日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた   作: まっこーける

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42 ドチェの町

 

 ドチェの町は四方を城壁に囲まれた城塞都市だ。日本が転移してくる前のロウリア王国との戦争ではロウリア軍の包囲攻撃に対して4ヶ月も耐え続けたという。

さらに当時、ワイバーンを数騎撃墜したほどだ。それだけ防御能力の高い町である。

そんなドチェの町は今、新種の魔物の群れに襲撃されていた。

 

「なんだこいつは!?」

「チィ、しつけぇ!!」

 

 新種の魔物はゴブリンに酷似している。しかしレフトがこれまでに見たゴブリンよりも大きく強靭で、その数も100体ほどと多くて厄介だ。さらに1匹1匹の戦闘能力も高く、並の冒険者では太刀打ちできないほどだ。

 

「ぎゃああ!」

「助けてくれぇ!!」

 

 運悪く居合わせたキャラバンや、近隣の村からの避難民たちがその魔物の餌食となっていく。

レフトたち冒険者は城壁の外へ出て、そのような人々の城壁内への避難を援護すべく、魔物へと果敢に攻撃を仕掛けていた。

 

 しかし、敵はベテランの冒険者にとっても凶悪な魔物だ。1人、また1人と犠牲となっていく……。

そしてとうとうレフトの前に現れた。その魔物は一見すると普通のゴブリンと似た姿をしているが、大きさがまるで違った。通常のゴブリンが人間の子供並みの大きさであるのに対し、この新しい魔物は筋骨隆々で2メートル以上はある巨体だった。

 

(こいつが噂の新手の魔物か?)

 

 レフトは冷や汗をかく。こいつ1体で並の冒険者3人は束になっても敵わないだろうと思われるほどだ。しかし彼は意を決してその魔物へと切りかかる。

レフトはゴブリンのような魔物に長剣で袈裟斬りを浴びせた!しかし……。

ザシュ!! 剣は弾き返され、逆に相手の剛腕による反撃を受けてしまう。

レフトはとっさに剣を立てガードするが、衝撃を緩和しきれず吹き飛ばされてしまった。

 

(くそぉッ)

 

 起き上がろうとするが激痛が走る。見ると右腕の骨が折れているようだ。剣は振るえない。そんな様子を見て同じパーティの仲間たちが駆けつけてきた。

 

「レフトの兄貴!大丈夫か!?」

 

タックは叫びながら短弓を構え敵と対峙する。彼はレフトを庇うようにしながら、弓で援護射撃をする。シェロンは治癒魔法を唱え負傷したレフトの傷を癒していく。傷が癒えたレフトは再び立ち上がり剣を構え魔物へ切りかかった! その様子を見たタックは魔物の顔面目掛けて矢を放つ。ゴブリンのような魔物は矢を丸太のように太い腕で払いのけようとする。だがその隙をつきレフトは魔物の脚に剣で切りかかった。

 

「うおおッ!」

 

 魔物は激痛に絶叫し、思わず膝をつく。そこへシェロンが攻撃魔法を放つ。稲妻が杖から迸り魔物の体を貫く。苦しむ魔物にさらにタックが弓で矢を放ち、魔物の目を潰した。トドメにレフトは魔物の首を切り落とす。

 

「はぁはぁ……1人でこいつと戦うのは無謀だぜ」

 

 息絶えた魔物の巨体を見ながら、レフトは肩で息をする。そこへタックが駆け寄った。

 

「すまねえ兄貴……俺の援護が遅れちまった……」

「いや、こちらこそ助かったぜ!おかげで生き延びることができた!」

 

 レフトとタックはお互いの顔を見て笑う。だが一息つく暇はない。周りを見ると他の冒険者たちも善戦はしているが状況は良くない。徐々に押され気味だ。

 

「敵の新手だ!」

 

 誰かが叫ぶ。

レフトがそちらを見ると新たな新種ゴブリンの群れがドチェの町へ迫っていた。その数は数百、いや千を超える。

 

「くそッ……きりがねぇぜ!」

 

このままでは物量に押しつぶされて全滅してしまう。そんな恐怖が冒険者たちに広がる。

 

「お前たち! 城壁の中へ撤退しろ」

 

 城壁の上からこの町の衛兵長が魔導拡声器で叫んだ。

 

「だが、まだ避難中の人が!!」

 

 冒険者の一人が叫ぶ。

 

「わかっている!しかしこのままでは全滅してしまうぞ!民を守るためには一旦退却し態勢を立て直す必要がある!」

 

 その言葉に反論するものはいなかった。このまま戦い続けてもいずれ押し切られてしまうだろう……ならば一時撤退して他の場所で戦おうと考えたのだ。そして残った冒険者たちは一斉にドチェの町へ退却していった。冒険者たちの背後から断末魔の悲鳴が聞こえてくる。逃げ遅れた人だ。レフトは血が出るほど唇を嚙みしめる。

