更木剣八に転生したら剣ちゃん(幼女)だったんだが 作:凜としたBTQ
日間4位だった事実に震える((((;゚Д゚))))
感想・評価・誤字報告ありがとうございます!
やっぱり感想貰えると嬉しいよねって(´・ω・`)
今日は第三回コロナワクチンの副作用でお仕事お休みのためカキカキ執筆できました。
節々が痛え……。
それでは拙いですが続きをどうぞ!
まず朝四時に起きて布団を片付けてから身支度をするのだが、この身支度が滅茶苦茶時間がかかる。
顔を洗い歯磨きをしてうがいをした後、鏡台に向かって髪を結うところから俺の一日は始まっていく。
しかしこの髪を結う時間。これが滅茶苦茶時間がかかる。
俺の髪は外側に跳ねるような癖のある黒髪なのだが、この髪を跳ねっ毛に合わせて丁寧に一束一束結っていき、その髪先に鈴をつける作業をしていく。
この一つ一つ丁寧に鈴をつけていく作業でどうしても身支度に時間を要するのだ。
え? じゃあ鈴なんかつけなければいいじゃんって?
うん。そうだね。その通りだよ。
でも原作で更木剣八が付けてたんだから一度付けてみようと思うじゃん?
そんな出来心で鈴を付けたのが間違いだった。
まず俺が一人で鏡を見ながら髪に鈴を付けようと四苦八苦していたら、弓親が俺を起こしに部屋に来て現場を目撃。
その後は俺が身嗜みを整えていたという事実に感激した弓親が有無を言わさぬ勢いで俺の髪を結いあげ、そのままセットした俺の容姿を隊士達に自慢しに行ったのだ。
それも十一番隊のみに止まらず他の隊士にまで自慢し始め、他の隊長達────四番隊隊長の卯ノ花さんまでもが俺の様子を見に来やがった。
昔の件もあり俺も頭の上がらない卯ノ花さんは、嫌がる俺の頭をひとしきり撫でた後に「可愛らしいので今後とも継続していきましょう」と爆弾を投下。
その意見に賛成してしれっと頭を撫でようとしてきた京楽をぶん殴っていると、騒ぎに気づいたやちるが到着し俺の髪型を見てベタ褒めしてきた。
そしてやちるが褒めてくれたことで多少溜飲の下がった俺は「まぁ別にいいか」とその意見を了承してしまう。
そう、そこで俺は了承してしまった。
そして次の日から、話を聞いた弓親がウキウキの様子で俺の髪を結いに来るようになった。
いやまぁ俺一人で結うのは限界があるし有難いことではあるんだが……ぶっちゃけ朝早くからテンション高くてうざい。
朝っぱらから廊下走って勢い良く扉開けてくるなよ。朝四時だよ? 普通に近所迷惑なんだが? やちるが起きたらどうすんの? 次から瞬歩で行きますじゃねーよ。普通に歩いてこい。
早朝にも関わらずニコニコで手伝いにくる弓親と俺のテンション差がすごい。低血圧で目が死んでる俺とは住む世界が違うわ……。
まぁ、そういうわけもあって俺は早起きになった。
何回か面倒くさくてやらないこともあったが、その度にやちるが残念そうにするので仕方なく毎朝髪をセットしている。
今も半分寝ぼけた状態の俺の髪を弓親に結ってもらっているところだ。
「ふんふふんふーん♪」
そんなご機嫌な鼻歌が俺の後ろから聞こえてくるが、朝早く起こされてテンションの低い俺はツッコむ余力もない。
もうどうにでもなーれと諦め半分の俺とは裏腹に、背後で髪を結っている弓親は鏡に映った俺の姿を見て光悦とした笑みを浮かべていた。
「あぁ……寝ぼけ
頬に手を添えて顔を赤らめる美青年────綾瀬川弓親は、熱い吐息をこぼしながら呟いた。
端から見れば完全に事案である。
二番隊に通報しようかと真面目に考えていると、半目で睨む俺を見た弓親は何を勘違いしたのか満面の笑みを返してきた。
「大丈夫ですよ隊長。気が散ってる訳ではないので安心してください。隊長の鴉の濡羽のように美しい黒髪は、僕が万全の状態に整えて差し上げますから!」
