チャラ男小路清隆   作:ウェンバンヤマ

21 / 23
AD陽キャ

 

 無人島試験3日目。Cクラスの陽圧が完全に消えた。

 夏の暑さを吹き飛ばす爽やか陽キャパラダイスが消失したことでオレの身体は悲鳴をあげている。

 なんかダル重く、頭がボーっとするような気がする。今のオレは抜け殻だ。

 

 この途方もない虚無感はスポット更新によるクラス貢献、もといオレの肥大化した承認欲求を満たすことではかき消せなかった。

 

 スポット更新の空き時間でとうもろこしを見つけたりもしたが、だからなんだというのだ。

 焚き火で焼くとうもろこしより網の上で焼くとうもろこしの方が美味いに決まってるんだ。陽キャ力が足りていないんだ。

 

 

 

 そんなこんなでなあなあと終わらせてしまった3日目だったが4日目はそうはいかない。

 スポット更新の効率も上がってきたことだし探索に割ける時間も増えた。

 

 というわけで4日目はAクラスが拠点としている洞窟周りを探索することにする。

 

 

 

 

 

「おい、そこで何やってる。ここはAクラスが利用している場所だぞ」

 

 

 やけに目立つバカでかい塔に近づくとまるで罠にかかった野生動物を狩りにきたハンターのようにゾロゾロと集まってきた。

 

「ん?お前Dクラスの綾小路か?」

 

「ああ、そうだけど」

 

 

 オレの腕をチラ見して言う。話す時に胸を見られる女子はこういう気持ちなのだろうか。

 

「…少し時間をもらえるか、話がある」

 

「話?リーダーの情報とかは教えてあげないよ?」

 

「いや、別件だ」

 

「ふーん...ならかまわないけど」

 

 

 

 そうして少し待っているとチャラそうな男がやってきた。

 

 おお...こいつは中々...

 平田龍園南雲の三陽には及ばないが見どころのある男だ。

 陽レベルで言えば現状のオレと同格ぐらいだろうか。

 

 

 

 ここらでオレの思う陽キャカテゴリーについてはっきりさせておこう。

 オレの考える三陽、平田龍園南雲。彼らは別のカテゴリーに分類されている。

 

 まず平田、優しい系陽キャで同カテゴリーには櫛田やBクラスの一之瀬がいる。このカテゴリーは生まれついての善性というものが重要なのだろう。

 この学校に入学してから毎日平田を観察し続けてきたがオレには模倣不可。

 真の陽キャとはこいつらのことなのかもしれない。

 

 次に龍園、ヤンキー系陽キャだが現状彼1人しか確認できていない。同クラスの石崎などヤンキーはいるが何か足りない。

 何を以ってただのヤンキーとヤンキー系陽キャを分けるのかはよく分からないが、はっきりとした差がそこにはある。

 

 2.3年にもこのカテゴリーの先輩はいなかったが来年後輩としてやってくる気がする。ただの勘だけどな。

 

 

 そして最後に南雲パイセン、先に述べた2つのカテゴリーにはどうしても分類できない、というよりどちらの性質も併せ持っているかのような雰囲気を持つ陽キャだ。

 

 どうにも言語化が難しいが、言うなればチャラ男系陽キャといったところだろうか。

 女癖は程よく悪く、しかし人望はしっかりある。素晴らしいじゃないか。

 目の前にいる橋本、そしてオレは多分このカテゴリーに入る。

 

 オレは平田から学んだ光の陽キャトーク、そしてピアスと刺青。この二つの相反するイメージがぶつかることで"チャラさ"が生まれるのだ。多分。

 

 

 しかしオレのチャラはまだまだ南雲パイセンには及ばない。

 オレの中のチャラを増幅させるために必要なのはやはり経験なのだろう。

 女の話を聞いたり、身近な女を妹扱いしたり、女を殴ったりといった経験が。

 

 

 

 

 

「?あれ?おーい、俺無視されてる?」

 

「あぁごめん、ボーっとしてたよ。それで話っていうのは?」

 

 

「まぁこの暑さだもんな。場所変えようぜ、日陰なら少しはマシだろ」

 

 

 そうして塔の中に連れ込まれる。よほど大事な話なのか他のクラスメイトは撤収させオレと2人きりだ。

 

「話っていうのはな、うちのリーダーについてだ」

 

「…Aクラスのリーダー...ね、わざわざオレのことを探してたみたいだけど、何でオレに?」

 

 

 言わずとも分かる。こいつもオレに感じるものがあったのだろう。同じ陽キャとしてのフィーリングが。

 

「うちのクラスで今坂柳と葛城がリーダー争いをおっぴろげてるってことは知ってるよな?オレは坂柳についてるんだけどよ、今回その姫さんは不参加なんだ。だから今は葛城が仕切ってる。この無人島試験、いい成績を収められれば葛城派が一気に優勢になるだろうな」

 

「なるほど、だからリーダーを当てさせて葛城派を失脚させたいってわけか」

 

「他のクラスと協力するなら綾小路くんに話を持ちかけろってさ。だいぶご執心って感じだぜ、姫さん」

 

「へー、大したことしてないんだけどな」

 

 

 全身の鳥肌が止まらない。見る人が見ればオレはもう鳥だろう。

 見ず知らずの女子生徒から謎に高い評価を受けている。

 

 過去のオレならまず真っ先に何か裏があると疑ってかかるところだが今のオレは違う。

 

 

 今まで蒔いてきた種が芽吹いたのだ。

 オレの預かり知らぬところでオレのことを好きになる女子が現れたのだ!

 

 素晴らしい。オレの陽キャ成長曲線はえげつない角度となっていることだろう。

 そろそろオレも陽キャとして次のフェーズへ突入する時なのかもしれないな。

 

 

 

 

「っつーわけでさっさと済ませようぜ。契約書でも書くか?」

 

 

 この日オレは新たな陽キャ友達とクラスポイント50を獲得した。

 




早く4巻書きたい。
無人島試験むずい。

彼女になるのは誰なんーだい!

  • 佐藤
  • 軽井沢
  • 堀北
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。