日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた   作: まっこーける

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32 ラテ・アルマイ要塞

 

 ニホンジンシネシネ戦闘団の決死の反撃を跳ね返した自衛隊含むムー、ミリシアルの連合軍は全面的は攻勢に打って出た。

 

 まず最初に投入されたのは航空戦力であった。F-2やF-35のみならず、多目的化された海自のP-1までもが爆装し、ムーやミリシアルの航空機と共に爆撃を敢行する。

空飛ぶ砲兵と化した彼らは徹底的にグラ・バルカス軍の上空へ侵入し、爆撃を続けた。さらに空自はサーモバリック爆弾をも投入、グラ・バルカス軍の頭上に巨大な炎が

躍った。

 

 地上でも戦場は動いており、陸自特科が後方からMLRSによる長距離射撃を敢行し、特科部隊が濃密な支援攻撃を実施する。そしてそれらと並行して普通科や他国の歩兵

部隊が敵の陣地に浸透し、各所で苛烈な歩兵戦を展開していく。

 小銃が火を噴き、あちこちで手榴弾が炸裂する。魔光が煌めき、血に濡れた銃剣が陽光を受けて鈍い光を放つ、塹壕には鮮血に染まった敵味方の屍体で埋まった。もはやそこは地獄の様相を呈していた。ついに連合軍がグラ・バルカス軍の防衛線を突破、あちこちで戦果を拡大していく。

 

 もはやレイフォル東部の戦線の維持は不可能と判断したガオグゲルは、ラテ・アルマイ要塞まで戦線を後退することを決め、防衛線を再構築すること決定する。

 

 最終的にレイフォル東部での戦闘を制したのは連合軍側であった。この戦いにおける死傷者は、グラ・バルカス帝国1万2000人。日本17人。ムー2万3000人。ミリシアル1万4000人。ニグラート3万4000人。この数字は1回の会戦に於けるものとしては、異世界では空前絶後であり、異世界側の国家に大きな衝撃をもたらした。日本とグラ・バルカス帝国という転移国家がもたらした、近代戦という概念は、着実に異世界国家群の戦争観を変革しつつあった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 グラ・バルカス帝国レイフォル派遣軍の最前線はラテ・アルマイ要塞へ後退し、それを中心とした要塞線を構築していた。

 

 ラテ・アルマイ要塞は元はレイフィルが建築した要塞だ。レイフィルがグラ・バルカス帝国に敗れた後、帝国はこの要塞を改修し、コンクリートをふんだんに用いて頑強な近代的星形要塞に改造した。空爆対策のため主要施設は地下に設置されており、地上には無数の銃座や防空陣地が展開されている。

 

 そのラテ・アルマイ要塞の地下深くの司令室ではガオグゲルとその参謀たちが戦況図を眺めながら沈痛な面持ちで佇んでいた。

 

(まさかこれほど早く、ここまで劣勢に立たされるとは思ってもみなかった)

 

 ガオグゲルはレイフォル東部戦線を突破される可能性は充分にあると読んでいた。しかし、彼の想定よりは長期間持ちこたえてくれるのではないか?という希望的観測があったのもまた事実であった。だがそれはあまりにも楽観的な見通しであったようだ。連合軍の攻勢により戦線は突破されてしまった。

 

「だが、このラテ・アルマイ要塞を破ることは不可能だ! 何としてもレイフォリアは死守せねばならん。我々が敗北すれば、戦局は決定的になってしまうだろう」

 

 ガオグゲルが拳を振り上げる。だが参謀たちは不安を拭い去ることができずにいた。日本やムー、ミリシアルといった国家の軍事力の前に敗北したという事実は彼の心に重くのしかかっていたのだ。

 

「しかし閣下……敵の新兵器・航空機群は我が国のいかなる兵器とも比較になりません。相手は我々の想像を上回る技術力を有していることは明らかであり、この要塞で長く持ち堪えることは至難の業ではないかと思われますが……」

 

 参謀たちは皆口を揃えて異を唱え始める。その意見はガオグゲルにも容易に理解できるものだった。だが彼には退けぬ理由があるのだ。彼は決然と言い放った。

 

「レイフィルには数万の帝国臣民がいる!彼らのために1日でも長く持ち堪えなければならぬのだ!

