この素晴らしいボーダーに入隊を!   作:こしあんA

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B級ランク戦round 1監修:デスイーター様、龍流様
ご指摘ありがとうございました。
お陰様で3,000文字は増量され読み応えが増しましたし、話の質もブラッシュアップされました。(話の内容は変わりませんが表現の仕方や感情の描写、視点切り替えについてご指導いただきました)
深く、深く感謝を


第23話 このB級部隊に初陣を!◆

10月1日正午

 

「トリガー構成ヨシッ!」

 

以前の防衛任務でグラスホッパーとシールドを出し間違えた時の経験を踏まえ、ランク戦開始前俺はトリガー構成の最終確認をしていた。

 

現在のトリガー構成

MAIN

・アステロイド(拳)

・スコーピオン

・バックワーム

・シールド

 

SUB

・アステロイド

・ハウンド

・グラスホッパー

・シールド

 

「本当にヨシですか?どうせまたハウンドとバイパー間違えてたりするんじゃないんですか?」

「古寺くーん?君のトリガー、全部シールドに変えてあげてもいいんだよ?」

「やめてくださいよ!!」

「まあそれは冗談としてアイビスは入れとくぞ?」

 

 

 

 

現状古寺のトリガー構成は以下の通りとなっている。

MAIN

・イーグレッド

・シールド

 

SUB

・バックワーム

・シールド

 

このようにかなり味気ない構成だ。基本に忠実なのだろうがせめて集中シールドを張られてもそれごとぶち抜けるアイビスくらいは入れておいて欲しい。

 

 

「まあそれくらいならいいですけど」

「グラスホッパーとシールド間違えた時以外にもやらかしてたんだ……」

「3人とも、もうそろそろ始まるわよ!」

 

そんな雑談をしていると、もう試合開始の時間になっていた。

 

「よし!行くかみんな!」

「ええ!」

「うん!」

 

俺達はトリガーを掲げて高らかに叫ぶ。

 

「「「トリガーON!」」」

 

試合開始の鐘が鳴り響き、それぞれが市街地Aに転送された。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「皆さんこんにちは!今シーズンからはなんと!ランク戦に初の実況システムが導入される事となりました!!そして栄光ある初の実況はこの私!武富桜子が務めさせて頂きます!!」

 

これまでのランク戦は各部隊が戦っている光景を個人個人がただ観戦するだけのものであったが、今実況を務めている竹富桜子が上層部に熱いプレゼンを行った結果、実況システムが上層部にて承認され諸々の準備が終わり今シーズンにてようやく実装されたのである。

 

そして今回はその実況の様子をサンプルとして上層部へ提出するため、発案した本人である竹富桜子がする事となった。

 

「そして解説には、最近玉狛支部に移籍した烏丸先輩に、前シーズンでA級入りを果たした三輪隊狙撃手の奈良坂先輩にお越し頂きました!!」

 

ちなみに桜子が誰を解説に呼ぼうか悩んでいる際、佐藤隊が出ると聞いた奈良坂と烏丸が是非にと名乗りを上げたのである。

 

「「よろしくお願いします」」

 

2人の声が会場に響き渡る。

すると場内に黄色い歓声があがった。

 

ボーダーの中でも屈指のイケメン2人の解説ともあって、女性C級隊員は蕩けた顔をしている。彼らに想いを寄せる女性隊員は多い。試合そっちのけで浮き足立ってしまうのも無理は無いだろう。

 

「そういえば佐藤隊の古寺隊員は奈良坂先輩の弟子でしたね」

 

「そうですね。あと京介もカズマの師匠です」

 

「なんと!?これは解説が楽しみですね……ん?」

 

たしかカズマ先輩は鳥丸先輩より年上だったような?と桜子の脳裏によぎったが気にしないことにした。

 

「いえいえ師匠なんてそんな。スコーピオンの使い方とグラスホッパーを教えた程度すよ」

 

「と、そうこうしている内にもう試合開始の時間となりました!それではB級ランク戦昼の部、転送開始です!!」

 

