日本国召喚 AIに二次創作を書かせてみた 作: まっこーける
イルネティア島、アルーカ市の北西。グラ・バルカス帝国海軍ゲーズ航空基地。
基地外縁にある、土嚢を積んだ防御陣地では基地の警備隊が迫りくるムー軍に対して各々の銃を向けていた。
「来たぞ!撃てぇ!!」
ダァンッ!!ダダッダン!! 銃口から放たれた弾丸が戦車の装甲板に命中し、火花を上げる。しかし、その程度では全く効果がないのか、敵に動揺した様子はない。
「くそっ!!ムーが戦車を持ってるなんて聞いてないぞ」
兵士の一人は悪態をつく。彼ら戦っている戦車はムー陸軍が初めて開発した軽戦車『デ・マン』であった。
履帯を備えた車体の上に固定式の箱型の戦闘室を有し、そこに37ミリ砲と機関銃を搭載する車両だ。外見、性能共に拙いが日本の空爆によって既に被害を出し、碌な対戦車兵器が配備されてないゲーズ航空基地にとっては強敵であった。
「どうするんだ!?このままじゃやられるぞ! 」
「わかってる! だけど……」
彼らは必死になって抵抗するが、デ・マンの勢いを止めることはできない。デ・マンは37ミリ砲をグラ・バルカス兵へ無慈悲にも撃ち込む。
轟音と共に土嚢を機関銃ごと吹き飛ばし、血飛沫が上がる。
ムーがゲーズ航空基地に差し向けた戦力は2個中隊にデ・マン20輌だった。対するグラ・バルカス帝国側は基地要員まで駆り出して60名のみだ。数の上では圧倒的に不利な状況だが、それでもグラ・バルカス兵は勇敢に立ち向かった。
「怯むな!攻撃を続けろ!弾幕を絶やすんじゃねえ!」
指揮官の声に呼応し、兵士たちは再び射撃を開始する。彼らの奮戦により敵の進撃速度は鈍ったが依然としてムーが優位なのは変わりなかった。
「まずい! 突破される!」
デ・マンは基地のフェンスを踏みつぶし、機銃掃射を行いながら前進を続ける。開いた防衛線から後続の歩兵が雪崩れ込む。
「クソッタレめ!!」
デ・マンとムー歩兵部隊の進入を許した基地は、散々に蹂躙される。デ・マンの主砲が銃座を破壊し、ボルトアクションライフルを持ったムー歩兵が、グラ・バルカス兵を殺戮しながら進む。
「ちくしょう!来るなら来い!」
グラ・バルカス兵の何人かは、日本の空爆によって破壊された飛行機の残骸に隠れ応戦をしようと小銃を構える。その時だった。
ドドドと太い火箭が1輌のデ・マンに連続して突き刺さる。派手に火花を散らし、装甲板が穴だらけになったデ・マンは沈黙、そのまま動かなくなった。
「うおおおお! このままやれせはせんぞ! 」
そう叫び声を上げるのは、20ミリ対空機銃を操作するグラ・バルカス兵だった。それは日本の空爆を奇跡的に生き残った対空機銃だ。
当然ムーもそれを黙って見ているわけではない。すぐに残りのデ・マンが狙いを定め、砲撃を行う。
20ミリ機銃を操作するグラ・バルカス兵は果敢に反撃するが、横合いに回り込んだデ・マンからの砲撃を受ける。
「ぐわぁあああ!!!」
砲弾を受けた彼は即死した。
対空機銃を失ったグラ・バルカス側はデ・マンに対する有効な反撃能力を喪失した。そして遂に生き残り達は滑走路脇の建物へ追い詰められる。
「くそぉお!!ここまでかよ」
「降伏しようぜ」
「バカ野郎! きっとムーに処刑されちまう! 」
グラ・バルカス軍の兵士は絶望的な表情を浮かべるが、そんな彼らを嘲笑うかの様にムー部隊は迫る。
「おい、あれを見ろよ……」
グラ・バルカス軍の兵士達の前に現れたのは、1人の白旗を掲げたムーの軍使であった。
「グラ・バルカスの将兵に告ぐ。これ以上の抵抗を止め、武器を捨て投降せよ! 貴官らには捕虜としての権利が与えられるだろう」
その言葉を聞いたグラ・バルカス兵たちは顔を見合わせる。
「どうする?俺は降伏した方がいいと思うが……」
「そうだな……ミリシアルに投稿するよりマシかもしれない。お前達もそれでいいな?」
「仕方ない……わかった」
グラ・バルカス軍は軍使の言葉に従い武装解除を始めた。その様子を見たムーの部隊の指揮官は満足げな笑みを浮べた。
こうしてゲーズ航空基地はムーが占拠することになった。
◆◆◆
イルネティア島首都キルクルス グラ・バルカス帝国イルネティア島防衛軍総司令部。
「ゲーズ航空基地からの通信が途絶えたか……」
司令室内で司令官であるザイド中将が呟いた。
「はい。ゲーズ航空基地は完全に制圧された、と考えたほうがよろしいかと」
副官が答える。
「あの程度の兵力では無理もないな……。」
ゲーズ航空基地とアルーカを攻略されたのは痛手だが、まだ完全に敗北したわけでない。持久戦に持ち込み、本国からの増援を待てば勝機はある、とザイドは考えた。
