日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
ムー国陸軍演習場。荒涼な大地が広がる演習場にディーゼルエンジンの特徴的なエンジン音が響き渡る。
演習場に現れたのは1輌の戦車であった。暗緑色の迷彩が施されたそれは白い排気煙をたなびかせながら前進していく。
その戦車はかつて陸上自衛隊が装備していた74式戦車に似ており、土煙を上げながら演習場を駆け巡っていたが、やがて履帯をきしませながら停車すると、砲塔を回転させて演習場の対面側に停められているグラ・バルカス帝国のラーチャー戦車に砲を向ける。そのラーチャー戦車は戦場から回収されてきた物なのかだいぶ傷んでいた。
「撃て!」
号令と同時に74式戦車もどきの105ミリ砲が咆哮する。放たれた93式徹甲弾は吸い込まれるようにラーチャー戦車へ直撃し、パッっと火花を散らす。
その様子を見ていたムー国の武官たちは、感嘆の声をあげる。
「日本の砲の威力はすごいな……」
「あの105ミリ砲に使われている砲弾は距離1000メートルで400ミリ近い装甲を貫通する性能です。これがあればグラ・バルカス帝国の戦車なんて目じゃありませんよ」
そう自慢げに話すのはムー軍技術士官のマイラスである。彼はムー国きっての技術士官として知られており、知日派ムー人として自衛隊との交流があることから今回の演習に参加することとなった。
「やはり日本の技術が使われている戦車はすごいな」
武官の一人がそう言うと、マイラスは自慢げに話す。
「車体、砲塔はムー製ですが、砲や弾薬、搭載されている電子機器は日本製ですよ」
まさに日本との共同技術による戦車であった。
「もし採用されるならば、デ・ペーニャという名になる予定です」
「うーむ、確かに強力な戦車だがコストがな……」
武官の言葉にマイラスは反論する。
「確かに高コストですが、グラ・バルカスの戦車に勝てない物を装備しても無意味ではないですか。我が国国産の戦車では残念ながらグラ・バルカスの戦車に対抗出来ません」
デ・ペーニャと次期戦車の採用を争う純ムー国産の戦車。それはすでに試作車両が完成し、試験を重ねている段階である。主砲は85ミリ高射砲を改修したもので105ミリ砲と比較すれば威力では劣るが、その分軽量コンパクトで取り回しがよく、しかも整備性がよいというムー国に適した設計となっている。しかし85ミリ砲ではグラ・バルカス帝国が開発中と噂の新型戦車には対抗出来るか不明である。
「確かにそうだな……多少のコスト高は許容せねばならんか」
武官の一人がそう言うと、別の武官がこう続けた。
「戦車に関してはそれでいいかもしれんが、小銃の弾薬まで自衛隊と共通にする必要はなかろう」
その言葉に他の武官たちも賛同する。現在ムー陸軍は次期小銃の選定中である。そこで弾薬を自衛隊が使用している5.56ミリ弾と共通化したいという意見が一部で出ているが、未だに賛否両論 の状態である。
「今まで使用していた弾薬を更新してまで、自衛隊の5.56ミリ弾を導入する必要はあるのか?」
「そもそも自衛隊の5.56ミリ弾は今使用している弾薬に比べて威力が低すぎる」
確かに自衛隊が使用する5.56ミリ弾はムー軍が使用する弾薬にくらべて口径が小さく、威力、射程ともに劣るという問題点がある。
だが、それを差し引いても自衛隊の小銃と弾薬を統一したいという意見がマイラス筆頭の日本派から出ているのも事実であった。
「自衛隊は先のグラ・バルカスとの戦争でその弾薬を使う小銃を装備し、勝利しています。それに彼らの小銃は我が国の小銃よりも性能 が高い。この事実は認めるべきでしょう。いっその事日本の主力小銃、20式を輸入してみては?」
「馬鹿を言うな。そんなことすれば我が国は小銃の開発能力を失うだろう。ただでさえ次期戦闘機は日本製を採用する と言い出しているのだ。もし20式が輸入されれば我が国の軍事産業は壊滅してしまう」
日本の高等練習機T-5がムー国空軍の次期主力戦闘機として採用するという話は、ムー国内で大きな騒ぎになっている。
T-5は日本とアメリカが共同開発した練習機だ。軽戦闘機、あるいは軽攻撃機としても運用可能な機体で、しかも練習機のため整備が容易という優れた機体だ。
そのT-5をムー国空軍の次期主力戦闘機として採用するという話は、各国にとって大きな衝撃であった。
