ラブライブ!シリーズ Linked by Trains since 2021 作:松浦南北
実験と言って爆発を期待している方、今回は爆発はございません。そしてヤンデレ要素はほぼないです。
4月後半のある日、私は由美ちゃん、シオンちゃん、ルビィちゃん、ジュリーと新居町駅にて実験をやるために集まっていた。今回の実験は鉄道車両を利用したエネルギー効率の測定である。
シオン「列車でエネルギー効率測るって、なにか意味あるの?」
由美「エネルギー効率を測ることはとても重要です。損失の原因を考察することでどのような改善を図れば良いかわかるから、今騒がれている省エネルギー化に一応貢献することができるんだよ?」
今回はエネルギー損失について私たちが理解するためにもこの実験を行うらしい。
私「…で、どんなエネルギー損失が出るの?」
由美「説明しましょう」
というわけでメモを取ろう。
由美「まず列車が走るのには当然エネルギーが必要です」
これはちゃんとわかっている。
由美「このエネルギーですが、起動用についているバッテリー以外だと、発電所からの電源か、車両についているエンジンから賄います」
これもちゃんと理解している。
由美「しかし、エンジンからの振動・騒音・熱損失や流体損失、あるいは変電所でのジュール熱損失によりエネルギーは失われ、更にパンタグラフや車輪、さらには車軸と軸受けの間といった各接触部分の摩擦でもエネルギーはなくなります。他に冷房装置とか弱電機器とかでもエネルギーはなくなってしまいます。そして、結果として走行用エネルギーはごく僅かだけになります。この走行エネルギーの割合を増やすこと自体が省エネルギー化につながると、個人的に考えました。この仮説自体を検証したいなと感じた次第です」
流体損失とかあったんだ。目に見えないところでもエネルギー損失って起きているんだね。
由美「続いて実験装置を紹介します。この後ろの電車を使います」
用意されていた車両はこの前改造を終えたばかりのG3600系のG3614F。20m級の4ドアのオールステンレス車体で、転換クロスタイプのセミクロスシートとなっている。2代目Aqoursのラッピング車両ということで、ラッピングを剥がすと同時に選ばれた。ついでにスカート部分にフォグランプが2つついていたけど片側のフォグランプをリヤフォグ化する試作改造も試験的に行ったばかりだからちょうど良いタイミングだったとか。
肝心なのは機器類。主電動機は直流3000V下で出力400kWを発揮するG-MT85を、電動車1両に4基ずつ吊り掛け駆動方式で積む。4M6Tの10両編成で、編成重量は交直流のバイモード車両ということもあり400t。起動加速度は1.6km/h/sを確保。エンジンは水平対向8気筒24Lのツインターボ&スーパーチャージャー&インタークーラー付きディーゼルエンジンで、出力は1999kW。パンタグラフはシングルアーム式のものを積む。そして今回の実験のためにデハG3664のパンタグラフ部分や車輪部分などにカメラを、排気口には熱線流速計を積んだ。燃料は800Lの満タン法で実験を行う。ちなみに10分以上停車していると車載のバッテリーでエンジンが勝手に止まるとかなんとか。カタログ燃費はディーゼルモードで2.6km/Lと気動車の中では格段に良い。本気を出せば4.3km/Lとか出せるというけど面倒くさいものに引っかかって名乗れなくなったそうな。哀れなのだ。
さて、実験方法を確認しよう。
ルビィ「まず補機類はなるべく停止させるしかないよね」
由美「うん。窓は開けるけど、ラインデリアと空調装置は全停止にしよう」
シオン「運転手はジュリーに任せていい?」
ジュリー「もちろんよ!あたしに任せなさい!!」
ジュリーはここ最近いい意味での名物運転手と化した。一方由美ちゃんは自他ともに認めるほどの屈指の運転下手だから任せるわけには行かない。
由美「他の実験手順としてはモニター監視・記録係を4人でやろう。モニターは全部デハG3634に積みました」
私たち「うん!!」
