この世界に転生してからいろんなことをするようになった。蹄鉄作りもその一環だ。
日輪刀を作り出す材料を元に作った蹄鉄は固く、重い代わり壊れにくく滑り止めとしてしっかり機能する。トレーニング用にぴったりである為、俺はこれを作り、ウマ娘に渡している。
ただ、まさか蹄鉄でも色って変わるんだな。ライスシャワーは蒼色に変わり、ハルウララは黒色に変わったぞ。気合い入れれば
ナリタタイシンやサクラチヨノオーが入り、チームが組めるようになった。
基本はやはり全集中の呼吸を用いたスタミナ獲得だろう。俺の教えで一番の強みは、やはりスタミナの上昇率だ。
全集中の呼吸は身体能力の強化にあるが、ウマ娘は格闘技をしている訳では無い。必要とされるのはスタミナ、スピード、パワー。他にも必要とされるものがあるが、教える事で個人差が出るのはやはりここだろう。
そして俺は無限のスタミナを発揮できる全集中の呼吸がある。それを軸に走り方を変えずに無駄をそぎ落とす。
各々の走り方は殺さずに、全力を出せるようにするのが育成方針だ。
それと他にあるとしたら、学力で他のウマ娘達から頼られている事だろう。
ハルウララもそうだが、走る事だけに集中して、学業をおろそかにするウマ娘はいる。彼女達の為にも分かり易いテストを作らなければいけない。
そんな事をしていると理事長ちゃんから、君は休んでいるかと聞かれた。いかんな、傍からすれば働き過ぎなのだろう。
と言う訳で少し早めに仕事を切り上げて、休む事にした。
「………」
何もせず、ただ窓の外を見る。
正直真菰や仲間がいない世界、鬼のいない平和な世界で俺がやるべき事は、ウマ娘達を育てる事だけしかない。休むと言う事は何もしないと言う事だ。
別に鬼殺時代が懐かしい訳は無い。大正時代でも頭のおかしい集まりなのは理解しているからな。正直、警察機関などが率先して鬼を退治したりすればいいんだが、色々あるんだよな。
あの時代、鬼の情報は悪い方へ転がれば、どこまでも転がった。
表向きに動けば、鬼は隠れてこそこそ人喰いはせずに行動するし、訓練もしない者が徒党を組んでもただ殺されるだけだ。全集中の呼吸を習得した者だってそうなのだから。
そして他国にこのことを知られれば、おそらく日本と言う国ごと、鬼狩りが始まる。日輪刀で首を跳ねるか、日光でしか死なないと言うのを理解せずだ。
はたまた鬼の首領と協力して、何かしようとして鬼に世界を売り渡す。正直、鬼の首領が自分の事しか考えていないおかげで、最悪の最悪にはならなかったのだと、いまなら理解できる。
鬼、そうは言ってはいるが、基本的に俺達の相手は人間だ。人間らしく命にしがみ付き、他者を蹴落として、自分だけ助かろうとする。そう言う生き物を滅殺する為にいた組織が鬼殺隊だ。
俺は鬼と人の違いなんて、好んで人を殺すか殺さないかくらいの考えだ。だって元を正せば鬼は人間だ。
鬼の首領の所為で人喰いに抵抗を覚えて居なかったり、気が狂っていたり、まともなのは、協力関係だった『たまよ』って人だけか。あの人も昔は子供を食ってしまって気が狂い、人を殺しまくったらしいが反省していた。許す許さないのはもはや俺達が決める事では無い。人を裁く権利など、俺達は持っていない。
