日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
イフォス市東部。自衛隊の先鋒部隊は大通りを西へと進軍していた。
先頭を行くのはドーザーブレード装備の10式戦車2両であり、その後方を木村三尉たち、水陸機動団の普通科隊員が続く。
彼らの前方、数百メートル先にはこの町の住人と思われる集団が見えた。
住民たちは手に花束や食べ物が入ったバスケットなどを持ち、こちらへ向かって歩いてくる。
一見彼らに敵意は感じられない。しかし、その正体はグラ・バルカス帝国の息がかかった住民であり、彼らが戦闘態勢に入るとたちまちのうちに牙を剥いて襲ってくるのだ。
「前方に民間人を発見。数はおよそ100人程です。」
歩みを止めず20式小銃を構えながら自衛官の一人が報告を行う。
その言葉を受け、隊長の木村は部下に命じた。
「警告は私がします」
木村は小銃を構えたままゆっくりと進む。
「こちらは日本国自衛隊です。前方の者たちに告ぐ、道を開けなさい。さもなくば発砲します」
彼は落ち着いた声で、しかし威圧的に告げる。すると、住民の群れの中から一人の老人が前に出てきた。白髪混じりの髪をオールバックにした初老の男性だ。
男は後ろに手を組み鋭い目つきで、自衛隊の一行を見つめている。
木村はその男の足元に向かって威嚇射撃を行った。
ダァン! 乾いた音が辺りに響き渡り、石畳が砕ける。
それでも男は微動だにせず、ただ静かに佇んでいた。
木村はその様子を見ると、男の胸に照準を合わせ躊躇なく引き金を絞った。
銃口より放たれた5.56ミリ弾は、寸分の狂いも無く男へ命中し、彼の胸を貫き血の華を咲かせた。
倒れた男の手から小型の拳銃が落ち、地面を転がった。
木村たち水機団の隊員はそれを認めると、前進しながら次々と射撃を開始し、住民たちを薙ぎ倒していく。
「彼らは住民に擬装したゲリラです。容赦する必要はありません」
10式戦車も多目的榴弾を放ち、住民を吹き飛ばしていく。
一方的な殺戮だった。
数分後、通りには肉片となった住人たちが散らばり、鉄錆びのような臭いを漂わせていた。
木村たちは警戒しながら先へ進む。
その様子を近くの建物の2階から双眼鏡で観察している二人の男がいた。
「ちっ、見破られたか。奴ら容赦ないな」
片方の男が忌々しげに舌打ちをし、もう一方の男は黙ってそれを見る。
この二人はグラ・バルカス帝国軍の兵士たちであった。当初の計画では
自衛隊部隊をゲリラに攻撃させ相手が混乱し、足を止めている最中に自分たちがロケット砲で、戦車を吹き飛ばす予定だったのだ。
だが、どうやら相手のほうが一枚上手だったようだ。となれば次の作戦に移行するしかない。
彼らは互いに顔を合わせ、うなずくと遠隔起爆装置を取り出す。それは路肩に仕掛けられた樽型IEDの起爆装置であった。男の1人が起爆装置のボタンに指をかけ、もう1人が双眼鏡で自衛隊の様子を窺ういながら起爆のタイミングを計る。
「もう少し待て……今だ!!」
掛け声とともにボタンを押す。
ドンッ!! 爆発音と共に爆炎が自衛隊を包み込み、鉄屑とかした10式戦車と死体が散乱する惨状が出来上がる――はずだった。
「あ、あれ? おかしい、爆発しないぞ?」
しかし、彼らの予想に反し、樽型IEDは起爆せず10式戦車は何事も無かったかのように動き続けていた。
「故障か?」
カチカチと何度もスイッチを押してみるが、起爆する気配はない。
IEDが起爆しない理由、それは自衛隊がIEDジャマーを携行していたためである。
彼らは事前にIEDの存在を予測し、対策を行っていたのだ。
予想外の事態を前に狼惑う2人だったが、すぐに気を取り直すと、今度は直接的な手段を取ることにする。
