはおもいっきり蹴り上げ、衝撃波を飛ばしてきた。それを影の壁で相殺する。

 

「飛燕!」

「やあっ!」

 

ほんのちょっとだけ作った隙。ミウラがそれを見逃すわけがなく、予想通り斬り込みにくる。

 

それに対して無理やり体勢を作り、硬化魔法がかかっている上からヴィヴィオちゃんのように、手に魔力を集中させカウンターをする。

 

顎を狙いに行ったが、痛みのせいか機動がぶれてしまい、頬をかすっただけだった。

 

「一閃…」

「っ⁉︎」

「必墜…」

 

カウンターの失敗という大きな隙をリカバリーする暇もなく、ミウラにボディーブローをかまされる。

しかも、ヴィヴィちゃんの時のフィニッシュ技を繰り出そうとしているのが、緊迫しているというのにはっきりとわかった。

多分、ミウラが一番決めやすい位置で、一番いいタイミングだったんだろう。

 

 

けど()()()()()()()

 

でも、あと一つだけ決定的な要素が足りていなかった。

 

 

 

「(一か八か…!)」

 

 

天衝星煌刃(テンショウセイオウハ)!」

 

 

残り魔力の7割ほどをすべて防御に回し、硬化魔法をかけていた腕とともにミウラの最大威力が打ち込まれた場所()で守る。

 

だけど、あまりの強い威力に盛大に吹っ飛ばされてしまう。

 

 

影喰い(シャドウイート)!」

 

「えっ⁉︎」

 

「爆!」

 

 

地面の()に仕込んだ魔力を使って、ミウラの足元の地面ごと影を操作しミウラを包み込み、魔力を爆発させた。

 

決め手となる大技の後で完全に油断していたからなのか、ミウラは避けれず、爆発によりリング外の壁に叩きつけられた。

 

「いっ…」

 

それとほぼ同時に私もかなりの威力で壁に叩きつけられる。

肺から空気が全て抜け、息ができないかのような感覚に陥る。

 

 

 

ライフ

ユタ 7000→380 クラッシュエミュレート 背部中度打撲 中度脳震盪 ボディ蓄積ダメージ75%

 

ミウラ 9800→200 クラッシュエミュレート 右肩重度裂傷 全身軽度裂傷 中度脳震盪 背部重度打撲

 

 

 

「いえ…でき……ます」

「だ、大丈夫…です。まだできます」

 

審判の人に続行できるか確かめられたが、まだ体も動く。なら、諦めるわけにはいかない…よね。

 

ミウラもまだ倒れなかったし。

本当なら、私たち2人とも倒れてもおかしくない傷なはずなんだけどな。

 

それはそうと…

 

「プライド、ナイス判断」

『本当に一か八か、でしたね。もう二度とゴメンです。それよりも意識はハッキリしていますか?』

「なん…とか。体動かしてる感覚、ちゃんとある。まだ、やれるよ」

『私の残存魔力では治せるキャパを超えていますので、あとは気合いでお願いします」

「わか、た」

 

私もミウラも、あと一撃貰えばそれで終わり。

クラッシュエミュレートはミウラが酷いとはいえ、私もダメージ蓄積を治すのに魔力を回せてなかったおかげで75%になっていた。

プライドにためておいた魔力のほとんどもセイオウハを防ぐのに使ったらしい。

 

 

もう、立つことすらつらい。

 

「(でも、こんなのずっと通ってきた道なんだ。まだ、まだやれる…!)」

 

 

と、私とミウラがリングに上がり、試合再開のコングがなった。

 

「ッ…」

 

「え?」

 

 

『ダウン』

 

 

いつ、来るのか警戒していると、突然ミウラが()()()

 

突如気を失ったかと思ったが、そういう訳ではないらしく、なんとか立ち上がろうとしていた。

 

『純粋に、体の限界をすでに迎えていたようですね』

「…そういうこと」

『そういうマスターも、気を抜いたらミウラさんのようになりますから』

「う、うん…」

 

