日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
ベスタル大陸。慶の国(慶国)、首都、弓張。
大陸中部にあるこの都市、この国は滅亡の危機に瀕していた。
荘厳な街並みは灰燼に帰し、美しかった建物や橋はその姿を見る影もない。地面に倒れ伏す人々の命運は既に尽きようとしていた。
ベスタル大陸中部の肥沃な土地を支配し、同じ大陸の他国に比べて豊かな暮らしを享受していた慶国は、大陸南に位置する泰の国(泰国)からの侵攻を受けていた。しかし、このような戦乱はベスタル大陸では日常茶飯事
であり、慶国の人々もこのような戦乱は慣れっこであった。だが今回は事情が異なる。
泰国は今までのような小競り合いではなく、大陸の統一を目指して攻め込んで来たのである。
今までも大陸統一の野望を抱き、大陸全土を戦火に巻き込んできた国はいくつもあった。だが多少の大小の差はあれど国力、軍事技術にそれほど差がないベスタル大陸の国々は、大陸統一という野望を果たせずに終わるのが常であった。
しかし、今回は状況が違うのだ。今までにないほど強大な軍事力を行使し泰国軍は侵攻してきたのである。
ベスタル大陸各国の文明レベルは中世程度で、軍が装備する武器は剣や槍、弓が主である。
しかし泰国はどこから手に入れたのか分からないが、近代的な銃火器が武器として配備されており、そのため泰国周辺各国は次々と敗北し、併呑されて行った。
そして、圧倒的な武力の差に成すすべもなく慶国軍は各地で敗走し、その首都である弓張は今まさに泰国軍に包囲され陥落寸前であった。
この国の首都に駐在する近衛師団は必死の抵抗を見せていたが、軍事力差は如何ともし難く押され続けていた。
「ふん、あっけないものだな」
泰国軍将軍、ラオ・ハンは弓張を見下ろす丘の上でそう呟いた。巨躯を誇る犬型の獣人の彼はこの侵攻軍の指揮官である。近代的火砲によって、すでに弓張市街を囲う城壁は破られ泰国軍は市街に乱入し、各所を守る慶国軍を蹂躙している。
泰国軍兵士は恰好は前時代的な鎧姿だがその手には近代的な自動小銃が
握られており、ミスマッチな雰囲気を醸し出していた。
一方、慶国軍は槍と刀という前時代的な武器しか持っておらず圧倒的な不利な状況であった。
泰国軍の兵士はその手にした小銃の引き金を引く。発射された弾丸は逃げ惑う民間人を無慈悲に貫いていった。
「市街地の敵軍の掃討はほぼ完了しました。しかし王城に籠る敵軍が最後の抵抗をしています」
「ふん、大事ない。陥落は時間の問題だ」
ラオ・ハンは側近の報告を聞きそう呟いた。しかしその表情には余裕の色があった。そんな彼の前に部下の一人がやってきて報告する。
「ラオ様、敵将が降伏の使者をよこしてきました」
その報告にラオの犬耳がピクリと動く。
「ふん、思ったよりも早かったな。で、なんと?」
ラオの問いかけに部下は答える。
「はっ!『国王以下王族はどうなってもよいので、民の命だけは助けてくれ』とのことです」
「はっ! ご大層なことだな。まあいいだろう、その使者を連れてこい。」
ラオ・ハンの命令を聞き、部下の犬獣人たちは鎧姿の猫耳の獣人を連れてきた。それは降伏の使者としてやってきた慶国の将軍であった。
「貴様が降伏の使者か? 俺はこの軍の指揮官のラオだ」
ラオはそう名乗り、降伏の使者の将軍と対面した。
「私は慶国軍将軍、カ・ジンと申します。どうか民の命を助けていただきたい」
その猫耳の獣人はそう名乗る。そしてラオに一通の手紙を差し出した。
「これは?」
「この手紙には我が王が無条件降伏する旨が書かれています。どうかお読みください」
ラオは無言でその手紙を受け取り、その場で中身を確認する。その手紙の内容を見たラオは手紙を破り捨てた。慶国の将軍はその行為に言葉を失う。そしてラオ・ハンはカ・ジン以下慶国の使者たちに向けて嘲笑
の笑みを浮かべる。
「ふん、我らに無条件降伏とは片腹痛いわ!! こんなものが交渉材料になるとでも思ったのか?」