兵士の1人が窓から身を乗り出すと、そこから自動小銃を構え水機団隊員へ向かってぶっ放した。
ダンダンダン!7.92ミリ弾が自衛隊の頭上へ降り注ぐ。
しかし、その銃弾は狙いが甘く彼らを傷つけることはなかった。
だが、彼としては隊員の注意を引き付けておけばそれで良かったのだ。
その隙にもう一人が、別の窓からブル2ロケットランチャーを10式戦車へぶっ放す。
発射されたロケット弾は10式戦車の側面に命中し、轟音を響かせ爆発する。
しかし、その程度では10式の装甲を貫くことはできないため被害は無い。
「クソッ、ダメだ。装甲が強力すぎる」
兵士の一人が悔しげに言う。
ロケット弾で攻撃されて黙ってる自衛隊ではない。10式戦車の砲塔上部に設置されている遠隔操作機銃から掃射が始まった。
ドドドっ! 12.7ミリ弾がグラ・バルカス兵士2人が潜んでいる建物を襲う。レンガ造りの壁面に拳大の穴が空き、砕け散った破片が床に伏せた2人に降り注ぐ。
「ひぃっ!? なんて火力だ」
「逃げるぞ」
グラ・バルカス兵の2人は堪らずその場から離れようとする。
なんとか逃げようと試みるが、そこに10式戦車の主砲が火を噴いた。
ズガァァン!砲弾が建物に撃ち込まれ、2人は爆風と吹き飛んだ建材に揉みくちゃにされ部屋の中を転がった。
「ぎゃぁあああっ!」
2人の悲鳴が上がる。
朦々と煙が充満するなかで2人は身体中が傷だらけで血を流していたが、なんとか立ち上がる。
「畜生め……」
そう呟きながら彼は這うようにして壁際まで移動すると、壁に背を預け座り込んだ。
その時階段から足音が聞こえてきた。敵が来たのかと思い、武器を探そうとするが先程の砲撃で何処かへ吹き飛んでしまっていた。
階下から現れたのは20式を構えた水機団隊員数人だった。
彼ら座り込んでいるグラ・バルカス兵たちにを認めると銃口を向けてくる。
「あ…あ…」
兵士たちの顔には恐怖が浮かんでいた。
一方、水機団の面々は無表情だ。彼らの顔は感情を映さず、ただ機械的に目の前の敵を無力化しようとしていた。
ダァン! ダァンダァン!! 乾いた発砲音とともに、グラ・バルカス兵士たちの額に穴が開き、血飛沫が舞った。
「こちら1班、クリア」
無線で木村へ建物内の掃討が完了したことを伝える。
「了解。まだ敵が潜んでいるかもしれません。警戒を怠らないでください」
木村はうなずくと部下と共に前進を再開する。
彼らの目の前には老若男女の死体が散らばっていた。イルネティア人の死体だ。
その光景を見ても、木村含め水機団隊員たちの心は何も感じなかった。
それもそのはず彼らにはナノマシンが投与されており、脳内物質の操作によって感情を抑制するようにされていたからだ。
今の水機団隊員たちはロボットのように冷徹で冷静な存在だった。たとえ女子供を殺しても感情はフラットであり、何も感じることはないだろう。
だが、たとえナノマシンが投与されていなくても彼らは銃を撃つ事を躊躇わないだろう。
なぜなら、エストシラントでジン・ハークで、地球では平壌で上海で屍山血河を築いてきたのだから。
まさに恐るべき殺戮マシーンであった。
そんな彼らを止められるのは、この世界には存在しないのだ。
◆◆◆
イフォス市 ムー軍管轄域。
幾重にも轟く砲声が響き、砲弾はレンガ造りの家々を打ち砕く。
ムー軍は神出鬼没なグラ・バルカス兵やゲリラに対抗すべく、市内の住宅地へ向けて砲撃を加えていた。
市民を巻き込む行為であったが、彼らにそれを気にする余裕は無かった。何しろ、初めての大規模市街地戦なのだから。
戦況は数に優れるムーが優勢であり、徐々に市内の占領地を拡大している。
