日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
少し時は遡り、ムー、ヒノマワリ国境の町アルーにて。
陸上自衛隊第7師団師団長、大内田陸将はムー陸軍第23師団シュブラン中将及び、ニグラート連合陸軍、ロデナ中将との会談を行っていた。
場所は町のホテルの会議室だ。議題はいかにしてヒノマワリ国内のグラ・バルカス軍を殲滅するかである。
「まずは現状を整理いたしましょう」
最初に口を開いたのは大内田だった。
「ヒノマワリ国内のグラ・バルカス軍はすでに我が自衛隊特殊作戦群の破壊工作により混乱状態にあります。さらに、ヒノマワリ国内はグラ・バルカス軍の無理な徴発により騒乱状態にあり、各地で暴動が発生しています」
大内田は手元の資料を見ながら淡々と話す。
「今こそヒノマワリ王国へ進撃し、同地を支配するグラ・バルカス軍を撃滅すべきです」
大内田はそう主張した。
「大まかな作戦を立案しましたのでご覧ください」
そう言って大内田はプロジェクターを使い説明を始めた。
「ヒノマワリ国内のグラ・バルカス軍基地はハルナガ京近くのここにあります。この基地は滑走路も併設されており、グラ・バルカス軍のヒノマワリにおける最重要拠点のひとつと言えるでしょう」
スクリーンに映し出された地図上の1点を指差す。
「まずはハルナガ京内の敵防空戦力を空自の空爆により破壊します。次に、この基地と、グラ・バルカス帝国の統治機構の建物や地上戦力をムーとニグラート軍の航空戦力により破壊します。これにより敵の指揮系統は完全に麻痺し、敵の航空戦力はほぼ無力化できます。最後に、地上部隊で一気に制圧を行います」
大内田の説明が終わるとロデナは拍手して言った。
「素晴らしい。完璧だ。我がワイバーン部隊の精強さを見せ付けてくれる!」
彼は自信満々といった様子である。
それとは対照的にシュブランは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「空爆するとおっしゃるが、町中にある建物を狙った攻撃は一般人を巻き込みかねん。ヒノマワリはムーの友好国。それは避けたいのだが……」
シュブランが懸念を口にすると、大内田は即答した。
「問題ありません。精密誘導兵器を使用しますので民間人への誤爆の心配は不要です。それに、多少のコラテラルダメージは許容せねばなりません。ここでグラ・バルカス軍に打撃を与え、奴らを徹底的に叩けるだけ叩いておかないと後々面倒なことになりかねませんよ?」
「しかし……むう……」
シュブランは言い淀む。
大内田の言うことは正しい。しかし、だからといって一般市民を犠牲にするのは気が引けた。だが、シュブランが迷っているうちに、 ロデナが口を挟んだ。
「何を躊躇っているのです。ヒノマワリなどグラ・バルカス帝国に抵抗もせず軍門に降った軟弱者どもです。そんな連中グラ・バルカス人共々焼き払ってしまえばいいではありませんか」
あまりに乱暴な物言いに大内田は眉をひそめる。
ロデナの祖国ニグラート連合はこの戦争で戦果を上げ、自国の政治的発言力を増すことしか考えていないのだ。そのためには手段を選ばない。
シュブランはその言葉に怒りを覚えたが、グッと堪えて反論した。
感情に任せた議論では勝てない。
「ロデナ将軍、今の過激な発言は取り消していただこう。ヒノマワリ王国は我が国にとっても重要な友好国である。ラ・ムー陛下も無辜の民が傷つくのは望まないだろう」
ロデナの暴論に対し、シュブランは冷静に諭した。その言葉にロデナはフンと鼻を鳴らし、シュブランから目をそらした。
場の空気が重くなる。大内田はシュブランとロデナの口論に割って入った。
「シュブラン中将のお気持ちはよくわかりました。しかし、これは軍事的な案件であり、政治の問題ではない。我々は軍人として与えられた任務を遂行するのみです。犠牲なしの完璧な軍事作戦などありえない。我々は可能な限り被害を最小限に抑える努力をする。それだけです」
大内田の言葉は冷徹だったが、同時に正しさも含まれていた。
「……承知しました。この作戦で行きましょう」