そう言って鼻息荒く俺の髪を櫛で梳いていく弓親。
いやそうじゃねえから。
気が散ってるかを心配してる訳じゃねえから。
むしろ気にも留めずにこのまま放置してくれていいから。
そんなことを考えている間に、弓親は鏡に呆れた表情で映っている俺の髪を梳かし終え、手に持つ鈴を真剣な表情で付けていった。
そのまるでガラス細工を扱うかのような丁重な手つきで俺の髪を一束一束結っていく仕草からは、俺への深い親愛の情が感じ取れる。
流魂街にいたときから色々と俺に構ってくるうるさい奴だが……俺は邪険に扱うことはあっても弓親のことは嫌いじゃなかった。
町から追い出され外で野宿しようとする俺を見かねて、自分の持っている着物を布団として敷いたり着替えの用意や洗濯をしてくれた。
事あるごとに俺にハイカラな着物を着せようとしてくることや、布教と称して他の奴に俺の美しさ自慢をするのは勘弁して欲しいが……長いこと続けてたホームレスのような生活から抜け出せたのは弓親がいてくれたおかげだ。
だから弓親の俺に対する奇行も嫌がる素振りはすれども本心で嫌がっている訳ではない。
長い付き合いからいつのまにか一角と弓親の存在は、俺の中でやちるに次いで特別な存在となっていた。
まぁそういうわけで俺は弓親のことを信頼しているし、髪を任せるのもやぶさかではない。
死んでも本人には言わないんだけどな。
言えばこの変態が喜んで調子に乗るだけだ。
「あぁ……この透き通るようにきめ細かくサラサラな髪……! 艶のあり瑞々しい柔肌を覗かせる首元……! この美しさを上手く表現できる言葉が見つからない……!」
額に手を当て天井を見上げながら声高々に叫ぶ弓親。
うん、俺が何か言うまでもなく勝手にテンション上がってやがる。
俺の髪を触っただけで大袈裟なんだよなぁ……。
というかまだみんな寝てるんだから静かにしようね?
「……弓親」
「縛道で結界を張っているので大丈夫ですよ。隊長とのこの時間は誰にも邪魔させませんから」
俺が名前を呼ぶと、弓親はすぐに言いたいことを察してそう答えた。
こいつ、俺のことが関わらなければ察しがいいな……!
それに縛道か。そういえば弓親は鬼道が上手いんだったな。
俺は鬼道に関してはからっきしだから何とも羨ましいものだ。
俺もせっかく異世界に生まれ変わったんだから手から炎をドカーン!とか重力でズドーン!ってしてみたかったなぁ……。
「弓親は普段、鬼道を使わねーよな。あんなに上手いのに」
「うちの隊風に合ってないですからね。僕が舐められるだけなら百歩譲っていいですけど、そのせいで一緒にいる隊長まで舐められでもしたら自分で自分を許せませんから。それに、隊長は鬼道……特に破道を見ると羨ましそうな顔をしますしね」
「うっ……そんな顔に出てたか……」
マジかよ普通に恥ずかしいんだが……。
だって仕方ないだろ。他の奴らは派手に魔法ちっくな攻撃してる中、俺だけ刀でぶった斬るだけだよ?
別にそれが嫌って訳ではないんだけど、隣の芝は青く見えるもの。
脳筋剣士が魔法使いを見て魔法いいなぁ……って思うのはごく自然なことなのだ。詠唱がかっこいいなら尚更である。
「今でも思い出せる……詠唱を噛んで赤面する隊長はとても愛らしかった……! どうです!? 前みたいに僕が教えてあげますのでもう一度こっそり練習しませんか!」
「ぜっっったいにやらん!」
あれは黒歴史だ。俺に鬼道の才能がないことはわかったしもう二度とやらん。
黒棺の詠唱をしようとして噛み噛みになったことなんてなかったし、そのあと一番台の簡単な破道すら噛んで失敗したことなんてなかった。
なかったったらなかった!
