チャラ男小路清隆   作:ウェンバンヤマ

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2巻
健の拳


 

 

 今日は待ちに待ったポイント支給日。

 中間テストを乗り切ったご褒美として幾らかポイントが増えているだろう。そう思いたい。

 

 結構節約しているつもりだが4月に平田達と遊びまくったせいでポイント残高はそう多くない。

 

 

「おはよう諸君。今日はいつにも増して落ち着かない様子だな」

 

「佐枝ちゃん先生!俺たち今月もポイント0だったんですか!?朝チェックしたら1円も振り込まれてなかったんだけど!」

 

「それで落ち着かなかったわけか」

 

「俺たちこの1ヶ月、死ぬほど頑張りましたよ。中間テストだって乗り切ったし...なのに0のまんまなんてあんまりじゃないですかね!遅刻や欠席、私語だって全然だし!」

 

「勝手に結論を出すな。まずは話を聞け。池、確かにおまえの言うように今までとは見間違えるほど頑張ったようだな。それは認めよう。お前達が実感を持っているように学校側も当然それを理解している」

 

 

 珍しいことに茶柱が諭すような口調で語りかける。

 

「では早速今月のポイントを発表する」

 

 

 Dを除く全てのクラスポイントが、先月と比べ100近く数値を上昇させていた。

 

 オレたちDクラスは———87ポイント。池を筆頭にクラスのみんなが喜色を浮かべていた。

 

「あれ?でもじゃあ、どうしてポイントが振り込まれてないんだ?」

 

 

 至極当然の疑問だな。茶柱はその疑問に軽く肩をすくめ、答えた。

 

「今回、少しトラブルがあってな。1年生のポイント支給が遅れている。お前たちには悪いがもう少し待ってくれ」

 

「えーマジすかあ。学校側の不備なんだから、なんかオマケとかないんですかあ?」

 

 

 生徒たちからは不満の声が漏れ出す。

 まあ、8700ポイントとはいえ有ると無いとでは大違いだもんな。

 

「そう責めるな。学校側の判断だ、私にはどうすることもできん。トラブルが解消次第ポイントは支給されるはずだ。ポイントが残っていれば、だがな」

 

 

 妙に含みのある言い方だ。Aクラスに上がりたいと思ってるんなら、もっと直接的な表現を心がけてほしいもんだ。

 

 

 

 

 昼休みになった。オレは今日も今日とて平田達と一緒に食堂に向かう。

 すっかり大人数での食事に慣れてしまい、最近は部屋で1人食べるのが寂しくなってきた。彼女ができたら朝夕一緒にご飯を食べたいもんだ。

 陽キャとして邁進中のオレにはまだ早い妄想だったかもしれないな。

 

 

 

 

 

 ギャルとの話し方はもうマスターしたが、みーちゃんや井の頭みたいな大人しい女子との接し方はまだまだである。

 近づくだけで涙目になられては、手の施しようが無い。

 刺青がここまで尾を引くとはな...今になって後悔してももう遅い。    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんか隣人がピリピリしている。生理か?なんて池みたいなことは言わない。言ってはならない。オレの命が潰えてしまうから。

 

 

「今日はお前たちに報告がある。先日学校でちょっとしたトラブルが起きた。そこに座っている須藤とCクラスの生徒との間でトラブルがあったようだ。端的に言えば喧嘩だな」

 

 

 なるほど、堀北ピリピリの理由が分かった。

 中間テストで須藤を救ったからその話がいち早く堀北の元へ回ってきたのだろう。

 

「その...結論が出ていないのはどうしてなんですか?」

 

 

 平田から至極当然の質問が飛ぶ。

 

「訴えはCクラスからだ。一方的に殴られたらしい。ところが真相を確認したところ、須藤から仕掛けたのではなく、Cクラスの生徒から呼び出され、喧嘩を売られたそうだ」

  

「俺は何も悪くねえ、正当防衛だ正当防衛」

 

 

 須藤は悪びれも無くそう言う。しかしクラスの雰囲気は最悪だ。本来だったら貰えるはずのポイントが貰えないわけだから当然か。

 実際オレも怒り心頭である。

 来週の火曜に審議があるらしいがどうなることやら。

 

 須藤が教室を出て行ってからは須藤の悪口大会が始まった。

 しかしそれの状況を許す櫛田ではない。

 

「ねえ皆。少し私の話を聞いてもらっていいかな?」

 

「確かに先生の言う通り須藤くんは喧嘩をしたかもしれない。でもね、須藤くんは巻き込まれただけなの」

 

 

 聞く限り、櫛田にも須藤からの相談は入っていたようだ。

 バスケ部でレギュラーに選ばれそうなこと。それに嫉妬したバスケ部の生徒が須藤を部から追い出そうとして数人で脅したこと。結果的に喧嘩に発展し、防衛のために殴ってしまったこと。

 なるほど、全容は掴めた。しかし櫛田の説得力は半端じゃないな。眉唾の話だが、確かに心に響いていることだろう。

 それでも全員が全員素直に信じるわけでは無い。普段の素行の悪さを考慮すればそれも当然のことだが。

 

 櫛田の説得に反発する生徒も多い。せっかくのポイントが失われるかもしれないという危機感が須藤を吊し上げていく。

 

「僕は信じたい」

 

 

 劣勢の櫛田を擁護するように立ち上がったのは、もちろんこのクラスのヒーロー平田。アンチ須藤の雰囲気に屈しないその胆力は流石だ。

 

「他クラスの人が疑うなら僕も理解できる。だけど同じクラスの仲間を最初に疑うような真似は間違っていると思う。精一杯協力してあげるのが友達なんじゃないかな?」

 

「あたしもさんせー」

 

 

 平田の彼女、軽井沢からの追撃が飛ぶ。

 

「もし濡れ衣だったら問題でしょ?とにかく無実なら可哀想じゃない」

 

 

 彼女はすっかり女子のリーダーに定着している。平田と櫛田と合わせてこのクラスのBIG3を形成しており、その影響力は絶大だ。

 オレも本来ならそこに加わっているはずだったんだけどな...

 まだまだ至らぬ点があるということだろう。精進せねばな。

 

「私、友達に当たってみるね」

 

「じゃあ僕も仲の良いサッカー部の先輩たちに聞いてみるよ」

  

「あたしも色々聞いてみよっかな」

 

 

 平田よ、その先輩ってのは南雲パイセンのことじゃないだろうな...

 これが独占欲ってやつか...!

 




ほぼ原作通り。すいません

彼女になるのは誰なんーだい!

  • 佐藤
  • 軽井沢
  • 堀北
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