『ボクの異常性』   作:黒縫

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前に書かなくちゃと思って、ずっとそのままにしていました。


今、約束を守ります。ごめんな。


異常性:1

彼女を抱きしめている。

急に何事かとこれを見ている傍観者は思っているのだろうけど今そんなことどうでもいい。

ボクにとっては彼女とならごく当たり前の行為だ。

 

彼女の色白の首にキスをする。いや、この場合は歯を立てたと表現したほうがいいのかもね。

ちょっとばかり傷をつけたんだ。

するとだんだんその傷中心から赤色に輝く血が溢れ出てくる。

少しだけ痛そうなドクターの顔を見ると心臓の鼓動が早くなって息が荒くなる。ギュッと身体を強く抱き寄せて。服にシワがついてしまうが構うものか。

この劣情をどう発散させればいい…?

頭では自制心が徐々に削られていく。

 

ハァッ…なんてボクの心をそんなに揺さぶってくるのかい…?///

 

首筋にッー…と血が流れ落ちそうになるが溢れこぼれないよう舌で舐めとる。

鉄のあの不快な味。しかしボクは高級レストランで出された水よりもドクターの血はとても美味しくて虜になりそうだ。腕や脚に力が漲る。

この瞬間のおかげで戦場を駆け回っていられると思う。

 

「ふふっ、ありがとうドクター。これで戦場に行っても百人力だよ。」

 

「あぁ…ラップ。今回はラップの力が必要だからお願い事を聞くけど、これ治るの遅いんだからね?」

 

「……、まぁまぁ、良いじゃないか。そういう契約なんだから文字通りボクのために体を張ってもらっているだけなんだから。」フフフ

 

ドクターはハァッ…とため息を出して『ハイハイ』とボクの話を聞き流している。

どうも最近連続で同じ頼み事をしているせいか、噛み場所が跡になったらしい。

そのおかげで今の彼は少し不機嫌…いや、違うかもね。

多分この場合は不満げというのだろう。

 

まったく…それじゃぁボクでも傷ついてしまうよ?

まぁ…テキサスからの扱いように慣れてしまったから大丈夫だけれど。

 

「とにかく、今から作戦に参加させてもらうけど本当に単独行動で良いの…?」

 

「あぁ…!そうしてほしいな。周りに誰かがいると気が散るんだ。特にあの赤色のフードの子だけはやめてほしいとだけ強く言っておくよ。」

 

実のところ気になった人以外と関わるのが嫌なだけなのだけど。

 

「……死なない?一人で大丈夫…?」

 

眉をひそめてボクより身長が低いから上目遣いになる、そんな様子で心配してくれている。

 

おや、ボクのことを心配してくれているのかい?

はははっ…嬉しいね。

 

けど、ボクは君に嘘をつく。

 

「死なないさ。まだやりたいことができてしまったからね。」

 

本当は死に場所を探すためにロドスに参加しているのだけれど。

いつだか、理由もなく死にたくなるときだってあるだろう?

そう、それさ。誰かは燃え尽き症候群とか勝手に名前付けしていたがネーミングセンスを疑うよ。

 

………、色々と話したけどこればっかりはどこかで漏らしちゃうとすぐに噂が駆け巡るロドス内では話すべきではないのだろう。

 

 

 

ボクはドクターを抱きしめていた手を離して身体を起き上がらせる。

名残惜しいけれど作戦終了後の報酬としてまた彼にお願いすればさせて貰えるだろう。

早く終えたほうがここでグズグズしているより彼との時間が取れるはずだ。

 

横脇に置いてある長身の剣を右手で取る。

銀色の得物は外気温で鞘が冷たくなっており持つ手が取ることを一瞬拒もうとした。

 

もうこんな季節か…。どおりで寒いわけだ。

体がブルリッと震える。防寒していこうかな…?

 

「ねぇ、ラップ。ちょっとそのあっちを向いたまま止まって。」

 

背後からドクターが話しかけてきた。

どうしたのだろう…?

 

ボクはこれが何か言ってくるまでその場で立ち止まる。なんとも言えないような時間が流れた。

後ろからガサゴソと聞こえるのは少しばかり不穏な気持ちになるけどね。

 

そんなことを考えながら待っていると、後ろから肩をグイッと下に強く下げさせられる。

力を入れてなかった身体は膝をついてガクンッと視線が下になる。

何事かと思い後ろを振り向こうとしたが

 

「急すぎたけど、まだそのままにしてて。」

 

とドクターの声が間近で聞こえた。

つまりはボクの肩を触ったのは彼だろう。

何故だろうと思い理由を聞く。

 

「な、何をしてるんだい?ドクターはボクのことが寂しいのかな?」

 

「そんなことない。冗談言えるほど余裕そうだけどさっき身体震えてたじゃん。ちょっと待って。」

ギュッ…

 

後ろ髪が少しだけ引っ張られている感覚がある。

そして首元がスースーしてきた。

もしかしてーーーー

 

「はいっ、完成。こっち向いていいよ。」

 

とドクターが振り向いていいと許可してたので彼を見る。

しかしそこには彼ではなく鏡を持って私をうつしているドクターがいた。

 

あぁ…やっぱり。

 

「どう?私とおそろいのポニーテール。それと。」

 

手元から一つの『灰色のマフラー』を首に巻きつけられた。

繊維が固くなく、触るとモフモフして防寒にはちょうどいい。何より私に合わせてくれたのか身につけても普段からつけているような彩色。

 

「もしかしてこれは君が…?」

 

「あぁー…、うん。少し恥ずかしいけどね。ポニテじゃないとマフラー使いづらいし」

 

ふふっ…あははっ…!!耳が赤くなってるじゃぁないか。

 

心から込み上がってくるものがある。マフラーの熱にほだされたのか…?

