立体機動戦士ライナー 進撃のオルフェンズ 〜鉄血の兵士〜   作:連邦士官

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第3話

 何も知らないクーデリアという少女を迎え入れた。あの目は強い意志を持つ目だ。あれに似た目を知っている。が、それは置いておく。隣のフミタンという女が問題だ。フミタンの目は壁の中の鏡でよく見ていた色をしてる。あいつは俺と‥‥。

 

『お前と同じだな。ライナー。』

 あぁ、そうだな。あの目は迷ってる目だ。兵士なのか戦士なのかで迷っていたときに俺もよくあぁなっていた。だとするならばあのフミタンというのはどういう?

 

 そこまで考えたところで椅子から俺は立とうとして、よろけて転んでしまった。くそっ、カッコがつかない。俺はいつもそうだ。

 

「大丈夫ですか?これを。」

 クーデリアという少女がハンカチをこちらに差し向けてきた。なんだ、いい匂いがする。

 

「あぁ、すみません助かります。」

 紫の目が綺麗で金髪が輝きを見せている。待てよ、ころんだ俺にすぐにハンカチを差し出してくれる。つまりは俺に気があるんじゃないか?やっぱり、そうだよな。そんな会ってすぐなのに全く困るな。子供は何人かほしい。結婚したい。

 

『何いってんだお前。ふざけてるより早くなんとしろ。気持ち悪いんだよお前。』

 何を言ってる俺とクーデリアは恋の始まりなんだ。カッコよく決めないといけない。三日月に「大丈夫?ライナー。」と囁かれて立たされた。情けなく見えてしまったかもしれないから俺はしっかりしないといけない。

 

「大丈夫だ。三日月。あぁ、ハンカチをありがとうございます。クーデリア・藍那・バーンスタインさん。俺はライナー・ブラウンです。急死した社長から会社を受け継ぎました。」

 可愛い。そう思うと俺の感情が揺さぶられる。駄目だ。俺には俺には心に決めたヒストリアが。

 

「お若いのにすごいですね。クーデリアでいいですよ。」

 クーデリアは俺に握手をするために手を差し伸べてきた。これは俺に気があるな。確信した。確実にある。困るな。ヒストリアが俺には居るんだよ。何故かそう思うと脳裏に突然見たこともないようなヒィズル人の青年の顔が浮かんだ。誰だ?ともかく。

 

 待てよ、ヒストリアはもう結婚している。じゃあ、俺の周りにいた女ってピークか?ピークと結婚はな。いや、だが一番絆が深い。でも、頭が回りすぎて怖い。ファルコ、俺はどうしたらいいんだ?エレンもこの手の話は役に立たないからな。

 

「早速ですが、お断りしないといけないことが。」

 その声はファルコ!?いや、ビスケットか。ビスケットに相談するか?ビスケットには妹が2人いる。いや、ビスケットのばあちゃんの桜さんに聞きに行くか?あの人なら女心も待て。

 

「ビスケット、よせ。」

 断る予定だった地球行きの依頼を引き受けることにした、クーデリアはともかく、フミタンが気になる。あの目つきはマーレ人をみるエルディア人みたいな色もある。あの先にあるのはなにか気になる。俺はやるしかない。それに財政状況は少しはマシ程度の話だからな。

 

 

 

 それは少し前の話だ。

 

 

 デクスターたちと財政状況を話していたときだ。このままだと金が無いとわかっていたが、やめたい奴らに退職金とモビルワーカーと車をやった。

 

「でも、ライナー良かったのか?あんなに好き勝手やってた奴らにものをやって。」

 シノの発言は正しいが俺にはわかってる奴らはマーレ人と一緒だ。マーレ人がエルディア人に反乱を起こされたら後で寝首をかくために用意をする。しかし、その用意は俺たちが用意してやればいい。

 

 退職金とモビルワーカーなどをくれて、現金を目の前に見せてやれば調子に乗ってガキから金を奪いに来るだろう。そう仕向けた。だから、必ず近々、奴らは俺たちから奪いに来る。

 

「あぁ、どうせ【戻ってくる金】だ。」

 デクスターに要請して、社長が死んだあとに俺名義に全部の資産をすぐに書き換えた。そして、元社員たちが持っていた金やモビルワーカーなどを盗まれたとして、報告してある。あとは奪いに来た奴らを叩きのめしたら、全部回収ができる。マーレがよくやっていたやり方だ。

 

