架空カードゲーム世界に転生したが周りとの温度差についていけそうにない   作:嘯風弄月

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 カードゲームあるあるが書けたらいいですね。あとゲームバランス等について色々教えてくれたらなと思ってます。




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 全世界を熱狂させるカードゲーム、ヒストリア。大人も子どももお姉さんも、年齢性別等関係なく遊ばれている最高峰のカードゲームである。

 プロリーグはもちろんの事、ヒストリアを学ぶ為の学園もある。

年に1度世界大会が開かれ多額の賞金が賞品としてもらえる為、それで生計を立てる者もいるほどだ。

 

 そんなヒストリアの記念すべき20回目の世界大会に彗星の如く現れた若き賢者(セージ)が優勝する。

 その後も他の大会の優勝を全て攫い、更にはヒストリアを使い世界征服を目論む悪の組織の野望を阻止。そして遂にはヒストリアを使い世界の崩壊をも食い止めたという。

 

 誰もが思いつかないようなプレイング、どの様な窮地に立たされても決して変わらない表情、カードの神に愛されたかのような強運。これほどの強さがありながら、何故全くの無名選手であったのかは謎に包まれている。

 

 

 そして人々は敬意を込めて少年をこう呼んだ。

 

 

 

 

 

 賢者の中の賢者、大賢者と。

 

 

 

 

 万明書房刊『ヒストリアの大賢者』より

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

ーーー

 

 

 あまりにも唐突であるが僕は死んだらしい。そこからあれやこれやとテンプレートの転生をするに至った。

 

 

 その際願ったものは2つ、その世界での最強の武器。そしてそれを操るのに最適な人格であった。

 こちとらただの一般人なのである。いきなり異世界に放り投げられて武器を持って、人や魔物と戦える人間ではない。命を奪うなど虫ぐらいでしか経験したことがないのだ。

 

 

 痛い思いもしたくない、奪うことも自身の手ではしたくない。そう思い最強の武器とそれを操るの為の人格を用意したのだが…

 

 

 

 

 

 まさかそれが架空のカードゲーム世界だとは思わないよね…

 

 

 

 

 

「起きろー!学校遅刻するぞー!」

 

 

 朝から騒がしい声だ。奇妙な髪色と、やたら長い2本の触覚が特徴的な幼馴染が枕元で叫ぶ。

 

 

 転生してから15年、どういう訳か小さい頃から一切状態の変わらないツンツン頭を掻きながら起きる。

 

 

「朝から紬は元気だなぁ…」

 

 

「太陽が元気なさすぎるだけ!どうしていつもそんなに無気力なのよ…」

 

 

「そりゃやる気が湧いてこないからね。仕方ない、誰だってそう」

 

 

「はぁ、ほんとそればっかり…私先に学校行くからね、今日こそは私とヒストリアのバトルしてね!」

 

 

「おーう、気が向いたらなー」

 

 

 そう言うと彼女はそそくさと家から出ていってしまった。

 

 

「楽しいっちゃ楽しいけどそこまでかねぇ…まあヒストリアの学校だしゲームバカしかいないのも仕方ないか」

 

 

 この世界にはヒストリア専門の学校がある。家から近いのと学費が安い事が理由で僕はそこに通っているのだ。

 あまりヒストリアをやりたくない理由が一応一つあるのだが…

 

 

 未だに染まりきれないこの世界の情勢について考えていると、家を出なければならない時間になる。すぐに着替えて鞄とデッキケースを掴み、洗顔歯磨きを手際良く終え家を出る。

 

 

 家から近いこともありホームルームに何とか間に合う事ができた。一限目は座学、ゲームでのアドバンテージの稼ぎ方や定石、自前やレンタルデッキでの実戦が主な内容である。

 ちなみに体育はやたらと筋トレや持久走、意味があるのかわからないドローの練習がある。僕が1番嫌いな授業だ。運動自体は意味があるから構わないのだけど、ドローの練習は何の意味があるのだろう…力強く正しいフォームって何なんだ…

