日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
ゲンゲンダ平原北東部、ムー軍の管轄戦域。グラ・バルカス帝国軍はこの戦場において、圧倒的な優位にあった。
数の上ではほぼ互角だが、彼我の兵器の性能は雲泥の差があり、しかも戦術面でもムー軍が勝っているとは言い難かった。
緒戦はムーによるグラ・バルカス軍第22旅団が籠る陣地への準備砲撃から始まったものの、その砲撃は殆ど損害を与えることができずに終わった。
ムー軍砲兵が揚陸させた75ミリ野砲では威力に劣り、効果を上げるには大量に投射する必要がある。
しかし近代砲戦に関する知見に乏しいムー砲兵はこれで十分と判断、第22旅団の陣地に歩兵とデ・マン戦車を前進させた。
そして始まったのが第22旅団による反撃だ。されはまさに苛烈、の一言だった。
機関銃の一斉射撃と野砲の阻止砲撃にムー歩兵による突撃は粉砕され、続くデ・マン戦車の突進も対戦車砲によって頓挫した。
それでもなお、ムー軍は前進を続けようとする。
「怯むな!進め!」
とあるムー軍中隊長が叫ぶ。彼の率いる中隊は今、銃弾の嵐の真っ只中を進んでいた。その周囲では友軍の部隊が奮戦しているはずだが、通信は途絶えがちで正確な状況はわからない。
「突撃!突撃だ!!」
中隊長が絶叫すると部下たちも呼応し、雄叫びを上げて突進した。
彼らの周囲では迫撃砲弾の爆発音や、銃声が響き渡っていた。だが、そんなことは気にしない。彼らにとって大事なのは敵を倒すことだけだ。
彼らムー軍歩兵は勇猛であった。だが、敵の防御は想像以上に強固だった。
ムー陸軍の突撃に対し、グラ・バルカスはあらゆる火力をもって迎え撃った。
小銃、軽機関銃、重機関銃、擲弾筒などあらゆる種類の火器が、突撃してくるムー陸軍部隊に牙を剥いた。
銃弾を浴びて倒れる者が続出した。中には手足を吹き飛ばされ、血を流しながら地面を転がる者もいた。
それでも彼らは前進を止めなかった。
敵は自分たちより遥かに強い。だが、ここで退いては何のために今まで訓練してきたのか分からない。祖国のため、家族を守るため、彼らは必死に戦った。
しかしその思いも叩きつけられる鉄量にたいしては無意味だった。ムー兵たちは次々に倒れ伏し泥の中に沈んでいく。
「後退しろ!後退だ!」
誰かが叫んだ。
それに呼応してムー兵は次々と後方に退く。しかし、グラ・バルカス軍はそれを見逃さなかった。
「戦車前へ!敵を追い込め!」
グラ・バルカス軍の司令官らしき男が命じ、逆襲に転じる。現れたのは歩兵を随伴させたハウンド戦車だった。しかしそれは、従来のものとは大きく異なっていた。
車体、砲塔共にリベットではなく溶接された装甲板で覆われており、主砲は長砲身57ミリ砲に換装された改良型ハウンド戦車である。
その戦車はゆっくりと前進を始めた。そして後退するムー兵を容赦なく蹂躙していく。まるで狩りを楽しむかのように。
「畜生め……」
あるムー兵士は悪態をついた。この絶望的な戦いの中で彼は自分が死ぬことを覚悟していた。
だがその時ムーの軽戦車デ・マン数輌が急接近するのが見えた。どうやら追加投入されたらしい。
「助かる……」
その瞬間、轟音が響いた。
1輌のデ・マンは57ミリ砲弾を受け、吹き飛んだ。搭乗員は即死だろう。
残りのデ・マンが反撃に移り、果敢に短砲身37ミリ砲を撃ち込む。だが、それは無駄な抵抗に等しかった。
徹甲弾を正面から撃ち込むも、ハウンド改の装甲の前には通用しなかった。
逆にハウンド戦車の放った砲撃はデ・マンの戦闘室に直撃、大穴を開ける。
デ・マンは炎上しながらしばらく慣性で地面を走った。
「くそっ……」
兵士は悔しげに呟き、顔を歪めた。
ハウンド改の履帯が彼を轢殺すべく迫る。
「ちくしょう……」
兵士は諦観し目を閉じて、訪れる死を待った。
しかし、いつまで経っても苦痛はやってこない。恐る恐る目を開けると、そこにあったのは炎上するハウンド戦車であった。
「一体何が?」
彼が呆然とする最中にも他の車両が次々と撃破されていく。上空に轟くターボプロップエンジンと共に暗灰色の無人機が到来し、地上を這うハウンド戦車へ対戦車ミサイルを撃ち込んでいく。
「日本の援軍か!?」
ムー兵の1人が上空を見上げ、驚愕の声を上げた。
そこには8機の無人攻撃機MQ-3の姿があった。