「……」

 

 幕僚たちに沈黙が訪れる。彼らは各々の思惑を巡らせた末に結論を出したようだった。ガオグゲルの考えに従うことで一致したのである。

彼らは生きた心地がしなかっただろう。新兵器に航空機群……これらの軍事力がもしラテ・アルマイ要塞に向けられたなら間違いなく破滅するであろうことは容易に想像がつくのだから……

 

(だが我々はやらねばならないのだ。ここで負けるわけにはいかない)

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ムー国キールセキ。連合軍合同司令部。

 

 ここでは連合軍がラテ・アルマイ要塞攻略について作戦会議を行っていた。

 

「ラテ・アルマイ要塞は、広大な面積と堅固な陣地を持ち、3重の防衛線で構成された難攻不落の要塞です。ここに攻撃をかけるなら莫大な兵力を必要とするでしょう」

 

 自衛隊ムー派遣部隊総司令官である三浦は淡々と説明していく。それに対し、ムーの将軍ユルバンは意見を具申した。

 

「要塞正面から攻撃するのは損害が大きくなりすぎるのではありませんか? ここは迂回するべきではありませんか?」

 

 すると三浦から反論が返ってくる。

 

「確かにユルバン閣下のおっしゃる通りです。しかしラテ・アルマイ要塞は隘路に存在して、迂回も包囲も不可能です。要塞の周りは急峻な山脈と原生林で、踏破は困難を極めます。それが途切れる場所に要塞は存在しているのです。極少数の歩兵を原生林に浸透させることもでるかもしれませんですが、機甲部隊や大部隊の展開は不可能です」

 

 それを聞いたユルバンは「うーむ」と唸ったきり黙り込んでしまった。そこにミリシアル帝国の将軍が口を挟んでくる。

 

「なら空から攻撃すれば良いではないか!航空兵力を総動員して要塞へ爆撃を敢行すればよい!!」

 

それに対して三浦が反論した。

 

「だが効果的な攻撃を行えるかと言われれば微妙なところでしょう。なぜならあの要塞は空爆対策でコンクリートで固められていると聞きます。生半可な火力ではあの要塞はビクともしませんよ」

 

「ならばどうする!?このままではここに足止めされるだけではないか!! 何か方法はないのかっ!」

 

 ミリシアルの将軍が机を激しく叩きながら怒鳴り散らした。怒りで顔を真っ赤にしている。

 

「我が航空自衛隊は地中貫通爆弾であるBLU-109を保有しています。しかしこれとて効果をできる保証はありません。私たちは要塞の内部図なんて知りようがありませんので、どこを攻撃すれば効果があるか分からないのです。それにあいにく私たちの保有する地中貫通爆弾はあれしかなく……」

 

「つまりラテ・アルマイ要塞は……正面から攻撃するしかないと?」

 

 ユルバンが苦悶に満ちた表情で尋ねる。それに対し、三浦は申し訳なさそうに返事をした。

 

「残念ながらその通りです。もちろん攻撃前にBLU-109による攻撃を行います。しかし、先に述べたように、これとてどれほどの効果があるか……」

 

 ムーの将軍ユルバンは深いため息をつくと力なくうなだれた。その表情からは疲労の色が窺える。

 そこに男が勢いよく立ち上がった。ニグラート連合のロデナ将軍である。

 

「何を弱気なことを言っているのだ!! 我々はグラ・バルカス帝国に鉄槌を下さねばならんのだぞ!お前たちがやらないなら、我らニグラートの精兵が先陣を切って要塞に切り込んでやる! 」

 

 ロデナが威勢よく吠える。彼は先のドラゴンブレス作戦で数万もの死傷者を出し、さらに三矢作戦ではワイバーン部隊を壊滅させていたことから、本国からその能力に疑問を呈されていた。彼はこのままでは指揮官の任を解任されるおそれがあった。何としてもここで手柄を立てて自らの威信を取り戻す必要があったのだ。

 

「しかしロデナ閣下、あなたは先の戦いで相当の犠牲を出したと聞き及びます。いくらニグラート連合といえど、これからラテ・アルマイ要塞へ突撃するのは無謀だと思いますが……」

 

 ユルバンが冷静に分析した。ロデナが眉を顰めると彼に食ってかかる。

 

「なんだ!お前はこの私に臆病風に吹かれて逃げ出すとでも言うのか!!もしそうならただでは済まんぞ!!」

 

 ロデナが憤怒の形相でユルバンを睨みつけた。並の人間なら恐怖のあまり失禁しそうな勢いである。しかし、歴戦の将軍であるユルバンは微塵も動揺することなく涼しい顔で反論する。

