鬼滅のトレーナー   作:にゃはっふー

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怒られるトレーナー

 調子は良い。ハルウララは有馬記念から出られそうと判断した試合に出ては好成績を収めている。しっかりとタイトルも確保できているし、できないときはあるが、三着か二着と言う成績だ。

 

 なにより彼女自身が笑顔で疾走しているのが良いのだろう。ファン層もできており、グッズもできて、売れ行きは良いとのこと。

 

 ハルウララの走りは肺と骨が心配だが、最近不思議な事に、透けて見えるのだ。

 

 何を言っているか分からないが、俺は最近、ウマ娘達の筋肉の繊維や骨の軋み、そう言った身体の中が見えるようになっていた。

 

 最初は戸惑ったが、これがあればハルウララを万全な状態で走らせる事ができると喜んだ。

 

 いまはまだ二人だが、俺もトレーナーだ。理事長ちゃんからも他にもウマ娘を教えないかと話が来て居る。

 

 そんな事を思い出しながら、トレーナーの寮、自分の部屋で横になり、身体を休めて眠る事にした。

 

 明日はハルウララ以外のウマ娘を見て見よう。全集中の呼吸の素質があるか分からないが、見てみないと分からないからな。

 

 そして俺は眠りについた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「もしも~し、気がついてますか?」

 

 ん、なんだ?

 

「あ、気がつきましたか?それはよかったです」

 

 気がつくと俺の目の前に懐かしい人達が立っていた。

 

 柱の皆さまだ。とはいえ、音と風と水の柱様はいない。そんな状況で蟲柱様が話しかけて来ていた。懐かしい夢だな。

 

「気がついているならそれでいいです。私達は話が合って話しかけてます」

 

 話とは?

 

「はい、なに純粋無垢な女の子に殺人剣を教え込んでるんだこの野郎です」

 

 そう言いながら笑顔なのにこめかみに皺が寄っていて、シュ、シュと何かを殴る動作をする蟲柱様。この人は相変わらずだ。よく見ると姉君である花柱様が困った顔であらあらと頬に手を突き、微笑んでいた。相変わらず姉の意思を継いで笑顔を張り付けているが、基本は昔とまんま、怒りっぽいお方だ。

 

「お前は馬鹿か、頭の中に脳みそはあるか?それとも転生とか言うものを体験して、前世の後悔にぐちぐちとすがり続けたからおかしくなったか?なぜ平然と平和な世の中で鬼斬りの技を教え込む?その精神力だけは褒めてやるが」

 

 相変わらず蛇柱様はネチネチしてる。そんな事、あんただって前世の記憶があったら恋柱様に告白もせず、ネチネチ前世の業を元に告白の一つもしないだろう。遺憾である。

 

「聞いているのか?(きのえ)の筆頭で、炎柱の代行していたからと言って、今世には意味は無い事だぞ?分かっているのか」

 

「有無ッ、君が俺の後継として働いてくれていて助かったッ。ありがとう!」

 

 いえいえ、俺の他にも手伝う(かくし)や同じ階級の剣士もいたので、問題ありません炎柱様。とはいえ、応援していただいたのに柱の位まで上り詰めず申し訳ありません。

 

「気にするなっ!!君は自分に合う呼吸を見つけられず苦労しているのは知っている!!故に数多の呼吸の技を見て覚え、千差万別に使い分けてたのは見事だ!!」

 

「煉獄さん、褒めないでください。いまからお説教の時間ですよ?」

 

 炎柱様ありがとうございます、私なんかに気に掛けてくれていつも助かります。そしてなぜそこまで怒っているのか?