「日本の艦隊の位置はわかるか?」
「はい。アルーカから東の地点にいると推測されます」
目下脅威的なのは自衛隊の空母(いずも)だ。制空権の確保なくして地上戦は行えない。しかし海自のF-35Bはグラ・バルカス軍では補足することすらできない。
(日本の精密誘導兵器は強力だ、もっと大々的に島内を攻撃してもいいはず。しかしその航空攻撃は断続的だ。現にここもほぼ無傷であるし、西部のジナウン航空基地も緒戦の攻撃以来、空襲を受けていない。もしかして奴らの空母の艦載数は多くないのでは?だとすれば、我々にもチャンスはあるはずだ)
付け入る隙はそこにあると、ザイドは確信していた。
「ジナウン航空基地の復旧状況はどうかね」
「はい。既に滑走路の修復を完了しており、いつでも運用可能です」
「よし、ならば直ちに航空隊の出撃準備を整えろ。目標はアルーカ沖の日本艦隊。新兵器の対艦誘導ロケットの使用を許可する。目標の殲滅を図るのだ」
「了解しました!」
司令部要員は慌ただしく動き出す。そんな中、ザイドは独り言のようにつぶやく。
「日本め……この屈辱は必ず晴らすぞ!」
◆◆◆
イルネティア島西部、ジナウン陸軍航空基地。基地では人々が慌ただしく動いている。
「急げ! 整備員は機体を点検しろ! 」
「燃料の補給はまだか!?」
騒然とした空気の中、グラ・バルカス帝国軍の戦術爆撃機や戦闘機が次々と離陸準備を整えていく。
ジナウン航空基地は緒戦で日本の巡航ミサイルによる攻撃を受けたが、航空機は掩体壕に避難していたため被害は少なかった。
そして現在は滑走路の応急修理を終え、再び使用可能となっていた。
「まさかこいつを使う日が来るとはな……」
整備員の一人がぼそりと言った。彼の視線の先には運ばれてくる対艦誘導ロケット、『ジーク』があった。
『ジーク』はグラ・バルカス帝国が初めて開発した対艦ミサイルである。射程距離は50キロ以上を誇り、最大速度は亜音速に迫るという化け物じみた性能を持つ。
開発当初は対地攻撃用のミサイルであったが、後に改良され対艦用となった。
「司令!全機準備完了しました! 」
部下の報告を受け、基地司令はうなずいた。
「わかった、すぐに発進させよう。敵艦隊の位置情報はわかっているな」
「はい。敵のレーダー波を逆探していますから間違いありません」
グラ・バルカス帝国は電子偵察機を放ち日本艦隊の電波を捉え、その情報を解析することで日本の艦隊の位置を把握していた。
「よし……全機発進せよ! 」
命令を受けた戦爆連合が次々に飛び立っていく。その光景を見ながら基地司令官が呟くように言った。
「彼らが上手くやってくれれば良いのだが……」
日本のミサイルはかなりの高性能だという噂が軍内部には流れていた。そのため彼は不安を感じていた。
「大丈夫ですよ。彼らを信じましょう」
「そうだな」
◆◆◆
イルネティア島の上空をグラ・バルカス陸軍の戦爆連合が征く。彼らの任務はアルーカ沖に遊弋する海自艦隊の撃滅であった。
攻撃の中心になるのはやはりジークを搭載する戦術爆撃機『ムフリッド』である。ムフリッドは機体後部に水冷式エンジンで駆動する2重反転プロペラを1機装備している。さらに主翼下にターボジェットエンジンを左右に1基ずつ吊り下げているレシプロ、ジェットの混合動力機だ。
これにより時速700km以上の速度を発揮することができ、軽快な機動性を有する高速爆撃機である。
このムフリッド36機と護衛の戦闘機『イザル』12機、合計48機の戦爆連合が木々の梢を掠めるような低空を飛ぶ。低空を飛行するのはレーダーに発見されないための措置である。
「レーダーに反応なし……敵戦闘機は上がってないのか?」
「さあな……だが油断はできない」
高度2000メートル付近には双発爆撃機改造の索敵レーダー搭載機も飛んでいる。これらにはレーダーによる索敵と攻撃隊を誘導する任務が与えられている。
「あ! レーダーに感あり……失探しました」
スコープ上に一瞬だけブリップが光る。それを見ていた電測員が報告を上げる。
「ノイズか? 故障か?」
「嫌な予感しかしないな……」
機内に不穏な空気が流れる。突如として蒼穹に黒点が現れた。
「あ」
その黒点は急速に接近しミサイルを形作る。そして索敵機に激突し、報告を上げる間もなく機体を火球と破片にへと変えた。
◆◆◆
同時刻、アルーカ沖約15海里の海上。
海上自衛隊のイージス艦『はぐろ』CIC内。そこは緊張した雰囲気が漂っていた。先程レーダーに敵機らしきものを1機捉えたからだ。
しかもその機は索敵波を放っていることがESMにより探知された。これにより不明機はグラ・バルカス機と判断、国産長距離ミサイルであるA-SAMを放ったところだ。
