鬼滅のトレーナー   作:にゃはっふー

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これはとある世界を生きた男と、いまを一生懸命に生きるウマ娘の物語


鬼滅のトレーナー

 地獄のような日々だった。

 

 俺が『俺』になり、こうして生きている事が億劫な日々を過ごすはずだった。

 

 俺には前世の記憶がある。今で言うところ、転生と言う経験がある転生者と言うものだ。

 

 俺の前世はそれはそれは酷い世の中だった。なんせ、人を喰らう【鬼】がいる世界でね。いまの時代が令和なら、当時は大正時代と言う時代。俺は地獄を生き抜いた。

 

 前世の家は剣士か鍛冶師を出して、鬼を退治する家庭であり、剣士に成るには【全集中の呼吸】と言う技術を習得しなければいけなかったのだ。

 

 五歳の頃から剣を振るい、冬の中で川に入り、呼吸により体温を高めて剣を振るう鍛錬、暗闇の中で鼠を取り、生き繋ぐサバイバル。

 

 地獄だった、地獄のような日々だった。

 

 それでも俺の階級、剣の強さは(きのえ)であり、柱には届かないほど弱かったのだ。

 

 呼吸にも種類があり、人には適した呼吸があるのだが、俺にはそんなものがなく、ただ使える呼吸を無理に繋げて使うしか無かった。

 

『お前は失敗作だ。いずれどこかでのたれ死ぬ』

 

『裏切る事だけはするな。死ぬなら仲間の盾となり死ね』

 

『呼吸も満足に扱えぬのに、なぜ剣士になろうとする?』

 

 親族全員から言われる罵声に心折れる事は無かった。

 

 知っているからだ。親族がここまで酷い修行方法を課すのは全て、その者の為だからだ。

 

 家を出ていく兄がいた。決して道を間違えないように教育して、十分な資金を出して店を出させて、遠巻きに人を使い、様子を見ていた事を知っていた。

 

 嫁いだ者もいた。孫の顔を決して見ず、幸せに暮らせるよう祈る事しかしなかった。

 

 俺に罵声を浴びせる父親は、死ぬ間際は俺のようになるなよと涙を流して死んだ。

 

 俺に冷たい目をしていた母親は、最後に一人にしてごめんと泣いて死んだ。

 

 刀を打つじいさまは、俺に最高の刀を打ってくれた。

 

 だけど、俺にできる事は盾になることしかできなかった。

 

 ああ悔しい、最後の最後に悪鬼の首領に出会えたと言うのに、対面して分かったのは、俺では攻撃を捌く事も防ぐ事もできず死ぬ事のみ。

 

 だから柱を守った、次に備えた。

 

 みんな覚悟は一緒だった。

 

 家族を、親友を、恋人を鬼に殺され、奪われた隊士達。

 

 この程度で鬼の首領を追い詰められるとは思わない。

 

 身体を八つ裂きにされる中、俺は刀を食いこませた。最後に突きの技を使い、斬られても斬られた瞬間に再生する鬼の足を縫い付けるように。

 

 それしかできなかった。

 

 朝日が昇り、全てが終わり、けが人が全て治療される中、俺は死を覚悟していた。

 

「よくやった。お前のおかげで無惨を討伐できた」

 

 口数が少なく、言葉を伝える事ができない柱が俺にそう言った。

 

 これで安心して死ねると思っていたが、俺には来世と言うものがあったのだ。

 

 地獄だった。

 

 前世を思えばぬるま湯のような平和な世界。助けたかった友も仲間も同期も愛した人もいない世界に、俺だけが生き残った事が許せず、俺はこの世界でも呼吸を習得した。

 

 なぜかって?俺はあの時、あの瞬間を全力を出して生きた。

 

 未練はある。惚れた女は最終試験で鬼に食われて死んだし、鬼の首領を相手した時も盾になる以外になにもできない。

 

 悔しかった。何もできない事が、何もできない己が許せなかった。

 

 そしていまを生きていても今を生きられない自分が嫌いだ。

 

 だけど、もしも俺がこの時代、世界に生きているのなら、誰かの為に生きたいと願った。だから俺はここにいるんだ。

 

 ………難しい話で分からないか

 

「うん、だけどね」

 

 ?

 

「トレーナーが誰かの為に頑張る人だって事は分かったよ♪だからトレーナー」

 

 ああ

 

「だからわたし頑張るね♪」

 

 ああ頑張れ、一等賞取ろうな。ハルウララ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

『スペシャルウィーク、グラスワンダートップに躍り出た』

 

 実況者と観客達はこの二人の一騎打ちだと思いこんでいた。だからこそ、中層のウマ娘達から視界を外した時、それが見えなかった。

 

(ッ!?清流!?)

 

 あるウマ娘は彼女の動きを見てそう印象を受ける中、突然、強風が巻き起こり、一気にそれは前へと上がる。

 

『おっと後続から誰か上がってきた』

 

『ハルウララ、ハルウララが上がってきた』

 

『速い、速いぞハルウララ竜巻のように上がってきたーーーーッ!?』

 

 ――雷の呼吸・壱の型

 

 その踏み込みをした瞬間、ハルウララは光った。

 

 霹靂一閃

 

 その瞬間、三着であったハルウララは一着へと躍り出て、瞬間、観客達は息を止めた。

 

 一瞬の静寂の中、ハルウララは呼吸を切り替えた。

 

 ――炎の呼吸・玖の型

 

「……煉獄」

 

 瞬間、炎が爆発したように加速するハルウララに、実況は炎の熱さを感じ取った。

 

『速い、炎の如く走るハルウララッ!このまま、このまま一着ーーーーーッ!』

 

 こうしてハルウララは初めての一着を、有馬記念と言うステージで決めた。

 

 ここからこのウマ娘、ハルウララの伝説が始まるのであった。




ハルウララの勝負服に変化あり、背中に滅の文字が刻まれ、ウララのピンクが映えるように黒い服に桜の文字が刻まれたピンクの羽織を着こむ和風服

鬼殺のトレーナー だいぶ年を取った人。初恋の相手は真菰であり、彼女から両親の事を信じてあげてと言われたから、親の行動を良く見て本心を知った。

だがそのお礼すらできず、ただ無力な中で全ての呼吸を繋ぎ合わせて使う剣士として活躍していた(人に合う呼吸をいち早く見つける為に、柱や産屋敷に顔を覚えてもらえるほど)

最後の戦いでまともに呼吸が使えない自分は役に立たないと知り、盾になる道を選ぶも、最後に身体を斬られながらも無惨の足を一秒止めた事を褒められて死ぬ

転生後は死ぬ思いして手に入れた平和なのに、仲間も誰もいない事に絶望していたが、頑張るウマ娘を見て、トレーナーになる事を決意

最終的には見事三冠バなどのウマ娘達を導く事もできた

ハルウララ 大好きなトレーナーに教えられ、全集中の呼吸を習得。得意なのは風と水

水のように隙間をかいくぐり、風のように相手を吹き飛ばし、炎の如く熱く、雷のように速い刺しをする(岩は?)

トレーナーのようになりたいから全部の呼吸を覚え、その時その時に合う技を使い、歴史を塗り替えまくったウマ娘になる
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