 

「怒る?怒りますよね?あなた、ハルウララ、でしたっけ。可愛らしい女の子ではありませんか、とても良い子です。話にしか知らない私達にもお祈りをしてくれるとても良い子です」

 

 あの子そんなことしてるのか、優しい子に育ってくれてありがたいことです。

 

「ウマ娘、と言うのは、私達では理解できない事は多々あります。それは昔の、あの時代の人間故に、走る事での競技への理解や、走り終えた後の歌や踊りと言った事に関する理解が追い付いていない為か知りません。それは今を生きる貴方しか分からない事もあるでしょう。ですが………」

 

 一息間を置く蟲柱様。その顔は笑顔なのに、般若のように怒りを秘めている。

 

「なぜ走る事には関係ない呼吸まで教えているのか、詳しく教えてくださいこの野郎」

 

「しのぶ、そんなに怒らなくて良いと思うの。彼も悪気があって教えてる訳じゃないし」

 

「姉さんは黙っててください」

 

 こちらに圧力を向けて居たら、ぐるりと花柱様に振り返り圧を掛ける蟲柱様。

 

 この人、昔も今も花柱様の扱いはそのままなんだな。そう思っているとぐるりとこちらに微笑みかけて圧力をかけてくる。死んでからも忙しい人だな。

 

 走る事に関係ない呼吸を教えるか。確かに水の呼吸は応用が効き、走る際に便利な点があり率先して教え、風や雷は壱の型が合うと思い教えた。

 

 そしてハルウララは言った。

 

『トレーナーみたいになりたい!』

 

 ですから全ての呼吸を教えました。

 

 そう答えると現代で言うところのフックを仕掛けて来た。痛い。

 

「貴方が持つ呼吸の型の数がどれほどか分かってて言ってますか?花の呼吸から蛇の呼吸、霞や恋の呼吸まで形だけならできて、実戦に置いて五つの呼吸を使い分けて使う貴方の戦術。走る事には関係ないでしょう?」

 

 それに関してはそうですが、あの子が覚えたいと言ったのだから教えたんだ。怒られる事ややましい事は一切ない。俺は教え子の願いを叶えたに過ぎない。

 

「千歩譲って俺の蛇の呼吸は教えても良いだろう。だが」

 

「南無……岩の呼吸、いまだに使われていない。私は悲しい、あんなに頑張って習得していたと言うのに、本来の競技に生かせないとは。あの子が不憫でならない」

 

 岩柱様、そんなにあの子の為に泣いてくれるなんて………俺、明日から頑張って、岩の呼吸でレースができるように頑張ります。

 

 そう言ったら今度はストレートで殴ってきた。痛い

 

「ですから関係ないですよね?あの子はもう十分強くなってます、競技と関係ないところで」

 

 確かに、笑顔で熊をやっつけて仲良くなってましたからね。そう言う蟲柱様のお顔は、可愛らしい顔なのにどこもかしこも怒りマークを張り付けて、もう微笑んでいるより睨んでいる方が楽なのではと思ってしまう。

 

 花柱様は困った顔であらあらと微笑み、恋柱様はなにを話そうかしらとキュンキュンしている。

 

「あっ、あのねあのねっ。あの子達のらいぶ?はとてもキュンキュンするの!とてもステキで、凄い事だと思うの。私はあの子が恋の呼吸使ってくれる事がとても嬉しいわ♪」

 

 ありがとうございます恋柱様。貴方はそのままで生まれ変わってください。きっと良い殿方とお会いになるでしょうから。

 

「貴様、なぜ俺を見ながらそれを言う?」

 

 別に気にしないでください蛇柱様。

 

「甘露寺さん、話が逸れてます。そもそもウマ娘さん達が熊を倒して仲良くなる事自体おかしい話では無いですか?あの子山の主になってますよね?伊之助さんですか?観客席に熊とか猪とか猿を入れて、貴方は何を考えているんですか?」

 

 あの子達はハルウララを応援しに来てくれた観客です。蟲柱様と言えど差別をするのは酷いと思います。

 

「せめて人の観客席に入れるなこの野郎。理事長さん達が報告を聞いて驚愕してましたでしょう」

 

 驚愕と言う扇子を持っているとか、多芸ですよね理事長ちゃん。驚天動地まであるなんて。

 

「何をのんきなことを言っているんですかあなたは?」

 

 しかし、ウマ娘なら熊くらい倒せますよ。他のウマ娘でも倒せる人はいます。

 

「確かにそうですがそうじゃなく」

 

「しのぶ、深呼吸よ。落ち着いて話さないとこの人は何一つ曲げないわ。ヒーヒーフーヒーヒーフー」

 

「姉さんのそれは違う呼吸法ですッ!」

 

 この人は死んでも天然だな。

 

 そんな事をしているとため息をつき、そして静かに話しかけて来る。

 

「あなたに私達がとやかく言っても聞いてくれないのは初めから知ってました。なにより相手はウマ娘。正直いまでもよく分からない種族の話ですし、それは貴方の方が良く知っているのだから仕方ないのでしょう」

 

 分かってくれましたか?

