ラブライブ!シリーズ Linked by Trains since 2021 作:松浦南北
【通話開始】
俺「はい、こちら新居町運転所本部です」
2022年2月某日、職務中に列車無線から本部に連絡が来たのだが、本部に連絡が来るというのはよほどのことしか思えない。
勇輝『こちら名豊本線急行新居町行き7024M列車です。新城西 - 三ヶ日間で床下機器から発火して走行不能になりました』
俺「車両名を教えてください」
勇輝『G8500系G8518FおよびG9800系G9832Fの13両編成です』
俺「直ちに救援用の機関車を出動させます」
【通話終了】
俺は間髪入れず救援用のディーゼル機関車DP101を出動させた。名豊本線は豊田 - 湖西新居町間で運転見合わせにしよう。
今回の被災車両も直流モータ車両であった。
これやられたぞ。数ヶ月前にはG9900系G9916F(発電ブレーキ付きの抵抗制御、車齢3年程度、モーターは機関車用のものの設計変更版)やG7000系G7011Fもモーターから発煙した後に火を吹いていたし、数週間前にはG9800系G9803F(1M1Tの界磁添加励磁制御、車齢わずか4年弱、モーターは新規設計)も主電動機から発火していたし、更に言ってしまえば電機子チョッパ制御やサイリスタ位相制御でも主電動機から発火したとかいう情報が広島や北海道から入っている。南国急行鉄道の6000系や8000系(いずれも直流モータ車両かつ車齢5年未満)でも同じことが起きた。こういった事故は三相誘導電動機のG5000系(車齢60年)やG1100系、PMSMのG3700系G3757F、液体式気動車のG11700系では起きていない。
俺「これだともう直流電動機の時代は終わりだっ!!」
ついつい叫んでしまった。丁度昼休みに入りかけていたから良かったけど。
そんなとき。ルビィちゃんがやってきた。
ルビィ「由美ちゃんいきなり叫んでどうしたの?」
俺「直流モータを積んだ弊社の車両がまた火を吹きました…。直流モータの時代はもう終わりだわこれ」
ルビィ「直流モータって何がそんなにだめなの?PMSMとかと何が違うのか知りたいな」
俺「説明しましょう」
読者の皆さんもよくお読みください。
~※~
直流モータは特殊な回路を使うことなく動かせるモータの1つです。鉄道車両には古くから使われていて、沼津を走る211系や、伊豆箱根鉄道の3000系もこの直流モータで動いています。
それと模型用のモータも大抵はこの直流モータです。
このモータの特徴は、回路側の整流子とコイル側のブラシが接触したまま、周りに置かれた磁石によりコイルが回転することでトルクと出力が得られること。そのため、整流子やブラシがすり減ると修理無しで使えなくなります。
更に言ってしまうと、この整流子とブラシ、すり減るとともに火花を発生することもあり、これによりショートするおそれも考えられます。これをフラッシュオーバーと言います。
特に低回転型の吊り掛けモーターだとフラッシュオーバーは高速域で顕著になります。それを解決するために新型G3700系でG-MT87系とかG-MT91系といった高回転型吊り掛け直流モータを製造し、試験上問題がなかったは良いものの、最高速度140km/h以上の高負荷運転で寿命が極端に縮まった可能性が否定できません。
その結果フラッシュオーバーによる火災が起きた。これは対応策を打たないとまずいぞ…。
逆に誘導電動機とかPMSMにはそういった整流子などの接触点がなく、フラッシュオーバーが起きる心配はありません。
〜※〜
ルビィ「じゃあ誘導電動機に置き換えるしかないよね」
俺「だけどこれまで使ってきた誘導電動機G-MT84系も原設計が1955年とか結構古いし、すぐに取り替えるのは難しいなと思う」
ルビィ「それならG-MT124系にする?」
俺「今度は歯車装置の交換が要る。回転数を1800rpmに上げたから歯車比も4.50にしないとだめだし。吊り掛けだったら23:92を20:90にしないといけないわけよ」
ルビィ「だけどバリバリに製造が追いついているらしいし…いち早く対処するならそれしかないよ!!」
俺「よし、そうしよう!!」
こうして主電動機更新計画が発動した。
〜※〜
ルビィ「とりあえずこうしてみようか」
現在新居町に入場中のG7000系G7011Fと南国急行鉄道6000系6106Fを対象に工事を施工することにした。なお、社長の葵ちゃん(*1)、もとい藤原葵さんからはあっさり許可が出ている。
ルビィちゃんの案は、吊り掛け駆動方式・5M5TのままG-MT124A形(出力360kW)でVVVF化するというもの。制御装置はフルSiC適用のMOSFETインバータ。南国急行鉄道6000系のブレーキ方式はHARA-DRに変更する。
俺「いやいや、ルビィちゃん、こっちも捨てがたい」
一方、俺の案は、デハG7050形(デハ6500形)を電装解除して吊り掛け駆動の4M6T仕様でG-MT125形(出力450kW)を用いてVVVF化するもの。パンタグラフは電装解除後もすべて残す。制御装置はすでに実績のあるハイブリッドSiC適用のGTOサイリスタインバータ。南国急行鉄道6000系のブレーキ方式は同社7000系と同様のHAR-1DRに変更する。
俺「とはいえ南国急行鉄道に低MTの自社車両を入れるのは良くないからG6106Fはルビィちゃん案で行こう!!」
ルビィ「そうしよう!!」
こうして改造案は確定、5日後に2編成とも試運転が行われ、翌日には2編成とも営業復帰。そして中部高速鉄道内の直流モータ車は南国急行鉄道の車両を含め全車改造対象となったこと、南国急行鉄道の保有車両は5M5Tを維持すること、すべてGTOサイリスタ仕様とすることが決定したことなどはまた別の話。
次回こそ飯田線…!!