支配する根絶者、地球に降り立つ   作:旧シリーズからの根絶者使い

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「最近、兄の様子がおかしい」

『え〜、どうして〜?』


とある日の夜、アリスはクミと通話をしていた。以前2人が連絡先を交換してからというものの、クミから通話のお誘いが来ることがあり特にすることもないアリスは断ることもなく話をするようになったのだ。


「普段より注意が散漫だし、いつもより食欲がない。おやつ作ってもいらないって言うし……」

『アリスちゃん、お母さんみたいだね〜』


珍しく饒舌なアリスだが、それほどまでにクロノに対して異常を感じている。ちなみにだがクミはアリスに兄がいると言うことしか知らないのでクロノが兄だとは思っていない。


『もしかしたら、風邪ひいてるのかも〜?』

「……体温計で熱測らせたけど、特に問題なかった」

『しっかりしてるんだね〜アリスちゃん』


普通の人間より頑丈なアリスはもちろん病気や怪我などにかかったことはない。ユニットの意識からすれば、人間とはイメージ力以外があるだけで肉体はとても脆弱な存在である。故にアリスはクロノの体を心配して色々調べたがそれでもよくわからなかった。


『お兄さんは何も言ってないの〜?』

「大丈夫だから気にすんな……って。絶対大丈夫じゃないのに……」

『強がりさんだね。もう少し様子を見て、それでもまだおかしかったらその時なんとかしよ〜』

「…………ん、そうする。ありがとクミ」


ここ数日よくクミと会話をするようになったアリスだが、のほほんとした雰囲気をしていても意外と的確なアドバイスをしてくれるクミへの信頼度は徐々に高まっていた。要するにアリスはクミになついているのである。


『いえいえ〜。あっ、そうだ。聞いてよアリスちゃん。トコハちゃんがねー、もうショップでファイトしても大丈夫だって言ってくれたの』

「……じゃあファイカの登録、するんだ」

『そうなの〜。すっごく楽しみ〜!』


トコハとは、クミにファイトを教えていた友達である安城トコハのことだ。名前だけはクミから聞いているアリスは特に疑問を持つことなく答える。


「ファイカはデッキケースにもなるから便利。大きくてたまに邪魔だけど」

『アリスちゃん、もうグレード2なんだっけ?』

「……ん、この前ヴァンガードの大会2、3個荒らしてきた。当分クエストはいいや」

『早く追いつくから、待っててね!!』

「いや、さすがにボクのスピードは異常だしゆっくりでいいよ」


クミにティーテングファイトをしてから、久々にまともにファイトをしたいと思ったアリスはクロノに内緒でショップ大会のクエストを受けて圧倒的な優勝をしてきた。優勝賞品が高ポイントということもあり興が乗ったアリスはその後も毎日のようにいろいろな大会のクエストを受注し賞金稼ぎのように荒らし回っていたのだ。それが功を奏し早くもグレード2へとランクアップしていた。

『あっ、猫のご飯あげなきゃ……ごめんアリスちゃん。今度一緒にヴァンガードしようね〜』

「ん、じゃあまた……今度猫の写真見せて」

『もちろん〜。またね〜!!』



安城トコハ(少なめ)

〜翌日〜

 

 

「アリス、先行ってるぞ……うぐっ」

 

「ん……大丈夫?」

 

「だ、大丈夫だって。行ってきまーす」

 

「行ってらっしゃい……ほっぺた抑えてた?」

 

 

朝の身支度を終えたアリスだが、相変わらずクロノはぶっきらぼうに返事をすると家から出ていった。

 

 

「ほっぺた……?ほっぺた……あっ、口の中?てことは……口内炎か……虫歯?…………あー、そういう」

 

 

今までのクロノの態度に納得がいったのかアリスはクロノが出ていった玄関を見つめながらつぶやいた。

 

 

「……歯医者の予約しないと。あっ、保険証どこにあるっけ……でも時間が……帰ってからでいいや。よし、ボクも……行ってきます」

 

 

 

クロノが保険証をいつも持ち歩いているのを、アリスは知らないためいらない気遣いであったが気が効くユニットである。

 

 

 

 

〜放課後〜

 

 

 

 

「……気がついたらクロノ、いないし」

 

 

いつも通りに学校の時間を終えたアリス、クロノを捕まえて歯医者に連れて行こうと考えていたが見当たらない。携帯の電源も切っているままなのか繋がらないので諦めたようだ。

