俺氏、ループ系TS聖女様をいつの間にかメス堕ちさせていた模様   作:弐目

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過去最高クラスに難産(白目
これで良かったのか、悩む点が多すぎるぅ。





夜明け前(後編)

 

 

 

 光差し込まぬ地下……下水道の中を魔法の灯りを浮かべて進む一団がある。

 丈の長いフード付きの円套(マント)を被る格好こそ共通しているが、その下に覗ける服装はこの様な場所には似つかわしくない、上等な仕立てや華美な衣裳の者達ばかりだ。

 その先頭を行くのは黒髪に青い瞳の偉丈夫。

 鼻梁より上を覆う仮面(マスク)によって顔を隠してはいるものの、何処か不安げな表情で暗がりを進む者達の中、背筋を伸ばして堂々と進む様は集団の中で際立つ威風を放っている。

 

 今宵、帝国や教国、魔族領の最高クラスの戦力に強襲され、今や風前の灯火となった違法な人身売買・人体実験を行っていた組織。

 その首魁たる"閣下"に連れられて下水道を歩く者達は、各国の顧客――その中でも《大豊穣祭》を期にやってきた者達である。

 其々に名のある商人、軍属、果ては貴族と、所属国家や立場は様々だが、取引相手として組織の研究成果を直に観察・評価しに来た一団であった。

 最悪の想定に備え、既に購入した技術を図面・書類化したもの持たせた者達は南の山脈から帝国領外に脱出済みである。

 此処に居るのはその強行軍に同行するのが難しい――だが、直接的な出資者(パトロン)か、或いはそれに近しい立ち位置の者達であった。

 

 仮面(マスク)の男の先導によって黙々と歩みを進めていた集団だが、沈黙に耐え切れなくなったか、胸中に湧き上がる不安を紛らわせたかったのか、一人の男が声を上げる。

 

「……閣下、此処を抜ければ……帝都外に問題無く脱出できる、との事でしたな?」

「えぇ、かの姉妹の儀式の範囲は常識外れと言って良い程に広大ですが……流石に郊外の外れまではその力も届かぬのは確認済みです。この水路を抜け、少し進めば《門》の起動も阻害される事はないでしょう」

 

 聖女の行った超広範囲の儀式魔法。

《大豊穣祭》の開催期間、地脈と接続される形で展開された結界と結びつく事で発動した超絶のソレは、帝都中に隠された《門》の強制起動だけでなく、聖女以外の魔力を用いた《門》の起動を阻害するという出鱈目な追加効果まで発揮していた。

 これにより、持ち運び可能な《門》の魔導具を組織から融通されていた出資者達は自力での帝都脱出を余儀なくされ、こうして"閣下"に先導されて近寄った事すら無い下水路を歩く羽目になったのである。

 

「入って来た水路は本来、都市外に通じる水路へと繋がるものでは無いのです。おそらく、過去に帝都にて居を構えていた貴族が、何某かの目的を以て非常用の脱出路として秘密裏に開通させたのでしょう」

 

 故に、この脱出路の存在は誰にも知られてはいない。それこそ皇帝にさえも。

 力強く断言する黒髪の男――"閣下"の言葉に、後に続く者達が安堵したように胸を撫で下ろし、或いは隣を歩く者と表情を明るくして頷き合う。

 

「おぉ……それでは、これで無事に本国に……」

「こういったケースに備えて《門》以外の脱出経路も計画済みとは、流石は閣下ですな」

「然り。一時はどうなることかと思ったが……」

 

 組織は帝国皇帝にその蠢動を知られ、そう時を置かぬ内に襲撃を受ける。

 そう説明した際に慌てふためき、詰め寄る者達を説き伏せ。

 "閣下"と呼ばれた男は僅かな護衛を共に、こうして手ずから首都脱出の手筈を整え、案内を行っていた。

 暗く、湿った悪臭籠る路をおっかなびっくり進んでいた男達は、先程の会話を皮斬りに口々にこの後の予定や現状の不満を語りだす。

 ときたま話題を振られては鷹揚に返事を返し、頷く"閣下"であったが……何故だろうか、自身の運営する組織の出資者達を見るその眼は、何処か冷えたものが混じっている。

 青い瞳に灯る冷たい光とは裏腹に紡がれる言葉は礼を欠く事無く、彼は後に続く者達へと注意を促した。

 

「……そろそろ出口も近い筈です。灯りも光量を絞る故、足元にご注意を」

 

 時刻は既に深夜を過ぎ、そろそろ夜明けも近いとはいえ、出口は郊外の田園地帯にほど近い場所へと繋がっている。

 念の為、遠目からでも目立つ魔法の灯りの出力は落とし、一行は見通しの悪くなった水路を慎重に進んだ。

 暫しの後、格子のはめ込まれた水路の終わりが光と共に見えて来る。

 