シュブランは絞り出すように言った。大内田は次にロデナに向き直り、話しかけた。
「 ロデナ将軍。あなたは勇猛果敢な武人であるとお見受けしました。しかし、血気盛んさはヒノマワリの国民に向けてではなくグラ・バルカス帝国へぶつけてください。私も無意味な殺傷は望みません」
大内田の口調は穏やかだった。しかしその目は氷のように冷たい。
「……」
ロデナは無言だ。ただ視線だけが大内田を射抜かんばかりに向けられている。
「よろしいですか? シュブラン中将」
「えっ!? あ、ああ!もちろんだ!」
大内田に声をかけられ、シュブランは慌てて返事をした。大内田はロデナを一睨みしてからシュブランの方へ体を向ける。
「では作戦の仔細を説明します。質問は最後にまとめて受け付けます」
大内田は淡々と説明を続けた。
◆◆◆
数日後、ハルナガ京郊外上空。
航空自衛隊第5航空団第305飛行隊所属のF-15J戦闘機12機は、作戦空域に到達しようとしていた。
この作戦は敵の防空戦力を破壊し、制空権を確保するのが主目的となっている。
彼らの眼下に広がるのはヒノマワリ王国の王都ハルナガとその周辺の町並みであった。
すでに敵航空機による空襲を警戒し、ハルナガ京の周辺一帯を早期警戒機がレーダーで監視しており、早期発見に努めていた。
作戦に参加しているF-15は度重なる近代化改修によりF-15EXに準ずる性能を持つ機体であり、今回の作戦においても主力機として使われている。
『こちらイーグルアイ01、貴隊の周囲にボギーなし』
「コピー」
AWACS(早期警戒機)との交信を終えた隊長は無線に向けて言った。
「リードより各機。これよりハルナガ京周辺の敵防空施設を空爆する。セパレート」
編隊は3つの隊に分かれハルナガ京の敵防空網を叩くべく散開していく。
「ドロップレディ……ナウ」
攻撃役のF-15はレーザー誘導爆弾を投下、数秒後、ハルナガ京のあちこちで爆発が起こり、黒煙が上がった。高射砲がただの鉄くずへと変貌していく。
グラ・バルカス軍の対空砲火が止んだことを確認した後、さらに基地施設へと爆弾を叩き込む。
これらの攻撃目標の座標はヒノマワリに潜入していた小林達、特殊作戦群が事前に割り出していた。
「こちらスカイ1、ターゲットを破壊。繰り返す、ターゲットを破壊した」
攻撃開始から数十分でほとんどの対空砲は沈黙した。
『こちらイーグルアイ、了解した。残りはニグラートのワイバーンがやる。基地へ帰投せよ」
「コピー。RTB。アウト」
攻撃終了後、ニグラート連合のワイバーン部隊がハルナガ京へ突入する。
◆◆◆
一方グラ・バルカス帝国外交官ダラスは脱出のため奔走していた。
彼は事前に決められた集合場所にて征統府職員の避難の指揮を執っていた。
ほとんどの征統府の避難は完了しており後はダラス含む10ほどが残っていた。
公用車でハスキム駐屯地に向かいそこから輸送機で脱出する手筈となっていたが、出発前に思わぬ事態が発生した。
「大変だダラスさん。オル・ブーツ総督がいない」
副総督のジャギーナが焦った様子で言う。
「彼は一体どこへ?」
「おそらく、統制府にまだ残っているのかも……」
その言葉を聞き、ダラスは眉をひそめた。
「この状況で彼は何を考えているのだ?」
「さぁ?」
「仕方がない。俺がみてこよう」
「えっ!? いや、それは……」
止めようとするジャギーナを無視し、ダラスは駆け出す。
「15分して戻って来なければ先に行ってくれ!」
そう言い残し、ダラスは統制府へ急いだ。
オルブーツ総督はこの非常時に何を考えているのだ。ダラスは苛立ちを覚えながら走る。
ここから統制府までは走れば5分とかからない距離である。
しかし、その5分間が永遠のように感じられた。
ようやく統制府に到着した時、彼の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
オルブーツ総督は私用車に金品を積み込んでいるところだった。
高価そうな調度品や装飾品がトランクのみならず後部座席にまで積まれている。
その重みで車のサスペンションが軋む音が聞こえた。
ダラスは一瞬呆気にとられるも、すぐに我に返り叫ぶ。