 捕虜に巨人兵器の恐ろしさをわからせるために開放しつつ、捕虜虐待と言われないように金を渡したり、わざとエルディア人部隊に子供しかいないことを見せて、物資運搬をエルディア人部隊にさせて、奪わせようとして返り討ちにしてそれを口実に再度協定破りとして相手を滅ぼす。俺が伝え聞いたダイバー家がその罪をマーレ軍に着せようとしていたが、環境や生まれ、立場、自分の能力のせいにするのは駄目だ。ダイバー家がマーレを動かしてきたなら、マーレで死んだ、マーレが殺した人間の責任をすべてダイバー家も負わねばならない。

 

 じゃなければ無責任で中途半端なクズ野郎になってしまう。だから、俺も責任を負う。俺が俺こそがマーレで生まれたものとしての責任を果たす。

 

「ライナー?またなんか考えてるの?」

 あぁ、三日月に声をかけられて気が付いたがこの額では‥‥。

 

「話を進めますとこのままでは1年程度しかこの会社は持ちません。なによりも、仕事が減ったのも大きいです。世間はたしかに社長が事故死をして、金とモビルワーカーを盗んだというのを信じてます。少年兵たちがクーデターをできるわけがないという世間の常識とやらに囚われてるみたいです。それ故に、金とモビルワーカーを盗まれたのに取り返しにもいかない気概もない奴らと片付けられたみたいです。」

 とするなら名前を変えるしかないよな。名前は名前はなににすればいいんだろうか?名前はなんだろうかいま頭に流れるのはジークが話していたエルディア人復権派などの話。

 

 尊敬できる人の名前をつけるべきだろうか?俺が尊敬する人は誰だ?ジークなら間違いなく、前獣の巨人のトム・クサヴァーだろうが。じゃあ、俺は誰にしたらいいんだ?俺はあの日入団式で見たキース教官?いや、俺を追い詰めたハンジ?リヴァイか?いや、やっぱりマルセル?だがマルセルは‥‥わからない。俺は誰を、誰を尊敬していたんだ?わからない。

 

「エルディア‥‥ユミル?エレン、巨人でもないからな。」

 ブツブツいってしまう。そうしてる間に何かがあった。

 

「ライナー、今、エルディア・ユミル・巨人って言った?」

 おぉ、三日月そうは言っていたが。

 

「あぁ、三日月。新しい会社名を考えていてな。」

 それよりも今は会社名が大事だ。会社名か。わからないな。

 

「そうわかったよ。ユミルの巨人とかになるの?」

 いや、そうはならないだろ。不吉すぎる。ユミルの巨人ってなんでそんな危なそうな名前をつけないといけないんだ。俺はもっといい名前を考えないと。

 

「いや、そうじゃなく‥。」

 否定するが三日月は止まらない。なぜだ。なぜ静かにしてくれない?

 

「じゃあ、エルディアのユミルとかユミルの巨人?」

 やめてくれよ。呪われそうだ。何かいい名前はないだろうか?名前か。名前。

 

「違うやつを考えている。どんな名前が良いだろう?ビスケット、シノ、三日月なんかあるか?」

 俺が思いつかないなら他のやつに聞けばいい。

 

「そうだな。オルガ、火星警備団とか?」

 まぁ、ビスケットのは無難だな俺たちは警備会社だからな基本。それはいい第一候補だ。全部聞いてからこういうのは判断しないといけないよな。

 

「俺はハイパーウルトラエクスタシーギャラクティカ‥‥。」

 シノの意見は終わりだな。まずは長いからなこれはそういう意味でも駄目だ。簡潔でわかりやすいほうがいい。ビスケットの案で決定か。

 

「こんなのはどう?ライナー、あるべき場所、魂が帰るべき場所とか。」

 いや、それは会社名ではないだろ。三日月は本当に‥‥なるほど。

 

「家族の座標ってのはどうだ?もう俺たちは家族みたいなもんだろ?それに俺たちには帰る場所が必要だろ?」

 そうだ、そういうことだよな。家族か。俺は母親と父親がほとんど居なかったから、コイツらの父親になれたらいいよな。そうだよなエレン。

 

『俺もジークも家族はほとんど居なかった。だが、ジークはクサヴァーと祖父母がいた。エレン・イェーガーにはミカサとアルミンがいた。でもここにいる奴らには何もいない。だから、お前がなんとかしてやるんだ。家族をここにいる奴らに作ってやりたんだろ?お前ならやれる。』

 よし!わかったぞエレン!俺はやる、やってみせる。俺にはコイツらに対する責任もある。

 

「家族の座標か。でもそれなら簡単じゃない?家族の座標じゃなくてもホームタウンいや、ホームの基地でホームベースでどうかな?」

 それじゃ野球になってしまうだろうビスケット。まぁ、こんな時間も楽しい。なんか継承争いがまだ熾烈ではなかった頃の訓練場を思い出すな。

 