だが、抵抗するグラ・バルカス側の戦術は巧妙で、なかなか決定的な勝利を得ることができないでいた。
砲撃によって敵を排除するつもりが、逆に瓦礫と化した市街地は歩兵が隠身するには好都合となってしまったのも一因だろう。
そして今、ムー軍2等兵のハンダルは小隊の仲間と共にある建物を攻撃中だった。
それは、運よく砲撃で崩れなかった3階建ての煉瓦作りの建物で、周囲に高い建物があまり無いため見晴らしが良い。
また、窓も多く配置されている。これは兵が隠れる絶好の場所であり、一方的に射撃ができるということだ。
事実、今現在、彼らは窓から銃撃を受けている最中だ。そのためハンダルたちは建物に近づくことができていない。
「どうする? このままじゃジリ貧だぞ」
ハンダルは内心焦りながら思案した。
「正面から突っ込むのは無謀だな」
ドアルが言った。確かに彼の言う通り、既に1度突撃したが狙撃のみならず機関銃によって数人死傷していた。
そのため無理な突撃は断念し、かれこれ1時間ほどここに留まり撃ち合ってるがお互いに決定打を与えられず膠着状態に陥っていた。
と、その時だった。ディーゼルエンジンの駆動音が響いてきた。
ハンダルたちは振り返ると驚いた。何と1輌のグラ・バルカス軍のハウンド戦車が近づいてきているではないか。
ハンダルたちは咄嗟に銃を構えようとするが、それより早くハウンド戦車のキューポラから手が出てきてムーの国旗を振った。
「待て撃つな。俺達は味方だ」
やがてハウンド戦車は停車し、ハッチが開くと中から2人の兵士が降りてきた。
2人とも見慣れたムー陸軍の軍服を着用してた。
それを見たハンダルはほっと胸を撫で下ろす。2人とも顔見知りだったからだ。
「なんでグラ・バルカスの戦車に乗ってんだよ?」
ハンダルが戦車兵に聞いた。
「これは先のゲンゲンダでの戦いで鹵獲したものだ。悔しいがデ・マンより高性能だぜ」
そう言って、男は皮肉ぽく笑う。
その言葉にハンダルは驚く。あの戦車が鹵獲されていたとは……。
鹵獲された戦車は正確には2号中戦車ハウンドⅡの改良型、主砲を73口径57ミリ砲に換装し、車体、砲塔共に溶接構造に改めた物だ。
性能的には84ミリ砲を搭載したラーチャー戦車に劣るものの、それでもムーのデ・マン戦車に比べれば格段に強力な兵器だ。
ちなみに、この車両はグラ・バルカス軍ではハウンドⅡCと呼称しているらしい。
「ところで、どうしてここに来たんだ? 戦車を見せびらかしに来ただけか?」
ハンダルは冗談めかして尋ねた。その問いに対し戦車兵は首を横に振る。
「苦戦してるみたいだからな。助けに来てやったんだよ」
戦車兵の言葉にハンダルたちは笑みを浮かべる。
「あそこの建物に敵兵が籠っている。吹き飛ばしてくれると助かる。成功したら後で酒でも奢らせてくれよ」
戦車兵も笑い返した。
だが、すぐに真顔になると周囲を警戒するように見回す。
「あの建物だな。よし分かった」
戦車兵たちが再びハウンドⅡCへ乗車すると戦車を前進させる。
ハンダルたちもそれに続き、建物へと近づいた。
だが、建物まであと100メートルといった所で、建物の窓から発射炎が煌めく。
直後、窓の隙間から無数の銃弾が飛び出し、こちらへ殺到してきた。
それらはハウンドⅡCに命中し、激しい火花を装甲表面で散らす。
戦車兵たちは慌てる様子も無く、落ち着いて戦車砲を操作する。
57ミリ砲が旋転すると、次の瞬間、建物に向けて榴弾が放たれた。
榴弾は窓の中に飛び込み、爆発する。爆風とともに瓦礫が窓からドっと吹き出し、辺りに飛び散る。
続けて数発砲弾を建物へ撃ち込んでいく。
しばらくすると、建物の中から両手を挙げたグラ・バルカス兵達数人が出てくるのが見えた。どうやら投降するつもりらしい。
