ラブライブ!シリーズ Linked by Trains since 2021 作:松浦南北
また、今回は『小説版ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 紅蓮の剣姫〜フレイムソード・プリンセス〜』のネタバレを一部含みます。まだ読んでいないけど読みたいよという方は要注意。
俺「正直勇輝くんやそーちゃんがいなかったときよりはマシだけど、やっぱりVC42編成がいないとモヤモヤするなぁ……。それにぼたちゅんに先立たれたのはやっぱり辛い。たとえ犯罪に手を染めたとしても、書類上が敵でも、仲間だったんだから……」
2023年9月23日、俺はぼたちゅんの死による悲しみを癒やすべく、久々に近鉄で撮り鉄を行うことにしたため近鉄名古屋駅にやってきた。虹ヶ咲のせつ菜ちゃんから薦められて買ったライトノベル『紅蓮の剣姫』を片手に、いつもの5200系併結の6両急行に乗ろう。
早速2両目に乗り込むと、一瞬で一人旅は妨害されることになる。
??「由美ったらまた電車に浮気するの?」
誰かと思えば……、
俺「果南!?それからルビィまで!?」
地元沼津のダイビングショップに就職した松浦果南と、大名古屋工科大学の電気科3年、黒澤ルビィだった。
ルビィ「適当に名古屋駅をぶらぶらしていたら由美ちゃんの目撃情報がXに上がっていたからそのまま押しかけたんだ」
俺「てかマルとかヨハネとかマリーとかダイヤは?」
果南「ダイヤは朝から金沢に出向いた聡平くんと勇輝くんとジュリーを拉致してて、鞠莉は仕事で忙しいって」
実は弟たち3人は朝から蓮ノ空女学院の見学に行っているけど、まさかダイヤに捕まったとはね…。
ルビィ「花丸ちゃんと善子ちゃんはこの前の高山で疲れたって言ってたから置いてきたよ」
そう言えばそーちゃんも一緒に行ったって話だけど、まあ俺がおすすめした白鷺の湯に入り、飛騨牛ハンバーグ定食も食べたって言ってたから、また一緒に家族サービスで行きたいものだ。
ルビィ「ちなみにルビィは今怒っています」
俺「どうして?」
ルビィ「また由美ちゃんに誕生日忘れられたんだもん!! 3年連続で忘れられるなんてショックだよ!!」
またやってしまった。ルビィの誕生日は3年前、長野電鉄で祝ったきりだ。特に去年はルビィをそっちのけにして同じように磯山駅に出向いてダイヤと組んで、そーちゃんと共にボコボコにされたことははっきりと覚えている。
俺「ごめんなさい許して!!何でもしますから!!」
果南「ん?今、何でもするって言ったよね?」
あ、終わった。
果南「だったら、今から今日一日、私たちから離さないよ♪」
俺「それだけ?」
ルビィ「それだけがどれだけになるのか、楽しみだなぁ♥」
そんなこんなで、ドアが閉まり、電車は無事に発車した。今回は対面で3人座ることになった。というかルビィがこの前のGWのときの歩夢と同じこと言っているから、嫌な予感がしなくもない。
〜※〜
車内にて。
ルビィ「そう言えば由美ちゃんは何を読んでるの?」
俺「ここ最近巷で話題になった『紅蓮の剣姫』ってやつだね。虹ヶ咲のせつ菜ちゃんに勧められて買って、昨日から読み漁って今日読み切るつもりだよ」
ルビィ「ルビィもそれ花丸ちゃんに勧められて読んだことあるんだ。確か紅姫が……」
俺「おっと、それ以上のネタバレは読者の皆さんのためにもやめてあげて!!」
ルビィ「ごめんごめん」
しかし、今読んでいる小説がこの近鉄名古屋線に照合されるということを、俺はまだこの時点で気づいていなかった。
〜※〜
四日市到着直前になり、車内放送が流れた。
車内放送「四日市では、普通
これを聞いて俺は行き先を決めた。塩浜か楠かで決めあぐねていたが、列車自体が塩浜以南に流れるため楠で行くことにした。
四日市で待っていたのは…、
俺「コイツかよ」
1010系T11編成。近鉄名古屋線において、俺のあまり好きでない車両ランキング上位に載るやつだ。しかもコイツ、前回近鉄行ったときにも乗ったからなぁ……。
まあ、どこが嫌かというと、後ろ1両がコイルばね台車だから。基本的に空気バネより乗り心地悪いしどうも気に食わない。くどいようだがまた述べておこう。
乗車後のこと。
ルビィ「三岐鉄道三岐線よりはマシだね」
俺「でしょ?」
ルビィは数年前俺と一緒に三岐鉄道三岐線に乗ったことがあり、コイルばね台車と路盤の悪さにより酔いを誘発させるあの揺れを体感している。それに比べれば引き続き『紅蓮の剣姫』を読む余裕もあるから平気である。
