知恵柱・有坂勇三郎は屋敷から出ていってしまい周りは静粛に包まれる。
悲鳴嶼行冥は深いため息をして天を仰いだ。
行冥は勇三郎の実力を認めているし意見だって大いに賛成出来るのだが如何せん鬼殺隊の在り方、悪鬼滅殺の信条など何もかも変えてしまうものであり行冥自身、勇三郎の考えに理解は出来るが鬼への憎悪で上手く受け入れる事が出来ずにいた。
自分ですらこうなのに誰よりも悪鬼滅殺を掲げる不死川実弥が勇三郎の改革を受け入れるなど不可能だった。
不死川から見れば勇三郎の改革は鬼殺隊の信条を破壊するも同然で組織の和を重視する彼にとって勇三郎は鬼と同等の敵でもあった。
宇髄天元も行冥と同じく疲れ切った表情だった。
(
確かに勇三郎の改革は損耗率が高い鬼殺隊を改善し生存率を上げており鬼の討伐など以前と違って犠牲が少なくなり効率よく討伐出来るようになった。それは天元も認めておりハイゼンベルク一味の攻撃でズタズタな状態の鬼殺隊が何とか存続出来てるのはひとえに勇三郎と彼の部下達に奮闘のおかげである事も認めている。
だがそれでも言い方というのがあるだろう… 先ほどの主君である産屋敷に対する不敬とも言える態度と言動…鬼殺隊の隊士は多くが産屋敷に慕い忠誠を誓っており特に柱は誰よりも産屋敷への忠誠と尊敬の念が高いのに関わらず勇三郎の態度と言動は決して受け入れられない当然だし食って掛かるのは当たり前なのに勇三郎はそんなの知った事かと言わんばかりの行動なのでますます溝が深くなってしまっている。
また勇三郎は隊士の生存を重視し任務達成の為なら一般人の犠牲すら容認しているがそれも「強き者が弱き者を守るのが責務」を信条する煉獄を始め人々を鬼から守りたい隊士にとっては決して受け入れることが出来ない。
面倒なのは勇三郎だけではなく彼を慕う隊士達、改革派の隊士達も同じような考えを持ち更に産屋敷より勇三郎に忠誠を誓って慕っている事だ。
当然ながらそれで他の隊士達とイザコザと頻繁に起きておりいがみ合ってる有様だ。
何とかしないと仲裁に回るこっちが持たない…。
行冥と天元が考えてる中…
「あの野郎ォォ…!!!」
不死川実弥は煮えたぎる怒りを抑えずに目が血走り勇三郎への怒りが隠せなかった。
「お館様!!
先程の有坂の言動と態度はお館様への反逆と言っても過言ではありません!!
即刻、あの男を隊規に従って切腹を申し付けるべきです!」
実弥と同じく怒りを隠せないのが煉獄杏寿郎だ。
杏寿郎にとって有坂は考えは決して容認することなど出来なかった。幼い頃に死別した母と交わした言葉…「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務」最愛の母から交わした約束でもある。
この言葉を信条にする杏寿郎にとって勇三郎とその配下である改革派の任務の為なら一般人(弱き者)を切り捨てるやり方を絶対に黙認など出来る訳がなかった。
隊規に従って切腹をさせようと産屋敷に迫るが…
「それは出来ない…」
産屋敷耀哉は杏寿郎の案を拒否した。
「な…何故!!」
「煉獄…どう考えてもそれは無理だ…」
「どういう事だ!」
富岡義勇も杏寿郎の案は無理だと言う。
「勇三郎は居ないと駄目だ…」
「何だと!」
「富岡ァ…手前ェまでアイツの肩ァ持つつもりかァ…!」
「そんな気はない」
「あぁ!」
言葉足らずな義勇の言葉に実弥は馬鹿にされたのかと怒り出す。
そんな義勇に助け船を出したのが天元だった。
「不死川に煉獄。お前らは有坂の奴が鬼殺隊でどれだけ隊士共に慕われてその影響力を持つのか知らねぇのか?