 

「私は事実を述べたまでです。あなたは敵より味方を殺すのが得意のようですね。少しは自重することを覚えたらどうです?」

 

「貴様!! 」

 

 ロデナの額に青筋が浮かぶ。彼は今にも飛びかからん勢いだった。しかし、それを三浦が押し止める。

 

「喧嘩はおやめください!ここで争っている場合ではないでしょう!各国が協力しなければグラ・バルカス帝国には勝てません。どうか落ち着いてください」

 

 二人の将軍はしばし睨み合った後、そっぽを向いてしまった。不穏な空気を変えるように三浦が咳払いをして、地図を指さしながら説明を始めた。

 

「分かりましたロデナ閣下。あなたがそこまで言うのなら要塞攻略の先鋒はニグラート連合に任せましょう。もちろん我々も支援をさせて頂きます。皆さんもそれでよろしいですか?」

 

 ロデナが得意げなニヤケ顔になる。その表情からは自信に満ち溢れているように見える。

 

「臆病者はそこで見ていろ! 必ずや我らがラテ・アルマイ要塞を落としてやるわ!」

 

 そう言うと彼は踵を返して司令部を後にしたのだった……

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ラテ・アルマイ要塞上空。高度約5000メートルを飛ぶ4機の航空機があった。それは日本のF-2戦闘機だった。

 

 F-2はラテ・アルマイ要塞の地下壕を破壊するために翼下のハードポイントにそれぞれ2発ずつのBLU-109弾を搭載している。

各機はAN/AAQ-33スナイパー照準ポッドを起動しそれぞれの目標へレーザーを照射し、HUD上の投下ピパーの表示と連動してBLU-109を投下した。

 

「ドロップ。ナウ」

 

 F-2のパイロットが投下開始を告げると、8発のBLU-109弾は地上へ落下してく。弾着し地面へめり込むBLU-109、そしてその数秒後、凄まじい爆発を引き起こす。爆風と共にコンクリート片や大量の土塊が地上へまき散らされ、要塞内部は地獄と化したであろうことが容易に想像できた。

 

 しかし派手な爆発とは裏腹に要塞にはさほど損害は与えられなかった。要塞の重要区画はほぼ無傷だったのだ。

 

 要塞の地下指令室ではガオグゲルは突如として襲った大震動と大爆発に驚きつつも冷静に被害状況を把握しようとする。

 

(なんだ! 今の揺れは!? まさか空爆か!?)

 

 埃がパラパラと落ちてくる中、彼は有線電話を通じて要塞の各隊に連絡する。

 

「守備隊長!今の爆発はなんだ!?」

「……はっ!敵の空爆かと思われます!!敵は大型爆弾を投下した模様です!被害状況は現在確認中!!」

 

 しばらくして被害報告がまとめられガオグゲルの下に到着する。報告によると要塞内部に3か所で大規模な破壊が発生、中腹のトンネルに大穴が空いたことが確認された。さらに第3階層では爆発により火災が発生、弾薬庫の天井の一部が崩落してしまったようだ。だがすでに火災は消火されつつあり、弾薬庫も分散配置していたため被害は軽微であった。

 

 ガオグゲルはホッと安堵のため息をついたが、それもつかの間のことであった。今度はムーやミリシアルによる空爆が始まったのである。激しい爆撃に要塞に激しい衝撃が走る。

 

 ラテ・アルマイ要塞の地下壕を防衛する将兵たちは自分たちの想像していた以上の火力に驚きと恐怖を感じていた。この調子で攻められればひとたまりもない。一誰もがそう思っていた時、新たな衝撃が走った。なんと今度はムーの重砲よる砲撃が開始されたのである。

 

 4門ほどの280㎜砲が一斉に火を噴き轟音を上げる。砲弾は要塞の地上部へ集中し炸裂した。その威力は凄まじいが、分厚いコンクリートで固められた要塞の地下壕を破壊するまでは至らない。地上部に設置された防衛施設には被害が出るが、致命傷とはならずにすんだ。しかし、いつまで砲爆撃に地下壕が耐えられるか分からない。

 