 

 

「さて、早速ですが実戦に移りましょう。まだ基礎を学んだばかりで何となくしかわからないかも知れません。ですがまずは楽しくヒストリアをやる事が大切ですよ。では初戦は青山君と若谷さん、こちらに来てデッキをセットしてください」

 

 

 指名され無かった為一安心である。

 

 

 この世界には専用のバトル台がある。デッキを挿入すると勝手にシャッフルをしてくれて、サーチしたカードなどを自動で出してくれるハイテクな機能付きだ。いったいどういう原理なのだろうか…

 

 

 さて、肝心のルールなのだがかなり変わったカードゲームである。デッキの枚数は40枚で同じカードは4枚まで、手札はお互いに5枚。勝利の方法は相手のデッキを攻撃して全て無くす事だ。デッキはメモリーと呼ばれ、全て失う事をメモリーロストと言い敗北する。

 

 

「先行は俺だ、ドロー!沼地のゴブリン、活火山オーガ、ゴブリンディフェンダーを召喚、ターン終了だ!」

 

 【沼地のゴブリン】

 水属性 アタッカー 

 パワー2000 ブレイク1

 

 【活火山のオーガ】

 火属性 ブレイカー 

 パワー1300 ブレイク4

 

 【ゴブリンディフェンダー】

 風属性 ディフェンダー 

 パワー2000

 

 

 カードにはそれぞれ役割(ロール)がある。アタッカーはパワーが高く相手のモンスターを破壊する。ブレイカーは相手のデッキ破壊数が多い。ディフェンダーは相手の攻撃を防ぐ事が出来る。サポーターはカードに能力を付与する。そしてスペルカードは様々な影響を与える。

 1ターンに1枚まで各ロールのカードを出せ、スペルには使用制限が無い。

 

 

 彼はアタッカー、ブレイカー、ディフェンダーを召喚してターンを終了した。出したカードは全てバニラカード、フレーバーテキスト以外何も書いていない。

 ちなみに先行はアタックは出来ない。

 

 

「私のターン、1枚ドロー!ピスキー、プーカを召喚!スペル、妖精の悪戯を発動!貴方のゴブリンディフェンダーを手札に戻すわ!」

 

 【ピスキー】

 風属性 アタッカー 

 パワー2000 ブレイク1

 

 【プーカ】

 風属性 ブレイカー 

 パワー1400 ブレイク3

 

 【妖精の悪戯】

 スペル リベンジ

 相手の場のカードを1枚手札に戻す。

 

 

 今使用されたのがスペルカード。基本的には自分のターンしか使えないが、相手ターンでも使えるヘイストと言うタイプのスペルもある。相手の手札に気をつけて行動しないと痛い目に遭うのがこのゲームだ。

 

 

「ピスキーで活火山のオーガに攻撃!」

 

 

 オーガのパワーは1300、対してアタッカーであるピスキーのパワーは2000、あっさりと破壊されてしまった。

 

 

「プーカでブレイク!」

 

 

 ブレイクというのはメモリーに対して攻撃する事だ。書いてある値だけデッキの上からロストゾーン(墓地)に置かなければならない。

 

 

「くっ…1、2、3!来たぜ、リベンジ!死神の手招き発動、ピスキーを破壊する!」

 

 

「あぁ、私のピスキーが!」

 

 【死神の手招き】

 スペル リベンジ

 相手の場のカードを1枚破壊する。

 

 

 ダメージを受けた際に発動するカードがある。それがリベンジカードだ。デッキからロストゾーンに置かれた際にその真価が発揮される逆転のカード。今回はスペルのリベンジだったがモンスターのリベンジもある。

 リベンジには1つ特殊な仕様がある。自分の好きなカードを4枚までリベンジにする事が出来るのだ。表面に専用のマーカー付きスリーブを付ける事で特殊リベンジカードとして扱える。

 

