魔法使いが海賊になる話   作:柚村たか

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少し内容変更しました。


第3話

 先程までの軽い気持ちが嘘のようにとぼとぼと歩き続けた俺は、気付けばまたあのマスターの店にやってきてしまった。

 

 また戻ってきたことに驚いていたが、優しく迎え入れてくれたマスターの優しさに再び涙が出そうになった。

 さすがに食事はもういらないので、マスターが好意で出してくれたパフェをちびちびと食べながら落ち込む理由を話す。ちなみにパフェはデザートだから。おやつみたいなもんだから。

 

 文無し(多少海賊からいただいた分はあるけど……)宿無しで落ち込んでいる俺の話を聞き終えたマスターは、軽快に笑い飛ばした。

 

「あははッ! それであんなこの世の終わりみてェな顔して戻ってきたのか!」

「今後の俺にとったら死活問題ですもん、そりゃこの世の終わり顔にもなりますよ……」

 

 パフェのいちごを口に運びながらそう返す。 このパフェもかなりうまい。

 

「ログポースも持たずに海を旅するやつでも、意外と普通のこと気にするんだな」

「うっ……、いや、その、い……いつもなら船で過ごせばいいんですけど、船が壊れてしまって……しばらくここから動けそうになくて……」

 

 まぁ嘘だけど。船なんてそもそもないし。あくまでこれは、俺が疑われないための設定である。最初に旅人って言っちゃったし、それに合わせた設定はやはり必要だ。出身地などを聞かれた場合はアウトだが、その時は強引に誤魔化すしかないだろう。

 

「船まで壊れちまったのか、そりゃ災難だったな……」

 

 あ、そんな悲しそうな顔しないでマスター……。すみません嘘なんです……。でも災難というのは間違いなく当たっているので、やっぱりそのまま同情してください。

 

 パフェの生クリームがうますぎて、グラスについているクリームを出来るだけ残さずスプーンで掬っていると、マスターがポツリと呟いた。

 

「住むか? ここに」

「…………はい?」

 

 何を言われているかわからず、間抜けな返事をしてしまった。今“すむか?”って言ったか? すむ? 住む?

え、住めるの? ここに? 疑問だらけの俺の視線に応えるようにマスターは続ける。

 

「この店の上は昔おれが住んでてな。今は妻も娘もいるから狭いってんで、隣に家を建ててそっちで暮らしてるんだ。今はただの物置みたいになっちまってるが、掃除すれば暮らせるはずだ」

 

 なにこの人。天使なのかな……。マスターの優しさが心に染みすぎて再び涙腺が緩む。しかしそこはグッとこらえ、率直な感想を伝えることにした。

 

「俺にとってはこの上なくありがたい話ですけど、こんなよくわからないヤツにそんな簡単に心を許しちゃだめですよ……」

「なに言ってんだ! 助けてくれたじゃねェか!」

「もしかしたらそれも油断させるためかもしれませんよ? 凶悪殺人犯かも」

「本当に凶悪殺人犯なんだとしたら、今それをおれに伝えたりはしないだろ」

 

 確かに俺は凶悪殺人犯ではないし、自分が悪人だとも思わない。まぁ善人とも思わないけど。しかし、こんなにありがたい話にひょいひょい乗ってもいいものなのだろうか。なんかバチとかあたらないかな……。

 歯切れの悪い俺を見かねてか、マスターがバシッと俺の肩を叩いて言いきった。

 

「そんな悩むことねェよ! あんたはもうこの店のスターなんだからな!」

「は? スター……?」

 

 いや、初耳ですけど? いつからスターになんてなった? 俺はどちらかというと地味に生きていきたいタイプだ。あの海賊どもに対して魔法をバンバンぶつけてしまったのは、よくわからない状況でテンパってちょっとはしゃいでしまっただけなのだ。

 今思い返すとちょっと格好つけてしまったことに赤面してしまうくらいである。

 

「じゃあこうしよう! おれはあんたにこの店の2階を貸す。あんたはこの店の用心棒になる。さっきも言ったが今この島は磁力が強い時期でな、今日みたいないざこざは割りとよくあることなんだよ。それをあんたが止めてくれんなら、おれとしてはありがてェ」

「用心棒……なるほど……」

 