「戦闘機まで日本製になってしまっては科学技術国家としてのムーの立場がない。せめて銃火器だけは自国で開発すべきだろう」
武官たちがそう言いあっていると、マイラスはこう反論した。
「しかし……グラ・バルカス帝国、ひいてはラヴァーナル帝国に対抗するためにも優れた装備が必要です」
「確かにそれは認めるがな……」
武官たちは次期小銃はムー製の小銃と弾薬で統一すべきだという意見であったが、技術士官のマイラスは自衛隊の弾薬を使用するべきだという意見である。両者の意見は完全に平行線をたどろうとしていた。
結局、この議論では結論は出なかった。しかし近い将来、ムー陸軍の主力小銃は自衛隊の弾薬と統一されてしまうのだが……それは少し先の話だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
神聖ミリシアル帝国首都ルーンポリス。皇帝の居城たるアルビオン城では今日も今日とて様々な会議が行われていた。
「海軍とつきましては、先の戦争で損失した艦艇の補充を最優先に進めております。現在は新鋭艦の就役が急ピッチで進んでおります」
海軍司令長官は皇帝ミリシアル8世は報告するが、とうの皇帝はどこか上の空であった。
「次にカルトアルパスの復興についてですが、完全な復興には10年はかかる見込みです。遺族への補償も検討する必要がありましょう」
グラ・バルカス帝国との戦争が終結してからこのかた皇帝ミリシアル8世の体調は芳しくない。戦争前は高齢でありながらも若人と変わらぬ溌剌さを保っていたのだが、ここ最近は顔色も優れず覇気が感じられなかった。執務も休みがちで代わりに宰相が その役目を果たすことが多い。
もはやミリシアルは世界最強国家ではない。グラ・バルカス帝国との戦争では多くの主力艦を失い、陸空の戦闘でも多大な損害を被ってしまった。ミリシアルの栄光は今や地に落ちている。
海軍司令長官の報告を聞きながら、皇帝は心ここにあらずといった状態であった。頃合いを見計らって 宰相は質問する。
「陛下……お疲れのご様子ですが、もう休まれては……」
その言葉に皇帝はハッとしたように答えた。
「すまぬな。最近どうも体の調子が悪くてな。報告を続けよ……」
皇帝は申し訳なさそうに答える。実際、健康状態は非常に悪いようで顔色が優れない。そんな皇帝の様子を見て宰相は言った。
「陛下の御体のほうが心配です」
すると皇帝は静かに微笑んだ。その顔にはある種の諦めの色があった。その表情を見た誰もが息をのんだ。それはまるで死期を悟った老人のような穏やかな笑顔だったから。その笑みを見てだれもがこれから起こるであろうことを予感したのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
日本国、東京。首相官邸。首相官邸の執務室で日本国内閣総理大臣、常願寺は秘書官から報告を受けていた。
「ベスタル大陸に不穏な動きだと?」
「ええ、ベスタル大陸周辺で所属不明の軍艦らしき艦艇が目撃されてます」
「ふむ……先日、国交開設の交渉をしてきたグラ・バルカス帝国の艦か? それともムーの船かね?」
常願寺はそう質問する。
「それが、グラ・バルカスでもムーの船でもありません。艦のデザインはミリシアルの物に近いです」
「では ミリシアルの船かね?」
「いえ、ミリシアルの船ではありません。国籍を示すような物は確認されていません」
ベスタル大陸はアルタラス王国から南西に位置する中規模の大陸だ。小規模な獣人の国が乱立しており、統一国家は存在しない。戦乱に明け暮れておりまともな文明国は存在しないというのが第3文明圏各国の認識であった。温暖な気候で有望な資源が豊富に埋蔵されているため、列強各国は喉から手が出るほど欲しいのだが、先述の通り戦乱絶えない地域のため、パーパルディア皇国でさえ手を出したがらない土地だ。
「ミリシアルでもないとすると、どこの艦だ?」
「まだ調査中です。現在、情報を収集しています」
「アルタラス王国に駐留する海自哨戒機部隊を増強し、警戒に当たらせろ。情報収集に努めるんだ」
「わかりました」
秘書は部屋を後にする。それを見届けた後、常願寺は再び考え込んだ。
(……一体どこの国の船か)
そう考えながらも、彼はある予感を感じていた。それはこの一件が新たなる戦いの始まりであるということであった。