無慈悲にも、カウントはどんどん進んで行く。

 

けど、なんでだろうね。起き上がって欲しいという私と、起き上がって欲しくない、という私がいた。

 

 

 

 

「(たたないと…!でも、体が言うことを聞かない…!お願い、お願いだから、最後に言うことを聞いて…!)」

 

セイオウハを打った直後の完全な無防備な時にユタさんによって濃密な魔力の爆発を起こされた。

なんとかライフはあるものの、体は限界だった。

 

けど、ユタさんは立ち上がってきて。

 

それをみて、無理をしてリングに上がってしまったせいか、再開した直後に、倒れ込んでしまった。

 

「(こんな…こんな終わり方は……嫌だ!まだ…まだ動けるはずなんだ…!)」

 

けど

 

腕に、脚に、力を込めるも、立ち上がれない。

 

 

『6……7……』

 

 

 

「「「「ミウラさーーん!ファイトーーー!!!」」」」

 

 

 

「っ!」

 

 

「…立てちゃったか」

『嬉しいのか、悔しいのかどちらでしょうか』

「両方」

 

 

不思議なことに

 

聞こえてきた声で、今まで動くことすらできなかった体がいとも簡単に動いてくれた。

 

 

「よかった、あのまま立てないのかと思った」

「ええ、ヴィヴィオさんたちに助けられちゃいました」

「みんな、どっちの味方なんだろうね」

「両方だと思いますよ」

 

 

審判の人に改めて確認されたけど、もう大丈夫。

 

 

むしろさっきよりも、力が体の底から湧いて来る。

 

 

「改めて。行きますねユタさん」

「うん。いくよミウラ」

 

 

 

 

再開と共にユタは残り魔力のすべてで影を創生し腕に纏わせ、ミウラはその隙に一気に距離を縮めた。

 

影を繊細に操る気力も、抜剣を維持する気力も、互いに残っておらず、ただ単純なハードヒッターと超カウンター型の戦いになっていた。

 

ミウラが強打を繰り返し、ユタは執拗にカウンターを狙っていた。

 

「「っ!」」

 

互いにトップギアまで上がった集中力で僅かな隙すら逃すまいと攻防を繰り広げる。

 

「ぎっ…」

「ぐうっ…」

 

激痛に顔を顰めながらも、ミウラは突き放されてしまう。

追撃しようにも思ったように足が動いていなかった。だが……

 

「「……ふはっ!楽しいね(ですね)!」」

 

次に見せたのは満面の笑顔。

 

 

しかし、夢のような時間はそう長くは続かず…

 

 

「ハンマーシュラーク!」

「やっ!」

 

ミウラが腹に強打を撃ち込み、それを利用しユタがカウンターを決めきることで、試合は終了した。

 

 

ライフ

ユタ 380→100

ミウラ 200→0

 

 

『決着!勝者は八神ユタ選手!観客の皆様!互いに健闘した両選手に、盛大な拍手をお願いします!』

 

 

 

 

「はぁー……死ぬかと思った。他に手が無かったとはいえ、あんな戦法もうやんない」

『それが懸命ですね。まあ、ひとまずはおめでとう、と言っておきましょう。()()も使わずに済みましたね』

「ありがと…。セイオウハの時のプライドの判断も助かったよ」

 

フラッフラしながら、何とかミウラの手を引き、一緒に降りる。セコンド陣(全員八神家の人たち)の元へ辿り着いてからは私が母さんの方へ、ミウラはヴィータさん、ザフィの元へ別れる。

 

ミウラとも後で合流する約束をし、一旦母さんと共に控え室へ向かう。

 

 

 

 

「やっほーユタちゃん、早速だけど健診するわね」

 

控室に入ると、シャマル先生が既に待機していて、慣れた手つきで診察をしてくれる。

 

「……相変わらず胸ちっさいなぁ」

「そうねぇ〜」

「うるっさいなぁ!」

 