 

「援護する」

 

 城壁から弓矢やバリスタによる矢が、魔物たちの頭上へ降り注ぐ。その援護射撃のお陰で冒険者たちはなんとか町へ退却することができた。

 

「よし! 俺たちも撤退だ!」

 

 レフトは仲間たちに声をかけ、ドチェの門をくぐる。そして町の中へ入り、避難民たちと共に城壁の中へと逃げ込んだ。彼らの背後で重々しい城門が閉じられる。

 

「みんな、よく戦ってくれた」

 

 城門をくぐったレフトたちを出迎えたのはこの町の衛兵長のリガルだった。ヘラジカの角と耳を持つ獣人の彼は、冒険者たちへ労いの言葉をかける。

 

「すまねえ、力不足だった……」

「いや、君のようなベテランの冒険者がいなければ、より多くの人が命を落としていただろう。君たちが戦ってくれたおかげで助かった命もあるのだ」

 

 リガルはそう言ってレフトの肩に手を置く。シェロンやタックたちも負傷した部位に治癒魔法を施しながら頷いている。

 

「そうだな……ところで戦況はどうなっている?」

「ついて来たまえ」

 

 リガルに連れられてレフトは城壁の上へと登った。町の外を見渡すと、新種の魔物たちがドチェの町を包囲している様子が見て取れる。奴らはさらに数を増しつつあり、その数は数千に届こうかという勢いだ。

 

「なんて数だ。もう既に包囲されてるじゃないか」

「これだけの新種の魔物どこから湧いて出たのやら」

「もう逃げ場はないな。籠城するしかねぇ。他の町への救援要請は?」

「今頃、領主様が隣の町へ魔導通信で行っているはずだ」

 

 レフトたちは城壁の上から魔物の群れを見下ろしながら言葉を交わす。魔物たちは城壁を取り囲むように布陣しており、突破は難しそうだ。

一方、町の中央に位置する領主の館ではこの町の領主であるハドバルが部下からの報告を受けていた。

 

「何!? 魔導通信が通じないだと!?」

「はい、隣町のブリー町へ救援の要請を行いましたが返事はありませんでした。通信装置の故障でもなく、妨害されている様子もありません。おそらく先方が何らかの理由により通信に出れないのではないかと……」

 

 ハドバルは舌打ちする。この町の領主となって10年、今ほど危機を感じたことはなかった。まさかこのような事態になるとは思わなかったのだ。

 

「まさかブリー町も新種の魔物に襲撃されているのか……?」

「おそらく……」

 

 ハドバルはため息をつく。もはやどうしようもない状況だ。隣町からの援軍が見込めない以上、籠城しつつ状況を乗り切るしかない。

 

(だがどうすればいい?)

 

この町の戦力は衛兵隊が500人程度、冒険者が300人ほどだ。戦える町の住人を入れても1000人ほど。とてもではないがこの数の魔物を相手に戦うのは不可能だろう……。

 

「もはやこの地域だけで対処できる問題ではないな……カナタ首相に至急、魔導通信で報告してクワト・イネ正規軍へ援軍を要請しよう」

「わかりました。通信室へ向かいます!」

 

 部下は敬礼をすると執務室から出ていった。ハドバルはため息をつくと窓から外を眺めた。幾度となくこの町を守ってきた城壁を見て思う。

 

(果たして正規軍が来るまでこの町は持ち堪えられるだろうか……)

 

◆◆◆◆◆◆

 

 少し時間を遡り、ブリーの町。この町はドチェの町から2日ほどの距離にある。かつては開拓村であったが、今では立派な町へと発展している。

 特産となるものは蜂蜜だ。この町は養蜂が盛んであり、高品質の蜂蜜を生産しており、その一部は日本へも輸出されている。だが今かつてのブリーの町の面影は無かった。

 

 辻々は魔物の群れで埋め尽くされ、町の大通りは死体でで溢れていた。家々の窓は破られ、ドアは叩き破られていた。魔物たちの咆哮や人の悲鳴があちこちから響き渡り、まるでこの世の終わりのような光景だ。

 

「オレサマ、オマエ、マルカジリ」

 

 新種のゴブリンが人を生きたまま喰らっている。彼は、バリバリと脚から喰らっていく。絶叫が響き、また一人犠牲者が増える。

別の場所では新種共が群がり衛兵の手足を引き千切っていた。まるで玩具で遊ぶ子供のように無邪気に人の手足をもぎ取り、最後に頭を引き抜くとゲラゲラと笑いながらその死体を捨てる。