 

 

「歯医者には……行ってないよね。集中もできないのにキャピタルに行くわけもないし……うーん……」

 

 

教室の自分の席でクロノが行きそうな場所を必死に考えるアリスだが候補が思いつかない。よく考えたら自分はクロノのことを何も知らないのだと思いながらもさらに考えていると……クラスメイトに声をかけられた。

 

 

「天音さーん」

 

「…………ん?」

 

「今度小テストあるでしょー。天音さんすっごく勉強できるし、教えてほしいの」

 

「……んー、いいよ」

 

「ほんとっ!?」

 

 

まあ1人くらいならそう時間もかからないでしょ。クロノに似て面倒見のいい方なアリスはそんなことを思ってたかを括っていた。しかし現実は非常である。

 

 

「みんな〜天音さん引き受けてくれるって〜」

 

「「「やった!!天音さんありがと〜!!」」」

 

「…………え?」

 

 

ガラガラと教室のドアを開けて入ってきた3人の女子。いずれも別のクラスの生徒だ。頭の回転力の早いアリスはその状況を見てすぐ理解し、時計を眺めた後にもう一度考えて声を発した。

 

 

「え???」

 

 

 

 

〜約1時間半後〜

 

 

 

 

「お、終わった……」

 

 

天音アリスは侮っていた。4人教えると言ってもせいぜい人間の義務教育という必要最低限の知識、それも中学1年生程度の勉強を教えるのにそれほど時間はかからないと思っていた。しかし思っていたよりも懇切丁寧に教えてしまったので余計に時間をくってしまったのだ。

 

 

「久しぶりに超弦理論の本でも読もうかな……はぁ、星輝兵の研究論文が恋しい……ブラントに戻ったら略奪しよう」

 

 

全星輝兵が悲鳴をあげそうなことを呟きながらアリスは片付けを始めた。

 

 

「…………やっぱり、キャピタルだよね」

 

 

精神的に疲労が溜まってしまったアリスはもうここしかないだろうと心の中で決めつけカードキャピタルに向かうことにした。

 

 

歩くこと10数分、いつのまにか日も暮れ始め空がオレンジ色になってきた。アリスは少し駆け足気味にキャピタルの階段を登ると扉を開けて中に入る。

 

 

「……いた」

 

「げっ、アリス!?」

 

「「「「「「ん?」」」」」」

 

 

やっぱりか、とでもいうような声音でつぶやいたその声は店中に響き渡り、クロノの周りにいた全員がアリスの方を振り向いた。

 

 

「あ〜!!アリスちゃん!!」

 

「「「アリスちゃん!?」」」

 

「え、みんな知ってるの?クミちゃんも?」

 

 

アリスを認識したのは、クロノ、クミ、トコハ、トリニティドラゴン(以下省略)の3人、カムイの7人だ。

 

 

「クロノ…………何やってるの?」

 

「何って、みりゃ分かるだろ。ファイトだよ。あいたたたた……」

 

「虫歯でロクに集中もできないのに?」

 

「なんで虫歯って知ってんだよ!?」

 

「……やっぱり」

 

「「「「「「虫歯!?」」」」」」

 

 

頬を抑えて唸るクロノに、アリスは確信を持って言葉を続ける。周りの全員がクロノの虫歯に驚いているようで今度はクロノの方に振り向いた。どうやらクロノとクミのファイト中らしい。

 

 

「そうか……!!クロノが抱えていたもの……それはっ、虫歯の痛みだったんだ!!」

 

「さっさと……歯医者に……行く……!!」

 

「待ってくれアリス。今は岡崎とのファイト中だぜ?こ、これが終わってからな」

 

「………………今どっちのターン?」

 

「クミちゃんのターンだぜ」

 

「クミ」

 

「あいあいさ〜!!ストライドジェネレーション!!」

 

 

ツネトに状況を確認したアリスは、一言だけクミの名前を呼び彼女もそれに応えた。要は叩き潰せ、ということである。

 

ほぼ会話なしのやりとりに、1人だけついていけてないトコハ先程から?マークが頭の中を埋め尽くしているようだ。

 

 

「おいおい、アリス?一応、俺ら兄妹だよな……?だったら俺の応援をしてくれても……「ここ数日虫歯っていうのが恥ずかしくて黙ってた挙句、ボクの作ったご飯やらおやつやらあんまり食べなかったの……ダレ?」……さあ岡崎、どんとこいよっ!!」

