ラブライブ!シリーズ Linked by Trains since 2021 作:松浦南北
視点は丸山せりなを予定。
2024年1月19日の放課後のこと。下校しようとして校門に向かう途中、不意に生徒会長が現れた。しかも四角い変なブリキ製の機械を手にしている。
菜々「音楽科1年の丸山せりなさんを見つけました」
私「ちょっと会長何するんですか!?」
菜々「この機械をつけさせていただきます」
いきなり生徒会長にその機械をつけられる私。
私「ちょっと待って!!心の準備ができていないんだけど!!」
菜々「去年の夏に上原さんを長崎に置き去りした罰です。先ほど情報処理学科中等部1年のドロシー・ダビッドソンさんから完成した機械を受け取りましたので、実刑を執行いたします。拒否権はございません」
私「そんなこと掘り返さないで!!」
菜々「悔しいのであれば、飛ばされた先からGPSを使うことなく、こちらまで帰ってきてください。ポチッとな!!」
会長が手元のボタンを押すと、私の体が徐々に光り始める。
私「えっ!?飛ばされる!?いやあああああああああ!!」
そして私の体から出る光がどんどん強くなり、その場から消えていった。
〜※〜
目が覚めると、どこかで見覚えのあるビル街にやってきていた。隣を見たらYellow Cabだらけ。信号も黄色く塗られた縦型ばかり。手元にはカバンがあるけど中身を確認すると……
私「えっ!? 札束が1万ドル入ってる!!」
いつもの学校の用意とスマホに加え、自分のパスポートに現金1万ドルが入っている。これでもう確信した、私はニューヨークに飛ばされたのだと。ちなみに生徒会長に取り付けられた機械は壊れてなくなっていた。
ん?待って?ニューヨークだよね?ということは……
私「おたえに会えるかも!!」
そう。留学中の最愛の鉄道同好会メンバー、おたえに会えるかもしれないのだ。そう思った私は適当にこのビル街を歩いてみることにする。
すると……
【♪Mia Taylor『Open Arms』♪】
私「Oh, what a wonderful music I'm hearing!」
何やら素晴らしいピアノと歌声が聞こえてきた。歌声のする方に向かってみると、どこかで見覚えのある人がストリートピアノで演奏していたのだ。もしかしてこの人って……?
近くにいる人に聞いてみよう。
私「Excuse me. Who is that person playing the piano?」
男性A「She is Mia Taylor, a famous pianist today.」
私「Oh, my gosh! Unbelievable!!」
やはり予想通りだった。ミア・テイラー先輩、14歳だけどここ最近急上昇中の飛び級大学生ピアニスト。今や音楽業界では極めて有名だし、何よりとある名古屋出身の大学生鉄道ファンと関西線完乗を果たしたということで、日本の鉄道業界でも一部に知られているという超大物なのだ。
男性A「By the way, are you Selina Maruyama?」
私「Yes, I'll show you the evidence.」
とりあえず証拠として、ポケットから学生証を取り出し、その男性に見せよう。
男性A「I'm very glad to meet you!!」
私「Maybe you know about me, don't you!?」
男性A「Yes, of course!! Now you're famous for a train photographer and a pianist who has an extraordinary talent in the States.」
私がチート級のピアニストだって、アメリカでも知られていたんだ……。
私「I'm surprised to hear that. Thank you so much for knowing about me.」
男性A「My pleasure.」
いやもう、驚き以外の何者でもない。さて、1曲終わるまで聴き入ることにしよう。
〜※〜
曲が終わってからのこと。
私「あれ?おたえがいるような……」
おたえ「もしかしてせりな……?」
ピアノの向こう側におたえを見つけたと思ったら、反応してくれた。
おたえ「どうしてせりながここにいるの?一昨日まで私に会えなくて虹ヶ咲で泣いていたはずなのに…」
私「下校際に生徒会長に強制転移させられちゃって、目が覚めたらここにいたの」
おたえ「うわ、生徒会長やってくれたね……」
私「でも、私は嬉しいよ」
おたえ「えっ?」
私「偶然会えただけでも、おたえが眼の前にいるってだけで夢でも見ているかの気分になれるもん!!ここに飛ばされて良かった!!」
おたえ「せりながそう言ってくれると嬉しいけど……帰りどうするの?」
私「GPSを使わずに帰って来いって話で現金1万ドル渡された」
おたえ「じゃあ帰りの成田便取っちゃおうよ!!」
私「それがいいね。ありがとうおたえ!!」
というわけで、12時15分のリバティ・成田直行便を予約して……と、現在8時半で、残り時間は3時間半しかない。そのうち移動に1時間と考えると、残りは1時間くらいだ。
すると、先ほどピアノを弾いていたミア先輩に声をかけられる。
ミア「キミが、噂のせりなか」
