「どーよ!?結構良い感じじゃね!?」
池が鼻息を荒くして語る先にはならされた地面と澄んだ川。
池なのに、川。そんなことはどうでもいいが確かにここはキャンプ地としては最高だろう。
立っているだけで辛い猛暑だが、ここは近くに川があるおかげで少し涼しい。ここを見つけた池達は大手柄だな。
しかしオレだってスポットらしき場所に検討はついていたんだ。
船の上から見えた洞窟という格好の避暑地が。
だがいざキャンプ地として利用するとどうだろう。折角のキャンプなのにずっと洞窟に篭る?海とか川でパシャパシャせずに?
ありえない。実にナンセンス...
オレの陽キャ夏休み計画が大きく狂ってしまうではないか。
そういう訳でクラスの皆には悪いが洞窟の件は黙っていることにした。
まあ良いスポットも見つかったし、結果オーライだよな、池達の株も上がったことだし。
「で、トイレはどうすんのよ!」
「だからさー、トイレぐらい我慢しようぜー?我慢できたら来月から3万だぜ?3万!」
「その我慢にも限度があるでしょって言ってんのよ!」
池の株はだいぶ下がってしまったようだ。下手なことは言うもんじゃないぞ。
しかしオレはこの試験が始まってから何もしていないな。
心の中で騒ぎまくっているだけで実際にやったことといえば堀北にちょっと茶々を入れただけだ。
目の前でクラスメイトが揉めているのに我関せず?
そんなんでいつになったら平田や南雲パイセンの様な陽キャになれるんだ?
一皮剥けるならここしかないだろ!
「池くん、さつきちゃん、ちょっといいかな?」
「あ、綾小路?なんだよ」
「オレはトイレを買うべきだと思う」
「綾小路くん!」
「へっ、結局女子の点数稼ぎじゃねえか」
「そうじゃないんだ。さっきさつきちゃんも言ってたけど、やっぱり我慢にも限界はあるよ。トイレもリラックスしてできないっていうのは想像以上に辛いと思う。それに...」
「それに...?」
「完璧な個室は必要でしょ?ほら、一週間もあったらさ...」
「………なるほど」
「ほらね?やっぱり必要だったじゃない!」
「さつきちゃん、君ももうちょっと男子に優しくできないかな?ほら、男って結構頑固だからさ」
「…うん、気をつける...」
ふぅ...丸くおさまったな...
「よし!じゃあトイレは買うってことで——」
「ちょっと待て!まだ俺は納得してないぞ!?」
…!?幸村!?
「2人でコソコソ話し合っていたが何の話をしてたんだ!?」
「それは———ほら、個室がいるよねって...」
「個室?それがどうしたっていうんだよ?」
「1週間ヌかないのはキツイだろってことだよ。な!綾小路!」
「はああああ!?そんな不純な理由で買おうとしていたのか!?」
「いや、それは言葉の綾っていうか...」
「不純な理由って何よ?綾小路くん」
「えーっと...」
「まあまあみんな落ち着いて!一旦時間をおいて、クールダウンしてからもう一回話し合おうよ」
———その後平田の懇切丁寧な説得によりDクラスはトイレを購入することとなった。
オレにはこのステージは早すぎたようだ。平田や南雲パイセンや、それに龍園が持っているような人を惹きつける力、カリスマ性がオレには不足しているのだろう。
しかしそれはどうやって身につけることができるのか。
オレはこのクラス、いや学校の中で最も深い知識を持っていると自負しているし、運動においても1番だろう。だがそれだけでは人はついてこない。
やはり生まれ持ったものが大切なんだろうか。
というかこの十数年の人生で碌に人と話してこなかったのに、いきなり場を纏めようなんて無茶な話だった。
オレみたいなコミュ障が平田みたいになんて烏滸がましいにも程があるよな。
どんなに頑張ったって才能のない奴には何をやったって無駄。だったらせめて傷つかないように何もしないのが賢い選択だよな?
そうだ、卒業まで大人しく過ごせればそれで良いじゃないか。それだってホワイトルームでの生活よりかは100倍マシだ。
それこそがオレにとっての勝利なんだ。
最後にオレが勝ってさえいればそれで———
「清隆く〜ん!冷たくて気持ちいいよ〜!早くおいでよ〜!」
「うん!!!!!!」
お父さん!お母さん!オレを産んでくれてありがとう!
オレはこの学園生活を精一杯楽しみます!
いやぁ〜!やっぱり夏っていいなあ!
綾小路原作√ストッパー佐藤
彼女になるのは誰なんーだい!
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佐藤
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軽井沢
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堀北