 正直今日の俺はテンションが上がっていたからあんなに無策で立ち向かっていけたわけで、実際魔法は万能ではない。今後は俺でも止められない奴らが現れる可能性もあるにはある。だがそれは俺がどうにかすればいいだけだ。魔力向上技術アップ。よし、解決。

 

「じゃあお言葉に甘えて、よろしくお願いします」

「よしきた!」

 

 嬉しそうにそう言ったマスターにつられて、俺も自然と笑みが溢れる。なんて運がいいんだ、俺。

 

 明日の昼頃から掃除を始めるという約束を取り付け、今日はなけなしの金で宿に泊まることにした。幸運にも店に飲みに来ていた客の一人が宿経営の関係者らしく、割引券をくれたのでありがたく使わせていただくことにする。

 

 まじで運が良すぎる。今日で使いきったかもしれない。いや、よく考えてみれば知らない世界に飛ばされた時点でこの上なく不運だ。きっとこれは不運を幸運で相殺して俺の人生のバランスをとっているに違いない。だとしたら俺の不運貯金はまだあるはずだから、もう少し幸運が訪れてもバチはあたらないかな。

 

 

 店を後にして辿り着いた宿で、ようやく一息つくことができた。シャワーを浴びてベッドに横になると、急に眠気に襲われる。考えたいことは山ほどあるのに、思考が停止してしまう。

 ああ……魔力向上技術アップについてもう少し真剣に考えたいのに……。

 

 意識を手離したのはそれからすぐのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 バンッ!!! 

 

 

「おはよう!!!」

「ふぉっ!?」

 

 大きな音と大きな声のせいで、ベッドからバネのように飛び起きた。というか起こされた。なんだ? 今何時だ? 

 寝ぼけ眼であたりを見回すと、見慣れない場所に一瞬混乱しかけたが、そういえば俺は世界を越えてしまったのだとすぐに思い出す。

 

 そうか……、夢オチとかじゃなかったか……。少し期待していたが、そんな考えはあっさりと消え去ってしまった。

 

 カーテンの向こう側が明るいところを見ると、どうやら朝らしい。それにしてもよく寝たな。

 

「おはよう!!!」

「うおっ!!」

 

 ボーッとしていた俺に、入り口から大きな挨拶が聞こえて再びビクッとしてしまった。そうだ、この声に俺は起こされたんだった。

 入り口に視線を向けると、そこには白髪? 銀髪? の長い髪を一つに結び、頭にゴーグルをつけた若い男が立っていた。何故か満面の笑みで……。

 

「えーっと、どちら様で……?」

「おはよう」

「……お、おはようございます……」

 

 なにこの人。おはようしか言えないのか……? 

 混乱と恐怖に陥る俺の様子を気にしていないのか、その男は変わらぬ笑みを浮かべたままベッドに近づいてきた。

 

「やっと見つけたぞ!」

「え?」

 

 おはようしか言えないわけではなかったらしい。ベッドの横にピタリと張り付いたその男は、キラキラとした瞳で俺を見つめてきた。

 

「昨日のあの技はなんだ!?」

「へ……?」

 

 あまりに唐突な質問に、聞かれた内容が頭に入ってこない。まぁ寝起きのせいもあるけど。

 

「実は昨日おれも酒場にいたんだよ! 何か木の棒みたいなのからなんか色々出してやっつけてただろ!?」

 

 うん、間違ってはいない。確かに木の棒からいろいろ出してやっつけたからな。てか、木の棒ってなんか嫌だな。杖と言ってくれ。

 

「どういう原理なんだ!? あの木の棒見せてくれ!!」

 

 凄い勢いで聞いてくる男に圧倒されてなにも言葉を返すことができないでいると、男は勝手に話を進めていく。

 

「まぁいい! 後で調べればいいだけの話だからな! ってことで、今すぐおれの実験に付き合ってくれ!」

「は? 実験……? 嫌だけど……」

「よし! そうと決まれば早速着替えて荷物をまとめろ! いつまで寝るんだ? もう朝の7時だぞ?」

「まだ朝の7時だったのか……。いや待って。俺嫌だけどって言ったの。聞いてました……?」

「ほら、早く着替えろって!」

「…………」

 

 なんだこいつ。 全く話が通じない。

 死んだ魚のような目で男を見つめてみるが、どういうわけか俺のその表情は見えていないらしく、キラキラ笑顔で早くと急かしてくる。まずお前は頭にゴーグルをつけるより前に、メガネをかけたほうがいい。目が悪いにも程がある。もしかしたら悪いのは目じゃないかもしれないが。

