この素晴らしいボーダーに入隊を!   作:こしあんA

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これで本当のround 1のラスト。


第27話 このB級部隊に打ち上げを!

吉里隊作戦室

 

吉里隊長は、解説2人の話を聞いてはその通りだと深く反省し頭を下げた。

北添は注文通り古寺をマークし更には撃破もしたのだ。そして月見は予想以上の働きをしてくれた。

それなのに俺は……隊長としての不甲斐なさに顔が歪む。

 

「すまん月見、北添!2人ともしっかりと点をとったのに俺は……」

 

「何言ってるんですか隊長」

 

「そうですよ」

 

2人はそんな吉里隊長の手を掴んだ。

 

「俺も結局古寺隊員を倒すのに時間が掛かり過ぎちゃいました」

 

「隊長が私に新しいトリガーを使ったらどうかって提案してくれたからあんなに頑張れたんですよ?自分が何もしてないだなんて言わないでください。私のあの一点は実質隊長の一点なんですから」

 

「なんだ、じゃあみんな一点ずつ取ってるんで誰も悪くないじゃないですか」

 

 

2人の言葉が、笑顔が、曇っていた心を晴らしていく。

 

 

ありがとう

口には出来ないが心でそう大きく叫んだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

一方佐藤隊

 

アクアは勝った時の為に密かに準備していたクラッカーをカズマにも渡し、紐を引く。

火薬の焦げ臭さと共に紙吹雪が舞い散る。

 

「初陣大勝利おめでとう!!!!」

「おめでとう!!!!」

「やったね」

 

俺に同調してアクアが扇子で紙吹雪を飛ばす。しかし古寺は下を俯いている。

作戦通り足止めには成功した。しかし最後のあの一撃。今思い返すともっと上手く出来たはずではないかと思ってしまう。

 

理性ではそんな事はないと理解している。しかし己の心が自身を問い詰めるのだ。

自分以外の2人が点を取っていると言うことが更にそれに拍車を掛けていた。

 

 

「おいおいどうした古寺? せっかく勝ったんだぜ?」

「いえ、結局何一点も取れずにやられた自分が不甲斐ないなって」

「何言ってんだよ。お前は十分働いただろうが」

「へ……?」

 

カズマからの予想外な純粋な賞賛を受け驚愕の顔を浮かべては顔を上げる。これ幸いとあれこれつついてくるかと思っていた。

 

「おい……何だその顔!俺が褒めたらそんな顔をする理由を聞かせてもらうじゃないか!」

 

「いえ、その……カズマ先輩が素直に褒めるのが予想外すぎて」

 

「このっ!……はあ、あのな? お前は間宮隊の陣形を崩したし、北添にやられはしたが十分時間を稼いだだろ。どれも無かったら俺たちは勝ってなかった。今回のMVPは俺!……って言いたいとこだけど間違いなくお前だよ」

 

そう頭をポリポリと掻きながらそっぽを向いて古寺に言う。

古寺の心は少しばかり安らいだ。

 

そうだ。来馬先輩の優しさは異次元だとして、この人は誰かが点を取れなかったからとそんなくだらない理由で責めたりはしない。いつもふざけてコチラを困らせたり、怒らせたりしてくるがそう言った類のことはしてこなかった。

 

出来ればその他の面でもまともになって欲しいが。

 

 

「カズマさん私は?私は?」

「そうだな。思ったよりは良かったぞ」

「ふふん!当然よ!私にかかればお茶の子さいさいだわ!!」

「お前にしては難しい言葉知ってるな」

「「!?」」

 

今回俺が指示を出す前にアクアが2人が来ていると伝えたがこれは予想外だった。

今回はアクアに指示を出したらそれに従ってマップを転送してくるくらいしか期待していなかったのだ。

頼むからその調子で伸びていってくれ。

 

 

 

先程のランク戦を改めて振り返る。

間宮隊のあの集結の早さはおそらくオペレーターの支援によるものだろう。

あれで分かった。アクアが最低限オペレート出来るようにならなくてはこの先常に情報戦で負け続ける。

バトロワゲーでは情報は武器よりも重要だ。もっと国近先輩に詰めて貰うのは当然としてこの際だ、宇佐美にも頼もう。

 