「かつて流魂街で“
「なんか上手いこと言ったみてーな顔してるけど、お前はオレが詠唱を噛むところを見たいだけだろ。というか恥ずかしいからその呼び名は忘れろ」
野盗を殺しまくっていたせいで色んな奴らから恨みを買っていた結果付けられた呼び名だ。その名前のせいで危険人物として町に入れなくなるわ行商も逃げるわで散々な目にあった。まぁ襲い掛かってくる奴らは減ったから悪いことばかりではなかったけど、異名とか普通に恥ずかしいからやめて欲しい。
「……それにどっちかって言うと化け物って呼ばれることの方が多かっただろ。オレにはそっちの方が似合ってる」
「────隊長、自分をそんな風に卑下するのはやめて下さい。流石の僕でも怒りますよ」
これまでとは一転して急に真面目な表情となった弓親が、髪を結っていた手を止めて俺をじっと見つめながら言った。
その目は真剣そのものであり、分からず屋の子供を諌めるような慈愛の視線が俺の心にじくじくと突き刺さっていく。
静寂が場を支配すること少し。
やがて沈黙に耐えきれなくなった俺は親に叱られた
「…………ごめん」
「わかってくれればいいんです。それに安心してください。そんなことを宣う畜生共はもうこの世にいませんので」
しれっと聞き捨てならない恐ろしい事を言われた気がしたが、先ほどの発言の罪悪感から深く追求できずに視線を逸らしてしまう。
弓親はそっぽを向くように横を向いた俺の頭を優しく撫でると、パンッと手を叩いて場の空気を切り替えるように立ち上がった。
「さて、これで完成です。お疲れ様でした隊長。今日も美しく仕上がりましたよ!」
茶化すようにパチッとウィンクをして微笑む弓親と俺の視線が鏡ごしにあう。
少し気恥ずかしさが残りつつも俺はゆっくりと立ち上がると、背中越しにチリンと涼しげな音が静かな隊首室へと鳴り響いた。
「……そうか。いつもありがとな弓親。俺はやちるを起こしに行ってくるが、お前はどうする?」
俺は自身の身嗜みを整えることにあまり積極的ではないが、代わりにいつも身の回りの世話を焼いてくれる弓親には感謝している。
まぁたまに鬱陶しいときもあるが、それはご愛嬌というやつだろう。
……いや思い返せば割と鬱陶しいことの方が多いな。というか半分くらいはこいつの趣味で勝手に着飾らされている訳だし。フリフリのゴスロリドレスとかどっから持ってきたんだよ。
「僕は自室で
「いや着ないからな? 着るなんて一言も言ってないからな? というか前持ってきたアレお前が自作してたのかよ」
和風が主体の
最近やたらと現世での任務を受けたがってたのはそれが理由か。
碌なこと学んで来ないなこいつ。
「フッ、照れている隊長も美しい……。それではまた朝餉の時間に」
そう言って弓親は微笑を浮かべながら隊首室から出て行った。
なんか勘違いされている気がするが、深く構ってもこっちが疲れるだけだしもう放っとくことにした。
しかしまた着せ替えさせられるのか……やちるの分もちゃんと作ってくれることだけが救いだな。
そうしてやちるがゴスロリドレス衣装を着て微笑む姿を思い浮かべた俺は、自分が恥ずかしいのを我慢してでも見る価値はあるな、と考えながら愛しい少女の眠る部屋へと歩みを進めていった。
◇
「……隊長も、昔と比べて随分変わった」
綺麗なおかっぱ頭を揺らし、右眉に付けた孔雀の羽のようなエクステを顰めた美青年────綾瀬川弓親は誰もいない廊下で独り言ちた。
その視線は先ほどまで自身が髪を整えた少女のいた部屋の方向へと向けられ、優しい温かな光を宿していた。
「まさか隊長が僕に髪を触らせてくれるなんてね。あの頃は思いもしなかったな」