3部隊が市街地Aにランダムに転送される。

大きなモニターには各隊員の転送位置が表示されている。その中で特に興味深いのはマップ北部だ。間宮隊がやや固まって転送されていた。

 

「おっ……間宮隊はかなりまとまって転送されたな。集結されると厄介だぞ」

 

「北添隊員、吉里隊長、来馬隊員の転送位置は南部!だいぶかけ離れており間宮隊の合流阻止は難しいか!?合流を阻止できるのは同じく北部に転送された月見隊員くらいでしょう!しかし一人で突っ込めば間宮隊のハウンドストームの餌食になります!!」

 

「あとカズマ先輩は少し離れてますがこの程度ならグラスホッパーを使って間宮隊合流の前に一撃は加えられると思います。そこでだれか一人でも落とせればデカいですね」

 

「なるほど」

 

まあ、お世辞にも上手いとは言えないが、と烏丸は内心つぶやいた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

『楠本さん、詳しいマップ情報を頼みます』

 

『了解』

 

転送されてすぐオペレーターの楠本に送ってもらった詳細なマップ情報に目を通す。

 

『今回は運がいいな。皆かなりまとまって転送されてる』

 

そう間宮隊長が言って楠本さんに合流ポイントを探るよう指示を出す。その声音には喜びの色が滲んでいて、口元も釣り上がっていそうだ。

 

まあ無理もない。事実今回はとても運がいい。こんな転送位置滅多になく俺、鯉沼三弥も送られた地図を見ては口元が緩むのを実感する。

 

 

間宮隊長は北東に。俺はマップ中央からやや北に。そして秦隊員は北西にと皆北側に集中して転送されたのだ。

 

『でも隊長が1番離れてますし、近くに誰か1人いるんで不意打ちにだけは気を付けてくださいよ……はい移動経路送りました』

 

オペレーターの楠本がそう言い、それを迂回して合流するための移動経路が3人の視界に映し出された。

 

「「「了解」」」

 

俺達、間宮隊にとって今シーズンB級ランク戦は幸先のいいスタートとなった。

とはいえ、油断は禁物だ。順調だからこそ、ここはいつも以上に手堅く行こう。

そう鯉沼は自身に言って聞かせ気を引き締め直す。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「おっと!間宮隊は大方の予想通り合流の動きか!」

 

観戦室のモニターでは間宮隊の三人がそれぞれ同じ場所に向かい移動を開始する光景が映し出されている。

 

「今回は転送位置が良かったな。普段は合流前に妨害されるか、ようやく合流しても他の2部隊、3部隊から集中攻撃されるからな。ただ……」

 

「ええ、向こうの視点ではバックワームのせいで分かりませんが、カズマ先輩がグラスホッパーを使って鯉沼隊員のすぐそこまでやって来てます」

 

マップに点在するカメラがグラスホッパーとバックワームにて鯉沼隊員の下へと向かっているカズマの姿を捉えた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

間宮隊の鯉沼は視界の隅に表示される移動経路に従い移動を開始する。

そうしてしばらく道なりに進んでいるとオペレーターから驚愕した声が聞こえてくる。

 

『っ!!……待って鯉沼!急に近くに反応が出た。すぐ後ろ!バックワームで近づいてたみたい!!』

 

オペレーターの操作する機器には先程まではなかった筈のトリオン反応が突然鯉沼隊員のすぐ背後に現れたのだ。

 

「っっ!!!」

 

振り返ると右手首から肘にかけてスコーピオンを鎌のように生やし、グラスホッパーを足元に展開するカズマの姿があった。

 

「グラスホッパー」

 

「カズマと接敵!」

 

カズマとの出会い頭、鯉沼はすぐ隊長達に状況を端的に報告する。

間宮隊の戦闘スタイルは連携が命。その為、敵と遭遇した際の状況報告だけは決して欠かさない。

そうすれば他の隊員達が対処法を考えてくれる。

鯉沼はただ目の前の相手、カズマにだけ集中すればいい。

 

カズマは足元に出したグラスホッパーを踏み一気に加速。

突き出した右腕から生えるスコーピオンが鋭い弧を描き一閃が振るわれる。

 

(速い!!)

