あなたはポケモントレーナーである。   作:あなポケ制作チーム

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ようこそ、ポケットモンスターの世界へ!

 チュンチュン、とヤヤコマの(さえず)りが響き、あなたは朝の(おとず)れを(さと)る。しかし布団の(ぬく)もりは名残(なごり)()しく、寝返りを打ちつつ微睡(まどろ)みに身を(ゆだ)ねようとする。

 しかし、残念ながらあなたの惰眠(だみん)(むさぼ)る幸福は、長くは続かなかった。

 

「ちょっと、いつまで寝てるの!」

 

 『おかあさん』の声が鼓膜(こまく)(ふる)わせる感覚に、あなたは目を覚ました。あなたは寝ぼけ(まなこ)(こす)りながらベッドから()()ると、一つ大きく伸びをする。

 徐々(じょじょ)に意識が覚醒していくに連れて、あなたは今日が何の日だったかを思い出してきた。今日はトレーナーズスクールの成績上位生徒であるあなたとあなたの幼馴染(おさななじ)みが、博士からポケモンとポケモン図鑑を(もら)い、旅に出る日だ。

 思い出してから、あなたはハッとする。今は何時だろうか。壁にかけられた電波時計を確認すると、幼馴染みとの約束の時間はすぐそこまで迫っていた。

 あなたは慌てて鏡を見ながら着替えを済ませると、昨晩(さくばん)までに用意しておいた(たび)支度(じたく)を手早く確認する。その際に、机の上の開かれたノートが目に入った。

 

『一日の終わりには、日記(レポート)を書くこと』

 

 旅に出るに当たって役に立ちそうなことを(まと)めたノートだ。昨夜は(はや)る気持ちを落ち着かせようとしてこれを読み返し、寝るのが遅くなってしまったことをあなたは今更ながらに思い出した。

 内心で己を罵倒(ばとう)しつつ、身支度を終えたあなたは自分の部屋を出て階段を下り、母の居るリビングへと向かう。

 

「やっと起きたのね。早く行きなさい、人を待たせるのは良くないことだもの」

 

 その言葉にわかった、と(うなず)き、すぐさま扉を開けて外へと出る。

 (くだん)の幼馴染みは、玄関の前で待っていてくれた。

 

「おはよっ! 遅かったね、もしかして昨日(きのう)楽しみすぎて眠れなかったとか?

 実はボクもなんだ。寝るのは遅かったし起きるのは早かったしで、ママに(あき)れられちゃった」

 

 えへへ、と照れくさそうに幼馴染み──アルンは笑った。見慣れた、明るい笑顔だ。それに()られて、あなたの気分も少し(なご)む。

 

「それじゃ、博士のところに行こっか!

 ポケモンもらうの、楽しみだね!」

 

 そう言ってにこやかに笑うと、善は急げとばかりにアルンは駆け出す。慌ててあなたも走り出すも、前を行くアルンにはすぐに追いつけない。

 

「ほら、はやくはやく!」

 

 待ちきれないのか、そう()かす幼馴染みに内心で苦笑しつつ、あなたは走る速度を上げた。

 

 

 あなた達は『ノマルタウン』で最大の建物、ポケモン研究所へと辿り着いた。予定していた時間ギリギリだったが、どうやら間に合ったらしい。一安心するあなたの隣で、アルンがホッと胸を撫で下ろした。

 

「それじゃ、入ろっか!」

 

 先導(せんどう)するアルンに続いて、あなたは研究所に入る。研究所の内部は様々な機械が置かれており、その機器を何人かの『けんきゅういん』が操作していた。他にも、ノートに何かを纏めている人や、何をしているのかはわからないがあちらこちらを振り返っている人も居る。

 

「あ、来たわね! こっちこっち!」

 

 どうすればいいかわからずあなたとアルンが立ち尽くしていると、部屋の奥から女性の声が聞こえた。一度アルンと顔を見合わせた後、あなた達はそちらへと進んでいく。

 