こんなやりとりがあったけど、以前みたくクラッシュエミュレートの貫通も無し、健康そのものとお墨付きをもらう。続けてミウラの方に行くからとシャマル先生は出て行った。

 

「…ミウラは、どうやった?」

 

「めちゃくちゃ強い。流石はヴィータさんやザフィ、シグナム姉さんの秘蔵っ子だなぁって。でもだからこそ負けてられないなって」

 

「ほーん?嫉妬かぁ?」

 

「……?っ⁉︎ち、ちがうし!そんなんじゃないから!」

 

「はいはい。で、改めてミウラとの全力勝負、凄かったわ。よーやったで」

 

「うん、ありがと母さん。にしても、ヴィヴィオちゃんとの試合のおかげか、私の『影』に対して真っ向からぶち破ってくる人、多くなりそうだね…。そこは課題になりそう」

 

「いやー、ミウラとかヴィヴィオちゃん達が特別すぎるだけだと思うで?」

 

「それにしてもなんだけどね…」

『マスター、シャマル先生から連絡です。ミウラさんの診察が終わったので大丈夫、と』

「はーい。それじゃあミウラと合流してくるね〜」

 

「晩御飯までには帰ってくるんやで〜」

 

「わかってる〜」

 

 

 

 

 

 

 

〜医務室〜

 

「大丈夫か?ミウラ」

 

「はい、大丈夫です。ヴィータさん、師匠」

 

「改めて、インターミドルお疲れ様だ。最終的な結果だけ見ればお前達らしい、いい試合だった」

「だが、2ラウンド目はお世辞にもいいとは言えない。あのまま右腕を酷使していたら、最悪な事態になっていたのかもしれないんだぞ」

 

「ゔっ…は、反省してます…」

 

ベットの上でヴィータさんには褒められ、ザフィーラ師匠からは2ラウンド目の無茶な戦法を咎められた。

 

「ま、それはそうだな。だけど…いつも以上、それこそ寝不足になるくらいまで相手(ミウラ)の研究をしまくった、本気のユタ相手によくあそこまで喰らい付いたと思うぜ?なんならセイオウハが決まった時は不覚にも、ミウラが勝った!って思っちまったし」

 

「え?そうなんですか?」

 

「そうだぞ。ユタのやつ、マジで徹夜でやりすぎかってくらい研究しまくるからな。そんで小さな悪癖や苦手なところを探し出して、とことんそこを突くのがユタの基本戦法だ」

「だがミウラの弱点は対応できなかったんだろうな。簡単にいえばパワー型のゴリ押し近接戦のミウラに対し、本来ならカウンターなどを駆使したかっただろう」

「けど、お前の『抜剣』はカウンターミス=敗北に繋がるから下手に狙えなかったんだと思うぜ。だからこそ、ハードヒッターのミウラに対して影でしか対策できなかった。けどそれすら真っ向から潰してたからな」

 

そう教えたのは私たちだけどな、と笑いながら言う師匠達の言葉から、改めてユタさんがどれほど頑張ってあそこまで強くなったのか、ほんの少しかもしれないけど理解した。

 

「ま、何はともあれ、お疲れ様、だ。次は…」

「ヴィヴィオとの戦技披露会に向けて特訓だ」

 

「はい!」

 

負けはして悔しいけど、最後までしっかりと戦い抜けれて、なんというんだろう。

 

それ以上に楽しかった。

 

 

コンコン

「ミウラ〜来たよ〜」

 

 

「はーい!すぐ行きます!あ、そうだ。師匠!ヴィヴィオさんとの試合までも、その後もよろしくお願いしますね!」

 

「おう」

「任せておけ」

 

 

 




次回 VS番長ことハリー・トライベッカ

ただ書けるかは知らん!だって原作内でも戦闘描写ほぼ無いんだもん!
頑張るけど!


それでは読んでくださりありがとうございました
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