 

ぐんぐんと急加速しながら向かってくるカズマを見て咄嗟に体を反らし回避を試みるも、避けることは叶わなかった。

肩から先をバッサリと斬り裂かれ、切られた腕は宙に浮く。

切り口からはモクモクとトリオンが溢れ出す。

 

「クッ!」

 

トリオンが漏れ出す右肩を左手で押さえトリオンの漏洩を抑えながらも、カズマを視界に捉え臨戦態勢を崩さない。

 

『鯉沼!今そっちに急いで向かってるからなんとか堪えてくれ!!』

 

そう鯉沼に1番近い秦が通信を寄越す。

声からは焦りが見受けられる。それもその筈だ。先程まで至極優勢だったのが、転じて今や間宮隊瓦解の危機なのだ。

 

しかし、次の瞬間間宮隊長からの通信が入る。その声は決して焦りなどない淡々としたいつもの間宮隊長の声だった。

 

『鯉沼、作戦変更だ。ここでカズマが来たのは逆にラッキーだ。そのまま釣り出してハウンドストームを仕掛けるぞ』

 

了解!、鯉沼はそう通信を送っては深く息を吸い、気合を入れ直す。

 

以前個人戦をした時は4-6で負けた。片腕は欠損。昨日映像を見た限りではあの日以降も更に強くなっている様だった。

 

だからといって負けるわけには行かない。俺たちだって日々強くなっているんだ。たとえそれがどんなに小さな一歩であろうとも。既にカズマには追い抜かされてるであろうとも。

 

精々隊長達が来るまでの間、精々粘ってやるよ!

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「カズマ隊長がグラスホッパーで奇襲!鯉沼隊員は右腕を落とされた!!これは痛い!!」

「カズマの失敗だな」

「えっ?確かに鯉沼隊員の腕を切り落としたはずですが……」

「あれは完全な奇襲だった。あれなら急所を狙えた筈だ。技量不足は否めない」

 

そう奈良坂は辛口な評価をする。

カズマらしくないと、カズマならもっと上手くできたのではないかとこれまでのカズマの活躍を見ていた奈良坂はそう思えて止まない。

 

「それはあれです。カズマ先輩は狙った場所に真っ直ぐ飛ぶくらいしかまだできないんですよ」

 

「「は?」」

 

2人はキョトンとした声を上げる。

 

「いや最初はもっと酷かったんですよ?狙った場所と見当違いの方向に飛んだり、体が回転しながら飛ばされたり。挙句の果てに着地ができなくて顔面から地面に着地したり。どうやったらそんな風になるんでしょうね」

 

とカズマとの訓練の日々を楽しそうに語る烏丸。

 

「スコーピオン教えるより苦労しましたよ」

 

「あいつ狙撃手やりだしたり器用なイメージだったんだが……」

 

「運動音痴なもんで、近接戦はC級以下でしたね。ですが格上を倒す戦術を持ってます。カズマ先輩は単体トリガー同士とはいえ出水先輩を一回倒しましたからね」

 

場内から驚愕の声が上がる。

烏丸はそれを内心楽しそうに聞いた。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

カズマは両足と左手を地面に着いてグラスホッパーの勢いを殺し着地の姿勢に入る。

ズザザっと手足が擦れ地面に着いて数メートルでようやく静止した。

そしてすぐさま飛び出しては距離を詰めては、足を深く踏み出しては重い一撃を繰り出した。

 

それを鯉沼は一歩、二歩と大きく後ろに下がる事で躱す。そしてすぐさま片手にハウンドを出現させ3×3×3に分割し、撃ち出す。

 

しかし、それよりも早くカズマがスコーピオンを投擲した。くるくると回転しながら鯉沼に向かって正確に飛んでいく。

 

「っく……シールド!」

 

空いていたSUBトリガーのシールドを発動。

胸前に30センチほどのシールドが展開され、スコーピオンはシールドに深く突き刺さっては勢いが止まる。

シールドにはスコーピオンを中心にしてヒビが入った。

 