「……あぁ、やっと着いたのか……! 全く、このような場所を歩くのはこれきりにしたいものだ」

「そうですな。都市に紛れる卑しい難民や下賎の者の如き真似、金輪際御免被りたい処です」

 

 露骨にホッとした様子で軽口を躱す背後の者達には反応せず、"閣下"は護衛に命じて水路出口の鍵を開けさせた。

 最初に護衛が開け放たれた格子状の扉を潜り、続々と後続が外へと出る。

 その性質上、どうやっても悪臭満ちる水路から解放された反動か、夜明け前の朝露に濡れる空気を吸い込んで「空気がうまい」と感嘆の声を上げる者も多かった。

 周囲を確認し、"閣下"は一つ頷く。

 

「さて、やはり此処まで来れば聖女の儀式魔法も範囲限界が近い……日が昇る前に急ぎ歩を進め、帝国領の外に秘して設置した《門》を繋ぐとしましょう」

 

 そう言って、彼が懐にある魔道具を取り出そうとした、そのときである。

 

 一団を――否、周囲の田園地帯の一部まで丸ごと囲む様に、強力な結界が展開される。

 聖女の発動させた結界には劣るとはいえ、生半な事では破壊不可能な強度と転移の魔法への妨害性を併せ持った其れは、優れた魔導士が複数で発動させた一級の代物に相違なかった。

 

「なっ、なんだコレは!?」

「ど、どういう事だ、一体なぜ……!」

 

 狼狽え、右往左往する出資者(パトロン)達を尻目に、"閣下"は眼を細めて自分達を覆う結界を見廻す。

 彼らの前方――田園へと通じる拓けた道の景色が揺らぎ、魔力が散ると同時に上塗りする様に新たな光景が浮かび上がる。これもまた練度の高い者達によって行使された隠蔽の魔法であった。

 

 広範囲の隠密が解かれ、長閑な郊外に現れたのは――軍勢。

 戦時に用いられたような大規模なものでは無いとはいえ、軽装から重装の歩兵、騎馬、魔導士と、十分に軍と呼べる兵種と人数で構成された集団であった。

 絶句し、或いはへたり込む帝都より逃亡しようとした者達の前に、帝都の騎士団と何処かの領軍との混成らしきその軍勢から、一際に見事な軍馬に跨った者達が二名、進み出て来る。

 

「おやおや、本当にこの様な場所から出て来るとは……将軍閣下の慧眼たるや、と言った処でしょうかねぇ」

「……小僧の時分、この水路はよく使っていた。教師や父の部下を撒いて森に出掛けるのに重宝してな」

「ほほう。いやはや帝国の剣と盾を司る《赤獅子》も、お若いときには中々に奔放であらせられた様で」

「ほざけ、その程度の事はとうに知っているだろうに」

 

 かたや上質な魔装の鎧を纏った、獅子の鬣の如き赤金の髪を持つ、堂々たる体躯の偉丈夫。

 かたや気品ある布製魔装の軍装を身に着けた、蛇の如き雰囲気を持つ細身の貴族。

 

「……ッ、《赤獅子》に、サーリング伯爵……」

 

 呆然とした呟きが追い詰められた側の誰かの口から零れた。

 狼狽、もしくは諦観を見せてざわつく集団の中で、先頭に立つ"閣下"のみが静かに軍の責任者たる両名を見据え、口を開く。

 

「……何故、此処を使うと……いや、そもそも都市内各所の《門》の制圧がこれ程に早く終わる筈が……」

「我々の軍のみであれば、その読みは正しかったでしょう――が、こちらには頼もしき英傑の方々の助力がありましてねぇ」

 

 疑問に答えたのは眼を細め、にんまりと笑った貴族――シュランタンである。

 

「全く、かの女傑まで今宵の捕り物に引っ張り込むとは……流石は大戦時の生ける伝説。敵に回してはならぬ厄介な御仁だとつくづく強く認識しましたとも」

「……そうか、()()あの男か」

 

 伯爵の言葉に全てを理解した様子で、心底忌々しい、といわんばかりに"閣下"の表情が歪む。

 一方で、仮面(マスク)越しでも分かる程に顰められたその表情を、馬上より見下ろすシュランタンの視線は冷え切っていた。

 眼前の連中は自身の財産の一部――その中でも重要な"経済を回す為の根本的資源"である領民を攫った薄汚い盗人だ。

 人的リソースを削る事を好まない彼をして、殺処分か、そうでなくとも犯罪奴隷などに宛がう鉱山での労役に従事させる以外に使い道の無い連中であった。

 蛇の呼び名に相応しい獲物を捕捉した爬虫類じみた目付きのまま、伯爵はあくまで表面上は軽い調子で肩を竦める。

 

「これ以上は時間の浪費ですからねぇ。大人しく縛を受けなさい――他国の爵位持ちも混ざっている様ですが、帝国の威信に手垢を着けようとした罪、木っ端の立場程度で逃れられると思わない事です」

 