 奥には、他の研究員と同じように白衣を身に纏い、茶色い長髪に(いろ)とりどりのヘアピンを()めた、研究者(けんきゅうしゃ)(ぜん)とした格好の女性が居た。

 

「初めまして。私はテルル、ポケモンのタイプについて研究しているわ。

 タイプっていうのは、ポケモン達が持っているもので、全部で18種類確認されているの。それについて調べるのが、私の仕事ってワケ。

 ポケモンスクールに通っているあなた達なら、知っているわよね」

 

 説明するのが癖になっているのか、『ポケモンはかせ』のテルルはちょっと余計だったかなと一つ苦笑して、続けた。

 

「エティー地方には(いま)だ多くの自然が残されていてるわ。そして各タイプを極めた『タイプエキスパート』が居るのは、知ってるわよね?

 かくいう私も、『ノーマル』タイプのエキスパート、やらせて貰ってるんだけどさ。

 エキスパートって、あまり自分の住む町を離れられないのよ。だから、あなた達にこの『ポケモン図鑑』を通して、タイプを含めてこの地方のポケモンのことを調べて欲しいってワケ!」

 

 そう言って、テルル博士は手のひらに収まるサイズの電子機器──『ポケモン図鑑』をあなたへと差し出す。あなたはやや緊張(きんちょう)しながらも、それを受け取った。

 

 あなたは、『ポケモン図鑑』を手に入れた!

 

 テルル博士は同じものを、隣に居るアルンにも手渡す。わぁ、と感動した様子のアルンに、テルル博士は嬉しそうに笑うと、改めてあなたたち二人に向き直った。

 

「ポケモン図鑑は、捕まえたポケモンの情報を自動的に更新してくれる、ハイテクマシンなの!

 それを手に、この広大なエティー地方を、あなた達の目で見て、感じて、冒険して欲しいの! きっと素敵な旅になるわ!」

 

 そう()めくくるテルル博士。あなたはこれからの旅路(たびじ)に想いを()せ、気持ちを(たかぶ)らせる。

 しかし、あなたの隣の幼馴染みは、何かを待つようにソワソワとしている。その様子に博士は疑問符を浮かべていたが、思い出したように(かた)()(ひら)をもう片手の拳で叩いた。

 

「あ、そうだったわね! まだあなたたちにポケモンを(わた)していないんだった!」

 

「ちょっと!? 一番大事なことだよ!?」

 

 ごめんなさいね、と謝罪の言葉を()べて困り顔になるテルル博士。あなたは「博士も忙しいんだろう」と自分を納得(なっとく)させた。

 

「それじゃ、こっちよ。付いてきて」

 

 博士に言われるがままに彼女を追って歩くと、扉を通って中庭に出る。草木(くさき)適度(てきど)()(しげ)ったそこには、何匹ものポケモンが自由に過ごしていた。

 すぐに目に入ったのは、楽しそうに駆け回る茶色い毛並みのポケモン。その近くの木陰(こかげ)では同じく茶色い毛並みのポケモンが(すず)んでいたが、あなた達に気付いて視線を向けてきた。

 その他にも、緑の肌を持ったギザギザ模様のポケモンが周囲に溶け込むように『へんしょく』し、液体状の身体を持つポケモンが駆け回るポケモンとそっくりの姿へと『へんしん』している。

 その三種類のポケモンを、あなたは知っていた。実際に見たことは無かったが、前にポケモンスクールに置かれていた本で読んだことがあったのだ。

 

 草むらを走っているのは『イーブイ』。周囲の影響を受けやすい性質を持っていて、様々なタイプのポケモンに進化できるポケモン。

 周囲と同じ色になって隠れているのが『カクレオン』。お腹の模様だけは変色していないため居場所が丸わかりな、どこか抜けた生態のポケモン。

 そして他のポケモンに変身できるポケモンが『メタモン』。今も仲間だと思ったのか近づいたイーブイ相手に『へんしん』を()いて、驚かせていた。

 

「わぁ、凄い! 見たことないポケモンがたっくさんだよ!」

 