その直後ダダダダダダダダッ、と機関銃の発砲音と聞き間違えるほどの発砲音がした。

眼前には、腰のホルスターから拳銃を既に抜き、こちらに構えていたカズマの姿があった。

8発の弾丸が一瞬のうちに撃ち出されては、スコーピオンの投擲によりヒビの入っていたシールドを叩き割り、尚も鯉沼隊員へ向かい進んでいく。

 

堪らず持っていたハウンドを捨て、ヒビの入ったシールドに重ねてシールドを展開し、シールドを突き破っては進む弾丸の進行を阻止する。

全ての攻撃を防いだと思ったのも束の間、既にカズマは目の前まで迫っていた。その右手には新たに出現させたスコーピオンが握られている。

 

クソ、と内心悪態を吐きながらスコーピオンの軌道上にシールドを展開。しかし、スコーピオンを前にシールドは破られてしまう。だが、その一瞬振るわれる一撃が静止した。その隙に鯉沼は大きく下がって距離を取る。

 

「アステロイド!」

 

そう叫ぶと、いつの間にかカズマの背後に置かれていたキューブが鯉沼に向かって飛んでいく。

 

「ハウンド!」

 

鯉沼も仕返しとばかりに先程置弾として捨てたハウンドをカズマに向けて飛ばす。

 

鯉沼は一直線に飛ぶアステロイドを今度は斜め後ろに下がり回避。

カズマはトリオンキューブが自身目掛けて収束したタイミングを見計らって集中シールドでその全てを防いだ。

 

「ハウンド!」

 

カズマは手元に出したキューブを3×3×3の計27発に分割。それを真横に向かって放つ。

するとハウンドはゆるやかな放物線を描きながら鯉沼の脇腹へと向かっていく。

そしてカズマはハウンドを撃ってすぐにスコーピオンを持って駆け出した。

 

「チッ!!」

 

ハウンドによる側面攻撃とスコーピオンによる正面からの攻撃。この角度をつけた攻撃に鯉沼はシールド2枚を使ったフルガードで対応する。

 

しかしこの選択が誤りだった。

 

攻撃の一切が来なくなったカズマはフルアタックを継続。シールドを2枚使ってる限りは置弾でも無い限り向こうから攻撃は飛んでこない。

 

つまりカズマは攻撃を継続している限り安全ということなのだ。

 

鯉沼はハウンドをシールドで、スコーピオンは全力で後ろに下がって避けるべきだった。もし仮にカズマがそのまま追いかけてきてもハウンドで牽制射撃すれば良いだけの事。

そうすれば展開は自然と中距離での射撃戦となり、カズマがシールドを突破するのが一気に難しくなっていた。そうなれば間宮隊集結まで楽に時間を稼げた。

 

しかし今は既に近距離戦。これは純粋な射手には厳しい。

 

 

カズマはハウンドを上空に撃ち出し、それと同時にハンドガンを抜き一気に8発もの弾丸を撃ち出す。

それを防ぐ為、胴体を覆うほどのシールドを展開。アステロイドの弾はシールドに当たっては弾けた。するとカズマは駆け出し、広がったシールドをスコーピオンで叩き割り鯉沼に迫る。

そして再び上空からのハウンド、正面からのスコーピオンが同時に鯉沼に襲い掛かる。

 

「シールド!……くっ!!」

 

上空のハウンドを受け止めスコーピオンも防ぐ。しかし今度はスコーピオンにシールドを突破されてしまった。

鯉沼は焦ってシールドを展開した分、調整が曖昧だった。そのシールドは先程スコーピオンを受けた時より面積が広くなっていたのだ。

シールドを叩き割ったカズマはさらに一歩踏み込み更なる一撃を振るう。

 

鯉沼は体をくの字に捻らせ後方へ飛ぶ。

その姿はあまりにも滑稽だが、なんとしても生き残るという信念が垣間見得た。

 

危機を乗り越えた鯉沼は大きく後ろに下がって距離を取ろうとする。幸いカズマは先ほどの渾身の一撃により大きな隙が生まれた。追撃はない、これなら距離を取れる。

そして二歩、三歩と下がっているとカズマが体勢を整えた。

 

「オラっ!!!」

 