 

 しばらく無言で圧をかけてみたが全く通じなかったので、仕方なくベッドから抜け出すことにした。

 

「というか、どうやってこの宿のこと知ったんですか? 不法侵入じゃないんですか? 失礼だとは思わなかったんですか? そもそもあなた誰ですか?」

「おお、一気に質問してきたな。おれに興味持ってくれたみたいで嬉しいぞ!」

「興味じゃありません、ただの疑問です」

 

 どうやら出ていってはくれないようなので、仕方なく見ず知らずの男の前で着替えながら早口で疑問をぶつけることにした。俺のイライラも込めて。

 

「おれの名前はハルク! しがない科学者だ! お前が昨日この宿に泊まったって情報は近所じゃ噂になってたから、宿の主人に部屋を聞いて突撃してきたわけだ!」

「なるほど。で、ハルクさん。突然訪問して来ることに対して失礼だとは思わないんですか?」

「失礼だなんだを気にしていたら、研究なんて進まないってのがおれのモットーだ!」

「うわぁ……迷惑ぅ……」

 

 どうやらとんでもなく面倒な人に絡まれてしまったらしい。着替えを終えて再び男……ハルクさんに視線を戻すと、さぁ行こうと引きずられるように連れ出された。

 

 

 

 これだけ迷惑をかけられたので、引きずられながらもなんとか朝御飯をねだることに成功した俺は、それを食べながらハルクさんに着いていく。

 なんかテンション高めに話しかけてくるが内容がよくわからないことばかりだったので全て聞き流し、漸く目的地に辿り着いた。

 

「……なにここ」

「おれの家だ!」

 

 胸を張ってそう言ったハルクさんには申し訳ないのだが、俺にはこの建築物の良さがわからない。大きさはそれなりにあるが、形がかなり歪なのだ。例えるなら、溶けかけの蝋燭みたいな感じだ。だが別に溶けてこうなったわけではないらしい。

 

 軽快な足取りで家の中に入っていったハルクさんに続いて、自分も恐る恐る中に足を踏み入れた。

 

「うわ……すごっ……」

 

 最初の感想はまさにこれだ。部屋のなかはそこそこ広く、実験のためのテーブルやよくわからない機械が並んでいて、かなり科学者っぽい。難しそうなことが書かれた紙がいろんなところに積んではあるが、なぜか埃っぽさはなくごちゃごちゃなのに整頓されているような不思議な空間である。

 

 入り口付近で部屋を見回していた俺に、ハルクさんは奥から手招きをしてきた。

 

「おーい、ちょっとこっち来てくれるか? えーっと……そういや名前聞いて無かったな」

「フィンです」

「フィンか! よろしくな!」

 

 ニッコリという効果音が付きそうなほど良い笑顔を見せたハルクさんだか、一体何をよろしくさせられるのだろうか。もし実験が人体実験だった場合は、すぐに彼から俺に関する記憶を消して逃亡しなくてはいけない。

 いつでも逃げられるように警戒しつつ、俺はハルクさんに近づいた。

 

「さて、じゃあ早速見せてくれるか? その木の武器を」

 

 腰のベルトにさしていた杖を指差してそう言ったハルクさん。まぁそうなりますよね。さっきも武器が見たいっていってましたもんね。

 

「……丁寧に扱ってくださいね」

 

 俺から杖を受け取って、いろんな角度から見たり撫でたりしているハルクさんだが、残念ながら魔法の杖は魔力のある者が持たなければただの木の棒である。

 

「ほォ……、これが例の武器か? なんだ、ただの杖にしか見えないな……」

 

 その通り、あなたが持っているうちはただの杖ですからね。

 だが魔法使いにとっては魔法を使う為の必須アイテムである。杖がなくても使える魔法はあるが、かなりしょぼいことしかできない。杖に魔力を集中させ呪文を唱えることで、より高度な魔術を使うことができる。杖は一人一人自分に合うものを使用している為、自分のものではない杖では力を充分に発揮できなかったりもする。

 つまりこの杖がもし壊れたら、俺はただの無能に成り下がるのだ。それだけは絶対に阻止しなくてはならない……。

 

 一通り杖を調べ終わったらしく割りとあっさり返してくれた。もっと徹底的に調べるものかと思ってた……、なんだか拍子抜けである。

 

「その杖は見たところただの杖だし、特段仕掛けがしてあるわけじゃなさそうだ。ってことはやっぱりフィンが特殊なのか……」

 

 お、この展開は……とうとう俺が考えた設定を披露する時が来たんじゃないか!? 