出てきた敵兵に対して、今度はハンダルたちの小銃や機関銃が容赦なく火を噴いた。たちまち敵兵から血飛沫が上がり、地面へ赤い水溜まりをつくる。
「ふん、俺達は捕虜を取らない主義なんだ。残念だったな」
ハンダルはそう言いながら、敵の生き残りを射殺する。
数分後、全ての敵兵が死亡したのを確認すると、ハンダルは改めて戦車兵に礼を言う。
戦車兵は苦笑しながら答えた。ハンダルは戦車兵の肩を叩くと、その場を去った。
その後、ハンダルは小隊の仲間たちに敵兵の掃討完了を告げる。
そして彼らは、敵兵の死骸を放置したまま、その場から去っていった。
◆◆◆
イフォス市内。とある建物の屋上にて── 陸上自衛隊のスカウトスナイパーである谷垣1等陸曹は、MK20 SSR狙撃銃のスコープ越しに市街地を見下ろしていた。
眼下にはありこちから煙が立ち上り、瓦礫と化した町が広がっている。
「谷垣、2時方向。建物の屋上」
傍らにいたスポッターである同僚の八島1等陸曹が声をかけてきた。彼は双眼鏡を構えている。その視線の先を追うように、谷垣はライフルの照準を動かした。
すると、視界にグラ・バルカスの兵士の姿が入る。
彼も屋上に陣取り、狙撃銃を構えていた。その銃口は真っ直ぐに通りを行くミリシアル歩兵の一隊に向けられている。距離は約500メートルほどだろうか。
「そいつを始末して、ミリシアルを援護する」
八島が言う。谷垣は静かに息を吐くと、呼吸を止めトリガーを引いた。
サプレッサーによって抑制されたくぐもった銃声と共に弾丸が吐き出される。
6.5ミリクリードモア弾は空気を切り裂きながら直進し、狙撃兵の頭部を粉砕した。
「タンゴダウン。ナイスショット」
八島が称賛の声を上げた。
その言葉に、谷垣は特に思うことも無く、ただ黙ってうなずくだけだった。彼は引き続きスコープで周囲の索敵を行う。
その時、彼は奇妙な車両を捉えた。それは箱型の車体にたくさんのアンテナが林立した奇怪な車両だった。
それにはグラ・バルカス帝国のマークが描かれている。
(あれは、おそらく……)
谷垣は胸の高鳴りを感じた。
「八島。10時方向にグラ・バルカスの車両がある。たぶん指揮車だ」
谷垣の言葉を受け、八島は素早く双眼鏡をそちらへ向けた。
それを見た八島の表情が変わる。
「間違いない。あれは指揮車だ。仕留めるぞ」
そう言って八島は通信機を取り、無人機のオペレーターに連絡を入れる。
しばらくして、彼の無線機に返事があった。
「こちらイーグルアイ。敵の指揮車両を発見。攻撃を要請する。座標は――」
「イーグルアイへ。要請受領。目標捕捉しました。照準用レーザーの照射を願います」
八島はSOFLAMレーザー照準器を取り出すと、それを起動させ指揮車へと照射する。
「レーザー照射よし」
しばらくすると、返信が来る。
「了解。目標指示装置作動確認。投下準備よし。
上空を旋回する無人機MQ-3から小型のレーザー誘導爆弾が投下され、指揮車へ突き刺さる。
轟音とともに爆炎が上がり、爆風が辺りを吹き飛ばした。
そして、指揮車の残骸と、それに乗り込んでいたグラ・バルカス兵達が空中を舞っていた。
◆◆◆
少し前、イフォス市。グラ・バルカス軍移動指揮車内── イルネティア島防衛軍東部方面隊司令官であるレイナルドは、戦況報告を聞きながら、目の前にある地図を睨んでいた。戦況は悪いとしか言いようがない状況だった。
先ほど、自衛隊が市内大通りに設けられた防衛線を突破したという連絡が入っている。他の区域でも友軍は奮戦しているものの徐々に押されつつある
(もはや絶望的か……)
レイナルドは心中で呟いた。彼は目頭を揉み、タバコを取り出して火を付ける。灰皿には吸い殻の山ができていた。