そんな中、俺は小説内のあるフレーズに着目した。
「そして元の世界に帰るということは、この世界にとっては異物である私が去るということは……同時に、私の存在から皆さんの中からなくなるということを意味します」
「そ、それって……」
「……はい」
そして全てを受け入れたかのような表情で……こう言ったのだった。
「……
"レーテ"を倒した紅姫が元の世界に帰ることになり、みんなの記憶の中から忘れられていく。近鉄線への新車導入が決まった昨今、俺がそんなシーンをここ近鉄名古屋線の列車内にて読み、車両たちに思いを馳せ、今名古屋線を走っている1010系や2000系、2430系や2800系、更には1233系・1430系の未更新車も運用を突然終え、廃車回送や更新入場がなされると自分たちの記憶から忘れ去られてしまわないか、不安になったのだ。特に去年解体された1000系T06編成・T07編成、そして現在高安にて更新入場中の1233系のVC42編成の未更新時代の記憶が風化しそうに感じてしまった。
特急車だってそうだ。昔走っていて今年初めに全廃された12200系、そして旧塗装時代の12400系や22600系も、そのうち忘れられてしまう可能性がある。昔あったあの名古屋線の風景、そして今ここにある、この名古屋線の風景、こういったのをいつまで俺は覚えていられるんだ……?
そんな不安を抱えながら無事に読み終え、楠駅下車。漢字1文字の駅と言われると、さっきの不安もありなんとなく虚しい。乗ってきた列車が伊勢若松方面に去った直後、対向列車の2050系も四日市方面に去っていった。
駅名標や時刻表などを撮影し、しばらくすると……、
果南「あっ、5800系だ」
俺「ホントだ」
5800系のDG12編成と1253系のVC60編成のペアが伊勢若松方面からやってきた。名古屋線唯一のVVVFデュアルシート車とフルカラーLED搭載の未更新車。これもいつまで見られるか、そしていつまで覚えていられるかはわからない。
撮影後にやってくる特急ひのとり通過も拝み、改札を出て、地図を確認して田園風景の広がる長太ノ浦方面に歩いて行こう。
気がつくと名古屋行きしまかぜが通過。連写こそしたけど動画で撮りそびれた。あまりの不安でカメラが回せなかったような気がした。
果南「なんか由美の様子がおかしいね」
ルビィ「ルビィもそんな気がするよ」
果南「また『ながたのうら』かな?着いたら聞いてみようかな」
ルビィ「あれは『なごのうら』って読むね」
果南「ごめん間違えちゃって」
まずルビィがあの読みを知っている時点でかなり驚きだが、まあ果南は駅名をぼちぼち覚えていくだろう。
そして歩き進めて踏切を渡ると、5200系やアーバンライナーなどが広々とした田園地帯を通過、1010系やひのとりも、寂れた墓地の側から屋根を覗かせて通過していった。この墓地を見て踏切を再度渡り、あとは長太ノ浦まで、線路沿いに一本の道が続く。
ルビィ「やっぱり由美ちゃん、元気がないね……」
果南「私も心配」
そんなことを言われながらも、9000系の通過の際にはカメラを回し、同時にVC43編成&1200系の6連もキャッチできた。そしてひのとり、アーバンライナーの通過も動画に撮り収め、無事に長太ノ浦駅に到着した。
到着後も2610系や2800系、伊勢志摩ライナーなどの急行列車の通過を撮影しまくった。しばらく列車が来なくなってからのこと。
果南「ところで由美」
俺「どうしたの果南?」
果南「楠駅を降りた頃から、元気が全然なさそうだけどどうしたの?」
俺「えっ……なんでわかったの?」
ルビィ「全部ルビィと果南ちゃんの勘だよ?」
うわ、バレた。
俺「……まあ、元気がなくなったのは本当の話なんだけどね」
ルビィ「じゃあ、何があったの?ちゃんと話してくれないとルビィは怒るよ?」
俺はあのときの普通列車乗車中に読んで気になった、小説のあのシーンを話すことにした。
俺「いやさ、紅蓮の剣姫における紅姫が"レーテ"を倒して元の世界に帰るにあたって、みんなの記憶から紅姫との思い出が忘れられていくシーンがあったでしょ?」
ルビィ「うん。あるよね。最後の方」