 この世界の人が特殊な力をそこまで不思議に思わないのは、悪魔の実という不思議な能力を宿した実が存在しているからだ。だいたい特殊な力を持ってるやつは悪魔の実の能力者ということで説明がついてしまう。そんなありがたい話を使わないわけにはいかない。

 

「やっぱり気付きますよね……。実は……あれは悪魔の実の能力なんです」

「……ほォ……」

「ただ、自分がうんと小さいときに間違って食べてしまったみたいで、未だになんの実だったのかは定かではなくて……。気付いたらこんな身体に……」

 

 なるべく悲壮感を漂わせながらそう説明すれば、普通の神経を持ち合わせた人間ならこの話に深く突っ込んではこないだろう。そしてこの話はうやむやにできるはずだ。

 しかし、その予想は完全に外れてしまったようだ。

 

「……お前、詐欺師とかじゃねェよな?」

「え……? 詐欺……師?」

「いや、嘘付くのがうまいなと思ってよ」

 

 嘘付くのがうまいとか言われたところで全然嬉しくない……。って、いやいやいやいや、ちょっと待ってくれ。なんで今のが嘘だってばれてるんだ……? 

 想定外すぎるハルクさんの反応に、自然と眉間に皺がよる。やばい、悪魔の実の能力者設定が通用しないとわかったところで、別の方法がすぐに思い付くはずもない。予期せぬ状況に変なボロを出さないよう口を噤んでいると、俺を真顔で見つめていたハルクさんがふっと表情を緩めた。

 

「あ~……すまん。そうだよな、嘘が上手いなんて言われりゃ警戒するのは尤もだ。違う、おれはお前を追い詰めたいわけじゃねェんだ」

 

 頭をポリポリとかきながらそう言ったハルクさんは、窓際にあるソファに座り、俺にも向かいのソファに座るように促してきた。

 この人の考えていることが全くわからない……。杖をいつでも使える状態にしたまま、言われた通りソファに腰を下ろす。

 

「最初にこれだけは伝えておく。おれはお前に危害を加えるようなことは一切しない。それだけは信じてくれ」

 

 先程の、人に迷惑をかけても気にしませんというような態度はなりを潜め、かなり真剣な様子だ。一体どうしたというのだ。それが逆に恐怖を感じる。

 一向に警戒を緩めない俺に気付いているようだが、彼はそのまま話を続けた。

 

「実はな、昨日酒場でお前を見たときから、ずっと引っ掛かってることがあってな」

「引っ掛かってること……?」

「宿で話すと万が一にも誰かに聞かれる可能性もあると思って、強引にうちに来てもらった。ここなら誰かに聞かれるということはない。防音も盗聴も対策はバッチリだ」

 

 まさか、そんな思惑があったとは……。あの態度が全て演技だったとでもいうのだろうか。だとしたら、俺なんかよりも余程詐欺師の才能があると思う。

 そう思っていると、ハルクさんはごそごそとソファの横に積んである本の間から、一枚の紙を取り出した。

 

「これを見てくれるか?」

 

 まるでノートの切れ端のようなその紙を手にとり視線を移すと、見覚えのある筆跡で文字が書かれていた。

 

 

 “ーーー彼には特殊な力があったからだ。本人は悪魔の実の能力だと言っていたが、どんな能力なのかということについては頑なにはぐらかされてしまっていた。彼が能力を使うときは必ず杖を使う。杖を構えて何事かを唱えると、その力が発揮されるのだ。私は今まで多くの能力者を目にすることがあったが、未だに彼のような法則性のない能力に出会ったことはない。時に火を起こし、水を出し、風を起こす……。それはまさに魔法のようであった。もう2度と彼と会うことはできないかもしれないが、もしまた話す機会があるのだとしたら、私は彼にこう伝えるのだ。ーー本当に知らない世界から来た魔法使いだったんだな、と。”

 

 