「総督! 一体何をお考えですか! 既に日本の空爆が始まっています。すぐに避難しないと!」
怒鳴るダラスに対し、オルブーツは平然とした顔で答えた。
「おおダラスか丁度いい、荷物を積み込むのを手伝ってくれ」
「何言ってるんです! 早く逃げないと空爆に巻き込まれますよ!!」
「そんな事は百も承知だ。だが、この貴重な品々をこのまま置いていくのは惜しい。持って行く物はきちんと持ち帰らねばならん」
全く悪びれる様子がなく、オルブーツは言った。彼の両手には高価そうな酒瓶や金のインゴットがある。
こんな状況なのにこの男は……。ダラスは頭を抱えたくなった。
しかし、今はそれどころではない。
こんなのでも一応帝国の総督だ。この男を連れていかなければならない。
ダラスは決断すると、オルブーツの手から酒瓶を取り上げた。
そして、それを地面に叩きつける。
ガラスの破片が飛び散り、酒が地面へ広がっていった。
オルブーツの顔色が青くなる。
「何をする!馬鹿者!」
オルブーツは叫び、ダラスに向かって手を伸ばした。
「避難するのにこれらの品は不要です。さあ行きますよ」
ダラスは冷たく言う。
しかし、オルブーツはその言葉を聞かず、ダラスを突き飛ばした。
不意を突かれたダラスは尻餅をつく。
「この愚か者が! 私は帝国のために働いているのだ! 私をないがしろにする気か!」
オルブーツは唾を飛ばして叫んだ。
「この状況下で、あなたは何を言っているのです。さあ早く」
「うるさい! 貴様など知らんわ! 邪魔するなら撃つぞ!」
オルブーツは拳銃を取り出すと、ダラスに向ける。本当に撃ってしまいそうな勢いだった。
ダラスは思わず身構える。
その時、爆発音が響き渡り、地面が揺れた。
統制府の建物が爆炎と共に吹き飛ぶ。
同時に爆風で飛ばされた瓦礫がダラス達を襲った。
ダラスは咄嵯に身を地面に伏せ、飛来物を避けようとした。
しかし、オルブーツは反応が遅れてしまう。
爆風と飛散した瓦礫が彼の身に降り注いだ。
オルブーツは悲鳴を上げながら吹き飛び、頭から車のトランクに突っ込んだ。
オルブーツの頭部は潰れ、血が噴き出し、車を赤く染めていく。
「日本の空爆か!? なんという命中精度だ!」
ダラスはオルブーツの死を確認すると車から離れ、ジャギーナたちと合流すべく集合場所へ走り出した。。
◆◆◆
ジャギーナたちと合流したダラスはオルブーツの死亡を伝え、避難用のバスに乗り込むと、ハスキム駐屯地へ発進する。
「日本の戦闘機は主に軍事施設を攻撃したようですね」
さっきまでジェットエンジンの甲高い音を響かせながら我が物顔で飛んでいたF-15の姿はない。
しかしそれと入れ替わるように今度はニグラートのワイバーンが飛来する。
「クソ! 今度はワイバーンだと!?」
ニグラートのワイバーンは低空まで降りてくると、火炎弾で攻撃し始める。
建物が炎上し、ハルナガ京のあちこちから火の手が上がり人々が逃げ惑う。
「奴ら無差別に攻撃しているのか? くそっ! これではどこにいても安全ではないではないか!」
ダラスは歯噛みしながらニグラートのワイバーンを車内から睨みつける。
ワイバーン数騎がダラスたちが乗るバスに狙いを定めると、急降下を始めた。
翼を折り畳み、両足を揃えた姿勢で降下してくる。
まるで獲物を狙う猛禽類のような姿だった。
ワイバーンはバスの真上に到達。そのまま火炎弾を発射する。
バスは火炎弾を避けるため蛇行する。なんとか火炎弾を避けることに成功するが、バスはバランスを崩し横転してしまう。
窓ガラスが割れ、ダラスたちは車内を転げ回った。
幸いにもダラスは軽い打撲程度で済んだため、天辺と化した割れた窓からすぐさま脱出する。
「ジャギーナさん、しっかりしてください」
ダラスはジャギーナたち統制府職員を助けるべくバスの上に飛び乗り、上辺となったドアに手をかける。
しかし、横転の衝撃で歪んでしまったのかドアは開かなかった。
「ジャギーナさん、早く脱出しないと」
「ダラス……私はもうダメだ……」
ジャギーナは胸を押さえ、苦しそうにしている。
「何言ってるんです! さあ早く!」