いいや、それはない…はず。

ボクは考えるより先にドクターを抱きしめていた。

彼の耳元で、僕の胸元で熱を感じながら。

 

「ありがとう。すぐに帰ってくるよ。だから。」

 

また抱きしめさせてほしい。

 

「いいや、また後でお願いするよ。じゃあ行っめてくるからね。」

 

けど、そんな馬鹿正直な言葉は飲み込んでボクは任務につく。恥ずかしいからね…。

けど今なら誰にも負けない気がする。

天下無敵だ。

 

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

 

彼の声が聞こえたがボクはそのまま執務室から出る。

 

さて、ボクを楽しませ(殺し)てくれるやつはどこだい?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

■■■■■■■都市 p.m.3:50

 

得物の柄を左手から袈裟斬りをするように一閃。全体重を片脚に乗せ一気に掛けることで、どこかの誰かが言っていた『瞬地』という技術に似たような速さを得られる。

勢いよく斬られた雑魚共は豆腐のように剣を食い込ませた。

 

「…ッ!?…」ガバッ

 

「邪魔だから早く消えてね…?」ズルッ

 

臓物が肉人形からまるで肉詰めソーセージのように斬られたところから出てくる。

苦痛そうな顔、現実的な死を悟ったのか額や首元に冷や汗。

泣きそうで怯えたその目は私を高ぶらせるに充分だった。

 

「そんな目で見ないでよ…、興奮するじゃないか…。」

 

絶命した骸を踏み越えて次の標的を定める。

するとその敵部隊のリーダー格が何やら恐怖で足すくんだ仲間に発破をかけている。

 

「クッッソ!!キ○ガイ狂人めッ!!お前ら、人数なら俺達のほうが有利なんだッ!殺るぞッ!!」

 

少しだけ状況を再確認して落ち着いた傭兵は動き出す。

あぁッ…まだ君たちはボクのことを楽しませてくれるのかい?

 

「アハハハッッ!!まだこんなにもボクのおもちゃが残ってるッ!!もっとッ!!もっとォッ!!ボクを楽しませてよ?!肉塊にしてあげるからさァ!?」

 

剣を握る手がふと緩む。

身体に無駄な力が入らず、何でもできそうなこの感覚。

とても気分がいい。マフラーと共に仲良くたなびくボクの髪。

返り血の生暖かさとマフラーの中の温もり、どっちだろうね?

 

「ハハハハハハハハハッッッ!!!!消えろ!!消えろ!!消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!!!!」

 

血しぶきを上げながら、僕のことを楽しませてくれたお礼に痛みも感じさせないよう首元に刃先を押し当てる。

スローモーションのように頭の中と身体があべこべになってしまったようだ。

叫びさえ聞こえない。

聞こえるとしたらボクの発狂だけだ。 

 

その発狂さえも止む頃には誰もその場に立っていなかった。

もう向かってくる奴もいない。

転がった死体に腰掛けて呼吸を整える。

 

「ハァッ…ハァッ…アァ…ぁッ///」ブルリッ

 

股下がうずく。

先程までの死と隣り合わせの危機感。

剣から感じた血肉を切り裂くあの感触に。

今もこう命を蔑むように椅子扱いしているのは背徳的で。

ボクは周りを見渡した。

 

仲間がいるとできないからね…?

 

単独行動ならではのこと。

ボクの異常性だとは思うけれど止められないから仕方ない。

腰あたりに忍ばせていたサバイバル用のナイフを取り出す。

左手に持ち替えて、もう片手は自身の下着の間に突っ込む。

酷く興奮して火照った体とは違って入れ込んだ手は冷たく敏感な部分に触れたときは少しだけ変な声が出てしまう。

 

「んっ…///」

 

左手のナイフを新しい首切り死体に斬りつけた。胸元を切り裂いてグチャグチャになるまで刻み込む。

その瞬間自身の秘部に指を入れて上に向け撫でる。

すると、頭の中でいつの日かやった、薬でキマるようなビリリッとした感覚を覚えた。

 

ンッッッ…///フゥッ…ッ…ハァァぁぁ…////

 

だらしない喘ぎ声が戦場の真ん中で一つ木霊する。抑え込もうと必死に口を強く紡ぐが、このときばかりは抵抗もむなしく声がでてしまう。しかし、致したボクの声は誰にも届かない。届く人なんて殺ってしまったから当たり前なのだが。

 

一匹狼は考えた。

 

こんな姿を見せたらドクターは引いちゃうだろう、と。けど、もしこの下敷きにしている死体がドクターだったのなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 




どこかで、これを見ていたらいいんだけれどな。
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