鬼殺隊がやれるのは被害を食い止め、元凶であるあの野郎を殺す事。正義なんか無く、ただの身勝手な集団なのは理解できていたが、平和な世から見ると、かなりあれな組織だもんね。
産屋敷様は地獄に落ちるの覚悟でしていたけど、風柱様辺りはその辺は考えずに鬼殺するし、みんな殺す事を前提に動いてたから、お茶を濁さないとハルウララに話もできなかった。
まともなのって炭治郎君だけだったんじゃねえ?彼も彼で鬼は必ず殺さないといけないとは思っていたけど、まだ切り捨てた鬼を可哀想と思い、その身を案じていたけどね。
まともなの実はいない説。そりゃ非公認ですよね俺ら。誰一人もう悲しみの連鎖を止める為とは言え、殺す事を前提に動くんだもの。治せよ鬼化を。
まあ、被害者出してから人間に戻しても気が狂うから、もはやひと思いに殺した方がよかったかもな。
いかんいかん。やはり何もしないでいると前世の事を考えてしまう。あの時代、何が正解だなんて分からないし、被害者を出さないようにするにはあれしか無かっただろう。
いまの俺は、未来に走るウマ娘達のために働く。その理由は償いの意味、一族の業を償っている意味もあるし、あの時代で起きた事は全てが血なまぐさいものでないと証明する為だ。
全集中の呼吸も何もかも、滅殺の為だけにあるなんて悲しい事、ならずに済んでよかったよ。
◇◆◇◆◇
日が傾いて来るまで、一通り型の訓練をする。結局、これしかないのだ。
ウーマーイーツで何か外食頼もう。ピザ頼もうピザ。おいしいし。
そう言えば、ハルウララ、花の呼吸か恋の呼吸のような色と思ったけど、黒かったな。いまでは俺も色変わりの刀は黒く変わるが、黒い色はあの赤き色に変わる前触れだろうか?
試しに全力を持って、刃を潰している日輪刀を握りしめる。
多少色に変化があるが、いまの俺ならやれるはずだ。
痣を出さず、ただ全力で握りしめて、色が変わる。鮮やかな緋色だった。
そしてウーマーイーツからお届け物を受け取り、代金を支払って食べる。
昔では考えられないほど食文化が進んでいるな。昔は捨てられていたマグロも高値で売られるし、当時腹いっぱい食えるから、港町とかで炎柱様と恋柱様とで食いだめしたな。
寒い季節になったらチームのみんなで鍋でもやるか。その為にもこの無駄に広い部屋は役に立つだろう。理事長ちゃん達も呼んであげようか。同僚達も。
真菰、俺は元気にしてる。そっちも元気にしているか?
すまないな、気持ち悪いとか顔色一つ変えずに言いそうだけど、俺はこういう男なんだ。ぶっちゃけお前以外と結婚する気無いから、記憶がある限り独身貴族として生きるから。
『めんどくさいから、教え子の誰かにもらってもらいなよ』
………いま幻聴が聞こえた。真菰さん?いくらなんでもそりゃ言い過ぎですよ
『え~ライスシャワーって子は良いと思うし、その内に良い子はいるから、良いじゃないかな? それか理事長ちゃんでも狙えばいいよ? 椅子から落ちる時、パンツ見たんだし』
ダメだこの人。現実の生活を大事にしないから投げやりだ。いくらなんでも酷いよ、俺は真菰しか選ばないからな。
『えー』
えーじゃないよ。絶対に絶対、俺は何かない限り、結婚しないからな。
『誰かと結婚しなきゃ、結婚してあげないからね』
(´・ω・`)ソンナー
◇◆◇◆◇
変な夢見た。どこから夢だ?
