日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
ベスタル大陸での戦争が自国が支援している泰国優勢であることを確認したザラトストラは、大陸統一を加速させるための次なる一手を打つことにした。
それはより直接的な手段、すなわちアニュンリール皇国軍をベスタル大陸へ派遣する直接的武力介入である。
ザラトストラは海軍の魔導艦隊長官を呼び出した。アニュンリール海軍魔導艦隊はその前身をラヴァーナル帝国海軍艦として設計された最新鋭艦が多数在籍する世界最強の艦隊と言えた。
ザラトストラは、この艦隊を戦場へ派遣し直接介入することを決意したのだ。
魔導通信による呼び出しから数分後、青い髪をした青年は長官の執務室へ現れた。その青年の名はアニュンリール海軍第1魔導艦隊司令長官ラミサルである。
彼はザラトストラの前で敬礼する。
ザラトストラはそんなラミサルを見て満足げに頷いた後、口を開いた。
「ラミサル、君の出番だ。第1魔導艦隊を率いてベスタル大陸へ赴き、直接介入を行って欲しい」
「はっ、必ずや陛下の御期待に応えて見せましょう」
「君の指揮下には海軍だけでなく陸軍の部隊もいる。彼らとの連携を密にし、必ずやベスタル大陸の統一支援という任務を果たすのだ」
「はっ! 必ずや陛下の御期待に応えてみせましょう!」
ラミサルはそう言って敬礼する。その目には強い意志の光が宿っていた。
「うむ、期待しているぞ」
ラミサルはザラトストラの右腕としてアニュンリール皇国のために尽くしてきた人物である。
「迷い込んできた下等種共のぼろ船を相手するのは飽き飽きしていたところです。骨のある相手ならいいのですが」
「ははは、残念だがベスタルの畜生共の船もいままでの船とそう変わらんよ、まあラミサルが期待しているような敵はいそうにないな」
「なんと! それは残念です……」
ザラトストラの言葉に、ラミサルは心底残念そうな表情で呟いた。
「なに、ラミサル、そう落ち込むことはない。いずれその機会は来るだろう」
「はっ、御気遣いありがとうございます。何卒、私の出番を心待ちにしていただきたいと思います」
そんな会話を交わした後、ザラトストラはラミサルにベスタル大陸へ赴くように命じたのだった。
そして1週間後……。
アニュンリール軍ベスタル派遣部隊である強襲揚陸艦を旗艦とした6隻の魔導艦隊はアニュンリール皇国の港からベスタル大陸へ向けて出港したのである。
◆◇◆◇◆◇◆
パーパルディア皇国、皇都エストシラント。
その中心にそびえ立つ巨城の私室でレミールは執務を行っていた。
「ふぅ……少し休憩にしましょうか」
彼女は一息つくと机の上に広げられた書類を片付けながらそう呟いた。そして、ふと窓の外へ視線を移す。空は良く晴れており、青い空が広がっている。高い尖塔に位置する彼女の部屋からはエストシランドの街並みがよく見えた。大勢の人々が通りを行き交い、街には日本製品を扱う店が何軒も見える。だがそこかしこに数年前のクーデター騒ぎの破壊の跡が見え、復興はまだまだ道半ばと言った様子であった。
レミールはそれを見てあのクーデターを思い出す。日本の転移前、パーパルディア皇国では軍部が政治に介入して政権の実権を握っており、皇帝ルディアスの政治的な影響力は大きく減衰していた。あまりにも巨大化した軍部はルディアスの制御を外れ、暴走する寸前であった。
そのため皇帝ルディアスは、軍部の影響力を削ぐために、謀反の疑いがある将軍を全員解任しようとした。だがそれに反発した将軍たちのクーデターが起こり、軍部は皇帝ルディアスを拘束して皇城を制圧、実権を握ったのである。
そして軍部は民衆の不満を逸らすため、日本侵攻作戦を実施したのである。エストシランドから何とか脱出していたレミールは日本と接触。日本へ渡り、そこで亡命政権を樹立したのである。
パーパルディア軍と日本との戦争は当然日本の完勝。自衛隊がエストシランドへ上陸し制圧、パーパルディア皇国の皇帝ルディアスの身柄も解放され再び皇帝の座に就いた。