私「そうですけど…ミア先輩ですか?」
ミア「ああ。もうステイツではキミのことは有名さ。ところで隣にいるのは誰だよ」
私「この子は小磯多英子ちゃんって言います。私の同級生で鉄道仲間です」
おたえ「はじめまして。小磯多英子です」
ミア「ところで、ボクの演奏を見て、多英子はどう思ったんだい?」
おたえ「すごくときめきを感じました!!それで、一度ピアノを弾けるようになりたいなって思って……」
ミア「生憎、ボクは弟子を取らない主義だが、せりなの友人になら特別に教えてやってもいいよ」
ミア先輩はプライドが高いというのは知られているから、このくらいのことは気にしてはいけない。
おたえ「本当にいいんですか?」
ミア「Of course! 多英子がやる気なら、ボクは厳しくビシバシ行くからね!!」
おたえ「ありがとうございます!!」
私はこれを聞いて嫉妬するわけじゃない。むしろ楽器仲間が増えてものすごく嬉しい。しかも最愛のおたえがピアノの道に進んでくれるだなんて、実はこれまでに経験したことのない喜びだ。
私「やったぁ仲間が増えた!!」
おたえ「え、でもミア先輩に取られそうとか……」
私「おたえがピアノの道に目覚める瞬間を見られただけで良かったし、ミア先輩がそんなことをするわけないって思ったのと……」
ミア「まあね、ボクはとにかく恋愛感情についてNeutralで行きたいタチだからね」
私「それなら安心だね」
このまま上達して帰国してきてくれたら、私はそれでまた喜ぶと思う。
すると、嫌なことに気がついた。
おたえ「そういえば帰りの飛行機大丈夫?」
私「そうだった!!」
おたえ「じゃあそろそろ行こうか」
ミア「何ならボクがCab呼ぶよ」
私「本当に大丈夫ですか?」
ミア「ああ。音楽業界のtreasureとか言われるせりなに悪いことはできない」
私「本当に助かります」
ミア先輩がタクシーを呼ぶと、しばらくしてやってきた。3人で乗ることにしよう。
ミア「そういえば青山由美は2人とも知ってるか?」
おたえ「知っているも何も、私の中学校に遊びに来てくれたんです」
私「今だと私たち鉄道同好会の部室にも遊びに来てくれるから本当に助かってます」
ミア「ボクも名古屋で公演があったときに、日本の鉄道を知るために由美と一緒に関西線乗ったんだが、まさかそんなに顔が広かったとか意外だよ」
おたえ「あはは」
私「まあ、自慢の協力者ですからね」
ミア「I see」
流石のミア先輩でも、由美ちゃんの顔が広いと驚くんだ。
ミア「さて、空港着いたらボクが美味しいハンバーガー店紹介するから、食べてくかい?」
私「喜んで!!」
おたえ「私も朝飯抜きで来てしまったので(汗)」
とりあえず空港着いたら、ハンバーガー店で食べていくことにしよう。
〜※〜
空港到着。出発まではあと2時間くらいだ。ミア先輩の勧めてくれたハンバーガー店で1個いただく。
私「そういえば撮り鉄とかは……?」
おたえ「今日行く予定だったけど、今からミア先輩にピアノ指導してもらうから無理かな。だから明日行く予定」
ミア「ボクは、ステイツの鉄道にいい印象がないけどそれを払拭したいし、もし多英子が行ってきてくれたら話は聞くつもりだからね」
おたえ「ありがとうございます!!」
でもおたえの顔が見られただけで私は安心だ。
ハンバーガーはご馳走様でした。
とりあえず荷物だけ持って店を出て……
私「おたえ、今後も帰国まで毎日連絡ちょうだいね。ないと私おかしくなっちゃうから」
おたえ「うん」
ミア「もし今後機会があったらまたニューヨークに来てくれるかい、せりな?」
私「もちろん約束します!!」
私・おたえ「じゃあまたねー!!」
ミア「See you again!!」
こうして税関の方に向かい、私は帰国の途についた。ここから約14時間の長旅。帰ったらみんなはどんな反応をするんだろうか……?
〜※〜
機内食をとりながら、無事に成田に帰着。もう1月21日の16時になっていた。明日から学校だけど、体力が持つかは少し不安になる。
到着ロビーに着くと……生徒会長がいた。比奈ちゃんも一緒だ。
菜々「丸山さん、よく頑張りました」
比奈「全く…会長がこんなことをするとは思いませんでした。かつてシオンが私にやったことと同じでしたので」
菜々「申し訳ないです……また後で反省文を提出させていただきます……」
私「最初は驚いたんだけど、まあペナルティとして受け入れた感じだったね」
比奈「せりな、怒っていませんか?」
私「怒ってなんかいないよ。むしろ嬉しかった」
菜々「えっ?」
私「だって、愛しのおたえに会えたんだもん!!こんなに嬉しいことなんてないよ!!」
菜々「それは、小磯さんに会えたという認識でよろしいでしょうか?」
私「はい!!」
菜々「それは失策でした……」
比奈「とりあえず生徒会長、次の鉄道同好会の木曜部会にはご参加を。これは強制です」
菜々「承知いたしました」
比奈「まあ、せりなの無事も確認できたので帰ることにしましょう」
全員「おー!!」
こうして無事に3人で帰路につく私たちだった。
今回の経験は有意義だった。異国の地に着いても慌てふためかないようにすることをここで誓い、今回を締めることにしよう。
これまでに4回置き去り企画を本作品で書いてきましたが、私は正直西園寺さんみたいに巻き込まれたくないです…。
次回は近況報告ネタを予定。