俺「あれが近鉄の車両たちに照合されて、今はもういない12200系とか、ついに消えてしまったACEやサニーカー、ビスタカーとかの旧塗装とかが俺たちの記憶から忘れ去られる気がしたんだ。現に伊勢志摩ライナーの旧塗装の記憶がもう完璧になくなった感じだし」
ルビィ「そんなことを思ってたの?」
俺「それだけじゃない。一般車も、去年解体された1000系のT06やT07に加えて、1233系のVC42編成の未更新時代についても、記憶がそのうち葬られてしまう、そんな感じがして、不安しかないのよ俺……」
言いたいことはこれで全部だ。
ここまで話してきて、果南が口を開いた。
果南「本当に、完全に忘れきると思う?」
俺「えっ?」
果南「由美は、5年半もかけて大量に近鉄の写真や動画を撮ってきたでしょ?」
俺「そうだけど」
果南「それに、一昨年の11月からは鉄道PVも本格的にアップするようになったよね」
俺「それもそうです」
果南「由美自身が撮った写真や動画には、いろんな記憶、思い出が詰まってると思う。それに鉄道PVを作るときも、列車たちが通過する多種多様な風景を、思い出と照らし合わせているように、見ている私たちも感じるんだ。これは近鉄だけじゃない。JR東海や名鉄でも同じことが言えると思うの。だから、由美がこういった写真・動画を見返す限り、今ある風景、昔あった風景を完璧に忘れるなんて、そんなことは絶対にありえないんだから、ね?」
そしてルビィが続ける。
ルビィ「それに、4年前からルビィたちが由美ちゃんと近鉄に一緒に何度も乗りに行ったことは、Aqoursの中でも2019年春大会優勝に次ぐと言ってもいいくらいの思い出なの。浦の星女学院が統廃合になって、1つの輝きを失った中で近鉄という新たな輝きを由美ちゃんが見つけて、ルビィや花丸ちゃん、千歌ちゃんやお姉ちゃんを大海原みたいな世界へと連れ出してくれたって考えるだけで、嫉妬もするけどそれよりもドキドキやワクワクで胸がいつも膨らむんだ。だから、近鉄の昔懐かしい風景、今ある風景を忘れ切るなんて、以ての外なんだからね!!」
俺「……ルビィも果南も、ありがとう。まあ、YouTubeに限らず、鉄道ファンや鉄道ジャーナルとかの鉄道雑誌や、Wikipediaとかエンペディアなどのウェブ百科にも、そういった思い出の鉄道写真は近鉄含めていっぱい上がっている。そこから輝きやトキメキがなくなることはまずないと思うし、むしろ過去の写真から新たなるトキメキが生まれるってこともあるさ。だから、忘れてもどこかのタイミングで写真とかを見て思い出せる可能性がある。忘れかけても、忘れ切らないんだから、もう怖がることなんてないんだ!!」
果南「由美が元気になって良かったね」
ルビィ「ルビィも同じ気持ちだよ!!」
俺「もうからかうなよ〜!!」
全員「あはははは…!!」
こうして笑い飛ばす俺たちであった。
しばらくして帰りの列車がやってきた。名古屋行き普通列車、2000系3両編成。このまま乗ることにしよう。
〜※〜
帰りの列車で、俺はこれまでの思い出が色々蘇った。
名古屋駅に停まっていた1000系T08編成。
桑名からの帰りに乗ることができた、まだLCDもついていない1233系VC42編成。
LEDの前照灯を照らしてやってきた1201系RC03編成の後ろ4両に連結されていた1200系FC93編成。
伊勢若松駅で普通列車の単独運用に入っていた1233系VC42編成。
丁度津新町行に充当されていた、LCDのついた1233系VC42編成。
白子まで2種類のGTOインバータを楽しみながら乗った5800系のDG12編成と1233系VC43編成。
弥富まで、2610系X27編成の後ろに繋がっていた1233系VC47編成。
5200系VX07編成とともに踏切でカメラを回し撮影した1233系VC42編成。
その直後にやってきた1010系T11編成と2430系G47編成の離合。
海山道駅を、5200系を先頭に通過していく1233系VC42編成。
海山道駅で乗りそこね、四日市方面に去っていった2000系XT02編成。
近鉄八田駅を爆速で通過する2430系や1201系。
曇り空の下撮り鉄した帰りに富吉駅を通過したビスタカー。
アクアイグニスから眺めた2444系。
大阪線からやってきた頃、磯山駅でばったり出会った2430系のG39編成。
戸田駅の踏切を至近距離で通過し俺を驚かせた2430系。
八田で下車したあと、しばらくして向かい側ホームに戻ってきた1000系T08編成。