仮にお前らの言う通りにして有坂に腹を切らせてみろ…有坂を慕う改革派の奴らがブチ切れて鬼殺隊から脱退するぞ
いや…脱退だけで済めばいい方だ。下手したら改革派の隊士共がお館様だけではなく俺達にも刀を向けてくる
そうなったらこっちも応戦しなきゃならねぇ…例えこっちが勝ってもそん時には鬼殺隊が組織として体を成していない
鬼殺隊は瓦解するだけだ…つまり自滅して終わりなんだよ」
「彼の言う通りだよ。有坂は鬼殺隊に大きな貢献していている上に組織に必要な存在でもあるから排除なんて以ての外だよ
それに有坂の言ってる事は間違っていないし切腹は行き過ぎだ」
「しかし…!」
実弥は尚も耀哉に言うが天元に諫められて渋々と引き下がった。
「有坂に関しては後にしよう…
まだ皆に伝えなければならない報告があるからね」
勇三郎でかなりズレてしまったがまだ柱の皆に伝えなけばならない事があった。
残った柱達も気を取り直して耀哉の伝えようとしてる事に耳を傾ける。
「これは…皆に伝えるべきか悩んだが事態が事態に隠すのはよろしくないと判断して皆に伝えるよ。
今から言うのは良い事でもあるが同時に悪い話でもあるんだ」
「それは一体…?」
耀哉は目が見えないものの胡蝶しのぶに視線を出す
急に耀哉が自分を見るので何なのか不安になる。
「落ち着いて聞いてほしい…。
実は先週、半年前に行方不明となった胡蝶カナエが生きている事が確認出来た」
「!?ほ…本当ですか! 姉さんが生きているんですね!!」
姉が生きている!
その報告を聞いた妹のしのぶは歓喜の表情に彩られる。
半年前…行冥と共に任務に取り掛かった姉のカナエが行方不明となったと聞いた時は自分も××山に向かおうとしたのだが義勇に「お前が行っても足手まといだから待っていろ」と強引に引き留められ渋々と蝶屋敷に待機した。
その後、行冥は瀕死の重傷を負って蝶屋敷に担ぎ込まれしのぶは行冥に姉の行方を聞きたかったがとても喋れる状態ではないので懸命に治療を施した。その甲斐があって行冥は何とか意識を取り戻したがまだ予断が許されないので喋れる状態になるまで我慢強く待ち続けた。
その後、峠を越えた行冥から姉の事を聞いた。
「カナエはハイゼンベルクという男に攫われた」
「自分が居りながら助ける事が出来ず済まない…」
と何度もしのぶに頭を下げて謝罪する行冥を見てしのぶは彼を責める事が出来ずその場を後にした。
そして姉は生きていると信じて捜索願を出して姉の無事を今日まで祈り続けていた。
「良かった…本当に良かった…!」
大粒の涙を流して喜ぶしのぶに耀哉は胸が締め付けられる思いを抱く。
本当に言って良いのか…?
今から話すのは
耀哉は苦悩する…。
そんな耀哉の様子に一部の者は訝しむ
「お館様…顔色が優れないようですが…」
哉耀の様子には一早く気付いた義勇は言葉を出す。義勇の言葉にしのぶや周りの柱達も産屋敷の様子がおかしい事に気付く。
その様子を見た耀哉は意を決して伝える事を決心する。
「カナエは確かに生きていたが…だけど…残念だがカナエはもう
「どういう…事ですか…?」
しのぶや周りの柱達も嫌な予感が膨れ上がっていく…
「カナエは…カナエは先週、任務中の六人の隊士達を斬殺し鎹鴉に向けて私に宣戦布告したんだ」
「!?」
耀哉の発せられた言葉に一同に激震が走った。
「まさか!本当なのですか!お館様!!」
「信じられん…!カナエが…鬼殺隊を裏切ったというのか!!」
「そんな…カナエさん…」
実弥、杏寿郎、蜜璃は信じらない言わんばかりに唖然とする。
「…!!!」
己が未熟だったからカナエは救えずこのような最悪の結果を招いてしまったのだと行冥は体を震わせ己を激しく責めた。
「こいつは…派手にシャレになんねえぜ…」
まさか鬼殺隊に、しかも柱が敵側に寝返った事に天元は想像する限り最悪の展開に戦慄する。
「カナエさんが…僕達の敵になったの?」
「カナエ…何故だ…」
流石の時透無一郎も事態の大きさに戸惑い義勇はカナエが敵になった事に悲しむ。
「ッ!! よりによって柱たる者が敵に寝返るとは! 恥晒しが…!!」
鬼殺隊の最高戦力である柱が敵側に寝返る事に激しい怒りを抱く伊黒小芭内
「…そだ…」
そして胡蝶カナエの妹であり蟲柱である胡蝶しのぶは…
「嘘だ…嘘だ…嘘だ…嘘だ…嘘だ…」
嘘だ…
何度も同じ言葉繰り返して心あらずの姿だった。
「胡蝶…!」
「嘘だ…嘘だ…そいつは姉さんじゃない…!!