 嘲りを隠さない声に、"閣下"の背後で怯えて縮こまっていた者達が気色ばむ。

 

「聞き捨てなりませんぞ、伯!」

「威信など……貴族派の首魁(アナタ)がそれを仰るか!」

「そもそも、貴様の領地そのものが本来は貴様が手にして良いものではない! そう、本来は――!」

 

 半ば自棄になったのか、口角泡を飛ばして場違いな糾弾を始める者達の言葉を鼻で嗤い、シュランタンは毒牙の如き鋭い一刺しを打ち込んだ。

 

「――本来はスターディン家の末裔……そこの黒髪の御仁のものであった、とでも? 生憎とスターディンであった方々とは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ねぇ……さて妙な話だ、自称かの辺境伯の血筋であるそちらの方は何者なのでしょうか?」

「……な、に…………!?」

 

 猫ならぬ蛇が鼠を嬲るが如き表情で、たっぷりの揶揄が練り込まれた疑問を投げかけられた男達が絶句し、だが直ぐにそれを繰り言だと判断したか、罵声を上げようとする。

 不毛な言い争いを断ち切ったのはシュランタンの隣で黙していたレーヴェだった。

 その巨躯が跨るに相応しい桁外れの体躯を誇る軍馬の手綱を軽く引くと、長年共に戦場を駆けて来た愛馬は心得た、とばかりに脚を持ち上げ、蹄を地に叩きつける。

 数世代前からじっくりと魔力を含んだ飼料や環境に馴らされ、半ば魔獣化している超一級の血統馬だ。その蹴り足は小さな地響きを立てて大地を穿ち、舌戦を強制的に終わらせるだけの轟音を響かせた。

 

「もうよかろう。欺瞞も此処までだ」

 

 口元を引き結んだ厳しい表情で、将軍は馬上より真っ直ぐに黒髪の男――"閣下"を見据える。

 

「お前が何を思ってこの様な非道に手を染めたのかは分からんが……幕を引こう――ティグル、我が弟よ」

 

 

 

 

 

 

 沈黙が、降りる。

 レーヴェ率いる第一騎士団も、サーリング領の領軍も、此処まで逃げ遂せて来た組織の関係者達も。

 全員が絶句して言葉無く将軍と黒髪の偉丈夫を見つめていた。

 唯一、驚愕の表情を浮かべていないのはシュランタンくらいのものである。

 常に浮かべている胡散臭い笑みを引っ込め、隣にある将軍の横顔を見上げるその瞳には、他者の思考を見透かそうとする海千山千の為政者としての眼光が灯っていた。

 そんな伯爵の視線は無視し、レーヴェと"閣下"は静かに問答を続ける。

 

「……何故、そう思ったので? 打ち手としての()は極力消していたつもりですが」

「確かに、謀り一つとってもお前を想像させる様な手は無かった――スターディン家の名を使った手管など、吾輩の知るお前ではまず選ばんやり口だ」

 

 嘗て冤罪によって帝国より追い立てられた辺境伯。

 過去に武名轟かせたかの一族の名を騙って行動していたのは、帝国側の攪乱というよりは身内――組織内の関係者や出資者にこそ、()()であると誤認させる為だったのだろう。

 味方を的に掛けたペテンの類など、(ティグル)が摂る策では無かった――少なくとも、レーヴェが知る限りでは。

 

「普段のお前とは似ても似つかぬ策の打ち筋だったが……だからこそ、かもしれんな。どれほど頭で否定しようと、喧しい程に勘が告げていた。策謀の裏に潜む打ち手の――(お前)の気配を」

「勘、ですか……ハハッ、やはり敵わないなぁ兄上には」

 

 朗らかさと苦みの入り混じった笑みを浮かべた"閣下"が、掌を無造作に自身の黒髪に乗せる。

 浄化の魔法と思われる柔らかな光が彼の頭部を覆い――光が収まると相対する将軍と同じ、レッドブロンドとでも称すべき赤みの強い特徴的な金髪が現れた。

 顔の上半分を覆う仮面(マスク)が外され、足元に適当に放り捨てられる。

 露わになった将軍とよく似た面差しに、組織の出資者やその護衛に着いていた者達が驚愕の表情を浮かべて呻き声を上げた。

 

「ティグル=ケントゥリオ……! 馬鹿な……!!」

「何故だ、貴方は私達を謀っていたというのか……!?」

 

 "閣下"……否、ティグルの兄へと向けていた複雑な――だが親しみに満ちた声と表情が一瞬で凍り付き、平坦なものになる。

 

「五月蠅いなぁ……この期に及んでそんな様だから、こうして逃げ遅れたのだろうに」

 

 非合法な人体実験を目的としていた犯罪組織とはいえ、曲がりなりにも同士や顧客であった筈の者達に向けるその視線は、まるで害虫か溝鼠でも見つめるかの様な温度であった。

 