流魂街にいた頃にはあんな風に軽口を言い合うこともなかった。
周囲全てを敵として警戒し、出会った当初はその髪に触れようとするものなら問答無用で斬りかかられたものだ。
そんな彼女が今では借りてきた猫のように大人しくなり、その髪に触れても嫌そうな素振りは見せるも時折気持ちよさそうに目を細めて身を委ねてくれる。
自身に対する少女の信頼に胸の奥が温かくなる様子を感じながらも、その反面、少女がこれまで生きていた過酷な人生に胸が詰まる思いをしていた。
「……化け物、ね」
かつて己がまだ流魂街にいた頃。
獣のように獰猛で理性がなく、その童子が歩いた先は屍山血河が生まれると街中に悪名が轟いていた“鬼童”────更木剣八。
その噂は自身の耳にも届き、化け物と呼ばれ恐れられている子供へと会いに行った一角に付いていく形で、弓親はその少女と出会った。
弓親が少女と出会い、最初に感じたものは嫉妬だった。
襤褸の服を纏いながらも生来の容姿の良さによりその美しさを損なうことなく、逆に強調されて思わず目を向けてしまうほどの美貌。
下町では最強と名高い用心棒であった一角を、その底を見せることなく簡単に打倒してしまうほどの戦いの才能。
自分より美しいものの存在を許せない弓親が、少女に嫉妬の念を向けてしまうのは必然のことだった。
しかし同時に弓親は、少女に対し憧憬の念も感じていた。
『……君は何故、そうまでして戦うんだい。その容姿なら町でも働き手が見つかるだろう。なのに何故、戦場に身を置く』
『……あ? くだらねーな。戦うのに理由なんてあるかよ。……でもそうだな、強いて云うなら』
────オレが、
その迷いのない堂々たる姿に、過酷な世界に身を置きながらも懸命に生きてきた少女のこれまでの人生を見た気がした。
まるでこの荒れ果てた流魂街で咲く、気高くも儚い一輪の花のようだと思った。
そう、少女は花のようだった。
丹精に愛を込められて育てられた鮮やかな色合いの花ではなく、荒野の中で
その美しさを誰も知らない。
その生き様を誰も知らない。
その愛おしさを誰も知らない。
────ならば、僕だけは誰よりもその美しさを知ろう。
────誰よりも近くで、少女の生涯を見守ろう。
────誰からも愛されなかった少女を、誰よりも愛してあげよう。
綾瀬川弓親は自身が慕う幼くも気高い少女へと誓う。
そして少女の幸福を誰よりも願い、少女の救いとなったもう一人の子供へと感謝した。
「美しいね。あぁ、本当に」
弓親はピンク髪の少女と一緒にいるときの尊敬する上司の表情を思い浮かべ、朗らかな笑みを溢す。
あの二人のまるで本当の姉妹のような仲の良さを見ていると、自身の心が洗われるようだった。
「────変わったのは僕も同じ、か」
少なくともここまで他者を気にかけるなんてことは自身の美のみを追求していた昔の自分ならあり得なかっただろうと、弓親は己の変化に肩を竦める。
それは己よりも美しく尊いものを目にした結果生まれた、新たな生き甲斐であり誇りでもあった。
「今頃は隊長が副隊長を起こしている頃合いか。僕も早く隊長達に贈る着物を完成させないとね」
数刻後、朝餉の時間になっても一向に現れない隊長達の様子を見に行った弓親は、お互いの手を握り幸せそうに眠っている隊長達の姿を目にした。
そしてその日の十一番隊舎では、機織りを爆速で動かし叫び声をあげる弓親の姿が目撃された。
はい。という訳で弓親と剣ちゃんのお話でした。
やちるちゃん成分が少なくて申し訳ない……ユルシテ
TSロリ作品もっと増えろ……増えろ……。
ネタがなくなってきたのでそろそろ茶度の霊圧します。