日本としてもこのクーデター騒ぎは拡張主義的なパーパルディアの軍事力を削ぎ、さらに親日本的な政権をパーパルディアに樹立させるという、まさに一石二鳥の結果に終わったのであった。
そして今、レミールは日本の支援を受けながらパーパルディア皇国を復興させている最中なのである。
「しかし、日本には感謝してもしきれませんね……」
レミールはしみじみとそう呟いた。彼女の中では日本に対する深い感謝の気持ちが渦巻いていた。
ルディアスを救い出してくれたことだけじゃない、その後も様々な支援をしてくれている。
(いつか、このご恩を返せればいいのですが……)
レミールはそんなことを考えながら執務机から立ち上がった。その時、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ」
レミールがそう言うと、扉が開きレミールの付き人が入って来る。
「失礼いたします。レミール様、定例会議のお時間です。大講堂までお越しください」
「分かりました、準備したらすぐ行きます」
レミールは付き人の言葉にそう返答し、準備を始めたのだった。
◆◆◆◆◆◆
大講堂では既に多数の者が席に着いていた。
レミールはルディアスの妃として、補佐役として会議に参加している。
「これはレミール様、よくぞお越しくださいました」
そう話しかけてくるのは宰相カイオスである。彼は第3外務局局長であった人物だがクーデター後宰相に格上げされ、現在は主にパーパルディア皇国の内政を司っている。
またクーデターの最中レミールのエストシランド脱出を手助してくれ、日本との接触の橋渡しをしてくれた人物でもある。
「いえ、これも陛下を支える身として当然の役目ですので」
レミールがそう返す。
そんな会話を交わした後席に着く。そして会議が始まった。
「それでは定例会議を始めます」
進行役を務める外務局局長メツサルの言葉により開始される。まず最初にパーパルディア皇国の現在の情勢についての報告が行われた。
それによると現在、皇都エストシラントを含む各都市は安定しているようで特に問題は発生していないらしい。
続いて皇国の軍事状況について報告があった。各部隊の配置や訓練状況などパーパルディア皇国軍の戦力増強に関するものであった。それによると、現在陸軍は20個師団まで再建されており、そのうち3個師団はグラ・バルカス帝国から購入した銃火器を装備している。
続いて海軍は同じくグラ・バルカス帝国から購入した艦を主力に、新たに建造された新型竜母1隻も加え合計18隻の艦艇が編成されている。クーデター前は16隻の1等戦列艦を主力に2等戦列艦が34隻、フリゲートが68隻、飛竜母艦12隻を擁する大艦隊を保有していたのだが、今はそれらの艦はほとんどが海の底である。現在装備している18隻の艦艇のうちグラ・バルカスから購入したものは10隻であり、内訳としては8隻が駆逐艦、2隻が巡洋艦である。残りはクーデターを生き残ったフリゲートだ。また護衛空母とその艦載機も艦隊防空用に輸入予定であるらしい。
そして空軍の現有戦力はワイバーンロード連隊1個(38騎)のみである、皇国が誇るワイバーンオーバーロードは壊滅してしまった。これでは皇国の空を守れないので、新たにグラ・バルカス帝国の戦闘機である『イザル』を輸入している。
これは空冷レシプロ戦闘機で、グラ・バルカス帝国陸軍航空隊(現空軍)が主力として装備するジェット戦闘機スピカの前に主力とすて装備していた機体である。搭載武装は20ミリ機銃が4門。最高速度は時速720キロメートル程度とワイバーンオーバーロードどころかミリシアルのエルペジオ3を凌駕する性能だ。輸入前のデモンストレーションとして行われたワイバーンロードとの模擬空戦では、ワイバーンロードがまるで相手にならなかったという。まだパイロットは訓練途上だが、それでもワイバーンロードを超える空戦力として期待されていた。
「以上が現在のパーパルディア皇国軍の戦力状況です。」