「まぁ、そのおめでたい頭揃いの御蔭で、あの様なロクでもない半端な技術にでも眼の色を変えて喰い付いてくれた訳だ。其処だけは感謝しているよ――貴方達は実に良い金蔓(パトロン)だった」

「……き、貴様ぁっ!!」

「このペテン師がぁっ!」

 

 吐き捨てる様な……紛れも無く侮蔑の籠った台詞に、激昂した何人かが掴みかかろうとする。

 彼らにそれ以上視線を向ける事すら無く、ティグルは一息に抜剣して長剣を一閃させた。

 鮮血と共に指が何本か飛び、あっという間に怒号は悲鳴に変わる。

 

「戦いの心得も無いのに、この状況でいきり立つのは愚かだね。死期が早まるだけだろうに」

 

 辛辣ではあるが、痛みに蹲って動けなくなった者達の様を見れば正論であった。 

 一太刀で数人の指だけを狙って斬り落とした剣技を見て、レーヴェが小さく呟く。

 

「……それが、お前が行ってきた所業の成果、というやつか」

「えぇ、本来は剣を振るのはおろか、走る事すら出来ない身でしたからね……あぁ、勿論技は自身で磨いたものですよ? 兄上相手に説くのは女神に説法でしょうが、上っ面だけの技術だけを身体に刷り込んだ処で、模倣(こけおどし)以上にはなれないですから」

 

 そういう意味では、僕が『超人兵計画』の"完成品"に近いのでしょうね、と。

 嬉しそうに笑って剣に付着した血を払い落す(ティグル)の言葉は、レーヴェにとって確かに言われる迄も無い話であった。

 まだ、自分達が小僧ですらない、幼い子供であった頃。

 未だ病を患っておらず、共に屋敷の庭を駆け回り、木剣を振り回していた弟。

 彼と何度も何度も行った、子供ながらに真剣であった力比べは――圧倒的に自分の負け越しだったのだから。

 

 ――病さえなければ、きっと弟は自分より強くなっていた。

 

 今になっても、時折感傷と共にそんな風に思いを馳せる程には、ティグルは剣の才に溢れていたのだ。

 未練にも、寂寥にも似た思いで、何度も脳裏に思い描いた、成長し、開花した弟の剣。

 それをこんな形で見る事となった兄の胸の裡は、どれ程に複雑であったのか。

 

(……学の方は言う迄も無い。剣を握れぬ身体となっても、蓄えたその知によってどれ程に吾輩や陛下が助けられたか)

 

 病にさえ罹らなければ、弟は武と知、両方の面において己の及ぶ処では無かった。

 ケントゥリオ侯爵家の当主であれ、将軍の地位であれ、ティグルが健常のままであれば、レーヴェは心底納得してその座を譲ることが出来ただろう。

 だからこそ、弟がこの様な凶行・外道に手を染めていた事を知り……帝国の大将軍たる男は恐れにも似た疑問を抱く。

 

「……ティグル、お前は……吾輩を、恨んでいたのか?」

 

 剣才も学も自身に及ばぬ、若い頃は猪とさえ呼ばれた、馬鹿正直しか取り柄のなかった、兄を。

 唯一、自分が持ちえなかった"健常な肉体"を持つが故に、帝国にて並ぶ者無き将、などと持て囃される様になった、兄を。

 唯一つを持ちえなかった故に、表舞台に立つことすら出来なかった才気あふれる弟は、恨んでいたのではないか。

 数日前までならば一笑に付して頭から振り払っていた筈の、そんな疑問を、喉に絡まって出てこない言葉を捻りだすようにして、レーヴェは吐露した。

 普段の豪放磊落な雰囲気をすっかり潜めてしまった兄に対し――ティグルは何を言われているのか分からない、といった風情のキョトンとした表情になる。

 

「……恨む? 僕が? 兄上を?」

 

 太陽って西から昇るよね、と親しい人間に真顔で聞かれたかの様な顔でひたすら訝し気に首を傾げた彼は、ややあって大袈裟な程に首を横に振って否定の意を示す。

 

「まさか! そんな事は天地がひっくり返っても有り得ない! そもそも僕がこの身体を手に入れたのは兄上の御傍で共に戦う為! 兄上が見ていた戦場の光景を何時か共有出来るようになる為です!」

 

 泰然とした態度を何処ぞに放り投げ、慌てた口調で宣言するティグル。

 兄へと向ける自身の感情を誤解される事が余程不本意であったのか、口早に語られる台詞には必死さすら滲んでいた。

 

「……尤も、それもかの大戦が急速に収束に向かったせいで儚い夢となりましたが……今回の件といい、つくづく忌々しい。盤面を引っ掻き回せる力を持ちながら、盤上のルールに従わない狂人ほど厄介なものはない」

 