また別の場所では、魔物たちが妊婦の腹を裂き、胎児を取り出し喰っていた。

まさに阿鼻叫喚。だがそんな地獄の中人間の男が1人通りを歩いていた。

 

「くっくっく。いやぁ、すばらしい光景じゃないか」

 

 男はニヤニヤと笑いながら、魔物たちの群れを楽しそうに眺めていた。

その格好は異様だ。黒いローブにフードで顔を隠している。そして彼の周囲には無数の死体が転がっていた。それはブリーの町の住民や冒険者のものだ。

男は死体を踏みつけながら町の中心にある広場へとやってきた。そこには大勢の人々が集められていた。皆、絶望しきった表情をしている。

そこへ先ほどの男がやって来た。

 

「みなさんこんにちは。私はアデム。元ロウリア人です」

 

 アデムはそう言うとフードを脱いだ。目は真紅に染まり、その額には角が生えていた。彼はこの新種の魔物を指揮し、この町を地獄へと変えた張本人なのだ。

アデムはロウリアの将軍だった男だ。日本に敗北した後アニュンリール皇国へ渡ったが、そこで驚くべき事実が発覚する。

 

 彼はアニュンリール皇国の脱走した生物兵器だったのだ。偶然にもアニュンリール皇国へ里帰りを果たした彼は改造され、さらなる力を得たのだ。

アニュンリールの第零特務隊が持ち込んだADEMと書かれた保存カプセル。その中にアデム

が入っていた。そしてアデムは第零特務隊に魔物の指揮を指揮しクワト・イネの各都市を攻撃しろと命じられたのだ。

 

「さて皆さん、これからどうしましょうか? このまま死を待つか、それとも……」

 

 アデムがそう言うと広場に集められた住人たちは泣き出す。そんな中、1人の若者が進み出た。彼はアデムへ懇願する。

 

「お願いです!なんでもしますから助けてください!!妻と子どもがいるんです……!!」

 

 彼は必死だった。アデムはニヤニヤと笑いながら彼を見下ろしている。そして口を開くとこう言った。

 

「ん? 今何でもすると言いましたよね?」

「は、はい……」

 

 若者の返事を聞くとアデムは舌なめずりをする。そして若者へ短剣を手渡した。

 

「ならば、こいつで自分の妻と子供を刺しなさい」

「え……?」

 

 若者は絶句する。アデムは続ける。

 

「何でもすると言ったのは嘘なのですか? 助かりたいのでしょう?」

「……む、無理です!」

 

 アデムの言葉に若者は首を振る。彼は恐怖のあまり短剣を地面へ落としてしまう。そしてじりじりと後ずさる。

 

「ああ、なら良いですよ。代わりに私があなたの妻子を殺してあげますね」

「やめろ!」

 

 アデムの言葉に若者が叫ぶ。その顔は恐怖に染まっていた。広場にいる人々からも悲鳴が上がる。だがアデムはそれに構わず、短剣を振り上げるが、すぐにその腕を下ろした。

 

「そういえば、どれがあなたの妻子か私には分からないじゃないですか。じゃあみんなまとめて殺してあげますね。ダークインフェルノ!」

 

 アデムが魔法を唱えると、彼の腕から黒炎が噴き出した。その黒炎は広場を包み込み、住人たちを焼き尽くす。絶叫が響く中、アデムの顔には笑みが浮かんでいた。

 

「おっと危ない危ない。私の腕が焦げるところでしたね」

 

 彼は腕を下ろしながらそういうと再び後ずさる。若者はその場にへたりこんだまま放心していた。その姿にアデムは笑みをこぼすのだった。

 

「安心してください。あなたもすぐに彼らの後を追わせて上げます」

 

 アデムは短剣を若者の喉へ突き立てた。彼は目を見開き苦悶の表情を浮かべながら息絶える。アデムは血に濡れた短剣を投げ捨てた。

 

「あーつまんね。やはりゴミをいくら殺しても面白くありませんねぇ」

「アデム閣下。この町の人間はほぼ殺しました。そろそろ次の町へ移動を」

 

 配下のオーガがアデムへそう進言する。

 

「分かりましたよ。次はもっと楽しいところへ行くとしましょうか」

 

 アデムたちはこの町を離れる。そして彼らの手によって、ブリーの町は壊滅したのだった。

 

(やはり日本が出て来てくれないと、面白くありませんねぇ)

 

 アデムは心の中で愚痴りながら、次の町へ向かって歩き出した。彼の足取りは軽い。

 

「さあ次はどんな楽しいことがあるのかな」

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 クワ・トイネ公国公都。政治部会の会場でもある蓮の庭園では、首相であるカナタをはじめ閣僚たちが集まっていた。

 

「南部の町や村が新種の魔物に襲撃され、壊滅した……?」

 