姉さんがそんな事するわけがありません!!!」
最愛の姉が鬼殺隊を…自分達を裏切った…。
そんな現実を受け入れらないのかしのぶは叫んだ。姉がそんな事をするわけがないとあらん限りに叫んだ。
「お館様! 鎹鴉が見たのはカナエ姉さんに化けた鬼です!! きっと鬼血術で姉さんの姿に化けて私達を混乱させるのが目的なんです!!」
姉の無実を訴えるかのように鴉が見たのは姉に化けた鬼だと耀哉に叫んだ。
「…」
「お館様! お願いです…!信じてください! ならば私が行ってその鬼を討ち取ってご覧に入れます!!
そうすれば…「胡蝶やめろ!!」 !?」
「やめろ胡蝶 そんな事は無駄だ」
取り乱すしのぶを諫めたのは義勇だった
「ッ!! 何を言うんですか富岡さん…! 貴方に何が分かるんですか!!!」
「落ち着けと言っている
お前の言う通り鬼だとしても何処を探すというんだ? 闇雲に探しても見つからないぞ」
「それは…」
「本人だったならどうする…?
お前は…
「…!?」
姉を斬る…
その言葉にしのぶは押し黙ってしまう。
しのぶの言う通り隊士達を斬殺したのが
鬼は餓えており好物の人間を食わないのは可笑しい…。
そしてしのぶは斬殺された隊士達の遺体を見たが斬り傷は相当な熟練者によって付けられた傷だったのだ。
姉に化けたその鬼は相当な使い手であり真っ向勝負で勝てる相手ではないだろう。
しかし本当に姉のカナエが隊士達を斬殺したなら姉は
果たして自分に姉が討てるのか?
姉は鬼殺隊の最高戦力の柱だ…剣術なんてそれこそ凄まじいもので真っ向勝負なんかしたら自分と姉…どちらに軍配が上がるのは火を見るより明らかだ…。
何より…この世にたった一人の肉親であり最愛の姉を斬る…?
「そんなの…」
出来る訳がない…!!!
「…!」
唇を噛み締めるしのぶ。
「お前の気持ちは派手に分かるけどよ…現実は見た方が良い。
じゃなきゃ地味に死ぬだけだ」
天元はしのぶを気にかけながらも厳しい言葉を投げる。周りの者もしのぶを痛ましい眼差しで見つめていた。
花柱・胡蝶カナエの離反に全員が悲痛な気持ちになった。
「…これは非常にマズい状況だ。有坂の言う通り私達は正に崖っぷちに立っている
この状況を打破するには隊士同士いがみ合ってる場合ではない。一致団結しなければ私達の敗北だ」
鬼殺隊は有坂率いる改革派と産屋敷を慕う保守派で対立している。
しかし互いに手を取って協力しなければ生き残れない…。
「隊士達の補充に関しては有坂と話をするよ
皆も鬼殺隊の未来の為に考えて欲しい。私からは以上だ」
「はっ…」
その後、波乱に満ちた柱会議は終わった。
同日 産屋敷邸
柱会議が終わってから暫くして…
日は落ち空には月が出て辺りを儚く照らしている。
「…」
産屋敷哉耀は自室で静かに正座をして来客を待っていた。
トットット
襖の向こう側の廊下で静かに音を出してこちらに向かってくる。
「失礼いたします」
スーと音を立てずに襖を開けたのは妻であるあまねだ。
「どうぞ」
あまねの言葉に従い部屋に入るのは知恵柱の有坂勇三郎だ。
有坂が部屋に入るのを確認するとあまねはまた静かに襖を閉める。
「有坂、夜遅く申し訳ないね」
「いえ…」
有坂は哉耀と相対するように座布団の上に座る
「昼間は済まなかった… 君が不満に思うのは当然だ」
「…」
「君を呼んだのは他でもない… 鬼殺隊の
哉耀が勇三郎を呼んだのは鬼殺隊の改革の事だ。昼間の会議では他の柱の介入で流れてしまったが哉耀自身も鬼殺隊の現状を理解しているので勇三郎の意見は最もだと感じている。