レーダースクリーン上に敵機とミサイルのシンボルが重なると、敵機を示すシンボルが静かに消える。
「ターゲット、インターセプト」
ミサイル士の淡々とした声が響く。
「周囲に敵影なし」
CIC内に安堵のため息が広がる。そんな中、艦長の声だけが響き渡る。
「対空警戒を厳に」
艦長は言葉を続ける。
「先程の敵機はおそらく索敵機だろう。レーダー波を発信していた事ことからもそれは明らかだ」
「はい」
「恐らく奴らは我々を発見し、別働する攻撃隊に通報した恐れがある」
「つまり我々の位置が敵に露見したというわけですか」
副長の言葉に対し、艦長は首を縦に振る。
「その可能性が高い。対空監視を厳に」
「了解しました」
◆◆◆
グラ・バルカス帝国、日本艦隊攻撃隊。
「電子索敵機が通信を途絶しただと!?」
攻撃隊指揮官の少佐は狭いムフリッド機内で思わず叫んだ。
「撃墜されたか……クソッ、日本のミサイルの射程がここまで長いとはな」
「どうします隊長」
部下の一人が訊ねてくる。
「決まっている! このまま進撃するのだ!」
「はっ! 」
「我々はグラ・バルカス帝国の誇り高き兵士なのだ! 戦う前に逃げるなどあり得ない」
彼はそう言い放つが、心の中は不安が渦巻いていた。
(本当に勝てるのだろうか)
彼は不安を押し殺しながら部下に尋ねる。
「射点まであとどれくらいだ」
「後2分です」
「よし、全機ジークが射程に入り次第上昇して攻撃開始せよ! 各個の判断に任せる。必ず戦果を上げろ」
「はい! 」
部下たちの返事を聞き、彼はふっと笑みを浮かべた。
そしてついに攻撃隊は射点に着いた。と同時に一気に4機のムフリッドが爆散する。護衛艦からのミサイル攻撃である。
「クソっ、見つかったか!」
「このままでは発射前にやられる! 250まで上昇!」
爆撃機としては軽快な運動性を有するムフリッドはぐんぐん上昇する。その光景はまるでロケットのようだった。
しかし上昇の合間にも次々とムフリッドはミサイルの餌食となっていく。
「あれが日本の艦隊かっ!?」
アルーカ市街地沖の海上にぽつぽつと芥子粒のような艦艇が見える。彼らがグラ・バルカス人で作戦行動中の護衛艦を初めて目視した人間となった。
「発射! 発射!」
ムフリッドの機体下部に懸吊されたジークが次々に放たれていく。1機につき搭載している数は1発。1トン近い弾体がロケットブースターによって加速していく光景はまさに壮観であった。やがてブースターを切り離したジークはターボジェットエンジンを始動させ飛翔していった。
「離脱する! 」
攻撃隊の生き残りは一斉に離脱した。最終的に発射できたジークの数は14発であった。
◆◆◆
イージス艦はぐろCIC。
「目標群αから高速目標が分離!数14、距離45000、速度530ノット以上で接近しています!」
「まさか対艦ミサイル!? 馬鹿なっ!」
艦長は驚きを隠せない様子であった。
「迎撃急げ」
「はいっ」
CIC内の空気が張り詰める。
「A-SAM発射用意! 」
「了解、目標トラックナンバー103から111、……撃ぇー!! 」
はぐろの前部VLSが開き、8発のミサイルが轟音とともに飛び出した。
「バーズアウェイ!」
ミサイルは白煙を引きつつ、一直線にジークへと向かっていき、全弾命中する。空中に巨大な爆炎の花が咲いた。
「マーク、インターセプト! 」
「やったぞ! 」
CIC内は歓喜に沸く。だがそれは一瞬のことであった。
「残りのミサイル来ます!!」
残りのジーク、6発が迫る。
「主砲、撃ちぃ方始め! 」
はぐろに搭載された5インチ砲がHVP弾を発射する。迫り来るジークを次々と撃ち墜とし、5発のジークを破壊した。残り1基だ。
「CIWS、AAWモード!」
はぐろに搭載されているCIWSは従来のバルカンファランクスではない。新型のレーザー砲である。その威力は凄まじかった。
不可視のレーザーを浴びたジークは瞬時に融解、空中で爆発四散した。
「敵ミサイル全滅」
レーダースクリーンには敵機を示す輝点は存在しなかった。
「対空戦闘用具収め」
1時間にも満たない攻防であったが、日本側が受けた衝撃は大きかった。
「まさかグラ・バルカスが対艦ミサイルを実用化していたとは……」
艦長の言葉に副長は答える。
「はい。第二次大戦の技術程度の国家だと思ってましたが、侮れませんね」
「うむ、奴らも戦いの中で進歩しているということか、今までのように楽は出来んな」
「はい、油断せず行きましょう」
「そうだな……、よし、警戒を怠るなよ」
2人のやりとりはいつもより少しだけ緊張感があった。