ラブライブ!シリーズ Linked by Trains since 2021 作:松浦南北
2月26日、今日は放課後、緊急で全校集会が開かれることになった。理由はおたえの帰国祝いのためだ。
菜々「只今より、全校集会を始めます。今回は予告通り、普通科1年の小磯多英子さんの帰国祝い会を行いたいと思います」
壇上にはおたえと生徒会長がいた。
菜々「早速ですが、先月よりアメリカのニューヨークに留学されていた、普通科1年の小磯多英子さんが、先週の金曜日に少しばかり遅れて留学から帰国されました。それでは小磯さん、よろしくお願いします」
全員で拍手をし、おたえが演説台に立つ。
おたえ「皆さん、こんにちは。先日帰って参りました、普通科1年の小磯多英子です。まず、アメリカのニューヨークでは非常に貴重な経験をさせていただきました。現地の授業は常に移動教室制でバタバタ。土曜日には現地の大学の先輩からピアノの指導を賜り、日曜日には日本で見られないような巨大な電気式ディーゼル機関車に親しむこともできました。そして、時には現地の友人から束縛も受け、帰国の際は、空港でその友人に帰らないでと目のハイライトをものすごく真っ黒にされてしまいました……」
うわ、現地でもヤンデレ化されたんだ……。今度縛ってあげなくちゃね。
おたえ「ですが、中川さんを含む大事な仲間の話をしたら、無事に解放され、帰国することができました。おそらく今後は今のところニューヨークに行く予定はございません。しかし、こちらからは大事なお知らせがございます」
私や歩夢ちゃんは知っているけど、大半の生徒たちがゴクリと息を呑む。
おたえ「再来月を目処に、音楽科への転科を目指したいと思います。音楽科は初っ端からか、2年の8月初めまでに転科すると、夏場に2ヶ月間の短期海外留学がついてくることも把握済みです。しかしながら、今回のニューヨーク留学で、見識を広めることの大切さを学んだため、世界各地に羽ばたくのも悪くはない、そのように感じました。約半年後、おそらく私はまた日本を離れるでしょうが、来年度も残られる皆さんを含め、短い間になりますが、またよろしくお願いいたします……」
全員から拍手喝采。その後、
おたえ「そして、私には1つだけ不満がございます。あまりにも失礼極まりないと思いますが、名指し、かつタメ口で公開説教をさせていただきます」
その瞬間、全員が固まった。
おたえ「おい、ライフデザイン学科3年の、塩津舞子」
うわ、予告通りじゃん。部会を休むくらい怒っていたということだ。
おたえ「お前、赤点だらけで、追試の対象外になって留年確定て聞いたで? 俺がおれへん間にサボって、卒業でけへんようになったやら、どういうことやぁっ!!」
舞子「すみませんでした!!」
舞子の叫び声が聞こえる。しかし、ガチギレしたおたえは、関西弁混じりでものすごく怖い。
おたえ「こんな不名誉な事象が俺たちの部活から発生してもうた以上、来年度は学習委員会を設置し、定期的に成績不振の生徒を勉強会に強制連行させるしかあれへんようやなぁ……。何より、塩津は一歩間違えたら退学処分になるとこやったんやで!!」
舞子「すみません…すみません……」ポロポロ
舞子はただひたすら涙を流し、頭をペコペコしながら謝るだけ。
おたえ「というわけで生徒会長」
菜々「はい!?」
おたえ「来年度、学習委員会を設立しましょう。これまで生徒会主導でやってきた勉強会も、学習委員会が引き継ぎます。委員長と言われたら、言い出しっぺの私が務めさせていただきます」
菜々「小磯さんがその気なら、生徒会長の私は反対いたしません。塩津さんの留年は、正直、本年度の中で最も恥ずべき出来事だと私も心から感じております。風紀委員長の普通科1年・澁川比奈さん、ご意見があればどうぞ」
比奈「はい。私も大いに賛成させていただきます。塩津先輩の留年は、風紀委員長に加え、鉄道同好会の部長を務める身としても不名誉極まりない出来事です。ここで叩き直さないと、今後同様の黒歴史が生み出されるとしか思えません」
菜々「ありがとうございます」
比奈も乗り気。ちなみに私も学習委員会の設置は一生徒として大賛成だ。
とはいえ、口々に騒ぎが起きる。侑ちゃんや歩夢ちゃんも騒ぎ出す。
歩夢「おたえちゃん横暴なことしないでよぉ!!」
侑「そうだそうだぁ!!」
果林「なんでそんな事言うのよおおおお!!」
イオ「おたえは無謀すぎマス!!」