「ホームか。じゃあそのままで、マーズホームでいいんじゃない?」

 三日月の案で行くか。マーズホーム。金はあるがガキたちに食わせるには心許ないしな。ガビたちみたく美味いものを屋台で食えたりするくらいは、コイツらに金を渡したい、残してやりたい。だったら、頑張るしかないよな。

 

『そうだな。ライナー。』

 少し、俺は笑っていた。それに三日月のあの目は裏切れない。

 

 

  

 

「よせ、ビスケット。俺たちには当座を凌げるだけの資金が必要だ。なら、やるしかない。クーデリアさん。それに地球に向かう仕事ですよね。なら、俺が連れていきますよ。」

 やや社員が襲ってきた時のことが心配だが、基地はあの社員たちが襲ってきていいようにガチガチに武装してある。それに高台には目に見えない様に有刺鉄線を張りめぐらせてもある。

 

 モビルスーツとやらもしっかりと動くように準備しておいた。あと山々にモビルワーカーとかの行く手を阻む鉄骨などが無数に突き刺さっている。モビルスーツであってもあそこを越えるのは一苦労だろう。大量に突き刺さった鉄骨はかなりの強度だ。あとは無造作に転がせたコンクリートの護岸ブロックなどかなり金もかけた。

 

 そして、その前方にある台場と安い対モビルスーツ砲、俺がマーレの戦士として戦った要塞を参考にした。だから、俺らがいなくなってもなんとかなるだろう。

 

『そうだな。お前は戦うしかないんだ。ただ止まらずに誰かのせいにするわけでもなく、自分の自由な意思で、自由に自分の背中を押して、地獄を見ないといけない。お前はその責任があるんだ。今は十分楽しかったよなライナー。』

 その通りだエレン。俺は進み続ける意志を持って死んでいったマルコや彼らに報いなければならない。じゃないとマルコを殺した俺自身を許せなくなる。まだ、俺たちは話し合ってもいなかったんだから。

 

「ありがとうございます。」

 クーデリアと握手をする。やわらけぇ、これが女の‥‥いや、クーデリアの手なのか思わず、俺は頭の中でヒストリアの姿が流れたが彼女は既婚者。であるならば、クーデリアはまだ独身。なら、クーデリアを選ぶよりほかはないよな。

 

 かわいい、結婚したいなクーデリア。輝く金髪やアメジストのような瞳、やっぱりいい匂いもする。俺はいや、それは関係ないし良くない。俺は俺として、俺の責任で彼女らに味方をする。その後に何があろうともあの壁を壊してしまったのは俺だからだ。

 

「ライナー?」

 三日月がこちらを見ている。三日月の目は常にどうしたら、こんな真っ暗な俺たちを救えるのかと訴えている気がした。ファルコに俺が頼んだのなら、三日月に同じことを頼まれたらやるしかない。それが大人の責任だ。あのときにやってしまった俺だから。こんな地獄に三日月を巻き込んだ。

 

 マーレでの地獄を思い出した。歩けば石を投げられ、エルディア人なら殺される。エルディア人であることを罪としたから、エルディア人をパラディ島を守るためにエレンに地ならしをさせて全部かぶせてしまった。全部、全部俺が悪いんだよ。

 

「あぁ、三日月。俺たちの初めての仕事だ。やってやろうじゃないか。まずはデクスターさん。船を取り行こうか。」

 名義変更は全て、済んでいる。あとは雪之丞などを集めて整備といこうか。だが‥‥。

 

「まったく。地球行きって言ったって航路はどうするってんだ?まったくよぉ。」

 トドのやつがぼやいている。やる気を出した時にはパパっと仕事を片付けたり、金勘定や交渉には向いているようだが戦うのがからっきし駄目。くたびれたおっさんだが、年少の子どもたちにはそれなりに人気もある変なやつだ。うまく使えればこのマーズホームを支える幹部になるかもしれない。

 

 それに、トドと雪之丞とデクスターしか大人がいないから、舐められてもいる。だからこそ、この三人にはしっかりしてもらわなければならない。世の中は同じなのだから。

 

「トド。だからってこの状況じゃ受けざる得ないだろう。それにわかってるはずだ。火星独立がうまく行けばどれだけの利益が出るのかを。」

 簡単な話だ。買い叩かれているトウモロコシなどが標準価格になり、レアメタルなどの資源が適正価格になれば凄まじい儲けになるのは馬鹿でもわかる。

 

 トドの目つきが変わり、生唾を飲む。ことの重大さを理解したようだ。

 

「たしかに、そうかもしれんがそんなうまく‥‥。」

 会社が揺れた。警報が鳴る敵襲だ。

 

 トドを無視して、俺たちは戦闘準備に移るしかなかった。

 





 遅れてしまいました。

 転勤って忙しいですね。
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