 

「ええ、ですから、彼女に変わりに話してもらいます」

 

 そう言って後ろから誰かが来る。ああお前か、真菰。

 

「うん久しぶり、元気にしてる?」

 

 ああハルウララと共に元気だとも。お前は相変わらずだな。

 

「死んでるんだもの、変わらないのは当たり前だよ」

 

 ………そうか。

 

「あのね、柱の皆さんは自分の呼吸を使ってくれるのは嬉しいけどね。鬼殺の技をあんなに頑張る子に教えていいのか心配してるんだよ?あなたが今いる世界は、戦う必要のない、私達が望んだ平和な世界なんだよ?」

 

 ………ごめん。

 

「謝るなら最初から教えない」

 

 ああ。だけど安心してくれ、痣も出させないし、骨折などの怪我は決して出さない。

 

 最近身体が透けて見えてね。骨の異常とか、相手の精神状態が分かるようになってきたんだ。だから………

 

 みんなが心配する、全集中の呼吸で大怪我を負う事は決して無い。させないから。

 

「南無………」

 

「初めからあの人に任せればよかった」

 

「まあまあしのぶちゃん、私は久しぶりにキュンキュンしたから。しのぶちゃんも素直に、ね?」

 

「………蟲の呼吸は大したものは無いですけど、使ってくれてありがとうと、伝えてください。貴方には水の呼吸か雷の呼吸の方が良いですよと」

 

 はい。

 

「まあ僕はどうでもいいけど、霞の呼吸も使えるなら使っていいから」

 

 最後にありがとうございます霞柱様。

 

「有無ッ!ではな」

 

「いつかまた会おうね」

 

 ああ………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 と言う夢を見たんだ。

 

「そうなんだ。いろんな人がいるんだね柱様って♪」

 

 ああ、みんな良い人達さ。ハルウララの事が心配で化けて出てしまうほどに。

 

 これからも無理はせず、怪我はしないように頑張っていこうか。

 

「だけどねだけどねトレーナー」

 

 ん?

 

「わたし頑張って岩の呼吸を使いたい。なんとかならないかな?」

 

 それは無理だね、あれは独自すぎる。いまのまま、山の友達のケンカ止める時だけにしようか。

 

「うんっ♪分かったよトレーナー♪」

 

 それじゃ、みんなで朝の体操しようか。身体をほぐす事も大事だからね。

 

「うん♪みんな頑張ろうね♪」

 

 そう言ってハルウララの山の友達達は吠える。理事長ちゃん達からはトレセンに入れるのはダメと言われているので、夏の合宿のみしか一緒にトレーニングできないが、仕方ない事だろう。

 

 いつか、ハルウララや山の友達以外にも、一緒にトレーニングできるようにしないと。

 

 俺はそう思い、どこからかあなたは全く分かっていないですねと。シュ、シュと素振りしている蟲柱様の顔を思い浮かべながら、気にせず始めるのであった。




鬼殺のトレーナー みんなに心配されたと思っている。その通りだけどそうじゃないと言う蟲柱の意思をガン無視している為、なにも変わらない。これからもそれからも、一つの呼吸を究めようとするウマ娘は現れ続けるだろう。

怪我をしそうなウマ娘や、精神状態が危ないウマ娘へ助言する。サイレンススズカ、ライスシャワーやトウカイテイオーはそのおかげで怪我せずに済んだ。

ハルウララ 岩の呼吸を使い、山の主である大熊を倒して、山の主としてみんな仲良くしようね♪とみんなと仲良くなった。最近は岩の呼吸を使い、レースに勝てないか考えるようになってくれた。南無。

理事長ちゃん いまだに鬼殺のトレーナーからちゃん付けされる理事長。いろんな意味で驚かされている為、扱いに困っている。自衛の手段も覚えられるからいいのかな?と考えだす。
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