 

 

どちらが上なのかわからないような情けないやりとりにトリドラの3人は大爆笑。クミはやる気満々でバトルシスター達のスキルをぶん回し手札補充とパワーアップを両立しながら攻撃している。アリスの教えがしっかり響いているようで、クロノが完全ガードで防いでもクミ持ち前の運の良さでトリプルクリティカルを引き当て全てリアガードに付与した。

 

 

「……うわぁ」

 

「こいつはぁ……」

 

 

やれ、と言ったアリスでさえ声が漏れる状態。カムイは冷や汗をかきながらクロノに同情的な目を向ける。

 

 

「おいおいおいおい!?!?」

 

「いっけ〜!!」

 

「やりすぎだろ〜!?!?」

 

 

オーバーキルとも言える攻撃がクロノジェットへ降り注ぎ、爆ぜる。クロノの敗北である。

 

 

「おめでとうクミ……じゃあコレ、貰っていくね」

 

「ありがとう〜。そう言えばぁ、新導君がアリスちゃんのお兄さんだったんだね〜。うん、また今度ファイトしようね〜」

 

 

あまりの出来事に放心状態のクロノの首根っこを掴むアリス、軽くクミに挨拶するとクロノを担ぎ上げる。

 

 

「……えっと、多分クミの友達の人?」

 

「え、えぇ……安城トコハです……?」

 

「ん……天音アリス。コレの妹で一年生。今日は時間ないから……また今度ボクとお話ししよう」

 

「いいわよ……それよりもソイツの虫歯、ちゃんと治してもらいなさいよ。今度あたしがファイトするんだから」

 

 

もはやクロノのことを()()呼ばわりしているアリスだが、しょうもない事でここまで面倒な事態にさせた兄に慈悲はないのである。

 

 

「…………はっ!?俺は何を……って、おい。アリス離せ」

 

「なんで?」

 

「自分で歯医者の予約してんだよ……このまま連れてく気か!?」

 

「…………そういうことなら」

 

「あいでっ!?」

 

 

アリスは乱雑にクロノを下ろす。一応の納得はしたらしい。

 

 

「じゃあ……行ってらっしゃい。夕飯、ボクが作るから」

 

「ああ、分かったよ。じゃあな」

 

「ん」

 

 

クロノは店を出て歩き始める。アリスはその背中を見送ると店に戻っていった。

 

 

「あれ、アリスちゃん。新導君は大丈夫なの?」

 

「……自分で行くって」

 

「そっか〜」

 

「改めまして……天音アリスです。兄が……お世話になってます」

 

「ええ、アリスちゃんでいい?」

 

「ん」

 

 

アリスは店内に戻るとトコハと話を始めた。

 

 

「あんなのが兄貴だとアリスちゃんも大変じゃないの?」

 

「……今日ほど意地張ってるのは久しぶりかも」

 

 

苗字が違うことに言及されなかったアリスは内心驚くが気を使われているのだと感じた。

 

 

「アリスちゃんもヴァンガードするのよね」

 

「ん……それなりに」

 

「いやいや、それなりにって……アリスちゃんめっちゃ強いじゃねえか」

 

「そうだよなー。この店じゃカムイさんの次くらいに強いんじゃね?」

 

「そんなに強いの!?あっ、クミちゃんがクエストで教えてもらってたのってもしかして……」

 

「そうなの〜。アリスちゃん、教えるのもとっても上手なんだよ〜」

 

 

上からカムイ、ツネト、トコハ、クミの順だが全員ベタ褒めである。

 

 

「そんなに褒められても……照れる」

 

「表情変わってないじゃん!?」

 

 

ツネトから鋭いツッコミが入るがアリスは気にしていない様子。

 

 

「クランは?グレードは?デッキの軸は!?」

 

「トコハちゃん、ちょっと詰めすぎだよ〜?」

 

「リ、リンクジョーカー、グレードは昨日2になった。『根絶者』の軸……」

 

 

グイグイ距離を詰めてくるトコハに引き気味ながらも答えるアリス。トコハはやはり根絶者に聞き覚えがないのか眉を顰めている。

 

 

「根絶者?リンクジョーカーにそんなユニットいたかしら……?」

 

「惑星クレイのユニットじゃない……区分的に、リンクジョーカーってだけ」

 

