書いてしまった。
「さぁ選択の時だ。諸君
俺の仲間になるか、それとも今ここで死ぬかだ。」
雲一つない月明かりの下で洋服を纏った男が不気味な笑顔で告げた。
「お…お前は…何なんだ…!? 」
震えながらそう聞く男の鬼。
「そうビビるな。俺はお前と同じ鬼だよ。いや…正確には造りが違うがな。
まぁ今はどうでもいい事だ。それより返答を聞かせてくれねえか?
仲間になるのか?それともここで死ぬか?」
ニンマリとした表情を崩さずに男は続ける。
「そ…それは…」
鬼は考える。死にたくない…それは本心だ。だがあの
このままこの洋服の男の仲間になると言えばあのお方は間違いなく己を殺すだろう。
そう考えると恐怖が肉体を麻痺させる。どうすれば…!どうすればいいんだ…!
「安心しろ。
だからそんなに歯をガチガチしなくていいぞ。」
「!!」
男は震える鬼を安心させるかのように語り掛ける。
それを聞いた鬼は肉体の震えが徐々に収まっていくのを感じた。
それなら…それなら…!
「な…なる! 俺は貴方の仲間になる!!」
仲間になる。何の躊躇もなく鬼は男にそう告げた。
「良い返事だ。じゃあどちらかの腕を出せ。」
鬼は言われた通り右腕を上げた。
そして男は人差し指を鬼の右腕に突き刺した。
「!?…ア…アギィぃィぃガァァァァァ!!!!!」
すると鬼は全身から悍ましい激痛が襲った。
「安心しろ。ほんの数秒だ。」
男の言葉は届かず鬼はもだえ苦しんだ。
体の内部が何かもが変わっていく感じだった。そして男が言った通り5~6秒経つと先ほどの痛みが嘘のように消えていった。
鬼は立ち上がり男の前に立つ。
「気分はどうだ?」
「今までの…不安と恐怖…が嘘のようで…何かもがサッパリしてます…」
鬼の言葉に男はにこやかな顔で鬼の両肩に手を置く。
「おめでとう。今日からお前は俺の
さて待たせて悪かったな鬼殺隊の諸君。
時間はあっただろう? 返事を聞かせてくれ。」
男はそう言い背中の滅と書かれた黒い服を着込んだ5人程の少年少女達に問いかける。
この隊士達は男の部下達に取り押さえられ銃を頭に突き付けられている状態だ。
「ふざけるな…!俺達はお前ら鬼を狩り人々を守る鬼殺隊だ!誰がお前の…!鬼の仲間になるものか!!」
「そうだ!殺すなら殺せ! 俺達はお前達のような生き汚い鬼と違って覚悟なんてとうの昔に出来ているんだ!」
隊士の少年達は男に向かってそう宣言した。それを聞いた男は予想通りだなと思った。
鬼殺隊は鬼を憎悪してる者達で構成されてるのでその返答は当然と言えた。
他の隊士も今の隊士と同じく憎しみが籠った目で男を睨んでいた。
まぁ…期待などしてないが…男は部下達に殺せと合図を送ろうした時、一人だけそうではない者がいる事に男は気づく。
男はその目をしていた少女の隊士に近づく。少女の隊士は男が近づくとビクリと雛鳥の様に震えていた。
「同僚はああ言ったがお前はどうだ?お嬢さん。
生きたいか?死にたいか?」
「わた…私は…」
「鬼の言葉に耳を貸すな!!」
「…!」
少女が返答する前に少年の隊士が叫ぶ。その時、先ほど仲間になった鬼が少年の顔面を強く殴り鼻が折れ歯が飛ぶ。
「うぐ…ぐぅぅぅ…!」
顔面からドクドクと血が流れていく。
「オイオイ乱暴にするな。だが人の会話に勝手に割り込むのは行儀が悪いぞクソガキが。
さて話の続きだがどうするんだ?」
「私は…その…」
少女は途切れ途切れで仲間の方をチラチラと見る。
「一つ教えておくがお前たちが飼ってる鴉は俺が全部殺しておいた。
だから今ここにいるのは俺達だけだ。周りの事なんて気にしなくていいぞ
鬼になるのが嫌ならならなくてもいい。仲間になるのなら人間でも構わないぞ」
「!?」
男の言葉に驚愕する隊士達。
どおりで応援が来ないわけだ。
「人間でいい…?」
「時間の無駄だな。望みどおりにしてやるよ。
全員殺せ」
男の言葉に部下達は隊士達の頭部に突き付けている銃の引き金の指を引く。
チキリと撃鉄の音に少女は死の恐怖に耐えられず…
「まって!待ってください!!」
少女は叫んだ。
「何だ?」
「なります…!」
「何のだ?」
「仲間に…なります!
貴方の仲間になります!だから殺さないで…!!」
少女は涙を流し男に懇願する。
「な…何を言っているんだ!! 鬼殺隊の誇りを忘れたのか!!」
「裏切り者!!! そうまでして…!生きたいというのか!!」
「鈴子!! あんたは何を言っているのか分かってるの!」
「裏切り者め…!! 殺してやる!!!畜生!!!!」
隊士達は鈴子と呼ばれる少女を怒り込めて罵倒する。
「黙らせろ」
その言葉に部下達は少女以外の隊士の頭部に銃弾を撃ち込んだ。脳を地面にブチまけて叫んでいた隊士は一人残らず消沈する。
その光景に少女は更に震え呼吸が早くなる。
「気にしなくていい」
男は少女に声をかける。
「生きようする意志は生物の本能だ。それを否定するなど可笑しい事だ。
鈴子と言ったな。お前は悪くない お前は危機的な状況の中で生きる為に最善な選択しただけだ」
「…」
「さて歓迎しよう。鈴子…今日からお前も家族だ」
「はい」
「よし。お前らは死体を工場まで運べ。
ゾルダートの
部下達は隊士達の死体を袋に包みそれを担いでいく。
「俺達も行くぞ。着いてこい」
「待ってください」
「何だ?」
「名前を聞かせてください。」
「お…俺も知りたいです…」
その言葉に男は失念していた。
「あぁそうだった…。まだ言ってなかったな。」
男は自身の名前を少女と鬼に聞かせる。
「カール・御田村・ハイゼンベルクだ。
よろしくな」
ハイゼンベルクはそう言い歩き出し少女と鬼はその背中についていく。
次回は主人公が転生した時の話を書こうと思っています。
チマチマやるので投稿するのが遅いです。