支配する根絶者、地球に降り立つ 作:旧シリーズからの根絶者使い
そして何よりストライドトゥビクトリーの天音アリスが可愛いのと一人称がボクなのと私が根絶者をヲクシズからVスタンダードのグレイドールまでずっと使っていること。
銀髪ボクっ子(人外)の根絶者使いとか作者好みすぎてやばい(主に語彙力)
1話
赤い空に一切の音が聞こえない暗黒の大地、荒れ果てたような陸地の上に一際目立つ建造物の存在があった。
「しかし姫、本当にご自身で行かれるのか?」
恐怖を感じさせる威圧的な声音で語る異形の存在は自らより高い位置にいる人型の黒い異形へ疑問を投げかけた。
「うん。手っ取り早いし興味がある。なによりキミの元分身って人、気になる……ね、ヲクシズ?」
ヲクシズと呼ばれた異形は、静かながらも抑揚を感じさせる姫と呼ばれる異形の声に肩を落としながら返答をした。
「うぐっ……その説は迷惑をお掛けして申し訳ない」
「次やったら魂ごとデリートするから」
「うむぅ……」
子供の癇癪のように聞こえる姫の言葉だが、ヲクシズは何も言い返すことは出来ない。何故なら姫にはその力があり必要とあらばそれを行うことを躊躇わない。
「ボクの目的は根絶者の悪いイメージの払拭。惑星クレイとの共存にして相互不干渉……キミのせいでクレイの神たるメサイアに会うことも叶わない……何か質問は?」
「……惑星クレイにはメサイアと対をなす神がいると聞く。そちらではダメなのか」
「ああ、ギーゼ?アレはダメだよ。今もどこかで封印されてるし話が通じない。ボク達が根絶する者なら、アレは虚無を与える者。ボク達より性質が悪い。キミが負けた相手だからってムキにならない」
ヲクシズの意見は一蹴され完全に口を閉ざしてしまった。以前自らが犯した失態の墓穴を掘るだけだと悟ったらしい。
「やっと地球での体が創れたんだ……ボク達根絶者がデリートするだけじゃないっていう証明ができた」
「(バニッシュデリートも呪縛もあるのだが……いや、なんでもない)」
「ヲクシズはゼヰールと、グレイヲンはグレイドールと、グレイヱンドはグレイギヰルと組み準備を整えておいて」
「妥当な組み合わせだ……さすが我らが姫。やはり我らの力を見せる時が「お前本当にデリートするよ?」……」
ついに二人称が変わった姫の言葉に冷や汗を流し始めたヲクシズ。これ以上は命が危うい。
「地球に行くとなれば相応の常識と名前が欲しいね。どうしよっか、別にそのままでも構わないのだけど」
「姫の真名を人間共に晒すなど!?いけませぬ、いけませぬ!!!!」
「皆そう言うんだよね。ボクの名前一つでどうにかなるわけでもないのに……ねぇ、キミはどう思う、ヰゴール?」
姫は抱えている小さな髑髏……《享受する根絶者 ヰゴール》に問いかけた。普段からペットのような扱いをしているらしい。
『ワレワレトオナジヨウニセイチョウナサレルノガヨイカト』
「ふむ……ふむふむ。なるほど……良いね。やっぱりボク達ユニットはグレード0から始めないとな。さすがヰゴール、そのままのキミで居てね」
『ネガワクバグレード3ニナリタイ……』
まだグレード0であるためか片言のように話すヰゴール。提案を受け入れられ姫から褒められたが思っていたより重い無茶振りに思わず嘆いてしまった。成長後の姿がヲクシズである事を踏まえると成長したいと言うヰゴールの願いも分からなくはない。
「さてと……じゃあヲクシズ、コスト役よろしく」
「え」
「ジェネレーションゾーン解放」
「むむっ!?体が!!」
「過去、現在、未来、全てを根絶し新たな歴史を創り出せ!!