そして大きく振りかぶりスコーピオンを投擲。

一直線に鯉沼へと飛んで行く。

 

「シールド!」

 

咄嗟に上半身を2枚のシールドで守る。これなら一枚を突破されてももう一枚で防げるはずだ。

しかしスコーピオンは予想外の方向へと飛んでいった。なんとスコーピオンは鯉沼の右足へと飛んでいたのだ。先ほどからあからさまに胴体狙いをしていた為、鯉沼はこの攻撃も胴体狙いだと思い込んでしまっていた。

 

しまったと思い体をよじろうとするも間に合わず、膝下から先を切り落とされてしまった。

バランスが崩れそのまま地面に倒れる。

 

機動力が死んだ鯉沼はもうカズマからは逃げられない。

だが鯉沼は十分に時間を稼いだ。

 

『悪い遅くなった』

 

隊長から通信が入る。そして隊長はいつもの勝利宣言を高らかにあげる。

 

『鯉沼!秦!ハウンドストームをしかけるぞ!』

 

突然、空の5割をハウンドが覆った。

鯉沼は起き上がってはニヤリと笑い、カズマに顔を向ける。

 

「ふっ、ハウンド!」

 

「こいつ!!」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

転送されてすぐに俺はバックワームを起動した。

 

「おいアクア。早くレーダー情報送ってくれ」

「ちょっと待ってなさい……えっとこれじゃなくて……えっと……赤だから、このボタンね!!」

 

転送されカズマはすぐさまアクアに正確なマップの転送を要求する。

やはり数日の訓練では一般オペレーター並みの能力は出せないか。

 

だが国近になんとか出来ないかと頼んだ所、マップ等を出すためのショートカットキー案を出してもらい、その他諸々の設定をして、あとは分かりやすいようにそのキーを色つきにしてもらった。

 

お陰でオペレーターに関する初歩の初歩だけはなんとかこの数日で覚えることができた。

なんでもこれは国近がオペレーターとしての操作を覚える際に、どのキーが何の役割なのかを覚える為にやっていた事なのだとか。

 

 

オペレーターはマップを見て戦況を判断するのも仕事の内なのだが、アクアは頭で考えるというより野生の勘で動くタイプなのでそういう事は難しいだろうということで、転送後すぐ俺に詳細なマップデータを送って俺が判断する事にした。

本来戦闘員の仕事ではないが、アクアにマップを見て判断してもらうよりはだいぶマシだ。

アクアに相手の考えなんてわからないだろう。

 

送られてきたマップを見つめる。そこには6つの赤点が点滅しておりそれぞれが動いていた。

 

「んー……点がいっぱいで分かんねえな」

 

そうぼやきながらマップを見つめる。

しばらくすると三つの点が同じ方向に向かって進んでいることに気がついた。

 

「これか」

 

変な動きをしていたので最初は分からなかったが、レーダーを見る限りおそらく東側のやつを警戒したのだろう。

そこに古寺と来馬は居ない。つまりそいつは吉里隊の誰かである。

 

ちなみに古寺は1番東側に転送されており、来馬南側に転送されている。そして俺は中央からやや西側に転送された。

運の悪い事にみんなバラバラに転送されている。この前の祭りで今年の運を使い切ってしまったか。

 

狙撃手の古寺は基本単独行動なので大丈夫なのだが、来馬が心配だ。離れてはいるものの北東方面に敵がいる。北側で集結しているのが間宮隊だろうからこれも吉里隊の誰かだと考えられる。

 

これは来馬との合流を優先すべきか……いや、間宮隊が3人集結するのは絶対に避けたい。

 

古寺の狙撃で倒せるだろうと思ったが、あの後ログを見ると狙撃を防いでいるシーンが何度か出てきた。3人がまとまって行動する事で1人1枚シールドを展開し互いに援護し合っていたのだ。アイビスも2枚の集中シールドを張られれば突破は厳しい。

念のためアイビスを古寺に入れたが3人まとまられたらかなり厳しくなる。

 

 

集合しようとしている3点の内1点は俺からもかなり近い。もし行動するなら今しかない。

数秒の逡巡の末答えが出る。

 