「ちょ、おい、アリスちゃん。そこまで言っていいのかよ!?」

 

「メサイアの先導者は何も言ってなかった。だからいい」

 

「メサイアの先導者って……伊吹のことか!!会ったのか!?」

 

「少し前に」

 

 

トコハの意識が思考に移ったので、カムイが小声で話しかけてくる。メサイアスクランブルの事情に精通しているのでその辺りのケアのつもりなのだろうが、アリスは全くの無表情だ。

 

 

「ファイトしましょう!!見たことないデッキ、どんなファイトするか気になるわ」

 

「…………ごめん」

 

「えー!?」

 

「トコハちゃん落ち着いて〜」

 

「……夕飯の支度しないと」

 

「あっ、そうよね。ごめんなさい気づかなくて。じゃあ……はいこれ、あたしの連絡先。また今度ね!!」

 

「……ん。ありがとう」

 

 

テキパキとトコハは色々と動き流れるようにアリスに連絡先を渡した。

 

 

「トコハちゃんは、あのマモルさんの妹なんだぜ。すごいよなぁ!!」

 

「……マモルさん?………………ああ、かげろうの人。それで、トコハは何使うの?」

 

「ネオネクタールよ。これがあたしの分身、『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』」

 

「へぇ……(銃士のイメージが強いけどいい子だね) ボクの今の分身……『威圧する根絶者 ヲクシズ』」

 

「い、いかつい見た目してるわね……」

 

 

お互いに切り札の紹介をするとアリスは興味深そうな顔を、トコハは予想外のカードに少し驚いている。率直にキモいと思ったがマイルドな表現でとどめたトコハには感服する。

 

 

「あれ、今の、って?」

 

「クロノが強くなったら、こっちにする」

 

 

アリスはそう言って、カバンから『絆の根絶者 グレイヲン』が軸のデッキを裏面を見せて取り出すとすぐにしまう。まだ手の内を明かす気はないようだ。

 

 

「それってもしかして……」

 

「一つ上のデッキ……使うような相手いないし。ヲクシズで十分」

 

「「「ぐふっ」」」

 

 

暗に自分達は普段からアリスに本気を出させていないという事実に気がついたトリドラの3人が崩れ落ちた。他のファイターに比べればいくらがマシだがアリスにとっては張り合いがないのもまた事実。

 

(まあ、本当は『グレイヱンド』とか『グレイヲギル』……後はカードがないけど、本当の最終手段として()()()()がいるのは黙っておこう。ていうかボクがカードになったら、どういうスキルが発現するのか楽しみだな)

 

 

そう、アリスはまだもう一つデッキを持っている。現代で使えばオーバーパワーにも程があり目をつけられかねないため世間に出していないが、いずれは環境が追いついてくれると信じている。

 

 

「じゃあ……また」

 

「ばいば〜い。あ、今日も連絡するね〜」

 

「ん……待ってる」

 

 

別れ際のクミの言葉に、アリスは微笑んで返事をすると店を後にした。

 

 

「え、なにあの可愛い生き物」

 

「アリスちゃんだよ〜?」

 

「クミちゃん!!あたしも通話混ぜて!?」

 

「あ、アリスちゃんに聞いてみるね……」

 

 

この日から、通話女子会と名付けられたグループ通話が始まったそうな。




まともなファイト描写が面倒になってきたきたけど、そろそろヱヰゴヲグでエクストラウィンを決めたくなってきました。バニッシュデリートヱンド、ってキメ顔で言いながらフィニッシュするアリス……うん、可愛い(脳死)

正直な話、アリス(ユニット体)の名前もスキルもまだしっかりと纏まってないので早いうちに決めていきたい所存。まあ登場するのは早くてもストライドゲート編……グレイギヰルの登場が『THE GALAXY STARGATE』であることを考えるとギーゼ編でもあり得る話ですね。


ヱヰゴヲグのスキルを活かすのに、繋ぎのGユニットとして通常ならば『創世竜ジャッジメント・メサイア』や『星雲竜マキシマムシール・ドラゴン』、もしかしたらクレイエレメンタルのGユニットを採用すると思いますが根絶者構築の関係上、無印編からアヲダヰヱンをGゾーンに組み込む可能性があります。その際はご了承くださいませ〜。
これも根絶者布教のため……(Vスタでは一切優遇されない模様)


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