「ならば我ら最後の一兵になるまで死兵となって戦うのみ、そちらにも無視できない損害が出ることでしょうぞ!」
カ・ジンの言葉に、ラオは失笑する。
「がっはっはっ! 我らに損害だと? たかが小国の分際で思い上がるな!!」
ラオはそう吐き捨てると、側に控えていた兵が彼に耳打ちする。
「将軍、そろそろ鉄の鳥が到着する頃です」
それを聞くとラオは口角を吊り上げ、犬歯をむき出しにする。
「そうか、ちょうど良い。カ・ジンよ、お前の国が滅ぶ様を特等席で見せてやる」
ラオの言葉にカ・ジンの顔に緊張が走る。カ・ジンは鉄の鳥とは一体何かと疑問が浮かぶが、ラオの嘲笑を見てそれが良くないことだと感じていた。
少しすると、聞きなれない甲高い音が聞こえてきた。ラオはその音が聞こえた方に視線を向けると、それはこちらに向かってやってくる4機の戦闘爆撃機型天の浮船の姿だった。
「来たか……あれが我が軍の切り札だ!」
ラオはそう呟くと、カ・ジンに向き直り告げる。
「これから貴様の国は滅びるのだ!! その目に焼き付けるといい!!」
「何!?」
ラオはそう叫ぶと、高笑いをするのだった。そして鉄の鳥と呼ばれた戦闘爆撃機はマジックジェットエンジンの轟音を響きかせながら、市街中央に位置する王城へ向け爆弾を投下した。
巨大な爆炎が立ち昇り、荘厳な王城は積み木細工のように崩れ落ちたのだった。
「――!!」
カ・ジン将軍は変わり果てた城の姿を見て呆然と立ち尽くしていた。かつての王城はただの瓦礫の山と化した。
「ガハハハッ! あれではお前の国王は生き埋めだな!」
ラオは大声で笑いながらそう言った。
「き、貴様ぁ!!」
カ・ジン将軍は怒りに任せて剣を抜き放ち、ラオに向かって斬りかかるが、あっさりとかわされ蹴りを入れられ吹き飛ばされる。
「ぐはっ!?」
「ふん! たかが小国の分際で思い上がるなと言ったはずだ!」
ラオはそう言って柳葉刀を抜き放ち、カ・ジンに斬りかかる。
「うっ!? や、やめろ!!」
カ・ジンは命乞いするが、ラオは容赦なく刀を振り下ろし、彼の首を刎ねたのだった。
「がっはっはっ! ベスタル大陸の統一へまた一歩近づいた!」
ラオ・ハン将軍の声が、丘に木霊した。そして彼は部下に命ずる。
「これより掃討作戦に移行する! 抵抗する者は容赦なく殺せ!!」
その命令を聞いた犬耳の兵士たちは、一斉に雄叫びを上げながら街を蹂躙していくのだった。こうして慶国の滅亡が確定したのである……。
◆◇◆◇◆◇◆
泰国首都、大仙。中央の王城では泰国国王、テム・ジンがラオから慶国遠征の報告を受けていた。
「陛下、此度の遠征は大成功に終わりました。弓張は陥落。慶国全土が我が手中に落ちるのも時間の問題でしょう。それと陛下に手土産です」
そう言ってラオは首桶から慶国国王の首を取り出した。塩漬けされたそれは、わざわざ瓦礫のしたから掘り出したのだろう。
「ほう……慶国の国王か?」
テム・ジンは生首を興味深げに見ながらそう尋ねる。
「はい、この通り。これで我の宿敵がまた1人を討ち滅ぼされました」
「うむ、よくやったぞラオ将軍!」
テム・ジンは大層満足げにそう言った後、言葉を続ける。
「しかし……慶国の民も哀れなものだな……我に刃向かうからこうなるのだ」
慶国が陥落した今、泰国はベスタル大陸の過半を支配したのも同然である。
「全くです。刃向かねば、このような目に合わなくて済んだものを」
ラオ・ハン将軍はそう言って嘲笑うのだった。
数年前までベスタル大陸の軍事力はどの国も五十歩百歩であった。しかし、その状況は一変したのである。
突如として南方から現れた謎の文明力を持つ異邦人の船団によって泰国の軍事力は飛躍的に向上したのである。それはベスタル大陸各国の軍事力とは比較にならないほど強力な兵器とそれを運用する近代的な軍隊を持つものであった。
南方から異邦人は翼が生えた人種で、彼らは泰国へこれら軍事技術を提供し、その見返りにベスタル大陸の資源開発権を要求した。