何日も指揮車の中に缶詰状態で、まともに寝ていないのだ。疲労の色は濃い。
(少し気分転換がしたいものだな)
彼は無性に外の空気が吸いたくなった。市街地では相変わらず激しい戦闘が続いている。
それでも、この狭い空間よりはマシだろう。と思える程に彼は困憊していた。
「すまんが、少し席を外す。遠くには行かん、外の空気を吸いに行くだけだ。数分で戻る」
部下にそう告げると、彼は護衛2人を引き連れ外へ出た。そして、大きく伸びをする。
そのまま彼は歩き出し、指揮車から10メートル程離れた場所で立ち止まった。
そこで彼はタバコに火を付け、紫煙を大きく吐き出した。
(おのれ日本め)
彼は心の中で日本に対する呪詛を募らせながら紫煙を燻らせた。
その時であった。突如として爆発音が響き渡り、指揮車が爆炎に包み込まれる。
彼は思わず振り返ろうとするが、爆風で吹き飛ばされた護衛にぶつかり共に地面を転げまわった。
痛みに耐えつつ起き上がる。すると、そこには信じられない光景が広がっていた。
指揮車が跡形もなく消し飛んでおり、周囲はそれを構成していた物が散乱している
さらに、護衛の装甲車も爆発の余波を受けたのか、横倒しになっていた。
そんな中、もう1人護衛のがよろめきながらも、こちらに向かって歩いてきた。その手には小銃が握られている。
彼はふらつきながら、レイナルドの前まで来ると、彼の無事を確認し、安堵したような表情を浮かべた。
「閣下、ご無事でしたか……」
「ああ何とか…偶然にも彼が私を庇う形になったようだ」
レイナルドの視線が自身にぶつかった護衛に向けられる。彼はレイナルドの代わりに爆風と破片をその身に受け全身血まみれとなっていた。既に事切れているのは明白だった。
「さっきの爆発はおそらく日本によるものだろう。早く移動しなくては」
レイナルドが護衛と共に歩き出そうとした時だった。突然、後方からくぐもった銃声が聞こえてきた。
護衛の背中に赤い染みが広がり、崩れ落ちる。
「動くな」
振り向こうとした彼を声が制した。
「こちらを向け。ゆっくりとな」
レイナルドはゆっくりと背後を振り返る。
そこに立っていたのは2人の自衛隊員――谷垣と八島だった。
谷垣の手にはMK20が握られており、その照準はレイナルドへと向けられていた。八島は20式を構え周辺を警戒している。全く隙のない動きだ。
「グラ・バルカス軍の将校だな、腹這いになり、両手を頭の後ろへ回せ」
「お前たちが、日本の兵士なのか?」
谷垣は返事する代わりにレイナルドの足元の地面に銃弾を一発撃ち込んだ。
思わずレイナルドはびくりと身体を震わせる。
「言ったはずだ。腹這いになり、両手を頭の後ろ。警告は1回までだ」
その言葉を聞いた時レイナルドの中で怒りが沸々と湧いてきた。
(忌々しい日本人め! 死なば諸共だ!!)
レイナルドは懐に手を入れると拳銃を取り出した。
そして、それを谷垣に向け引き金を引こうとする。だが、それより一瞬だけ早く八島の撃った弾丸がその手を貫いた。
激痛とともにレイナルドは拳銃を取り落とす。
同時に谷垣が発砲。レイナルドは額を撃ち抜かれ、仰向けに倒れる。
谷垣はレイナルドが息絶えたことを確認すると、司令部に呼びかける。
「敵指揮官と思われる人物を射殺。繰り返す、敵の指揮官と見られる人物を射殺」
指揮官を失ったグラ・バルカス軍は混乱に陥り、組織的抵抗は不可能になると思われたが、残存部隊や武装市民によるゲリラ的な攻撃が続き、戦闘は完全に終息するまでに3日を要した。
イフォス市は大きな被害を受けることとなったが、自衛隊の損害は事前の想定より少ない状態で戦闘に終止符が打たれた。