 全力での主張から一転、苦虫を口いっぱいに頬張ったような渋面となって吐き出された言葉には、強烈な拒否感と――口に上らせる"誰か"への幾ばくかの嫉妬が滲んでいる。

 黙して話を聞き続ける兄より目線をズラすと、彼はその背後に並ぶ騎兵の内の一騎へと視線を当てた。

 

「――そういえば、君もあの男の影響を受けた一人か」

「お、叔父、上……」

 

 動揺激しいまま、震える声で応えたのは同じ色の髪を坊主頭に刈り上げた少年騎士――ノエルである。

 

「……気に入らない男だが、君の意識改革を促した事についてだけは、良い仕事をしたというべきなのだろうね」

 

 肩を竦める叔父――ティグルに、少年は堪え切れず先程から胸中に湧いて止まらなかった疑問を向けた。

 

「……僕が、教国の方々にご迷惑を御掛けした一件、叔父上が……叔父上が、男爵を通じて手引きを行なったのですか?」

「うん、そうだね。あそこまで大事になりかけたのは流石に予想外だったけれど」

 

 至極あっさりと告げられた言葉に絶句する甥に、仲の良い家族であった筈の男は再び肩を竦めて見せる。

 

「折角兄上譲りの見目と剣才を持っているというのに、あの程度の虚偽も見抜けない馬鹿であるのは許されないよノエル。兄上も若い頃は少々向こう見ずな処があったけど、大事な場や重要な局面では決して愚かな選択をする様な事はなかった」

 

 顔色を失くして俯き、握った拳を震わせるノエルに向けて掛けられる言葉は、まるで書斎で彼に勉強を教えていたときのような柔らかな口調のままで。

 だが口にしたその内容は、少年の知る叔父であるならば決して吐かない悪意なき棘が生えていた。

 

「でも、最近の君はとても良い。あの男が切欠というのは業腹だけど、益々兄上の若い頃に似て来た――うん、以前は少々兄上の息子としては不出来だったが、今はちゃんと()()()なっている。髪が戻れば更に似通うし、言う事は無いね」

 

 にっこりと笑って告げられる言葉に、やはり嘘や虚飾、悪意の類は感じられない。

 それだけに……何処までも(レーヴェ)しか見ていないティグルの言動は、殊更にノエルの胸を抉った。

 信頼していた叔父から向けられた言葉に打ちのめされる少年騎士の姿に、居並ぶ軍勢の中、後衛を担当する宮廷魔導士団の一人である少女――イヴが凄まじい形相で飛び出そうとして、同僚達に抑え込まれている。

 そちらにも目を向け……おそらくは何かを口にしようとしたティグルだったが、それを遮ったのはこれまでの会話を興味の薄い表情で聞いていたシュランタンだ。

 

「身内同士の愁嘆場は、牢に入ってからの面会時間で行って欲しいものですねぇ。私も暇とは縁遠い身の上ですので、さっさと縄を受けなさい、ティグル=ケントゥリオ」

「……そもそもこの場に居るべきでは無いのは貴方の方だよ、伯爵。あの男と同じく、貴方の存在は今夜の一件において異物にも程がある」

 

 会話を中断させられた事が不愉快だったのか、固い声と表情が向けられ……しかし威圧混じりのソレを鼻で嗤って受け流すと、多方面から三枚舌の蛇と揶揄される男は引っ込めていた胡散臭い笑みを再び顔に貼り付けた。

 

「何を言い出すかと思えば……其方がどの様な絵図を描いて()()()()()()を行うのか、私に酌めとでも?」

「……やはり貴方は厄介だよ。そしてそれ以上に、不快だ」

「結構な事ですなぁ。他者から寄せられる情、という点では貧者の部類である自覚はありますが、侯爵家の人間でありながら犯罪(汚濁)に首まで浸る人物の好意など願い下げです」

 

 お前に自分の甥御を扱き下ろす資格なぞ無い、とばかりにたっぷりの皮肉と嘲弄を込めた眼で馬上より見下す伯爵に、ティグルの顔が今にも舌打ちでもしそうな程に歪む。皮肉なことに、その反応はレーヴェよりは主であった皇帝の方に似通っていた。

 

「汚濁、ね。清廉潔白とは真逆の人間の口から出る言葉としては皮肉が利いている。自虐も兼ねているのかな?」

「下らない。一点の曇りも無い真に潔白の人間など居る訳がないでしょう?」

 

 シュランタンからすれば、ティグルの台詞はまさに戯言であった。

 言語を介するだけの知能があり、喜怒哀楽の感情がある以上、その生物にはどうしたって黒い面が浮き出て来るものだ。清廉潔白という言葉を強いて当て嵌めるのなら、生まれたての赤子のみがソレに近いだろう。

 だからこそ、生きていく上で人は()()のだ。

 どのように生きるかを。光と影、正しきか邪なるか、どちらに重きをおいて進むかを。

 込められた皮肉の量はそのままに、若干の哀れみが混ぜ込まれた視線で以て蛇は眼前の咎人を見下ろし続ける。

 