メツサルがそう締めくくる。続いて新たな議題へと移っていった。
「次の議題はベスタル大陸の情勢についてです」
カイオスの言葉に出席者はピクリと反応する。最近ベスタル大陸では不穏な情勢が続いており、パーパルディアも情勢に注視している。
「まず、ベスタル大陸の各国についてですが、ここのところずっと戦乱状態が続いています。特に、泰国が主な軍事行動を行い各地で戦闘が発生しています」
「ふむ……ベスタル大陸での戦乱はいつもの事だろう。取り立てて議題にあげるようなことか?」
カイオスの説明に皇帝ルディアスが疑問を投げかける。するとカイオスは頷いて言った。
「ええ、今回の戦争はどうやら今までとは少し様子が違うようでして、戦況が予想よりも進行しているのですよ」
「ほう……? それはどういうことだ?」
「どうやら泰国は他国の支援を受けているらしく、ベスタル大陸全土を統一する勢いのようです」
「なに? それは本当か?」
ルディアスが驚きの声を上げる。
「はい、既にいくつもの国が泰国の手に落ちたという報告も上がっています」
「なんと……泰国を支援している国はどこなのかね?」
「それが不明なのです。しかし、泰国の軍備は相当に増強されていると見られますので、おそらく列強国ではないかと考えられます」
「ふむ……」
カイオスの言葉に出席者たちは考え込む。
「グラ・バルカス帝国が支援しているのだろうか? 我々と同じようにグラ・バルカスから武器を購入している可能性もあるのでは?」
「分かりません、情報が少なすぎます。これと関連しているかは不明ですが、ベスタル大陸近海に正体不明の艦隊が目撃されているようです」
「正体不明の艦隊だと?」
カイオスの報告に出席者たちは首を傾げる。
「はい、遠洋航海訓練中に目撃されたらしく詳しい艦種や国籍は不明です。おそらくどこかの国の軍艦と思われますが……」
「うーむ……気になるな、少し調査してみるか?」
メツサルはそう提案する。だがそれに反対意見が上がった。
「いや、今はそれよりもパーパルディアの国内問題の方が優先だろう、まずは国内の安定を図らなければならん。
「そうですか……ではこの件については保留ということで宜しいですか?」
「うむ、それでいいだろう」
その後、いくつかの議題について話し合った後会議は終わった。退室の途上レミールは考え事をしながら歩いていた。
(謎の艦隊……)
彼女の心の中には先ほどのカイオスの言葉が引っかかっていたのである。嫌な予感をひしひしと感じる。それはまるで、巨大な何かが近づいてきているかのような……そんな予感であった。
◆◆◆◆◆◆
ベスタル大陸北西の近海域。そこには総勢32隻の船が航行していた。
その中でひときわ大きい戦列艦が3本もの巨大な帆が風を受け膨らみ、舷側にずらりと並ぶ100門もの大砲は迫力満点である。
その戦列艦『大雀蜂號』の甲板上に、1人の狐獣人の男が佇んでいた。
彼の名はシャ・ベル。延国海軍に所属する艦隊指揮官である。
彼は延国海軍艦隊を率い、泰国艦隊を待ち受けていた。泰国艦隊は延国艦隊を撃滅するために母港を出航し、シャ・ベルの艦隊はそれを待ち受けていた。
それに泰国艦隊を待ち受けるのは延国だけでない。同じベスタル大陸の国、柳国の艦隊18隻も共同で泰国海軍を待ち受けている。
そう、この2ヶ国は手を組んでいたのだ。その目的はただ一つ。泰国海軍の打倒である。
合計50隻もの大艦隊が海原を進む。
延国、柳国連合艦隊の主力は『大雀蜂號』の同型艦『白虎號』の他に100門級戦列艦2隻、80門級戦列艦19隻だ、他はフリゲートやコルベットだ。
そろそろ、偵察艦として艦隊に先行させているコルベットがそろそろ敵艦隊と接触する頃だろう。シャ・ベルはそう思い気を引き締める。
その時、魔導通信機に通信が入り、通信員がシャ・ベルのもとへ駆け寄って来た。
「報告します!コルベットから緊急通信!空襲を受けているとのこと!」
その言葉に、シャ・ベルは息を呑む。
(なに! ワイバーンがいるのか!? だが泰国のワイバーン基地は近くにはないはず。航続距離的にも我が艦隊を発見できる位置ではない……)