 これ便利なのに何故か周りのみんなやらないんだよなぁ… デッキも効果のないバニラだったりシナジーの生まれない組み合わせだったり…

 

 

 青山

 メモリー31 手札4

 

「さて、俺のターンだ!ドロー!再びゴブリンディフェンダー、そしてもう一体の沼地のゴブリン、活火山のオーガを召喚!」

 

 

 あくまでロールはターン1回での制限なので沼地のゴブリン2体目を出しても問題ないのである。ちなみに場に出せるカードは最大5枚だ。

 

 

「沼地のゴブリンでプーカを攻撃!オーガと沼地のゴブリンでブレイク!」

 

 

 相手の場にカードがあってもブレイクする事は可能だ。意図的にカードを残す戦略もある。どうしてディフェンダーで攻撃しないのだと思うかもしれないが、ディフェンダーは基本攻撃が出来ないのだ。

 

 

「1、2、3、4!来た、リベンジ!ニンフを召喚、ゴブリンの攻撃をガード!返り討ちよ!」

 

 【ニンフ】

 水属性 ディフェンダー

 パワー3000

 

 

「ちっ、やられちまったがしょうかないか。ターン終了」

 

 

 若谷

 メモリー30 手札3

 

 

「私のターン、カードを2枚ドロー!」

 

 

 このゲームの変わったルールの1つがドローの方法だ。ドローフェイズの際、手札が5枚になるように引いても良い。手札が5枚を超えなければ好きな枚数が引けるのだ。

 手札が0だから5枚引くと言う選択もありだし、メモリーを減らしたくないから1枚や2枚など、その時に合わせて変えられる。ただし必ず1枚は引かなければならない。そのドローでメモリーが無くなっても敗北する。

 

 

 こうして引く枚数を調整し逆転の切札を確実に手札にするか、その切札をあえて引かないようにし、特殊リベンジに設定する事で逆転するか、そこ辺りは確実に人の好みである。

 

 

 ちなみに僕は後者だ、自分の好きなカードがピンチの時に駆けつけてくれるってめちゃくちゃかっこいいじゃん!

 

 

 

 さて、こうして互いのメモリーを減らしていくこと数ターン。とうとう決着がつきそうだ。

 

 

「私のターン、1枚ドロー!これで決着をつけるわ!スペル、死神の手招きを発動、ゴブリンディフェンダーを破壊!そしてプーカでブレイク!」

 

 

「お、俺の今のメモリーは2枚…負けた…」

 

 

 今回は彼女が勝ったみたいだ。死ぬわけじゃないしそこまで落ち込まなくても…

 

 

「素晴らしいバトルでしたね。では次は日向君と安川さんこちらに」

 

 

 あ、ちなみに日向とは僕の苗字だ。なので僕がバトルしなきゃいけないんだけど…やりたくないなぁ…

 

 

「日向君?どうかしましたか、どこか体調でも?」

 

 

「あーごめんなさい、少しぼーっとしてました!」

 

 

 

 

 どうしてやりたくないのか、それは至って単純な理由だ。台の前に立ちデッキをセットしたその瞬間、自身が徐々に身体から離れていく奇妙な感覚、周りの音が小さくなってゆく。抜け殻のようになった身体に入り込む何か。

 

 

 

 

 

 

「さあ、俺たちの知恵比べを始めようぜ!」

 

 

 

 

 

 

 戦いに適した人格があまりにも普段と違うからだ…

 

 

 

 

 




 
ヒストリアの簡潔なルール
・デッキは40枚、手札5枚の先行ドローあり
・攻撃して相手のデッキを破壊、無くなったら負け
・ドローは手札が5枚になるように引いても良い、必ず1枚は引く
・カードには役割がそれぞれある。
・スペルは原則自ターン、ヘイストは相手ターン可
・リベンジは攻撃でデッキから落ちた時発動する事が可能、手札からも普通に発動は可能


 カードゲームあるあるを色々調べなければ…
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