 そのような不安はガオグゲルや幕僚たちも同様だったようで彼らは不安そうに顔を見合わせたのだった……

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ラテ・アルマイ要塞の前面の草原。そこを方陣を組み整然と行進する大軍勢があった。ニグラート連合の歩兵部隊だ。その数2万人余り。軍靴が地面を踏みしめる音は辺りに響き渡り、大地を揺るがすほどの大音響となっていた。

 

「うむ。見事な陣容だ。これなら勝てるかもしれんな」

 

 ニグラート連合の将軍、ロデナは兵士たちの勇壮な姿に満足気に呟く。彼はドラゴンブレス作戦での自軍の惨状などすっかり忘れて意気揚々としていた。ラテ・アルマイ要塞攻略戦の前哨戦たるドラゴンブレス作戦ではグラ・バルカス軍に散々痛めつけられた挙句、参加兵力の25パーセントが死傷した。そのため部隊の再編を余儀なくされた彼は今回の要塞戦に投入可能な全兵力を投入していた。

 

「ロデナ将軍。前線は危険ですから後方で指揮を執って頂けませんか? 敵の反撃を受けたらひとたまりもありません」

 

 彼に同行してきた参謀がそう進言するとロデナは不機嫌そうに睨みつけた。

 

「此度の戦いは私自ら指揮を執り、督戦する! ドラゴンブレス作戦で指揮を執っていた師団長は無能だったからな! だからあのような被害を出すのだ」

 

 ロデナは自信満々にそう答えると、自らの旅団を率いて要塞へ向かった。やがてラ・バルカス軍の全身陣地が見えてくると大声で名乗りを上げる。

 

「私はニグラート連合陸軍第一軍団長、ロデナである!! お前たちグラ・バルカス帝国は我が国に対する侵略の意図ありとみなしこれより攻撃を開始する! 潔く降伏せよ!!」

 

 ロデナが凛とした声で宣言すると傍らの参謀が呆れた顔でロデナを見た。

 

「何を馬鹿なことを仰っているのですか……!? そんな事でグラ・バルカス帝国が降伏するわけないじゃないですか」

 

「いくら憎き侵略者でも慈悲ぐらいは与えてやらねばならん。私は気高き騎士道精神の持ち主だからな!」

 

「はぁ……」

 

 参謀はこれ以上何を言っても無駄だろうと悟ったのか、そっとため息をついた。しかしロデナは自信に満ち溢れた表情だ。しかしロデナの思惑とは裏腹にグラ・バルカス側からは何も反応は無い。

 

「むむむ。どうやら奴らは我が慈悲の心を理解できぬようだ。これほど寛大な条件を提示してやったというのに! やはり蛮族共とはまともに話すだけ無駄なようだな」

 

 そう言うとロデナは全軍に前進の指示を出す。それに応じてニグラート連合の兵士たちは意気揚々と前進し始める。ニグラートの軍は歩兵だけではない。

 

 パーパルディア皇国から輸入した地竜リントヴルムが十数頭含まれている。これらはニグラートにとって虎の子とも言える戦力であり、分厚い皮膚と頑強な鱗は銃の斉射を跳ね返すことを期待されていた。地竜に跨った兵士たちは一騎当千の強者揃いであり、まさしく地上最強の軍隊だ、とロデナは思っていた。

 

 彼らはニグラート連合軍の中でも精鋭中の精鋭であり、ムー国でさえこの部隊を直接敵に回すことは躊躇するはずだ。そんな部隊を率いることになってロデナ将軍は自尊心が大いに満たされていた。

 

「どんな敵であろうと私の率いる無敵の軍に敗北は無い!!」

 

 彼の自信を現すかのように地竜隊が一斉に咆哮した。

 

「しかし、ロデナ将軍。日本からの援護を断って本当によかったのですか? 日本はヒトマルシキセンシャなる強力な兵器で援護をしようと提案していましたが……」

 

「ふん。あんな物はハリボテにすぎん。我がニグラート連合の誇る地竜隊が負けるはずなどない」

 

 ロデナは参謀の言葉を一笑に付す。確かに日本のヒトマルシキセンシャなる兵器の話は聞いている。だが、それがどういう原理で動いているのか分からないし、どのような使い方をする分かっていない。そのような得体の知れない物を当てにして作戦を行うなど愚か者のすることだと考えた彼は日本の申し出を拒否したのだ。

 

「しかし……」

「大丈夫だ。それより作戦行動を開始せよ! 敵は要塞の中に籠っているはずだ。誘い出し、一気に殲滅するぞ!」

 