シャ・ベルはそう考えを巡らせる。ベスタル大陸の国々は竜母は保有していないはず。だが今は考えを巡らしている場合ではない。
「艦隊、戦闘準備!!」
彼はすぐに命令を下した。その直後再びコルベットから通信が入る。
「コルベットからの通信が途絶えました!おそらく撃沈されたかと……」
その報告にシャ・ベルは歯噛みする、偵察艦がやられたということは敵艦隊の位置を把握できないということであり、それは大きな痛手である。だが今は嘆いても仕方がない。彼はすぐに対空警戒の命令を下す。
そして数分後、敵が上空に姿を現す。しかしそれはシャ・ベルが想像したようなワイバーンではなかったのだ。彼の上空に現れたのは、奇怪な姿をした航空機であった。
その航空機は1機だけではなく、10機もの機体が彼の艦隊上空を飛行し、やがて緩降下を開始した。
そして、その機体から爆弾投下される。それらはまるで流星のような軌道を描いて延国艦隊の戦列艦やコルベットに降り注いだ。
次の瞬間、『大雀蜂號』の船体に着弾したそれは爆発し、船体を炎に包み込んだ。
延国、柳国艦隊は攻撃に対応できず混乱に陥る、シャ・ベルは最初の爆発で戦死していた。
戦列艦には対ワイバーン用の榴散弾を発射する旋回砲が搭載されるが、射程外であり、さらに精度も劣悪なそれでは対処できようはずがない。
爆弾を投下し終えた航空機は今度は無誘導ロケット弾を延国艦隊へばらまき、戦列艦とコルベットを次々に撃沈していく。
まるでそれは猛禽類が獲物を狩るかのごとく、一方的な殺戮であった。
散々暴れ回った航空機はやがて飛び去って行き、後にはコルベットなどの小型艦と残骸のみが残った。もはや戦闘どころの話ではない。
◆◆◆◆◆◆
延柳国艦隊の場所から80キロの海域。アニュンリール皇国海軍艦隊。
「ラミサル大将。攻撃隊収容完了しました。」
艦隊旗艦『ディザリンド』の艦上で艦隊指揮官ラミサルへそう報告するのは、副官である。
彼は今、延柳国艦隊を壊滅させ帰還した攻撃隊の報告を受けていたのだ。
その報告を聞き終えたラミサルは満足げに頷く。
強襲揚陸艦『ディグレス』が飛び立ったvstol戦闘機『イール』の編隊は、敵艦隊を一方的に攻撃し大損害を与えた。
航空攻撃隊は無事帰還した。がしかしまだこの作戦は終わっていない。
「残余の艦、未だ動きなし。混乱している模様。」
艦隊指揮官の戦死により指示系統が機能していないようだ。
まさか戦闘機がいきなり襲ってくるとは夢にも思わなかったのだろう、気の毒なことだ。とラミサルは心の中で思う。だがこれは戦争なのだ、相手側に慈悲をかける必要はないだろう。
「残りは砲戦で仕留める。全艦砲戦準備!目標敵艦隊!」
ラミサルの命令でアニュンリール艦隊は動き出す。
ディザリンドは排水量13000トン、兵装に各種ミサイル、20センチ単装速射砲
対潜ロケットと汎用性の高い設計となっており、今回の作戦でも活躍が期待されていた。
ディザリンド含む5隻の艦は33ノットの高速で距離を詰め、主砲の射程に収める。
「全砲門!照準合わせ!」
そしてラミサルの命令で5隻の艦隊は一糸乱れぬ動きで砲門を敵艦隊へと向ける。
その動作には一切の無駄がない、訓練の賜物である。
ディザリンドの20センチ速射砲や随伴艦の127ミリ砲が火を噴く。連続した砲声が海上に轟き、それらは弧を描きながら延柳国艦隊に殺到し命中する。
延柳国艦隊の戦列艦やコルベットが次々と沈んでいく、それは一方的な虐殺であった。
30分もしない内に、延柳国艦隊の姿は消えていた。
「ふん、他愛もない」
ラミサルはそう吐き捨てる。
「敵艦隊、完全に消滅しました。おみごとです。」
副官がラミサルを褒め称える。しかし、ラミサルはにべもなく言った。
「ふん、粗大ごみを片付けただけだ。こんな物戦果にも入らん。」
「は、はぁ……」
ラミサルの言葉に副官はたじろぐ。
「次の作戦である延国沿岸の海上交通路破壊に移る!」
ラミサルはそう命令し、艦隊は進路を新たにするのだった。