『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加   作:とおりすがりのふに族団長

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第十二話 宴継続中:狼娘(リスティ)と恭介

「あ、そうだ!みんな正装してるならリスティ探さないと!」

南国でもないのにいっつも短パンとへそ出しキャミソール姿の狼娘を探し出して弄らねば!

「そういえば、広場には居なかった様に思えますね」

「リスティ?あぁ、恭介さんの『二号さん』でしたっけ?」

天幕を出ようとしていた俺に後ろからとんでもないデマ砲撃が突き刺さる。

「オイ!オイ!オイ!殿下さんよぉ?アンタの情報網を今日まで高く評価してたけど、買い被りだったみたいだナァ」

「不服なのは伝わりましたけど、そのチンピラみたいな声は何処から出てるんですか(汗。ちなみにアイリーンさんのご意見は?」

「え?殿下と同じ認識だったので本人の意思を聞いた上で館に招くつもりでしたけど」

なおも不服そうな表情の俺にアイリーンが追撃を入れて来る。

「最初は思いっきり騙されたらしいですけど、その後も『仲良く』してるじゃないですか。本当は恭介様が招くべきだと思いますよ」

ちゃんと男として責任取りなさいと言わんばかりの言い方だが、俺にも言い分はある。

「いやね、出会いは兎も角、結構気が合うからちょっと前に誘ったんだよ。でも『もっと強い雄と番にならないといけないから』って言われて振られてるの!」

「番・・・確かに亜人種の中でも狼種は『力』にこだわる傾向が強いと聞きます」

そうなんだよなー。年中戦いがあるこの街なら強い男に会えると思ったらしいが、リスティ以外の3人の警備主任を務める強者の男たちは全員既婚者。

それ以外の兵士達は中々お眼鏡にかなわなかったらしい。

「え!?振られてるのにあんなに『仲良く』してたんですか!?」

目を点にしてビックリしてるアイリーン。殿下いるとは言え『仲良く』とは随分柔らかく表現したものだ。えぇ、認めましょう。はい、振られてる女とこの間館帰る前に朝ギリギリまで『仲良く』してました~。

「開き直られても困りますけど・・・彼女、確かに奔放な人でしたけど、恭介様と知り合って以降は誰とも『仲良く』してないみたいですよ」

「変な話ですね、それだけ『仲良く』してるのに結婚は嫌って・・・迷信だと思ってましたけど、案外あの伝承は本当なのかな?」

ん!?伝承とはなんぞ?最近は殿下をgo●gleかテリー●ンの様に扱ってしまって申し訳ないが、興味が勝ってしまい説明に聞き入る。

「今でこそ人間と神の橋渡しは王家が行っていますが、昔の神はそれぞれの土地で知性の高い動物を神の使いとしていました。その動物が『神威魔法』で人に変身して、人と交わった結果が今の亜人種と言われています」

あー、だからこの世界で人魚とかの話は聞かないのか。

「で?伝承っていうのは?」

「さっき言った『神の使いと人』のカップルの殆どは神様に問題視されませんでした。ただし一組だけ特殊なケースが生まれたんです。『人間側も神の使い』というケースです」

「『巫女』とか『シスター』さんって事?」

「『巫女』が正解です。狼と彼女は隣の地域の代表だったので神が怒って『自由恋愛を禁じて自分より強い雄との間にしか子供が出来ない』呪いを掛けられたと言います。」

あれ?神って個人攻撃苦手と違うの?、

「この場合は縁がある相手ですから特別です。ちなみに今の時代だと、王家が神格を保てない場合はかなりキツい呪いが掛かるらしいですよ」

「つまり、リスティがその末裔だから頑なに『強い男』を探してるって事?」

「はっはー、恭介さん・・・頭に脳みそ入ってますか~?彼女は貴方と会ってからそれをして無いってアイリーンさんが言ってたでしょう。貴方の『加護』なら彼女を護るなんて簡単な事じゃ無いですか!!」

おや?なんか殿下の言葉が、説明から俺を非難する言い方に変わってる。

「俺って『加護』持ってるの?」

思わず漏れた言葉に目が点になる殿下。

「『時渡り』の人って持ってるのが当たり前じゃ無いんですか?」

「いや、『図鑑』には丁寧な説明書付いてたけど、俺自身への説明は何も無かったな」

強いて言えば俺一人だけ頭撫でられたっけ・・・まさかあの時にオマケして貰ったのか。

「なるほど・・・神様ってのはつくづく大雑把ですね」

曰く、俺の加護は『家族や身内を保護する力』に見えるそうな。元の世界の言葉にすると『家内安全』って所だろうか。

「でもこれで呪いなんて防げるの!?」

「神は争いを徹底的に避けますから、前例から考えれば間違いなく効果を無くすと思いますよ」

「って事は天幕に聞き耳立ててる狼娘捕獲して口説き治せば万事解決か」

入り口でビクッと動くちっこい人影を先手必勝で捕獲して抱え上げる。

ひとたび地面を蹴って走り出したら止まらない獣人も、地面から足を離したら無力な物である。やっぱり白の軍服が似合わなくて笑いを堪えるのが大変。

「はーなーしーてー!私は自分より強い雄を探さないといけないんだから!」

「だったらここの近衛兵誰か誘えば良いだけだろ?話聞いてたなら俺の『加護』が有効かすぐ試そうぜ」

そう言って殿下とアイリーンに手を振って天幕から出て宿屋街に繰り出した。

 

~ 神様鑑賞中 ~

「いや、しかし当人じゃ無くて子孫に呪いかけるとか器小さい神だなぁ」

「ちなみに、その神様はこの事件から程なくして神格を失ったようですね」

「そりゃ何よりだ。軽い気持ちで『家内安全』の加護付けたけど、彼の力になったようで何よりだ」

「いやいや、上からお小言あったの忘れないで下さいよ」

「どうせ『次』なんてそうそうねーよ。3か月位しか経ってないのに80%脱落してるんだから」

「加えて言うと、残り10%が来世地獄行きコースですから、天使としては悲しい気持ちになります」

「『特典』以外の委細を話すことは禁じされてるから精一杯の抜け穴として『良い人生になる事を祈っています』って別れの挨拶を殆どの天使がしてるのになぁ」

肩を落とす天使を見ながら、恭介はそうなって欲しく無いなぁと願う神様であった。

 




「最初思いっきり騙された」=初期の頃、じーさんと娼館街でブイブイいわせて調子乗ってる時に『リスティちゃん17歳』を自力ナンパ成功したと勘違いして、後で大恥をかいた。
以後、その辺は自重するようになった+『リスティちゃん17歳』より素のリスティの方が何だかんだ気が合ったので関係が発展。

思うまんま書いてたのでアイリーンとの出会いとかこの辺も書こうと思ってます。
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