佐古木駅まで乗せてもらい、そのまま四日市方面へ去っていった2800系AX03編成。
川越富洲原と富田の間にある同じ踏切で出会った伊勢志摩ライナーとアーバンライナーネクスト。
四日市港ポートビルが定休日だった中で通過していったサニーカーやACE。
名古屋行きにばったり出会いがちだったしまかぜ。
もはやどこに行っても出会いがちなひのとり。
これだけではないが、思い出がこれ以上にあると考えると、もう完全に今ある風景を忘れてしまうなんてことはない、そう確信したのだった。
…というか、楠駅の停車時間長くないですか?記憶を掘り起こしている間に9000系と5200系のペアを見たけど、まだ停車しているぞ。
そう思ったその時、ひのとりが通過。コイツまで通過待ちだったのか…。
安全確認が終わったところで楠駅を発車。塩浜駅でサニーカー&ACEの通過待ちに遭遇する。
果南「普通列車長いね……」
俺「わかる。てか急行接続が桑名までないのは異常だぞ」
ルビィ「ルビィもそう思うよ」
そんな愚痴を零しながら、新正駅で対向列車にVC47編成の普通列車がやってきていたことに気づく。VC42編成からLCDが消えたら新たな愛車にするきっかけを作った。
四日市を過ぎても当然、急行との緩急接続はない。直流電動機の素朴な音は加減速の度に響く。
桑名では特急、急行と緩急接続を行う。
果南「そういえばダイヤも絶賛したあの八田のたこ焼き食べてみたいなぁ」
ルビィ「いいね!!お姉ちゃんのお墨付きをもらったたこ焼き、食べてみたい!!」
果南とルビィの会話を聞いてハッとした。八田駅に俺も用があった。夫の勇輝くん、弟のそーちゃん、妹のジュリーと4人で協力して名古屋の地下鉄スタンプラリーを完走する計画であり、3人が金沢の蓮ノ空に出かけている以上今回は俺が八田駅、高畑駅、岩塚駅の3駅をコンプリートする方向で考えていた。もちろん、改札内の駅も多いため、いくらかの駅では不正乗車になり得るが、とにかくあの東海さんレベルに不正乗車に厳しいシオンちゃんにバレないようにしたい。
俺「じゃああの急行は見送るぞ」
2人「うん!!」
というわけなので、普通列車を使い八田駅で下車することに決めた。
〜※〜
富吉では9000系の重連4両準急が止まっていたが、時間の都合で今回はパス。更に4駅乗り、無事に八田駅に到着した。
八田到着後は9000系準急やビスタカー等を見送り、たこ焼きを買う。もちろんお土産で、今回は醤油の方をチョイスした。ルビィも果南も泳がせマヨにしていたが。
果南「そういえば由美も八田で降りたいって感じだったけど」
俺「実は地下鉄スタンプラリーをやってて、今日は八田、高畑、岩塚を攻略しようって思ってたわけよ」
ルビィ「なるほどね。とりあえずまず八田を押したら高畑、岩塚と行ってみようか」
俺「だね」
というわけで、地下鉄で高畑まで出るが、スタンプを押した直後のこと。
??「ようやく見つけたずらよ、ルビィちゃん♪」
ルビィ「なんで花丸ちゃんが!?しかも善子ちゃんまで!?」
ヨハネ「由美が折り返し乗車をしないかって不安になったのよ。とりあえず、果南も由美も、改札を出ないと不正乗車で地獄に落ちるわよ?」
はい、折り返しスタンプラリー計画撃沈。さらば大事な210円。
俺「ま、これで岩塚押したら帰宅だな」
ルビィ「えっ、何言ってるの?」
俺「ん?」
果南「私、言ったよね。『今日1日離さないよ』って」
俺「それって……」
ルビィ「今日1日、オールナイトでずーっとイッショダカラ」
俺「そんなああああああ!!」
果南「花丸ちゃんと善子ちゃんはどうするの?」
マル「もちろん果南ちゃんたちに交じって、由美ちゃんとい~っぱい遊ぶずら♪」
ヨハネ「上級ビッグデーモン5049号がお台場の面々に手を伸ばして、堕天使ヨハネとの契約に違反した罰よ♪」
俺「参ったなこれ……」
てか俺そんな契約交わした覚えないし。
果南「さあ、行くよ♪」
俺「いやあああああああああ!!」
こうして俺は名古屋駅で4人に振り回され、最終電車まで帰してもらえなかった。まあ、一応その前に岩塚のスタンプは押させてもらえたけど、秋分の日で、ラノベも1冊読み切れていい気分だったのに、これじゃあいつもと一緒だよ……。
次回は籠原駅のネタ。ついでにオリキャラ1名がヤンデレに目覚めます。次回とその次で9月分はラストです。
ちなみに『近鉄電車秋のトキメキ珍道中2023』はもう1回予定しています。