「……真っ白な図に選択という名の色を落としてゆくが人の生。要は()()()に傾くか、でしょうに。鬱陶しい程に白地が目立つ御仁に焦がれておきながら、自身の絵図を黒で塗り潰す――それで何故、隣を征けるなどと夢を見たのやら」

 

 白と黒、その生き方が明確に分かれてしまった兄弟を順に見つめ、灰色を選び続けてきた男はどこまでもブレずに再三となる同じ内容の言葉を口にした。

 

「まぁ、それはそれとして。さっさと終わらせるとしましょう。この件で忙殺されていた分、大祭の視察の予定が押していますからねぇ」

 

 言い終えると同時に片手を挙げると、シュランタン配下の者達が静かに移動を始め、包囲網を狭める。

 それに対し、ティグルは慌てる事無く己の懐を探り、一つの宝珠を取り出した。

 

「生憎と、蛇は嫌いなんだ。貴方に捕まるなど御免被る」

 

 握り潰される宝珠。当然、この場は現在も聖女の発動させた超広域の儀式魔法の範囲内だ――故に、発動されたのは彼の作った組織の十八番である転移魔法の《門》ではない。

 はたして、展開された魔法は召喚魔法の一種であった。

 

 巨大な虎にも似た獣が構築された陣より飛び出し、召喚主であるティグルと眼前の軍を隔てる様に着地する。

 当然の如く、顕れた獣にも組織の研究成果が施されていた。強靭でありながらしなやかさも併せ持つその四肢には少量ながら魔力導線の光が励起し、明滅している。

 何より、これまで帝国側が相手取って来た実験体の魔獣とは違い、獣ながらに確かな意思と知性が垣間見えるその瞳。

 文字通り虎の子、という事だろう。主と同じく、無数の命を犠牲にした実験の末に最新の強化・改造をその身に施されたその獣は、これまでの相手とは段違いの圧を発している。

 彼らの本拠地に置かれた最大級の手駒には劣るものの、帝国の精鋭たる第一騎士団をして油断できる相手では無い。

 即座に陣形を整えるべく、騎士団と領軍が動き出したそのときであった。

 

 総大将を護る壁となるべく前に出た騎兵たちを半ば押し退けるようにして、帝国の武力の象徴たる男が進み出る。

 部下達の間から上がる制止の声には応える事無く、再び最前列に出たレーヴェは愛馬の背より飛び降りた。

 静かな、だが陽炎すら立ち上りそうな気迫を発するその背中に、大人しく配下の壁の後ろへと下がったシュランタンから皮肉交じりの警告が突き刺さる。

 

「何をやっているのですか貴方は。御自身の立場を――」

「無茶は承知の上だ。この場は吾輩に任せてもらいたい」

「……閣下に万が一の事があれば、陛下に怒りを向けられるのは私なのですがねぇ? その程度の事は理解して頂きたいものです」

 

 普段ならばそのまま険悪な雰囲気の口論になるであろう蛇の軽口にも、獅子は振り向く事すらしなかった。

 硬い――だが、決意を漲らせた声色で、レーヴェは自身と水と油の関係にある男へと言葉を返す。

 

「……それでもだ。卿には無駄な時間となるだろうが――頼む」

 

 よもやレーヴェから自分に対してその様な言葉が向けられるとは想像の外であったのか、シュランタンの目が見開かれる。

 驚き、呆れ、面白いものを見れた、と言わんばかりの表情になって。

 最後にいつのもニンマリとした笑みを浮かべた蛇は、獅子に応えて兵に包囲に留めるように指示を送った。

 

「この局面で私情による戯れなど認められない、と言いたい処ですがねぇ……年のせいか、夜に慣れた眼に白む空の明かりが染みる故、暫し眼を閉じるとしましょう」

「感謝する」

 

 振り向かずに簡潔な礼だけを口にし、腰に佩いた幅広の直剣を抜刀するレーヴェ。

 彼の部下である騎士団もその意を酌んだのであろう。緩やかに包囲網を敷くに留め、陣形を維持したまま整然と自分達の総大将が巨大な魔獣に向かって進む様を見送る。

 命に忠実である、というのも勿論そうだが……何より彼らは信じているのだ。

 帝国騎士、その頂点に立つ男の力を。自分達が将と仰ぐ人物の武威を。

 

 魔獣が地鳴りの如き唸り声を上げ、歩み寄る赤髪の偉丈夫を睥睨する。

 その発達した牙と爪、巨躯は、虎というよりさながら剣歯虎(サーベルタイガー)か。心身を害さぬように細心の配分で以て施された魔装化処理は、獣を下手な竜をも凌駕する高位の存在へと押し上げていた。

 精鋭たる騎士団でも犠牲無しでは討伐には至らず――それこそ《刃衆(エッジス)》の隊員であろうとも、単騎でこの獣を無理なく討ちとれるのは隊長クラスの三名だけであろう。