何を記録するかというと、パンタグラフや車輪のすり減り方、燃料の減少量、および排気ガスの流れの様子etc…由美ちゃんの大学の講義だとレポートにまとめて1週間後提出だけど、今回は元スクールアイドルと一緒に作り上げる実験である以上、みんなで考察して解散になるらしい。
そして、運転区間は湖西新居町 - 静岡中央間1往復。行きはエンジンを回して電気式気動車として、帰りはパンタグラフを上げて電車として運転する。
〜※〜
新居町出発。まずこの時点でつりかけサウンドが響く。あっさりエネルギー損失が出ている。エンジンの方は2700馬力級の割に意外と静か。
私「ねえ由美ちゃん、このディーゼルエンジンが馬力の割に静かだけど」
由美「いいところに気づきました。このエンジンだけど本来ならば摩擦の多いメタル軸受の部分に摩擦の少ないコロ軸受を使っているのさ。とりあえず考察の際にまた扱いましょう」
私「ありがとう!!」
メモしておこう。そしてモニターの様子だが、車輪から火花は出ていない。排気管の中は明らかに振動が起きている。
一番の損失はGTOサイリスタインバータだと思った。ここまで音が大きいのは他ないぞ。
〜※〜
静岡到着後は即座に折り返す。今度はパンタグラフの大規模な火花を見ながら新居町まで戻るのであった。
さて、事務所に戻って考察タイムに入ろう。
由美「まず行きに使った燃料は50.0Lでした。湖西新居町と静岡中央の間は91.0kmなので、計算上1.82km/Lの燃費ということになります」
ルビィ「これ絶対フルスピードの無停車運転をしたからだと思うよ」
由美「間違いなくそんな気がしますねこれ。車でもフルスピードをやったらWLTCモードから外れるもん」
ジュリー「とりあえず軽油の発熱量が45.0kJ/gで、密度を842kg/立方メートルとしたら…行きだけで使ったエネルギーは約1900メガジュールの単位になるわね」
色々ホワイトボードにメモしていこう。
シオン「最高時速は180km/hだよね。これを変換すると50m/sか」
最大の運動エネルギーを計算してみよう。今回は機関ブレーキでの減速率や回生ブレーキでのバッテリーへの回収率は考えない。
計算すると125MJになった。10%未満しか運動エネルギーにならないって、むちゃくちゃ効率悪いじゃん!!
由美「2018年式のくせにものすごく意外な結果になったんですけど…。これじゃあ中部高速鉄道はエネルギー消費効率が最悪な企業とか揶揄されて大炎上になるぞ…」
ジュリー「そんなことで落ち込んでどうすんのよ。改善策だったらいっぱいあるでしょ?」
私「そうだよ!!できないって決めつけたら後がないんだからね!?」
というわけで改善策を考えていこう。電車モードの方に関しては回生ブレーキとか未理解な人たちばかりなのでパンタグラフの観察の様子にとどめた。
由美「四角いの整備しやすいし大好きだけどやっぱりダメか…」
ジュリー「でしょ?」
由美「抗力とそれによるエネルギー損失がとにかくすごすぎる。Cd値が0.8もあっては影響が大きいわな」
まず改善策が1つ出た。しかし設計変更は難しいと思う。
由美「あと吊り掛け式やGTOインバータも凶と出たわけだ」
私「だよね。かつてシティーサンダーという異名までもらうくらい今回も音が大きかったもん」
そして改善策が2つ出た。他にも、重量軽減とかコロ軸受のさらなる円滑化とか、改善すべき点は大量に出た。
由美「参ったなこりゃ…車両の保守系政策はもうおしまいにしないとだめだ。とりあえず報告書は俺が作って上層部に出すから今回は終わり!!」
全員「ありがとうございましたー!!」
こうして今回はお開きになった。レポート書かないというのは由美ちゃん以外だけだったらしく、由美ちゃんは練習も兼ねて来週までにレポートを出す予定。今回の実験結果も持続可能な未来を目指すための一歩として残し、私の締めとさせて頂こう。
書いた身としては、実験としてはむちゃくちゃグダグダやな(汗)ま、正式な報告書でないだけいいか。
次回は未定ですが、下手したらGW入るかも。