カナエ「私に恨みなんてないでしょおたえちゃん!?」
おたえ「やかましい!! 高等部1・2年、中等部1・2年も、次の学年末で気ぃ抜いたら勉強会送りになるんはわかってんやろが!! 俺としては、どのような成績であっても責任は一切取れへんのやけど!?」
その一言で騒ぎはピタッと止まった。そりゃそうだ。
おたえ「私からは以上になります」
その後、生徒会長や先生方からの連絡があり、全校集会は無事に終わった。
〜※〜
終了後、全員で部室に集まり、みんなでおたえの帰国を祝った。
私「でも、現地でヤンデレに追われたのはちょっと衝撃的だったよね」
おたえ「うん。ナンシーちゃんって女の子だったけど、それがもう撮り鉄中でもストーカーされて写真をTwitterにあげられたし、放課後になったら手錠で縛られて『私だけを見て』とか『私を電車に嫉妬させないで』とか酷かった」
ドロシー「That was a disaster……」
私「でも大丈夫。そのナンシーちゃんって子が虹ヶ咲に留学してきたら私が全力で守ってあげるから」
おたえ「ありがとうせりな!!」
その一方で……
おたえ「それと舞子、あのときはほんとごめん!!」
舞子「怒ってないよ。だって留年しちゃったのは事実なんだもん……」
私「でも、今回の件は自覚してほしい。一歩間違えれば強制退学処分になったってことだからね?」
舞子「せりなちゃんもごめんなさい……」
比奈「もうこの件はここまでにしましょう。舞子も十分反省しているようなので……」
モリー「ですね……」
あまり引きずるのも良くないので、ここまでにしよう。そして解散にしようとしたその時だった。
比奈の携帯に通知が届く。
比奈「……は?」
しかもその内容があまりにもショックを受けるものだった。
鈴乃「どうしたのかしら?」
比奈「前風紀委員長の御堂ミミさんが先ほど亡くなられたそうです」ウルウル
全員「えぇ〜っ!?」
全員が叫ばざるを得ない状況。比奈の目には涙が溢れていた。
私「そんな……死因とかは……」ポロポロ
比奈「末期の脳腫瘍でした。入院されてから抗がん剤治療に苦しんだものの、快方には向かわず、本日14時15分に永眠されたとのことです」ポロポロ
カレン「そんな…まだカレンと同じ17歳なのに……」ポロポロ
おたえ「うわああああああん帰国してから会いたかったあああああああ!!」ボロボロ
一番泣いていたのはおたえ。最後に会ったのは留学前だったから、無理はない。
鈴乃「ところで、私たちに対して最後の言葉とかはあったのかしら?」ポロポロ
比奈「最後に私のバイオリンが聴きたかった、死んでも天国で聴きたいと言い残して……うわああああああん!!」ボロボロ
ドロシー「泣いちゃだめだよ比奈ちゃん!!私まで泣けてきちゃうよ!!」ポロポロ
こうして、全員で泣きわめいてしまった。
〜※〜
落ち着いたところで、私はある決意をした。
私「ねえ比奈」
比奈「どうしたのですかせりな?」
私「私、ミミ先輩の最期の言葉を聞いて、比奈がバイオリンを弾けるように回復させたいと思ったんだ。今だと鉄道同好会のバイオリン要員は私と鈴乃しかいないでしょ?」
比奈「確かに」
私「でも、鈴乃はコントラバス・ベース要員にもなっているよね?」
鈴乃「うん」
私「そこで、私も都合がつかなくなったりすることも今後出てくるだろうし、何よりおたえにもビオラを指導することにしたから、ちょうどいいかなって思ったの」
比奈「わかりました。お引き受け致しましょう」
比奈にバイオリンを弾けるように回復してもらいたい気持ちはこれまでにもあった。だから、おたえの転科、ビオラ指導を機に巻き込む方針を提案した。そうしたらノッてくれたから、決まったも同然だ。
私「よし、そうなったら張り切っちゃうぞ〜!!」
比奈・おたえ・私「おー!!」
舞子「良かったね、3人が元気になって」
有佐「舞子ちゃんは自分の心配をしなさい」
舞子「ごめんなさい……」
こうして全員が落ち着いたところで、今回は解散となった。帰国という喜びに、前風紀委員長の死という悲しみ、そして新たな決意…と、複雑な気持ちでいっぱいな放課後だったように思う。さあ、気を取り直して頑張ることにしよう。
ちなみに、自作品で亡くなるのは不謹慎対策のためオリキャラのみで、版権キャラの死はコンテンツ終了前の時点において、絶対に回避させます。
次回から3月で、本作の最終月となります。次回は中央線完乗回の見込みです。