 

 だが、剣虎が相対するは《赤獅子》レーヴェ=ケントゥリオ。

 

 聖教国の人型筋肉要塞ことガンテス=グラッブスと正面から足を止めて打ち合える、剛剣の極みたる超絶の剣士である。

 剣虎の喉から草木に浮かんだ朝露を吹き払う様な咆哮が轟き、ビリビリと大気が震え――しかして堂々と正面から歩み寄る将軍の巨躯には、欠片の怯みや動揺も与えることすら出来ず。

 

退()け」

 

 獅子より剣虎に、単純にして簡潔な一言が命じられる。

 既に互いは目前。剣にしろ、爪牙にしろ、容易く届く距離である。

 前脚を振り上げ、振り下ろせばそれで終わる。

 ヒトという生き物は脆い。剣虎にとっては玩具未満の餌である筈だった。

 

 ――だというのに。

 

 自身より遥かに小さな生物より発せられた声に獣は四つ足全てを地に磔にされたが如く、動く事が出来ない。

 それでも牙を剥き、四肢に力を漲らせるは、人という力弱き種に臆する事を嫌った獣の矜持か、はたまた召喚魔法による条件付けか。

 身体の奥底から湧く重石にも似た感覚を捻じ伏せ、剣虎は一気呵成に眼前の人間へと跳び掛かる。

 

 結論からいうのならば、この魔獣の行動は致命的に誤りであったのだろう。

 

 或いは、検体として強化処置を受けていなければ、己の本能が警告する儘に、即座に遁走か――若しくは腹でも見せて寝転がっていたのかもしれない。

 野生の獣としては埒外の"力"を手に入れたが故に、喚きたてる生存本能に背を向ける愚を犯してしまったその負債は即座に支払われた。

 

「警告はした」

 

 鋼以上の強度を誇り、質の悪い魔装ならば一撃で噛み砕く牙が、容易く両断される。

 振るわれたのは横薙ぎのシンプルな一撃。

 レーヴェの剛腕とそれを十全に生かす剣技によって繰り出されたそれは、彼を噛み砕かんと剥き出しにされた剣虎の牙を断ち、そのまま真っ直ぐに上顎を裂き、頸椎に到達し、強靭な肉と骨を紙の如く裂いて進み、背骨を裁断して臀部へと抜ける。

 文字通り上下に分割された獣の巨躯の下半分が、鮮血を撒き散らしながら走り続けて魔導士隊の展開した障壁に激突し、くずれ落ちる。

 取り残されてべしゃりと地に落ちる上部には互いに目もくれず、ケントゥリオの兄弟は相対した。

 

「投降せよティグル。拒むならばこの場で斬る」

「あぁ、素晴らしい! 力強く、真っ直ぐで美しい……やはり兄上の剣は見事だ!」

 

 静かに、だが揺らぐことなく向けられる切っ先を恍惚とした表情で眺め、弟もまた剣を構える。

 

「何時振りでしょう、兄上と剣を交えることが出来るのは! 戦も終わり、共に戦う夢は破れましたがこれもまた至福の時間と言える!」

「……馬鹿者が」

 

 かたや鉄火場には場違いな程に朗らかに、嬉しそうに。

 かたや苦渋の表情を押し殺した顰め面で。

 これより先は剣で語るとばかりに、獅子二匹は激突した。

 

 両者共に握るは幅広の長剣――だが、振るう剣の質は対極である。

 兄は無駄を削ぎ落し、実を突き詰めた剛の剣。

 弟は受け、流し、翻弄しながら虚を突く柔の剣。

 レーヴェの振るう剣は悉くが絡め取られ、受け流され。

 だが、その剛剣を逸らすので精一杯なティグルも反撃までには至らない。

 

 鋼が擦れ、軋み、火花を上げる。

 

 逸らされた力の流れがレーヴェの上体を泳がそうとするが、それを単純な膂力でねじ伏せて一瞬で太刀筋を切り返す。

 一方で、肉厚で繊細な扱いには向かない筈であろう剣を器用に駆使し、人外級の戦士の剛撃を捌き続けるティグル。

 幼い頃にも垣間見た、弟の天凛。

 数十年越しに花開いたそれを体感し、瞠目しながらも兄は愚直に剣を振り、叩きつけ続ける。

 

 ――何故、この様な真似をした。

 陛下が民に安寧を齎そうと腐心している様を、近くで見ていた筈だろう。助言を行う裏で何故こんな非道が働けた。

 こんな、赦されざる行いに手を染める前に、どうして自分に話をしてくれなかったのだ。

 

 迷い無き剣筋とは裏腹に、刃に込められた想いは慟哭にも近い。

 しかし、それを受け止めるティグルの剣は真面に答えを返す気配を持たなかった。

 あるのはただ只管に剣を交わせる歓びと、兄への賞賛。

 庭で木剣を振り回していた頃と変わらぬ、幼子の様な敬慕の情である。

 