 これは、図書館にあった日記の続きだ。肝心なところで破られていると思ったら、破った本人がここにいたのか。

 紙からハルクさんに視線を移すと、真剣な表情で俺を見つめていた。

 

「……あなただったんですね、あの日記を破ったのは」

「日記のこと知ってたのか?」

「昨日図書館でたまたま見つけたんです。不自然なところで破られてるから、ちょっと気になってたんですよね。…………それで」

 

 一旦言葉を切った俺は、しっかりとハルクさんを見つめ返す。

 

「ハルクさんはなぜ俺にこれを?」

 

 無感情に。何も悟られないように。ことによっては本当に彼の記憶を消さなくてはならないので、強く杖を握り直しいつでも魔法をかけられる状態にしておく。

 しかし、そんな俺とは反対になぜかハルクさんはきょとんとしてしまった。

 おい、おかしいだろ。なんだその表情は……。

 再び眉間に皺を寄せた俺に気付いていないのか、ハルクさんはさも当然とでも言いたげに答えた。

 

「いや、それ読んでわかるだろ? その冒険家は今のお前と同じような状況だったってことだ。だからよ、お前だけじゃねェんだぞって伝えてやろうと思ってよ!」

「…………」

 

 待ってくれ。本当に理解が追い付かない。この人は何を言っている……? 今度は俺がきょとんとする番だ。

 

 つまりあれか? この人は、この本当かどうかもわからない日記から別世界があるということを確信し、あまつさえそこから人間が送られてきたという夢物語のような話を信じ、俺の昨日の魔法を見てピンと来たから、お前は一人じゃないから大丈夫だぞってわざわざ伝えるために宿に突撃してきたと? 

 え、どうしよう。本当に理解できないんだけど……。

 

「……え、なんか怖い」

「何が!?」

 

 無意識に出た言葉は、間違いなく本音である。こんなにも思考が理解できない人間に出会ったことがないからか、本当に恐怖だ。

 

「怖いってのはおかしいだろ! 仲間がいて安心したって思うところだぞここは!」

「いや、怖いのはあなたですよ……。本当にただの善意でこんなことを……? というか科学者が別世界をそんなあっさり信じるとか……むしろそっちの方が信じられない……」

「なんでだよ! 時空についての研究があるんだから、時空を超えて別世界があるかもしれないっていう研究をしたっていいだろ!」

「したんですか?」

「してるよ! 現在進行形でな! そして間違いなく別世界は存在するって、とある科学者コミュニティでは最近持ちきりなんだよ」

 

 どんなコミュニティだ。でも、この世界の一部では別世界のことを認識してるのか……。

 なんだか急に和やかな雰囲気になったが、総合してこの人はどうやら敵ではないらしい。今のところ記憶を消す必要もなさそうである。

 俺がここにいる時点でその研究は無駄じゃないですよ、良かったですねハルクさん。と言いたいところだが、それは本当に言っていいことなのだろうか。そこまで心を許しても問題ないものか……。

 

「で!? お前のいた世界ってどんな世界だったんだ!?」

「…………」

 

 これはあれだ。俺が別世界から来たって確信している聞き方だ。というか、そもそもなんで別世界があるって実証されたんだよ。その事実が恐ろしい。

 

 なんだか悩んでいることすらバカらしくなってしまい、その科学者コミュニティには絶対に俺のことを一切伝えないこと、そしてこの島の住人含め絶対に誰にも公言しないという約束を取り付けて、俺は自分のことを話すことにした。俺の話にキラキラとした表情で聞き入るハルクさんは、魔法についての話を聞いている時などまるで少年のようであった。

 

 まあ、よき理解者を一人ゲットしたということにしよう。残念ながら俺はハルクさんの思考を全く理解できないけど。

 

 ちなみにハルクさんが誰にも公言できないように、ちょっとした魔法をかけさせてもらったが、それは俺だけの秘密にしておくことにする。




【ハルク】
・25歳
・島の住人からは変人科学者と言われている
・長髪銀髪ゴーグルがトレードマーク
・科学者としてはかなり有能らしい
・とある科学者コミュニティは、政府に見つからないような方法で情報をやりとりしている、わりとグレーなコミュニティらしい。

フィンはホグワーツのどこの寮出身だと思いますか?試しにアンケート使ってみたかったのです。

  • グリフィンドール
  • スリザリン
  • ハッフルパフ
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