ヲクシズを赤い空に円を描くゲートが現れその元に集った全ての根絶者の歓声を受けながら、姫はゲートの中へと姿を消した。その腕に矮小な人間の体を抱えながら。
◆
「おい、何してんだよアリス。置いてくぞ?」
「ん……すぐ行く」
青い空の下、風切り音や太陽の輝きを一身に受けながら校舎の屋上で寝そべっていた銀髪の少女、天音アリス。彼女に話しかけたのは特徴的な赤毛に渦巻くピンク色の髪の少年、新導クロノだ。
アリスはクロノの声で体を起こすと、中学1年生にしては小さい体とは思えない膂力で跳躍しクロノの前に着地した。
「おはよ」
「お前な……危ないからそういうことすんなっていつも言ってるだろ!?怪我したらどうすんだ!!」
「大丈夫だからやった。ボク、強いし」
「はぁ……スカートも気をつけろよ。今は見えなかったからよかったけどよ」
「ギリギリ見えないようにした。見たかった?」
「なっ、んなわけねえだろ!?」
ここまで無表情のアリスに対してころころと感情が変わっているクロノ。一周まわったのかかえって落ち着いた彼はデコピンでアリスの額を小突く。
「……いたい」
「歳上を揶揄うからだ。ほら、授業遅れるからとっとと行ってこい」
「ん、クロノもまた放課後」
「おう」
2人は階段を降りたところで別れそれぞれの教室へと戻っていったのだった。
キーンコーンカーンコーン……
授業が終わり放課後になった。アリスは足早に教室から出ていくと下駄箱に向かう。クロノに会いにいくためである。
「……お待たせ。どうしたの?」
「ああ、アリスか。いや……俺の下駄箱にこんなのが入っててな」
「ヴァンガードのデッキ……見せて」
「いいぜ」
アリスはクロノからヴァンガードのデッキを借りると一枚ずつ確認していった。
(初めて見るユニットだ……ギアクロニクル?ボク達の知らない存在……ヲクシズが知ったらデリートしに行きそうだね)
「ありがとう。あとこれ入ってた」
「なんだこれ……地図?」
「行ってみる?」
アリスの問いにクロノは一瞬悩むそぶりを見せたが、特に用事もないのですぐに決めた。
「せっかくだし行ってみるか。お前は?」
「…………行く」
内心、即決だったがクロノに不自然と思われないように数瞬時間をあけてから返事をした。計算高い女である。
「こ、この地図見にくいな……」
「……こっち」
「え、お、おい!!これ分かるのかよ!?」
「この後そこを曲がって、その突き当たりを右、大通りに出たら左にまっすぐかな」
「すげぇな!?」
驚くクロノを他所にどんどん足を進めるアリスの口元は少し笑っていた。
(運命の輪……いや、ギアクロニクルになぞらえるなら運命の歯車が回り始めた。ボクのすぐ横で……楽しみだなぁ)
「……ここ?」
「みたいだな。カードキャピタル2号店?」
10分と少し歩くと地図の指し示す場所に到着した。2階部分の窓には『カードキャピタル』という文字が大きく貼られている。
「なんだってこんな場所に……」
「入れば分かる」
「そうだな」
クロノが先に行きアリスがその後に続く。階段を登りドアを開けたクロノが店舗内に入った。
店名の通り、壁にはこれでもかとヴァンガードのカードがショーケースに飾られておりそれらは多種多様だ。
(あ、この子ヲクシズがデリートしたんだっけ。キミに言っても仕方ないけどごめんねウチのバカが。うん?こっちもだ)
アリスはじっくりとカードを眺め、クロノが流し見で店内を歩いていると奥の方から歓声が上がってきた。
2人がそちらを向いた刹那、脳裏にイメージが湧き上がってくる。
(《ドラゴニック・ブレードマスター》、《メチャバトラー ビクトール》……先導者は……!!ヲクシズを下した人間の1人!!こんなところで会えるなんて)
「クロノ……大丈夫?」
「あ、ああ……なんだ今の」
「イメージだよ」
「イメージ……?」
「そう、あそこで戦ってる2人とそれを見てる人達、皆のイメージがクロノにも流れ込んだんだね」
「これが……ヴァンガード……?」
逆に今まで知らなかったのかとアリスは一瞬クロノに驚くも、改めてバトルを眺めるとハイレベルな戦いが繰り広げられている。しかし《炎帝龍王 ルートフレアドラゴン》の生み出す火球が《メチャバトラー ビクトール》を飲み込み勝負が決した。
(やっぱり、生の殺気ってものがないといつもよりはつまらなかったな)
程なくしてクロノに話しかけてくる1人の男、葛木カムイの姿があった。先程ヴァンガードファイトをしていた人物だ。
「2人とも見ない顔だな?初めてか?」
「はい」
「ん」
「店の人?」
「おう、バイトなんだ。よろしくな」
気さくな態度に毒気を抜かれたクロノは、説明をするために下駄箱に入っていたデッキをカムイに見せた。
「ギアクロニクル?なんだこれ!?一枚も見たことねえぞ!!」
カムイはクロノの了承を得てデッキを端末の上に乗せると何か操作をし始めた。どうやらカード情報を実物から検索するものらしい。
(人間の技術も星輝兵に負けず劣らずだね。方向性がちょっとズレてるけど……)
「本物だな……なあ、ファイトしようぜ!!ヴァンガードファイト!!」
「え、あの……えっと」
「いいんじゃない?一回くらい」
ぶっちゃけアリスはギアクロニクルという存在を見てみたいというだけだが、クロノにとっては悪魔の一言。一瞬鋭い目でアリスを睨んだが、アリスはどこ吹く風である。
「お、嬢ちゃんもそう思うか!!ほら、連れの子もこう言ってるしやろうぜ?」
「いや、俺やったことねぇし……」
「じゃあなんで初心者がこんなレアデッキ持ってんだよ」
「下駄箱に入ってたらしいよ」
「なんだそりゃ……まあいいぜ。とりあえずやるぞ〜」
「…………分かりましたよ」
ついに折れたクロノを慰めるようにアリスが肩を叩くが、背丈の違いで少し辛そうだ。
「お前が勧めたせいでもあるんだからな」
「やらなかったらいつまでも追われるよ?」
「……だよなぁ。あっ、お前今日オヤツ抜きな」
「ん……ん!?それは、話が、違う……」
思わず片言で焦り始めたアリスを横目にクロノはカムイの元まで向かった。
「あの嬢ちゃん、ヴァンガードファイターなのか?」
「いや、ヴァンガードやってるところは見たことないです。あーでも、カードは持ってたような……?」
「ほーん、じゃあ嬢ちゃんもこれで人とヴァンガードが出来るようになるじゃん」
にししと笑うカムイに苦笑いするクロノ。そしてクロノにとって初めてのヴァンガードファイトが始まる。
「「スタンドアップ ヴァンガード!!」」
(キミ達もそろそろ戦いたいよね。じゃあ人生初のヴァンガード、しようかな……グレイヲン)