MQ-3はムー軍歩兵部隊の直上を通過し、敵部隊へロケット弾を浴びせかけた。
ロケットの雨を浴びたグラ・バルカス軍部隊は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い、陣形が崩れていく。
「こちら日本国自衛隊。これより貴軍らの援護を行う」
ムー軍野戦指揮所の無線に共用回線で声が入る。
「日本!? 助かった!」
ムー軍将兵は歓声を上げ、その士気は再び上昇し始めた。それと同時に4機の攻撃ヘリOAH-2がムー軍上空に飛来し、対地支援を開始する。
30ミリ機関砲弾やロケット弾を地上へバラ撒き、グラ・バルカス軍歩兵部隊を薙ぎ倒していく。ある程度前線のグラ・バルカス軍戦力が片付くと、OAH-2は次の攻撃フェーズへ移る。
OAH-2には無人機の管制機能を有しており、それを活用してMQ-3に戦線後方に位置する敵砲兵陣地を徹底的に叩かせる。
対空砲火による迎撃は行われたものの、その攻撃はMQ-3の速度と機動性には追いつけず、下手な射撃は対空火器の位置を暴露してしまう結果となり、かえって損害を拡大させた。
そして遂に砲兵陣地と前線の戦車部隊は壊滅状態となり形勢は逆転する。
「総員着剣」
隊長の命令に従い、ムー歩兵たちはライフルに長い銃剣を装着する。
「突撃!奴らに地獄を見せてやれ!!」
隊長の怒号が響き渡り、彼らは銃剣を構えて突進した。
ムー陸軍の反攻により、戦況は一気にグラ・バルカス軍に不利となった。
「進め!進め!進め!!」
ムー陸軍の前線指揮官は部下たちに激を飛ばしながら自らも共に前進した。グラ・バルカス軍陣地から突撃破砕射撃が浴びせられるが、OAH-2の攻撃により火点は粉砕される。
銃弾が飛び交う中、彼らは敵陣地へと肉薄していく。
やがてムー兵たちは敵陣へ到達すると、そこで壮絶な白兵戦に突入した。
ムー兵は敵の塹壕に飛び込み、銃剣を敵の身体に突き立てる。
戦いの中、双方の兵たちは次々に倒れていった。銃弾に倒れる者、手榴弾の破片に倒れる者、殴殺される者……。
しかし、ムー陸軍は戦いをやめなかった。そして、ついにムー陸軍はグラ・バルカス軍の防衛線を突破することに成功する。
◆◆◆
グラ・バルカス帝国軍、第22旅団指揮所。
「バカな……!ムーに突破されただと」
第22旅団司令官シレノスは信じられないものを聞いたような顔つきになった。
報告によればムー軍は我が方の防衛ラインを突破し、後方に浸透しつつあるという。
「ムー相手に何をやっておるのだ!」
彼は怒りを露わにし、怒鳴りつけた。その声を聞きつけたのか、近くにいた参謀が寄ってくる。
彼もかなり焦っている様子だった。
「閣下、どうやら日本の航空機による攻撃が予想以上に効果を発揮しています。このままではまずいかと……」
参謀の言葉にシレノスは歯噛みした。
彼は自分のプライドが傷つけられたことに憤っていた。彼は今までムーのような格下など簡単に屈服させられると考えていた。
「おのれ……」
その時、1人の伝令が駆け込んできた。彼の顔面は蒼白だ。
「失礼します!! 日本軍が来ました!
「来ただと! どこにだ!?」
「ここであります!」
「は?」
理解が追い付かずシレノスは間の抜けた声を出す。すると、天幕の外から低く轟く砲声が聞こえてきた。
我に返ったシレノスは何事かと思い外に出る。そこには信じられない光景が広がっていた。
なんと自衛隊の10式戦車部隊と普通科部隊が出現し、味方陣地を蹂躙しているではないか。彼らは第81戦闘団所属の10式戦車で、334旅団との戦闘中に下された撤退命令の後転進し、ムー軍と交戦中のグラ・バルカス軍第22旅団の司令部へ回り込んだのである。
この攻撃にグラ・バルカス軍は全く対応できなかった。
ムー軍との戦闘によって彼らの意識は前方に集中しており、背後からの奇襲に対して無防備になっていたからだ。
また、自衛隊がこんなに早く駆けつけるとは思ってもいなかったことも災いした。
第22旅団司令部は混乱の極みに達する。シレノス少将は反撃を命じるが、統制を失った部隊はもはや烏合の衆でしかなかった。
10式の120ミリ滑腔砲が吠え、普通科隊員が20式小銃を撃ちまくる。
この戦闘にて第22旅団司令部は壊滅、シレノスは戦死してしまった。もはや完全に指揮統制を失い、組織的な抵抗が不可能となった第22旅団はムー相手に敗走を重ね、ついに防衛線が瓦解してしまう結果となる。