 互いに一方通行にも似た、剣を介した意思の交換。

 だが、それでもレーヴェはティグルの兄であり、帝国の軍部を取りまとめてきた将軍でもあった。

 

 ティグルが自分へと向ける感情に嘘偽りは無いのだろう。全く、これっぽっちも。

 だが、剣に込められた弟の溢れんばかりの情念が、それを帳として奥にある意思を押し隠しているのを彼は見抜いた。

 そして……弟が帳の奥を晒す事は絶対に無いのだという事も。

 

 剣戟の中、レーヴェは忸怩たる思いと共に奥歯を砕かんばかりに噛みしめる。

 打ち込んだ横薙ぎが弾かれた勢いを利用し、切っ先を天へと跳ね上げて大上段の構えに移行。

 強引な攻めだ。その刹那の隙を逃さず、受けに徹していたティグルの剣が電光の如く閃いて攻めに転じた。

 最短距離で心臓に向けて突き込まれる切っ先。

 対して、レーヴェの剣は振り上げられたばかり――彼我の攻撃タイミングは、完全にティグルが先んじている。

 

「父上ぇぇっ!!」

 

 既にこの場の誰もが捉えられぬ速度となっていた獅子の兄弟の剣速。

 それを唯一人、かろうじて眼で追う事が出来ていたノエルの口から悲鳴じみた叫びが上がる。

 

 ――瞬間。

 

「オオォォオォォッ!!」

 

 裂帛の雄叫びが、大上段に構えた獅子の片割れの喉を割って飛び出した。

 振り下ろされる両腕がノエルの――そしてティグルの眼すら振り切って霞んでブレる。

 その先に握られた剣の速度は更にそれ以上。天より落ちる落雷の如く、音を遥か彼方に置き去りにして打ち下ろされた。

 出遅れた筈の一撃は、だが単純な速度によって胸元に迫る切っ先を凌駕し、打ち据え――そして粉砕する。

 己の剣を砕きながら迫る一撃を前にティグルがその顔に浮かべたのは、これまでと変わらぬ笑顔であった。

 

「あぁ――やっぱり兄上は凄いや」

 

 魔装処理の施された衣裳を容易く斬り裂き、兄の剣が弟の肩を裂いて胸まで深々と埋まる。

 へし折られて柄だけとなった剣を取り落とし、ティグルは――帝都に根を張り巡らせていた巨大な犯罪組織の長は、血塊を吐き出して前方へと倒れ込む。

 力を失って傾く身体。それを一歩進み、受け止めたのは彼を斬った兄本人であった。

 

「ご……フッ……あぁ、いけ、ません。あにうえの、鎧、が……よごれて、しまう……」

「……家族(おまえ)を受け止める為に必要ならば、鎧など幾ら汚れようと構わん」

 

 許し難い罪を犯した咎人である。

 無辜の民も、野に生きる獣も、どれほどに屍を積み上げたのか分からぬ外道共の首魁でもあった。

 騎士として、人として、許してはならない罪人であった。

 

 それでも。

 報いを与え、終わらせるのがこの手であったのだとしても。

 それでも――彼らは兄弟であったのだ。

 

 悲痛、憤怒、疑問、寂寥――そして、愛情。

 あらゆる感情を押し殺し、無表情となった兄の顔を見て。

 血に染まった土気色の顔で、弟は申し訳なさそうに微笑んだ。

 

「……すみませ……お手間、を……私の、書斎……隠し棚、が……()()()()に、ひつような、ものは、ぜんぶ、そこ……」

「ッ、片付け、だと? お前は……」

 

 己に寄り掛かり、途切れ途切れに呟かれた声に、咄嗟に兄は弟の肩を掴んで俯いたその顔を覗き込む。

 

「……ティグル?」

「…………」

 

 言葉が返って来る事は無く。

 半ばに開かれたまま動かなくなった弟の青い瞳に指を這わせ、瞼をそっと下ろしてやると、兄は寂しそうに「馬鹿者が」と再び呟く。

 

 仰いだ天は夜闇を押し退け、白んだ空は雲間から陽を覗かせようとしてる。

 蔓延る悪意――そこに隠された真意こそ未だ明けぬままではあるが。

 それでも、帝都の長い夜は明けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







ティグル=ケントゥリオ

クレイジーサイコホモブラザー。
書斎に隠したという後片付けの為の材料とやらに、幾ばくかの胸の裡が記されていると思われる。
秘した事は多く、兄上フリークを前面に押し出して肝心な事は隠したまま逝ったが、口にした事自体に嘘は無い。特に兄絡みの発言はほぼ本音。
子供の頃に大病患ってまともな運動が困難になり、ブラコンを拗らせた。
多分、性別が逆ならここまで転がり落ちる選択はしなかったかもしれない。でも代わりに実妹に変な意味で襲撃されるお兄ちゃんの胃が死ぬ。


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