 参謀の言葉を強引に遮るとロデナは配下の地竜部隊と歩兵部隊に突撃命令を下す。

 

「ロデナ将軍! まだ敵の陣地までかなり距離があります。突撃命令は早いと思うのですが……」

「何を言うか!敵は我らに恐れをなして要塞の中に籠っているのだぞ!? これほど好機なことは無いではないか!?」

 

 ロデナは自信に溢れた顔で参謀を見つめた。彼はもはや要塞の攻撃が成功するとしか考えていないのだ。しかし、地竜と歩兵部隊が10メートルも進まないうちにひゅるるるる、と、砲弾の飛翔音が聞こえてきた。砲弾はニグラートの隊列の真ん中で炸裂する。土煙と爆炎に混じり人体の破片が宙に舞った。

 

「あ、あれはなんだ!?」

 

 ロデナ将軍が慌てて尋ねる。参謀も慌てた様子で首を左右に振った。

 

「敵の砲撃です!!後退しましょう!!」

「後退だと!? バカを言え!いまさら後退などできんわ!! 前進して一気に奴らの陣地を踏みつぶせ!!」

「しかし……!!」

 

 参謀が反論しようとしたその時、再び砲弾が炸裂し今度はニグラート連合歩兵部隊の先頭辺りに着弾した。爆発音と悲鳴と怒号が入り混じり辺りは混乱に陥る。地竜や兵士たちは突然の事態に慌てふためき隊列を乱してしまう。そしてそれを狙ったかのように大量の機関銃弾が撃ち出され、彼らはバタバタと薙ぎ倒される。

 

 前進陣地から放たれた機関銃の軽快な射撃音と、激しい砲撃音がニグラート連合を包み込んでいた。地竜はあっという間に血塗れになり、反撃の手段を持たない兵士たちは次々と撃ち倒されその場に倒れ伏していく。

ニグラートの兵士の一部がパニックを起こして後退しようとするのをロデナは見逃さなっかった。

 

「逃げるな!!敵前逃亡は銃殺だぞ!!」

 

 そう言ってロデナはパーカッションリボルバーを引き抜いて逃げる兵士向かって発砲した。銃弾は兵士の胸を貫通し彼は血反吐を吐きながらその場に倒れ伏す。

だがその間にもグラ・バルカス軍の攻撃は続き、砲弾は次々に着弾し、機関銃弾が飛び交う。

 

「突撃! 突撃! あの陣地を破壊しろ!!」

 

 ロデナ将軍は興奮し、手にしたパーカッションリボルバーを振り回しながら大声を上げる。

だが無秩序に突撃したニグラート連合の兵士たちは機関銃弾や砲弾によってバタバタと薙ぎ倒され、負傷したものたちは悲痛な叫びを上げながら後退していく。地竜でさえも圧倒的な火力を前になすすべなく撃ち倒されていった。

 

「何をしている!?敵は弱兵だぞ!?さっさと前へ進め!お前たちそれでもニグラートの兵か!?」

 

 ロデナ将軍が怒鳴り声をあげるが兵士はすでに指揮官の命令を聞ける状況ではなくなっていた。兵士たちは我先にと逃げ惑い、陣が崩れていく。

 

「ロデナ将軍! もうおやめ下さい!!このままでは全滅してしまいます!!」

 

 参謀は必死に説得するがロデナは聞く耳を持たない。

 

「もうよい! こうなったら、私自ら敵陣へ切り込む! 皆の物我に続け!」

 

 ロデナはそう言うと腰のサーベルを引き抜いてグラ・バルカスの陣地へ向けて突っ込んでいった。だがその先に待ち受けていたものは機関銃の猛射だった。ロデナ将軍は身体中に銃弾を受けてただの肉塊と化す。とどめとばかりにロデナの遺体の近くで砲弾が炸裂し、バラバラの肉片と鮮血が宙を舞い、その肉片の中に混じるサーベルを握った手首が、参謀の胸元に突き刺さった。

 

 もはやニグラート軍は完全に総崩れとなっていた。機関銃の射撃音と砲弾が炸裂する音、兵士たちの断末魔の声が支配する中、ニグラート連合はグラ・バルカス帝国軍に蹴散らされ、大混乱へと陥り壊走したのだった……

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 グラ・バルカス帝国。帝都ラグナ。ニヴルス城。

 

 皇帝グラルークスは第三国、そしてレイフォルを経由して送られてきた神聖ミリシアル帝国政府からの文書を読み当惑していた。

 

