二番隊隊長は最強の自由人 作:褐色はいいよなぁ
「いやー、やっぱこっちの世界はいいなぁ」
俺はいつものお菓子、チョコがコーティングされたビスケット…ブラックサンダーがたんまり入った木のざるを抱え、現世の河川敷を散歩していた。
「空気がうめーわ、景色は良いわ、息抜きにはちょうどいい場所だなぁ」
のびのびした足取りのまま体を伸ばす。
「一応、虚は対処してるし仕事してる仕事してる。偉いなー俺」
包装を開け口の中に菓子を放り込む。
うん、うまいうまい。
「っ……と、またか」
ここから離れたところ……虚の気配。まだ出現はしきってないが直にかなりの数がその姿を現すことだろう。
近くには……死神が1人、2人、3人……これは4人目に入るのかな?力が弱まりすぎてるやつが1人。どうしたんだろ。
後は……
と、後は……?よく分からんやつが2人いる?死神じゃないし滅却師でもないし…何だこの2人。まだ力に覚醒してないようだけど。
離れすぎててよく分からん。もうちょい近づけば誰が誰か分かるだろうけど、
「ま、これだけいるなら……なんとかなるっしょ!」
ヤバそうならこっから援護すればいいし、のんびりと行きましょ。
そんなことを思いつつ河原の少し坂になってる野原に寝そべり菓子を口へと運ぶ。
「のどかだなぁ…」
そんなことを呟きながら瞼を閉じた。
「……ん?…んぁー、寝てたか」
どれだけの時間が過ぎたか。どうやら寝てしまってたらしい。
空を見ても太陽の位置がさほど変わってないことからそこまで時間は経ってないだろうとは思うが、
「さて、あちらさんは……っと、こいつぁちと不味いか」
死んだ奴はまだ無し。だが、出てきてもおかしくない。
致し方なし。
「手伝うかぁー」
義魂丸をひとつ取り出し口に放り込む。
直後に義骸から抜け出す体。
「そこで寝てていいから」
「分かりました」
俺の言葉に寝そべる義骸。
とりあえずこれで周りからの目は気にならなくなる。
腰の木刀を抜き取り河川敷を下る。
開けた場所、そこに立ち足元を数回踏みならし踏ん張りが効きやすいように。
「よし、やるか」
その言葉と共に木刀を振るった。
直後木刀から放たれた10の赤黒紫の斬撃。
「……数が多いな」
一般の隊員じゃなくて副隊長さん方が出てもいいレベルの案件ちゃいますか、これ。
どんどん増える増える。斬った手応えは感じるが倒すのとほぼ同スピードで産まれてくる。減りがない。
「はてさてどうするか。……こんなんなら向かうべきか」
いっその事ひと塊になってくれるなら一撃で終わらせられるんだがな。
滅却師くんも死神くん達も頑張ってくれてるみたいだけど……お?よく分からん2人も力が覚醒してるな?戦っとる。
……ほう、倒せたのか。そいつは重畳。後で顔を拝んでおきたいね。
それにしてもどうするかこの状況。
いかんせん距離が離れすぎてる。その場にいるならどうということもないがここまで離れると場所の細かい特定から狙い撃ちまで神経使うから一度に十体くらいしかやれんし。
とそんなことを思っていた時、
「お?」
虚が移動してるのを確認。
1箇所に集まるように、集合場所に向かう友達のように、1箇所に集まりまとまり、
「……
出てきてしまいましたかメノス・グランデ通称メノス。
虚の上位種でこいつが出てきた場合確実に隊長クラスの死神が欲しいものになるんだが、
「……殺り合おうとしてるのか」
それなら横槍刺すのは無粋ってものだ。
ひとまずは傍観といこう。……別にサボりたいわけじゃないけどね?
そうやって空を流れる白雲を眺めていると、途端に感じる異常な霊圧。
「……やっば」
どうやらその霊圧の主がメノスに攻撃をぶち込んだようだ。
「凄いね。4、5席にいてもいいレベルだ」
そう思うのはお世辞じゃない。事実。
だが大虚は倒しきれてはない。
しょうがなし。
「トドメは俺が刺そうか」
屈伸をひとつ、木刀を構え、
「うーん、この距離なら上げとくか。大虚だし」
木刀に語りかけるように呟いた。
「進め、『天下』」
直後木刀を中心に巻き上がる赤黒い紫の斬撃の嵐。
その嵐を収縮、木刀の中へと封じ込めるようにまとめ、
「よっこい……せ。っと」
空に向かって振り下ろした。
「ちゃんと当たるのよー」
そんなつぶやきと共に斬撃は空を駆けて行った。
+++
「一護がメノスを両断してしまいおった…!」
たまらずこぼれた言葉。
私が力を与えた元人間のあの男があのメノスに傷を与えた。
驚くなという方が無理だろう。
そんな半ば放心状態になっていると目の前の大虚が空間を裂き帰ろうとしていた。
その瞬間だった。
突如として飛来したひとつの巨大な斬撃。
赤く、黒く、そして紫の独特な色をしたその斬撃は目の前の大虚を空間ごと袈裟斬りに叩き斬った。
「「「「!?」」」」
あまりの突然の出来事にその場の誰もが驚きを顕にした。
大虚はそのまま空間の裂け目に倒れ込むようにして消えていった。
最近見た一撃。やはり見て思うのは、この一撃はあの隊長で間違いないだろうということ。
「またこの攻撃……どこの誰がどっから打ってきてんだよ」
一護が引きつった笑みを浮かべ斬撃の跡を見ていた。
確かに、あの隊長はどこにいるのか。近くにはいない。
いや、もしかしたらいるのかもしれない。霊圧や気配を消すのが上手いから単に気づかないだけの可能性。
それか、
「は、はは。マジでスか。あの人今
浦原も冷や汗を流し空を眺めていた。
「一体どこから…」
「……まあ、角度、威力から見てそうでスね……
「と、隣町からだと!?」
バカな!そんなことが……ない、と言いきれない。
隣町からこっちの虚の気配を完璧に探り寸分違わずに斬撃を飛ばす。
並の芸当では無い。
「……会いたいような、会いたくないような、複雑な気持ちでスね」
考え込む私の耳に浦原のそんな声が入ってきた。
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