「来馬先輩も最後の援護ありがとうございます。あれなかったら死んでましたよ」

 

「ううん、こっちこそ助けてもらってありがとう。最後は援護が間に合って本当に良かったよ」

 

来馬先輩はシールドを用いた防御型の戦闘が結構上手い。今度麓郎に会わせてみるのもいいかもしれない。あいつの隊B級でも上の方だったし。

 

 

 

後、今回見つけた自分の課題だが、グラスホッパーをまともに使えるようにしよう。もう一度間宮隊と当たったら今回みたいに避け切れる気がしない。

他にもスコーピオンの技量も足りてなかった。タイマンであればあの程度の技量でも工夫次第でカバーできていた。だがB級ランク戦は考えなければならない要素が多すぎて一つ一つに手間を掛けていられない。

現に弾の調整が出来たのだって来馬先輩の支援があった時だけだった。

 

これは個人ランク戦と基礎練を積むしかない。

スコーピオンの素振りはしないが。

 

「とりあえずこの後初勝利の祝いも兼ねてどこか食いに行こうぜ?隊長として俺が奢るぞ」

「よっ!カズマさん太っ腹!!」

「いいですね!」

「ええっ、悪いよそんなの」

 

この中で最年長の来馬先輩はバツが悪そうに遠慮する。

 

「良いんですよ来馬先輩。この隊の隊長としてカッコつけたいんですから。それに防衛任務でかなりお金貯まってますからね。どうせ使い道なんてゲームと漫画とアニメくらいしかないんですからこういう事にも使わせて下さいよ」

 

「そんなに使い道が欲しいなら全部FXに打ち込めばどうです?先輩()()()は良いんですから」

 

「未成年が出来るわけねえだろ!」

 

「やろうとはしたんだ……」

 

宝くじ売り場のおばちゃんからはもう二度と来るなって言われたからな。

 

「脱線したな。とりあえず今度はお好み焼き行きたいからどっか良い所教えろ」

 

「はいはい!私知ってる!!かげうらってとこのお好み焼き美味しいわよ!!この前攻撃手のみんなと食べに行ったことがあるわ!!」

 

こいついつの間にそんな人脈を……太刀川さん経由なのだろうか。

 

「まあそれならそこでいいだろ。みんなもそれで良いか?」

「はい」

「うん」

 

 

 

そうして俺たちは夕方お好み焼き屋「かげうら」とやらに来た。

 

「へい、いらっしゃい……ってアクアじゃねーか。そんでこいつらは組んでるっていう仲間の奴らか」

 

中に入ると厨房からウニみたいにトゲトゲした髪型の男がやって来た。

 

「ふふん、言われた通り今度はみんなを連れてきたわよ!ほら感謝しなさい!!」

 

「んだとゴラ!……まあお得意様だからな、今回だけは特別にその態度許してやるよ。ほら、オメーらもサービスだ。うちのオススメ食っていきやがれ!」

 

そう言って男は上機嫌で厨房に戻っていった。

 

 

「おいアクア、あの人誰だよ」

 

「あの人はB級一位の影浦先輩よ」

 

「……はあ!? B級一位だと!?お前そんな人とどうやって出会ったんだよ!?」

 

「「……」」

 

古寺と来馬はお前がそれを言うかと言う目でカズマを見つめた。

 

アクアの事の経緯はこうであった。

6000ポイント帯に到達した地点でマスターランクに到達したばかりの生駒隊の南沢という子を倒したら、その噂を聞きつけた攻撃手がどれほどの実力なのかとこぞってアクアに対戦を申し込み、なんやかんやあって最終的に仲良くなったそうだ。その中の1人がB級二位の影浦隊隊長の影浦先輩らしい。

 

 

「いやいやいや! 待ってください。太刀川さんや影浦先輩、風間さんとも戦ったんですか!?」

 

「ええ、他には米屋、イコさん、荒船さんとも戦ったわね」

 

「全員猛者ばかりじゃないですか……」

 

ちなみに古寺は影浦が元A級であるという事は知っているがその点については触れるつもりはない。

 

とそんな話をしていると影浦先輩がやってきた。

 

 

「ほれウチのオススメメニューだ。こいつのダチだからな。オマケしてやる。たんと食いやがれ!」

 