 カナタが眉間に皺を寄せながら、報告する将軍ハンキの報告を聞いていた。その隣では内務大臣のクリッタが頭を抱えている。

 

「なんということじゃ……」

 

 外務大臣であるリンスイは何と言ってよいか分からず、口をつぐんでいる。

 

「はい、既に壊滅した町村は10を超え南部は危機的状況です。もはや南部独力での防衛は不可能です。正規軍

をただちに派遣しなければいけません」

「クワ・トイネ公国の総力を挙げて軍を派遣すべきです!」

 

 リンスイは力強く言った。

 

「日本への農作物の輸出に影響が出はじめています。日本は我が公国の重要な貿易相手国です。このままでは我が国の経済は崩壊してしまいますぞ!」

「日本への状況説明はどうなっている?」

 

 カナタがリンスイへ問うと彼は答える。

 

「はい、既に日本へ状況を知らせました。日本は我が公国へ軍事支援を行う用意があるとのことです」

「そうか、それはよかった。しかし日本が来てくれるのはいつ頃になりそうだ?」

 

 カナタの問いにリンスイは難しい顔をして答える。

 

「それが……まだ自衛隊の本格的派遣にはまだ時間がかかるとのことで……それまでクワト・イネ国内に駐留させている部隊で対処にあたるとのことです」

「なんだと! クワト・イネ国内の自衛隊部隊なんて空港警備のための小部隊だけではないか! この危機に何を悠長なことを!!」

 

 リンスイが激昂し机を叩くが将軍であるハンキは冷静に返す。

 

「仕方ないだろう。日本も今は忙しいんだ。それまで我が正規軍で持ちこたえるしかない。そうだろ?」

「ええ、そうですね」

 

 カナタがそう言うとリンスイは続ける。

 

「しかし、新種の魔物はかなり手強いとの情報です。我が軍だけ撃退できるでしょうか?」

「なんだね、自国の軍を信用できないのかね?」

 

 ハンキの言葉にリンスイは渋々と言う。

 

「いえ、そういうわけでは……。ただ、我が軍では新種の魔物を撃退できるかどうか……」

「正規軍の一部部隊は日本から輸入した武器を装備している。その武器を用いれば、新種の魔物とて撃退できるだろう」

 

 その後、軍の編成や部隊の指揮官などが話し合われ、30分ほどで会合は終わった。

 

「カナタ首相。私はこの会合の結果を受け、軍の将軍を召集します」

「ああ、頼むよ。私は今から日本と緊急会議を行うから、君も軍務に戻ってくれ」

「了解です」

 

 リンスイは一礼すると退室するのだった。ハンキも自分の仕事場へ戻っていく。2人の後ろ姿を見送った後、カナタは再びで日本との通信を行うのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 2日後ダイタル平野、航空自衛隊クワト・イネ基地。この空港はかつてクワト・イネ防衛の際に使用された基地であった。その当時は簡易的な施設しかない航空基地であったが、今ではクワト・イネにおける官民一体の大規模な空港に姿を変えていた。クワ・トイネと日本の貿易の拠点であるとともに、両国の軍事的要衝 となっているのだ。そして今、この空港には多数の航空機が並べられていた。その光景は壮観だった。

 

 この空港を警備するため陸上自衛隊員らおよそ90名が3か月交代で勤務していた。彼らは今空港の一室でブリーフィングを行っていた。

 

「数日前、クワト・イネ南部の町ドチェに魔物が襲撃した。その数は3000を超えるとのことだ」

「3000体!?」

 

 1人の自衛官が驚きの声を上げる。他の自衛官もざわつく。無理もないことだ。今までクワ・トイネ公国ではそこまで大規模な魔物の襲撃は無かった。多くても数十を超えない数だった。

 

「現在ドチェの町が新種の魔物に包囲され、陥落寸前であるとのこと。このままではドチェの町にみならず、クワト・イネ南部全域が新型の魔物に蹂躙されるだろう。我々はクワト・イネ正規軍と共にドチェの町へ救援に向かう。諸君、これは我が国とクワト・イネの関係において重要な作戦である。心してかかるように!」

「了解!!」

 

 ブリーフィングが行われた数時間後、30名の隊員らCH-47JAでドチェの町の近くの町へと向かっていた。機内では隊員たちが雑談に興じている。

 

「新種のゴブリンとはいえ所詮ゴブリンだろ、楽勝だな」

「そうだな、今回もすぐ終わるだろう」

「いくら数が多くてもゴブリンなんて雑魚だろう」

 

 ブリーフィング時に感じた不安はどこへやら、そう言いながら彼らは到着を待ち望むのだった。

だが彼らはまだ知らなかった。本当の地獄を……

 

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