二番隊隊長は最強の自由人 作:褐色はいいよなぁ
180cm、64kg
細身の猫背の男。
白い長い髪をアップ髪でまとめてる(艦これ電の髪型イメージ)
光のない黒目にメガネ。
死覇装も隊長の羽織も身につけることなく普段から私服で過ごしている。
「たでーまたでーま。みんなのアイドル、鏑くんただいま帰還」
そんなことを喋りながらドアを開ける。
約5日ぶりに見る我が執務室。
現世での休暇を終え、続いて尸魂界での休暇に切り替えようと戻ってきたはいいが、その執務室。俺の椅子に腰かけて書類の山に埋もれている目の下に隈ができた1人の少女。
「お、シャオちゃんおつおつおー」
「……隊長」
死にそうな声でこちらを見る砕蜂。
「どうしたどうした。そんな5日近く寝ずに仕事してた社畜みたいな顔してるぞ?」
「まさにその通りですよ」
なんと、それは大変だ。
「さ、今すぐ寝なさい。そしてお風呂に入り、それからまた仕事をしなさい」
「……あ、隊長がやってくれるってことは」
「俺この後行くとこあるから」
「……そですか」
そう言いながら立ち上がるシャオちゃん。
体に乗っかっていた書類が地面に落ちる音が耳に入って、その次の瞬間、
「フッ…!」
「……危ねー」
顔に目掛けて飛んでくる足。
頭を傾けかわしつつその足を捕もうと━━
「シッ!」
「……」
空中で身を捩り蹴り出した足を引き逆側から顎を狙った軌道の蹴り。
それを腕で受け止めつつ、押し返した。
「クッ…」
「おいおいどした?思春期?」
「……う、う」
俺の言葉にプルプルと体を揺らしながら、そして、
「うるさーいッ!!!」
大声でそう叫んだシャオちゃん。
俺は両耳に指を突っ込んだ。
「5日ですよ!?5日!!その間、私がずっと仕事してましたよ!でもそれはいいんです!まだね!?いつものことですから!慣れてます!でも!この仕事量!見てくださいこれ!」
そう言って指さす場所は書類の山と海。白い紙がすごく散乱してる。汚いです。片付けましょう。
「この書類なにか分かります!?」
「……シャオちゃんの買い物の請求書とか?あ、また新しい下着とか買ったで━━」
「あなたの破壊した損害請求です!!」
俺の言葉に食い気味で赤い顔でそう叫んだ。
とりあえずこれは新しい下着買ってますね。
「あとセクハラです!」
「はは、何を言う早見優。俺たちのいつもの会話じゃん」
「今のが日常的な会話になってることをそろそろおかしいと思ってください!」
おかしいのだろうか。いいや、おかしくない。
それにしても、
「だいぶ溜まってんねー」
「溜まってますよ!毎度隊長が起こす騒ぎが原因で!」
「カッカッカッ!」
「笑い事じゃないですよ!?」
そんなシャオちゃんの怒号を笑い飛ばしながら地面に散らばる紙を拾い集める。
修理費たけ〜。ちよくんのポケットから出してもらお。
「兎にも角にもシャオちゃん、あんた目の隈酷いよ。女の子がそんな顔するのは宜しくない。てなワケでそこのソファで横になりなさい」
「え?……いやいや、私が寝たら今この仕事は「いいから」…!」
「寝る。分かった?」
「は、はい」
俺の言葉にシャオちゃんがおずおずとソファへと向かっていった。……こっちをチラチラ見ながら。
「いいから早く寝る」
「は、はい!」
そうしてソファへと座ったシャオちゃんは、座った体勢のまま戸惑いつつもそのまぶたを閉じた。
さて、
「やりますかね」
+++
机に向かっておよそ1時間。
当初の頃に比べ部屋中に散りばめられていた書類の数はかなり減り、大分室内はスッキリとしてきていた。
そんな時、部屋の入口そこに向かって誰かが来てるのを感じる。
「……」
この気配は……あいつか。
気配の主。そいつが扉の前に立ちドアをノックしようと、
「入っていいよ」
する前に声をかける。
あいつのドアのノック音はうるさいからな。寝てるシャオちゃんが起きてしまうようなことはやめて欲しい。
「し、失礼します……」
そう言ってドアを開けて入ってくる巨大な図体の男。
「よっす、ちよくんおつおつおー。なんか用?」
ちよくん。
二番隊副隊長の男。実力は隊長格には程遠いお金が取り柄の副隊長だ。
「か、帰ってきてたんすか」
「……何よ?帰ってきて欲しくなかった?」
「え?あ!いやそんなことはないです!はい!」
「声がデカい。シャオちゃん起きちゃうでしょ」
「え?」
目線と顎でシャオちゃんの寝るソファを示す。
そちらに目を向けたちよくんは慌ててその両手で口を塞いでいた。
ちなみに座った体勢で眠っていたが俺が横たわらせました。座って寝ると起きた時腰と首痛くしちゃうからね。
「それでどした」
「え?あー、その例の隊員の話で…」
「例の隊員?」
「あの十三番隊の朽木ルキアの件で…」
「ルキアちゃん?」
ルキアちゃん、十三番隊の隊員で六番隊の朽木白哉、通称びゃくやんの義理の妹。
性格は至って真面目で可愛い物好きのいい子。
そんなルキアちゃんが何かしたんか?
「……あ、隊長はやっぱり聞いてない感じですか?」
「なんかあったの?」
「へい、現世の方に出ていったきりで行方不明になったと…」
へー、あのルキアちゃんが。
……。
「そんでうちの隊に話が来て隠密機動部隊が調査した結果、現世の方で義骸を発見。さらには人間に死神の力を譲渡していたと言うことでして…」
「……なるへそ。
「へい」
マジかぁ。もうあのじじい共の耳に入ったか。
「処遇はどうなる感じ?」
「まだ正式には……でも極刑になる方向に話は進んでるみたいっす」
「……うっそー。まじ?」
ルキアちゃんからの話もなしに極刑かよ。
おかしいにも程がある。
……やっぱあいつが絡んでるのかな。後で調べよう。
「おっけー、とりあえず了解した」
「うっす」
「あとちよくんこれ」
首だけ曲げて頭を下げるちよくんに差し出す書類。
おずおずと手を出してそれを受け取るちよくんを見ながら言葉を続けた。
「隊舎のもろくなってきてる箇所のリスト。お前の方で修理頼むよ」
「あ、了解っす。……あ、そっちは」
と言ってちよくんが指さした方向。俺の後ろに並ぶ紙の山。
「あーこれ?これは俺がぶっ壊した損害請求のやつ。これは俺の方で出すからいいよ」
「あ、いやでも俺が出します━━」
「いいよ。これは俺が壊した。なら俺のポケットから出す」
「あ、わ、分かりました」
そう言ってペコペコと頭を下げながら後ずさりするちよくん。
「そんじゃ、俺は失礼しますね」
「あいよー」
そうしてドアを開け部屋を出ていこうとする。
が、足を止めちよくんは顔だけこちらを向けて口を開いた。
「……隊長。やっぱりもっと今みたいな隊長の姿をみんなに見せた方がいいと俺思うんすよ。影での隊長の働きをもっと表に出して……二番隊は隊長のこと信頼できてますけど他の隊は…」
「……んじゃいいじゃん」
「え?」
「俺の隊のヤツらが信用してくれるなら別に問題は無いさ。つーわけでこれからもよろしく副隊長」
「……うっす」
納得はしてなさそうな顔。
それでも返事をひとつ残して言ってちよくんはその場を後にした。
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