ダラスは必死にドアを開けようとするが、その時横転したバスめがけて火炎弾が着弾。
バスは激しく炎上する。ダラスは熱気に堪らずバスの上から降りた。
「ああ……熱い……!!」
燃え盛るバスの中でジャギーナたちの断末魔の声が響く。
そしてガソリンに引火し、爆発を起こした。
「ぐわっ!」
ダラスは爆風に煽られ転倒する。彼は起き上がると、燃えさかるバスを見た。
ジャギーナたちの生存は絶望的だろう。
ダラスは怒りで拳を握り締めた。そんな彼の前にワイバーンが降り立つ。
「まだ生き残りがいたか。しかもその恰好グラ・バルカス人か?」
ワイバーンの騎手が話しかけてきた。ダラスは立ち上がり、騎手を睨む。
「だったらなんだ?」
ダラスの問いに対し、騎手はニヤリと笑う。
「グラ・バルカス人を殺すと懸賞金が出るんだよ。だからお前には死んでもらう」
騎手はそう言うと、ワイバーンに火炎弾の発射を命じる。
ワイバーンは口を開き、火炎弾を発射した。
ダラスは咄嵯に地面を転がり回避行動をとる。
しかし、炎はダラスの脚をかすめた。
ダラスは苦痛に顔をゆがめる。
「ほう、これを躱すとはなかなかやるな。だが、次で終わりだ」
再びワイバーンは口を開けた。次は確実に当てられると確信しているようだ。
しかしダラスは死を覚悟しつつも、諦めていなかった。
ダラスは渾身の力を振り絞り、足元に転がる石を拾う。そして、それをワイバーンに向かって投げつけた。
石はワイバーンの右目に直撃する。
ワイバーンは絶叫を上げ、のたうちまわった。
騎手は慌ててワイバーンを落ち着かせようと手綱を引く。
しかし、興奮したワイバーンは暴れまわり、騎手を振り落とそうとする。
ダラスはそれを隙とみて騎手に飛び掛かる。
騎手は後ろから羽交い絞めにされ、身動きが取れなくなった。
ダラスはそのまま、騎手の腰に下げていた短剣を奪う。
そして、騎手の首筋に向かって突き立てた。
血飛沫が舞い、騎手は首元を抑えながら倒れ伏した。
ダラスはワイバーンを見上げる。
騎手を失い、暴走状態となっていた。
ワイバーンはそのまま上空へ舞い上がり、姿が見えなくなってしまう。ワイバーンの影が消えた空を見ながらダラスは思った。
ジャギーナたちを守れなかった。
悔しさと悲しさがこみ上げてくる。
しかし、ここで泣いている暇はない。
生き残ったのなら、ジャギーナたちの遺志を継いで戦うしかないのだ。
彼は涙を拭き、立ち上がる。そして、ハスキム駐屯地へ向かって歩き始めた。
◆◆◆
ハスキム駐屯地はF-15の爆撃を受けて滑走路が穴だらけになっていた。
そのため、輸送機の離陸は困難だと判断され攻撃を生き延びたヘリでの避難が行われることとなった。
「早く乗せろ!」
「無理だ。定員オーバーだ!」
ヘリの周りには征統府関係者やハスキム駐屯地の兵士たちが詰めかけている。まるで砂糖に群がる蟻のようだ。
ダラスは人だかりの外からその様子を見ていた。
「ヘリから離れないのなら発砲するぞ!」
兵士が短機関銃を構えて叫んだ。
しかしそれでもヘリの周辺には続々と人が集まってくる。
このままではヘリに乗れないどころか、暴動になりかねない状況である。
そんな中、敵機来襲の叫び声が上がった。
上空からワイバーンが3騎飛来し急降下してくる。
F-15が撃ち漏らした4連装20ミリ対空機関砲が火を噴き、猛烈な弾幕を突っ込んでくるワイバーンへと浴びせる。
2騎のワイバーンが空中で血飛沫を上げて落下。しかし残りの1騎は火炎弾をヘリに命中させた。
火炎弾を浴びたヘリは大爆発を起こした。
爆炎がヘリの周囲にいた人々を飲み込み、燃え盛る破片が地面へと降り注いでいく。
阿鼻叫喚の地獄絵図が一瞬で出現した。火達磨になった人たちがのたうち回り、破片に切り刻まれた人たちが臓物をまき散らして息絶えていく。
ダラスは咄嗟に伏せようとしたが、運悪く飛んできたローターに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。
全身に激痛が走り、彼は起き上がることができなかった。
そこへワイバーンが飛びかかって来た。
その光景を目にしダラスは死を覚悟する。
(俺はここで死ぬのか……?)