軍事技術の供与によって強化された軍備を原動力に、彼らはベスタル大陸で次々と周辺国を制圧して行ったのである。ちょうど各国が対グラ・バルカス帝国との戦争に全力を尽くしている最中であり、各国はベスタル大陸の情勢に注視している余裕はなかったのである。
結果、彼らはベスタル大陸の過半をたった半年で制圧し、着々と大陸統一への足場を築き上げていくのだった。
「あの翼人共がいなければ、この国もここまでの力は持てなかったであろうな」
「左様でございます。彼らのおかげで我らは強大な軍事力を手に入れることができたのですから」
「そうだな……だが油断は禁物だ。いつ彼らが裏切ってくるやもしれぬからな……」
ラオ・ハンの言葉にテム・ジンはそう答える。彼らは完全に翼人を信用していないようであった。
「その時にはそのときで蹴散らせばよいでしょう」
「それもそうだな……ところで将軍よ、次はどこへ攻め入るのか?」
「はっ、北方の延国です」
ラオ・ハンは地図を拡げてそう答える。
「ふむ、あの狐人どもの国だな? 奴らは我らが攻め込むと知ればすぐにでも降伏するのではないか?」
テムジンの言葉に、ラオはにやりと笑って応える。
「いえ、それはないでしょう。彼らはプライドの高い選民意識の塊のような国です。そんな国が我が軍門に降ることは考えられません。故に我らは奴らの誇りを完膚なきまでに叩き潰してやろうと考えております」
ラオの言葉に、テム・ジンは頷く。
「なるほどな。それは楽しみだ」
「はい、奴らが無様に許しを請う姿が目に浮かぶようで……。くくくっ」
彼らは延国へ攻め入る計画に思いを馳せ、笑い声を上げるのだった……。
◆◇◆◇◆◇◆
南方大陸、アニュンリール皇国首都マギカレギア オラナタ城。
天を衝くほどの高層建築物が立ち並ぶマギカレギア。そのなかにあってひときわ巨大な建物が皇帝の居城たるオラナタ城であった。
オラナタ城は城というよりも要塞……メガストラクチャーのような様相を呈していた。
この城には皇国の中枢を担う多くの官僚や軍人が住んでいるのである。
そんなオラナタ城の謁見の間には1人の男の姿があった。その男は玉座に腰掛けて足を組みながらタブレット端末で報告書を見ていた。
男の見た目は若い人間で20代前半といった様子であった。そして彼の服装はとても国家元首のそれとは思えないほどラフなものであった。
黒いワイシャツに白いスラックスといういでたちである。そのワイシャツの胸の部分には皇国の国章が描かれていた。
報告を見終わったのか、男は端末の画面を閉じる。
「ベスタル大陸の戦争は泰国が優勢か……」
男がそう呟くと、彼の側に控えていた初老の秘書が応えを返す。
「はい、現地に潜入させた諜報員からの報告でございます……全ては陛下の計画通りに事が運んでおります、」
「そうか、犬どもにエサを与えた甲斐があったな」
初老の秘書の言葉に男はにやりと口を歪めた。彼がこの国のトップ、アニュンリール皇国の皇帝ザラトストラである。
「これで俺の計画も一歩前進したってわけだ」
ザラトストラはそう言って満足げな表情を浮かべた。
「はい、既に我が国の資源開発公司がベスタル大陸での魔石採掘をスタートさせております。この計画が成功すれば我が皇国の魔石不足も解決されましょう」
ザラトストラの言葉に、初老の秘書がそう答えた。
「ああ、だがベスタルの魔石だけでは需要は満たせん、アルタラス、そしてフィルアデス大陸の魔石も確保する必要がある」
ザラトストラはそう言って邪悪な笑みを浮かべた。
アニュンリール皇国は現在重要な資源である魔石が枯渇寸前であった。皇国は高度な魔法文明国家であり、その発展を支えてきたのが魔石なのである。
しかしその魔石がアニュンリール皇国では後20年で完全に枯渇してしまうという試算が出たのである。
故に、アニュンリール皇国は早期に他国の魔石を手に入れるためベスタル大陸に干渉したのだ。