「よし、俺がグラスホッパーとバックワームで奇襲かけてくる。古寺も早く狙撃位置に着いてくれ!」

 

『今近くの高層ビルに向かってます』

 

『ごめんね僕はそっちに着くの遅れそうだ』

 

「悪い来馬先輩。1人で行きます」

 

『うん、気を付けてね』

 

「はい!……グラスホッパー!」

 

そう言ってグラスホッパーを起動。足元に出た踏み台に足を乗せ、一気に加速する。

 

 

 

 

 

 

「居た」

 

グラスホッパーによる全力移動をしていると間宮隊の1人、鯉沼隊員を発見する。

そのままグラスホッパーを起動、バックワームを解除してスコーピオンを右手に一気に距離を詰める。

 

グラスホッパーを踏んだ瞬間、体が一気に加速し出す。

距離にして30メートル。それが一気に縮んでいく。

そしてタイミングを測り、スコーピオンを振る。

その寸前、鯉沼はわずかに体を反らした。

その結果、鯉沼の胴を捉えていたはずのスコーピオンが右腕を斬り落とした。

 

やはり練習量がまだまだ足りない。狙った場所には飛べるようになったものの、狙い通りの場所に当てられない。

鯉沼が寸での所で避けたのもあるが、それでもあの程度なら狙いが正しければ確実に胸を切り裂けていた。

 

しかし反省は後だ。

鯉沼に攻撃をした後すぐ体勢を立て直し、両足と左手を使い急ブレーキ。

しかし鯉沼とは20メートル以上離れてしまった。この距離ではスコーピオンは使えない。

鯉沼が手にトリオンキューブを出現させた。

 

すぐさまスコーピオンを投げやすいククリナイフのような形へ変え、投擲した。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

転送されてすぐオペレーターが間宮隊と思しき三つの点を報告し、それを見る月見隊員。

その後バックワームを起動し、オペレーターの案内の元、最も近い方へと向かう。しかし、その時には佐藤隊隊長のカズマと間宮隊の鯉沼隊員が交戦していた。

 

「隊長。佐藤隊の隊長と間宮隊の鯉沼隊員が戦闘を開始しました。どうしますか?」

 

『それなら好都合だ。間宮隊はカズマと潰しあってもらう。念のため見張っててくれ』

 

吉里隊では倒す優先基準が、3人揃うと無類の強さを発揮する間宮隊の誰か1人、そして3部隊の中で唯一の狙撃手の古寺。その次にカズマであった。

人数の関係でカズマにまで対処できなかったが、警戒していた相手が互いに潰しあっているのだ。これほど好都合な事はない。

 

そう言われた月見はカズマ、鯉沼両隊員に対しいつでも襲い掛かれる距離まで近づき様子を伺い隊長の到着を待つ。

すると吉里隊長から無線が入った。

 

『俺ももうすぐ行くから待っていてくれ……いや悪い。行けなくなった……』

 

その無線の先では吉里隊長と佐藤隊の来馬隊員が鉢合わせしていた。

 

 

 

 

 

【オマケ】

各部隊マップ転送位置

 

【挿絵表示】

 




私このラウンド1やってifストーリー完成させてめぐみんとダクネス出したらしばらく怠けてても許される気がするの。
話は変わりますが、この前ちょっと言われたのでこの場を使って言わせていただきます。ダクネスもめぐみんも必ず出ます。めぐみんはカズマより早めに入隊してます。きっと何処かでメテオラの合成弾撃つ日々に明け暮れてると思われます。なのでいつかは必ず出てくるのでそれまで待っててください。

評価、感想等よろしくお願いします。

C級隊員編で面白かった話教えてください。

  • 1話この厳しい試験に合格を!
  • 2話この新入隊員に洗礼を!
  • 3話このC級隊員に勝利の栄光を!
  • 4話このC級隊員に弾バカを!
  • 5話このC級隊員にも狙撃手を!
  • 6話この狙撃手たちにハーミットを!
  • 7話このロクでもないランク戦に終止符を!
  • 8話このランク戦に菩薩様を!
  • 9話この愚か者に制裁を!
  • 閑話
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