急降下するワイバーンがみるみるうちに大きくなる。大きく開かれたその顎に火炎が灯った。
(否!断じて否! 俺は絶対無謬のグラ・バルカス人だ! ここで死ぬ運命ではない!)
絶体絶命のその時ダラスの中で何かが弾けた。彼の心に火が灯り、身体が燃え上がるような感覚に包まれる。
ダラスは身体を跳ね起こすと、手をワイバーンに向かって突き出した。すると、掌が光り出す。
次の瞬間、ワイバーンから火炎弾が発射され、一直線にダラスへ向かってくる。このままでは彼は黒焦げになるだろう。
しかしダラスは掌を突き出しまま逃げようともせず、迫りくる火炎弾を冷静に見据えのみだった。その時、ダラスの掌へ風の渦のようなものが集まり、一つのエネルギー球へと変化する。
「イヤーッ!!!」
ダラスは裂帛の気合いとともに、その風のエネルギー球を火炎弾へと放った。
その瞬間、風と炎が激しくぶつかり合い、周囲に衝撃波がまき散らされる。
ワイバーンの火炎弾は風によって搔き消され消滅。ワイバーンの御者は火炎弾が消されたことに驚愕しつつも冷静に上昇して再度攻撃しようと試みる。
「逃がすかぁ!!」
しかし、ダラスは人間離れした跳躍力を発揮。上昇しつつあるワイバーンへ飛びかかる。
「イヤーッ!!!」
ダラスはワイバーンへ踵落としを決めた。ワイバーンは叩き落され、地面へ激突した。その衝撃でワイバーンの翼膜が破れ、飛行能力を失う。
着地したダラスはワイバーンの脇腹へ超音速の正拳突きを繰り出す。その一撃はワイバーンの硬い鱗を粉々に粉砕し、体内へ伝播した衝撃は内臓を潰した。
さらにもう1発。ワイバーンは口と肛門から裏返しになった内臓を吐き出しながら絶命した。
「ま、待ってくれ、頼む助けてくれ」
命からがら脱出したワイバーンの騎手が地上で喚いている。
ダラスは無言で騎手の元へ歩いていくと、おもむろに右足を持ち上げた。そして機長の頭を踏み抜く。
グシャという音と共に生暖かい液体が顔にかかり、脳梁が靴にこびりつく。しかし彼は全く気にしなかった。
ダラスは上空を見渡すと、数騎のワイバーンが旋回しているのを見つけた。彼らは今しがたの、生身の人間には成しえない光景を目の当たりにし、呆然と旋回
しているばかりだ。
ダラスは風のエネルギーを手に集中させると、掌を2騎へ向ける。
ワイバーン達は危険を察知したのか、上昇して逃走を図ろうとする。しかしそれはダラスにとって好都合だった。
「エアスラッシュ!」
彼は収束した風弾を2発発射する。風弾は真空の刃となり、2騎のワイバーンを騎手諸共、一瞬にして真っ二つに切り裂いた。
臓物と血液が空中で四散し、血霧を作り出す。切り裂かれたワイバーンと人間の肉体はきりもみ状態で墜落し、滑走路へ激突した。
残りのワイバーンは恐怖のあまり遁走を図ろうとするが、すべてダラスの放ったエアスラッシュによって切り裂かれ絶命した。
血と炎に染まった飛行場に立ち尽くすダラス。周囲で生きてるのは自分だけのようであった。
「生きねば……」
ダラスは呟いた。ここで死んでいった者たちの無念を晴らすため、そして未来のために彼は生きねばならない。
「西へ行こう……」
もはやヒノマワリ王国は終わりだ。西へ向かいグラ・バルカスの勢力圏に逃げるしかない。
「俺は逃げ延びてやるぞ……!」
ダラスはそう決意すると歩き始めた。