「今から一か月後に最終選抜が行われる」
「参加する人数は…?」
「約50人だよ」
「50人ですか…成程」
来月に鬼殺隊の入隊試験が年中藤の木が咲き乱れる藤襲山という山で行われる。その山には弱く餓えた鬼が多数閉じ込められており隊士候補はその山で鬼を狩りながら七日間生き延びるという過酷すぎる試験だ。
当然ながら呼吸の訓練を受けていても隊士候補の大多数が試験中に死亡して脱落する有様で合格出来るのは一握りである。
鬼殺隊は何百年も続けておりそうやって鬼狩りの隊士を作っていたのだが勇三郎はその試験があまりにも非効率で無駄だと思っており前々から藤襲山の最終選別の廃止を訴えていた。
「それでお館様はその選別試験を廃止するのですか?」
勇三郎は哉耀を真っ直ぐ見つめ哉耀もまた勇三郎の真っ直ぐに顔を向ける。
「いや…最終選抜は恒例通りに行う」
帰ってきた言葉は勇三郎が期待する言葉ではなかった。
「お館様…!」
「ただ有坂の言う通り今後の選抜は
人手不足の今、少しでも候補者達の生存を重視する」
異を唱えようとする勇三郎の前に哉耀は昼間の会議で勇三郎が言った選抜の改善を取り入れると説明する。
「まぁ…それなら良いでしょう。寧ろ早く取り入れなければならなかったですが…」
「その事に関しては我々産屋敷一族の失態だ…。誰かに言われる前に改善すべきだった」
哉耀は申し訳なそうにこう垂れる。
「いえ…分かってくれれば私も意見を言った甲斐がありました。
所でお館様、先ほど50人の隊士候補が受けると言いましたが私に考えがあります」
「それは?」
「50人候補者達の約半数の…25人をこの有坂に預かっても宜しいでしょうか?」
「それは何故だい?」
「柱を始めとした経験豊富な隊士達が試験官としているのなら問題は無いでしょうが…それでも万が一というのがあります
少しでも人材を確保するためにここは一旦半数に分けましょう。これも昼間に言いました藤襲山でやらなくても柱が候補者達を選抜すれば良いのです
勿論言葉だけではなく行動で示しましょう」
藤襲山で行う過酷すぎる選抜などしなくても柱直々の候補者達を試験を施し選別する。
勇三郎はそれを言葉だけではなく行動で示そうとしている。
「…」
確かにその方がより多くの優秀な隊士を選別出来るだろう…。藤襲山で行う試験よりずっと良いかもしれない…
しかし哉耀はそれを素直に首を縦に振るう事が出来ない理由があった…その理由は鬼殺隊内部の
鬼殺隊は産屋敷に忠誠を誓う保守派と有坂に忠誠を誓う改革派に二派に分かれているのだが現在、保守派はハイゼンベルク一味の攻撃で大勢が殉職してしまっており改革派が多数の状態だ。
しかし保守派は数こそ改革派に劣るが組織の最高戦力であり組織の影響が大きい【柱】の多くは産屋敷に忠誠を誓っている保守派に属してるので数が多い改革派に何とか対抗できているのだ。
だがそれも時間の問題だろう…。
勇三郎に25人の隊士候補者達を預ければ間違いなく鬼殺隊の戦力上昇に繋がるのは間違いないだろうが…同時に隊士達は有坂に忠誠を誓う改革派に属するだろうし勇三郎もまた結果を出すので彼の影響力の拡大するのは間違いないだろう。
そういった理由があって哉耀は思い悩んでいるのだ…。
鬼を狩り鬼舞辻無惨を滅する
保守派も改革派もその考えは一緒なのだが以前にも言った通り改革派は鬼を狩るなら一般人の犠牲はある程度容認する考えで罪なき人々から鬼から守りたい保守派とはそれが原因で互いをいがみ合ってる。