 興奮した様子の幼馴染みに、あなたも気持ちが昂るのを感じつつ頷いた。どれもノマルシティでは見られないポケモンばかりだ。初めて見る、名前すら知らないポケモンも居る。色とりどりの踊っている鳥ポケモンや、桜色の毛並みを持った鹿ポケモン、まるで雲のような丸いポケモンなどだ。

 

「ここに居るポケモン達は、どのコもタイプに関連した性質を持っているの。身体に影響のない範囲で、研究に協力して貰ってる、ってワケ。

 イーブイ達、おいで!」

 

 テルル博士がそう呼びかけると、駆け回っていた腕白(わんぱく)そうなイーブイと、木陰からこちらを(ひか)えめに気にした様子だったイーブイの二匹がやって来る。尻尾の模様を見るに、どちらも(オス)のようだ。イーブイは(オス)(メス)で尻尾の(がら)が異なることを、あなたは知っていた。

 二匹の片方──ひかえめな雰囲気(ふんいき)のイーブイは行儀(ぎょうぎ)()く博士の前に居るが、もう一方のわんぱくそうなイーブイははしゃいだ様子で博士やアルン、あなたの周囲を走り回る。博士が苦笑している横で、アルンはイーブイと同じく楽しそうにはしゃいだ様子だったが、あなたはその(ひと)(なつ)っこい様子に(めん)()らっていた。

 

 そんなあなたの心境を察してか知らずか、ひかえめなイーブイがわんぱくなイーブイの進路を(ふさ)ぎ、制止する。わんぱくなイーブイが慌てて急停止すると、ひかえめなイーブイがため息をつくように息を吐いた。

 

「このコ達が、あなた達と旅路を共にする相棒(パートナー)になる、ってワケ。

 どちらのイーブイが良いか──って、あなたはもう決まってるみたいね」

 

 テルル博士の言うように、アルンはわんぱくなイーブイを見つめており、イーブイもそんなアルンに応えるように元気に鳴いた。どうやら、早くも心を通わせ始めている様子だった。

 そんな幼馴染みの様子に内心で苦笑しつつ、あなたはもう片方──ひかえめなイーブイへと目を向ける。イーブイもまた、わんぱくなイーブイを少し呆れたような目で見ていたが、あなたへと視線を向けた。

 

 なんとなく、あなたはイーブイと気が合いそうだと思った。あなたはイーブイに近づいて(かが)むと、よろしく、という意味を込めて笑顔を向けた。応じるように鳴いたイーブイも、微笑(ほほえ)んだように思えた。

 

「パートナーが決まったみたいね!

 それじゃ、これはそのコ達を入れるボールと、捕獲用のモンスターボールよ」

 

 あなたは、モンスターボールを20個、手に入れた!

 

 あなたとアルンにボールを渡したテルル博士は満足した様子で笑うと、やや大仰(おおぎょう)に両手を広げてみせる。

 

「それじゃ、改めて!

 イーブイと一緒にこの広大なエティー地方の旅を、めいっぱい楽しんで!」

 

 そう告げたテルル博士に元気よく返事をして、あなたとアルンは研究所を後にした。

 

 

 研究所を出るなり、アルンはあなたへと向き直る。そして楽しそうに笑みを浮かべると、先程もらったばかりのイーブイの入ったポケモンボールをあなたへと突き出し、ねぇ、と改めてあなたの名前を口にした。

 

「せっかくポケモンもらったんだし、今から勝負(バトル)しようよ!」

 

 あなたはボール()しに自分のイーブイへと確認を取ると、イーブイからは戦えるという意思が返ってきた。元から断るつもりも無く、パートナーの了承も得られたあなたは、静かに頷いた。それを見て、アルンは笑顔を強くする。

 

「目と目が合ったら、ポケモン勝負!

 ずっと言ってみたかったんだ、この言葉!」

 

 ポケモントレーナーのアルンが、勝負をしかけてきた!




イーブイ Lv5 ♂
親:あなた
特性:にげあし
技:てだすけ なきごえ たいあたり しっぽをふる
ひかえめな性格。ノマルタウンでLv5のときに出会った。ちょっぴりみえっぱり。
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