いかんな、ビザ食った時に酒も飲んだのがいけなかったな。真菰なら言いそうな事を言い渡された気がするぞ。
とりあえず、明日はみんなの走りをチェックしたり、足りない部分を鍛えないと。
何人かぶつかり合うから、気を付けて、悔いの無い戦いをしてもらう。
いまの俺の目睫であり、やらなければいけないことである。
そう思い、俺は寝る準備をして明日に備えた。
鬼殺のトレーナー 前世の家が剣士か鍛冶師を輩出するので、鍛冶師として日輪刀が打てる。一級の物が作れない為に、そちらの才能は無いとおじいさんに言われている。
柱達との仲は良好であり、あの水柱ですら仲が良かった(一方通行)。
炎柱と恋柱、食い歩き友達。おいしい物の共有している。
風柱と蛇柱、誤解を受けやすい人達の為、彼らのフォローしていた。
水柱、みんなから嫌われていたが、言いたい事はちゃんと言葉にしろと口酸っぱく言い続けていた。言葉が足りない事を延々と言い続けていたから、蟲柱様は言葉足らずで誤解を受けていると知っていた。
霞柱、ご飯の世話や稽古相手を良くしていた。記憶を戻してあげたいがどうすればいいか当時は分からず、柱として接していた。忘れっぽいので代わりに色々覚えて、教えて上げた。
岩柱、音柱、蟲柱、花柱。関係は良好、柱の次に強い剣士として認めていたが、色は変わらないし、どの呼吸もその呼吸の剣士の次の為、色々心配されていた。それでも剣士として強く、下の者に慕われている為、柱に何かあれば彼に託す気はあり、炎柱の死後、その役目を仲間と共に引き継ぐので安心して任せていた。
大正こそこそ話。
実は色々な呼吸を知っているので、新しい呼吸の創造や、適性した呼吸を見つけるのに一役買っていた為、育手として活動してくれればいいなと思われていたらしい。本人が死ぬ気で剣士として活動していた為、表だって言う事は無く、剣士を紹介して指摘してもらうを繰り返していた。
産屋敷家からも信用されていて、独自の考え方を持つ事から、禰豆子の事で隊士の衝突が無いか、フォローを頼まれていた。炭治郎が活動する裏側で、隊士の衝突を止めていたのは、彼の功績と人柄のおかげもあった。
ちなみに本人は「身内が鬼にされても誰も襲わないのなら、殺さないでと願うのは普通の事だ。人を傷つけて傷付くのは兄では無く妹だ、妹の心を守る炭治郎君を俺は信じるし、俺も傷つけないように止める」
風柱様に、自分の時は殺すしか無かった、だから炭治郎も妹を殺すべきだと思うのは違うはずだと説得した。なにげに柱達の過去にあった事を知っている為、必死に説得したがケンカする始末。
死んて転生した後、風柱様と禰豆子が仲良くしているか心配していた時期がある。あの人の事だからなにも言わずに優しくして、お礼をちゃぶ台ひっくり返して受け取ら無さそうだから、心配している。恋柱様と蛇柱様が死んだ事は知らないので、あの二人は幸せなら良いなと思っている。
岩柱様は痣があったから、覚悟してた。蟲柱、霞柱は死んだと聞き、悔やんでいた。
無限城ではザコ鬼退治に必死で、誰のところにも行けず、そしてたどり着いて自分では対処できないと知って絶望して命を捨てた。
当時から鬼と人の違いは分からないと言う考えをしていた為、花柱の鬼と仲良くしたいと言うのを笑わなかった。自分もできればそうしたい、だけど鬼は鬼の首領の所為で人を食うのに躊躇いは無いし、人を一度でも食えば人には戻れないと思っていた為、その辺りの話を彼女としていた。ある意味似た者同士。
一度だけ喋られるようになった禰豆子の護衛を担当、兄から金平糖が好きと聞いたので、花屋敷の人達の分も買って渡してあげている。人を食わず、人の為に戦ってくれてありがとうと感謝していた。
名前を呼んでもらい、善逸から嫉妬を向けられていた。炭治郎とは真菰の話をして、なんとなくオバケとして鱗滝さんとこにいそうと笑い合った。炭治郎はきっといますよ、会いに行けばいいのにと思われている。会いに行ってもいまの俺じゃ嫌われるから会いに行けないよと苦笑した。
真菰 自分の事が一番好きと言っている癖に、綺麗な人とかと散歩したり食事したりしてるじゃんと怒ってる。自分の事ばかり考えて、自分自身の幸せを考えない彼の事は嫌い。幸せになればいいのにと思っている。
例え死体が無くても一度も墓参りに来ないし、カンカンに怒っている。その癖、欠けたお面をずっと持っていて、なに考えているか分からない。幸せになって欲しい、もう苦しまないでほしいと思っている。自分の事は忘れろこの野郎。最後に他人を庇って死んで、それでも死ぬまで戦って死んだから涙した。