ベスタル大陸の泰国に軍事技術を供与して彼らを強化し、その見返りとしてベスタル大陸の資源開発権を得るとともに、安定化を図る。そして、アニュンリール皇国は泰国を背後から支配し侵略の先兵とし、アルタラスやロデニウスをも支配する。
それがザラトストラが描いたシナリオであった。そして彼の計画はその第一歩は結実しつつあった。
「しかし、本国の近代貨物船を使用していては、他国に怪しまれるのではないでしょうか?」
秘書がザラトストラにそう尋ねる。
「致し方あるまい。今まで通り偽装のために帆船を使用していては、とても輸送量に限界がある。もはや猶予はないのだ。」
「確かにそれはそうなのですが……」
アニュンリール皇国は古のラヴァーナル帝国の末裔である。もしそのことが他国へ露見すれば、ラヴァーナル帝国の再来として世界全てが敵に回るだろう。
ゆえに、アニュンリール皇国はその正体を知られるわけにはいかず、他国との交流の際には帆船などの旧式の輸送手段に頼っていたのである。だが、それも限界が近づきつつあったのだ。
前時代的な帆船では当然近代的な貨物船に比べて輸送量に限界がある。魔石の枯渇が眼前に迫った今、もはや旧来の輸送手段ではアニュンリール国内で消費する魔石を賄うことは叶わないのである。
「もし、我らの正体が露見したとしてもミリシアルやムーはグラ・バルカスとの戦争で疲弊している。とても我が国に攻め入る余裕はあるまい」
いくらアニュンリールが高度な魔法技術とそれに裏付けられた軍事力を誇っても、世界全てを敵に回すことは無理である。いや無理であった、と言えるだろう。
グラ・バルカスとの戦争前なら各国が協力すればアニュンリールを打倒することも可能であったかもしれないが、グラ・バルカス帝国に苦汁をなめさせられた今、各国にそんな余裕はないだろうとザラトストラは考えていた。
そしてそれは事実でもあった。アニュンリール皇国の諜報員はそう分析していたのである。
「確かに仰る通りでございます」
秘書の言葉にザラトストラは満足そうな表情を浮かべるのだった。しかし次の瞬間にはその顔が邪悪な笑みで歪む。
「それに、各文明圏の国の邪魔が入らないように策は打ってある。懸念はやはり日本とグラ・バルカスだな……」
ザラトストラはそう呟いた。彼は各国にいるシンパから情報を秘密裏に集めており、そのおかげで各文明圏各国の情報を正確に把握していたのだ。
「どうやら、日本国は我が皇国の正体に感づいたようでございます。そして彼らと接触した者の話によれば、彼らは我が国の最大の脅威となり得るとのこと」
「チッ! やはりあの国は要注意だな……可能な限り日本国に関する情報は集めるんだ。対抗策を考えねばならんからな」
ザラトストラの言葉に秘書が頷く。
「御意にございます。しかし日本は積極的な軍事力の行使を控える傾向にございます。こちらから攻撃を仕掛けなければ向こうから手を出してくることはないでしょう」
「まあ、今はそうかもしれん。だが万が一の備えは必要だ。策を考える必要がある」
「日本は資源の輸入先をロデニウス大陸に依存しているらしいですから、そちらから切り崩していくのは如何でしょうか?」
「ふむ、ロデニウス大陸か……確かにそれはいい手かもしれんな。よし、その線で行くことにしよう。もう一つの懸念であるグラ・バルカス帝国についてはどうか?」
「はい、グラ・バルカス帝国本土はここより遥か彼方、第三文明圏の争いに関与する理由はありませんから、介入してくる可能性は低いかと、しかしグラ・バルカスは世界各国に余剰となった兵器を輸出しております。パーパルディア含む第三文明圏の国々はこれを積極的に購入して戦力増強を行っております。以前のように前時代的な装備ではありませんので油断は禁物です」
「なるほどな、以前のような劣った装備ではないということか……。やはりグラ・バルカスの動向も要観察だな。そちらについても何か情報が入ったら報告するように」
「御意にございます」
こうして、アニュンリール皇国の魔手が第3文明圏へ伸びようとしていたのである……。