「「「ありがとうございます」」」

 

残したら許さねえからなと言っては機嫌良さそうに影浦先輩は厨房に戻っていく。

 

「お前何したらあんなに気に入られるんだ?」

 

影浦先輩が持ってきてくれたお好み焼きセットをかき混ぜては鉄板に敷きアクアにそう言う。

 

「知らないわよ。なんか戦った後に『オメーは攻撃するって感情と同時に攻撃がやってくるから戦ってておもしれー』って」

 

「そうか、さっぱりわからん。あれか?あの人実は相当の厨二病か?」

 

「それはアレですよ。影浦先輩のサイドエフェクトの感情受信体です。自分に対する感情が体に刺さるそうですよ。嫌悪や悪意などはかなり不快に感じるそうです」

 

だから不意打ちや狙撃が通じないんです。と、この中では1番の古参である古寺が言う。

なるほどアクアはバカだから考えるより先に手が出るのか。

 

「カズマさん失礼なこと考えてないかしら?」

「考えません……ところでそのサイドエフェクト? ってなんだ?」

「トリオン能力が高い人に稀に現れる特殊能力ですよ」

「力の向き変えたり電磁砲放ったりできるのか?」

 

「この前そんなアニメ見ましたね……そんな便利な物ではなく基本的には身体能力の延長線上で耳がいいとか物覚えがいいとか目がいいとかそう言うやつです」

 

「じゃあ俺がゲーム上手いのは?」

「それはただのやりすぎです」

「じゃあ缶のコーンスープの粒々を残さずに飲めるのは?」

「そんなのがサイドエフェクトでいいんですか?」

「カズマさんカズマさんもう焼けてる焼けてる!」

 

と話しに夢中になっている内に焦がしてしまうところだった。

俺はコテを両手に持ちタイミングを見計らう。

 

「せーの!!……あっ」

 

ひっくり返そうと持ち上げた瞬間べちゃっと崩れてしまった。

 

「ふふんカズマさん見てなさい!これが本当の返し方よ!」

 

と言ってアクアはヒョイっと華麗に裏返す。

 

「アクア先輩そのやりかた教えてください」

「僕もお願い」

 

2人はカズマのような失敗はしたくないとアクアに頼み込んだ。

 

「ふふんしょうがないわね!!」

 

厨房からこっそりと見ていた影浦はフッと頬をゆるめた。それはまるで孫の成長を見届ける祖父のようであった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「いやー美味かったな。また今度来ようぜ」

「いいですね」

「そうだね」

 

流石に影浦先輩から出してもらった物だけを食べて帰るのは申し訳なかったので最後にデザートを頼みその会計をしようとしにレジへ向かう。

 

「そうだろそうだろ。またいつでもこいや」

 

今度はレジに影浦先輩が立っていた。

しかしアクアがこのままボーダーの連中と関わっていけばこいつのダメな部分が解消されていくのでは?

朱に交われば赤くなるという諺があるようにまともな奴と関わればアクアも多少はまともになるかもしれない。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「今更なんだが……」

 

俺はとあることに気づき気まずそうに呟いた。

 

「なんです?」

「奢るとか言っときながら今回一銭も払ってないぞ」

「いいじゃない! カゲさんがああ言ってたんだから。得しちゃったわね!」

 

そうは言うが隊長として奢りたいと言ったのにこれでは少し恥ずかしい。

今度来た時は今回のお礼にあのお店で1番高いやつでも頼もうと心に誓った。

 

 

 




この素晴らしいボーダーに入隊を!アクアのターンとか書けそう(小並感)
いらないか。
最初はネタで辻ちゃんの予定だったけどそれだと「女の子相手ならしょうがない」で片付けられてしまうので南沢くんに負けてもらいました。

C級隊員編で面白かった話教えてください。

  • 1話この厳しい試験に合格を!
  • 2話この新入隊員に洗礼を!
  • 3話このC級隊員に勝利の栄光を!
  • 4話このC級隊員に弾バカを!
  • 5話このC級隊員にも狙撃手を!
  • 6話この狙撃手たちにハーミットを!
  • 7話このロクでもないランク戦に終止符を!
  • 8話このランク戦に菩薩様を!
  • 9話この愚か者に制裁を!
  • 閑話
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