 それはミリシアルからの警告とも最後通牒とも取れる文書であった。それは以下のような内容であった。

 

・グラ・バルカス帝国は現在行っている我が国に対する敵対行為、及び軍事行動を即刻停止すること。

・グラ・バルカス帝国は直ちに他国領土、領海内より軍を引き上げること。

・現在までに行った戦闘行為及び軍事行動に関する賠償として1000兆エルを支払うこと。

・さらに今戦争により死亡したすべての神聖ミリシアル帝国国民に対し、帝国は遺族に対する弔慰金を支払うこと。

・皇帝グラルークスは此度の戦争に対する責任を取り退位すること。

・皇帝グラルークすの身柄を引き渡すこと。

・我が国に服従し、絶対的従属国となること。

・上記の事項が履行されない場合、我々は最終手段として迅速かつ壊滅的な破壊をもたらす兵器を使用する用意がある。

以上がその内容である。

 

(なんだこれは!?)

 

 グラルークスはその文書を見て眉を吊り上げる。彼にしてみればば、この内容は愚の骨頂としか思えないものだ。確かにグラ・バルカス帝国はレイフォル戦線で連合国に押され気味である。しかし、戦局はそこまで厳しくない。なのにそこまで強気な要求を突きつけてくるとは不可解だった。それにミリシアルに限定していえば帝国は負けていない。ミリシアルの艦隊を粉砕したのは帝国なのだ。

 

 そのためグラルークスはミリシアルの気が狂ったのかとも思ったが、あの国がそれほど理性を失っているとは考えにくい。つまりこれは日本の入れ知恵だろうと考えた。

 

(しかしこんな無茶な要求を突きつけてくるとは……ニホンの後ろ盾があってのことだろうか? 連名ならともかく、ミリシアル単独の要求というのも変だ)

 

 当然グラルークスとしてはこの文書に書いてある条件を呑むわけにはいかない。。特に賠償金1000兆エルなどあり得ない話だ。負けたわけではないのだから払う義務はない。また、自分の身柄を引き渡すなんてもってのほかだ。当然こられの要求は断固拒否するつもりだ。

 

「要求の内容はともかく、気になるのは文書の最後、最終手段として迅速かつ壊滅的な破壊をもたらす兵器を使用する用意があるというところだ。カーツよ、どう思う?」

 

 皇帝はそばに控えている帝王府長官であるカーツに尋ねる。

 

「ミリシアルも何の考えもなくこのような要求をしてきたわけではないでしょう。ブラフだとは思いますが、警戒するに越したことはないと思います」

 

「ミリシアルのいう我が国を壊滅させるような兵器とは何だと思う? 余は原子爆弾かそれに類するものだと予測しているのだが……」

 

「私も同じような意見です。しかしそのような兵器を持っていても我が国への投射手段をミリシアルが持っているとは思えません。かの国が弾道ミサイルや戦略爆撃機を保有しているとしても射程距離の問題があるのではないかと……」

 

「しかし、ミリシアルにはあの空中戦艦パルキマイラがある。あれに原爆を搭載できたとしたらどうだろうか? パルキマイラならイルネティア島から帝国本土までやってくる可能性があるだろう」

 

「確かにその可能性もゼロではありません。ですが、我が国への爆撃を考えた場合、非常に難しい問題があります。ミリシアルの航空機技術はお世辞にも優れているとは言えません。それに帝国本土は全土をレーダー網が覆っていまし、新鋭のトニトルス戦闘機も配備が始まりつつあります。これらをかいくぐって我が国まで爆撃してくるのは困難ではないでしょうか」

 

「うむ……確かにそうだが、念のため警戒を怠らないようにしてくれ」

 

「御意! それにしてもミリシアルめ! 陛下に対する無礼の数々、必ずや後悔させてやります!」

 

 グラルークスはこの文書が送られてきた理由を考察しながら考えていた。

 

(確かに我が国は近年敗北を重ねてきた。そのためミリシアル軍部の連中が増長して無理難題を吹っかけてきたか……?いや、しかしそれだけでこんなバカげた要求を突きつけてくるものだろうか?)

 

 やはりどう考えても腑に落ちない。やはりミリシアルの迅速かつ壊滅的な破壊をもたらす兵器なる物を警戒すべきだろう。グラルークスは警戒を強めるのであった。

 

 

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