本当なら保守派も改革派も手を取り合ってほしいのだが思想の違いで両者が対立してる現状に哉耀を悩ましてる。
「お館様? どうかされましたか?」
勇三郎の呼びかけでハッとした哉耀は何でもないと告げる。
「分かった。勇三郎、君に半数の候補者達を預けるよ」
「有り難き幸せ。この有坂必ずやお館様の信頼に答えて見せます」
深々と頭を下げて感謝を伝える有坂
「すっかり遅くなってしまった。今回はここまでにしよう…
また連絡するよ」
「それでは失礼致します…。お館様もお早めにお休みください」
そう言って有坂は哉耀に一礼をして部屋から出ていった。
「ふぅ…」
有坂が去っていく事を確認した哉耀は息を吐き出した。
「貴方…本当に宜しいのですか…?」
部屋に入ってくるあまね
その表情は不安を隠しきれないものだった。
「仕方がない…有坂は必要な存在だからね
ここで彼が私への不満を貯め込めば逆に暴走しかねない」
哉耀は勇三郎が自分に不満を抱いているのは分かっている…。下手に扱えば勇三郎は自分の命令を聞かなくなり改革派と共に好き勝手に動き出すかも知れないのだ。
現状、改革派は多数で勇三郎の影響力は無視出来ない。
「それはそうですが… 私は彼が怖いです…」
「だからこそ選抜試験で私に忠義を誓ってくれる子供達を一気に増やしたかったが…
まさか半数を持っていかれるとはね…有坂も抜けが無い…」
哉耀は次の選抜試験で保守派の数を増やしたかったが有坂によって50人の内、半数が持っていかれてしまった。
全くままならないものだ…
「話が変わるけどあまね…君が見た夢で
「はい その少年が運命を動かすのは間違いありません」
気を取り直すように哉耀は話を変えることをする。
哉耀の妻のあまねは神職の家の出で断片的だが予知夢が見る事が出来る。
彼女が見たのは
「その子を…是非とも鬼殺隊に入って欲しいが有坂に悪いけど彼を渡すわけにはいかない…
あまね…早急にその子を見つけて藤襲山で選抜を受けさせてほしい」
「分かりました
そろそろ貴方もお休みください。夜更かしは体に毒ですから」
夫の哉耀の指示を受けたあまねは哉耀に休むように告げて静かに部屋から去っていった。
(運命が動く…か
1000年に渡る鬼舞辻無惨との因縁を私の代で終わらせなければならない…!
こんな悍ましい因縁を息子・娘達に背負わせるわけにはいかない!)
呪いの侵され余命幾ばくも無い体だが必ず終わらせて見せる…!
産屋敷哉耀は満月が輝く空を見て強く決意する。
ザッザッザッザ
産屋敷邸を出た勇三郎は有坂家に向かいながらこれからの事を考えていた。
(チッ 出来れば50人纏めて貰いたかったがそこまでやると
計画通りにやればその半数は大きな戦力になり成果を出せば私の発言力も高まるはずだ… そうすれば産屋敷も私に逆らえなくなるはずだ)
勇三郎は産屋敷を嫌っていた。
1000年に渡り無惨を討ちとれない無能だと蔑んでいる。
あの一族の為にどれだけの命が犠牲になったのか…! それは有坂家も含んでいた。
有坂家に先代、つまり父は産屋敷に忠誠を誓っていたが己は違う!
(無惨を滅するのは同感だ あれに存在価値などない
その点は協力するが無惨を滅した後は産屋敷一族には責任を取らせてやる!)
貴様ら産屋敷一族の尻ぬぐいの為に死んでたまるか!
誰にも悟られねように静かに同時に激しい怒りを抱きながら勇三郎は決意する
来月の最終選抜である少年が現れる事によって運命が物語が大きく動き出す…。
次回 最終選抜