『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加   作:とおりすがりのふに族団長

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第六話 消えた牧草。牧場を救え!!

ヴァネッサちゃんの実家である「メルバーン子爵家」は、辺境伯領で一番農耕に向いている土地一帯の管理を任されている貴族だ。

先代は西の国の農家の代表の一人で、じーさんと先代国王の進行に力を貸したことで武功を挙げて爵位を得たらしい。

二代目の現当主からは完全に牧場&農場経営に注力してる。

中々のやり手らしく、上手くリソースを使って大量生産を実現して、領土持ちの貴族顔負けの豪邸を構えているらしい。

ある意味俺が最初描いた理想を自分の手一つて成功させている尊敬すべき人物だ。

「パパってあんまり顔良く無いけど、凄いモテるよ!なんたって私のママ落とせるんだから♡」

とは娘からのメルバーン子爵評である。右手で作ってた〇マーク(お金持ち)は見なかった事にしておこう。

「zzz~待っててね~牛さん、馬さん。直ぐに恭介が助けてくれるから~zzz」

「えらく具体的な寝言だなオイ!」

最初は実家を心配してか真剣な表情を見せていたが、昼食用のサンドイッチを食べるなり速攻寝始めるヴァネッサちゃんの様子に苦笑いしながら、外の風景を見る。

補給部隊によって荒れた田畑を耕している農民の姿が多く見える。もう、子爵が管理する土地に入ったらしい。

っていうかデカ!?屋敷でっか!?

遥か先に見える建物の大きさにビックリする。領主であるじーさんの屋敷よりデカくねー?

「いや、辺境伯邸は今半分以下しか使ってないからそう感じるだけです。しれぶメルバーン子爵家は大家族でもありますから」

その数何と奥さん6人に10女6男だそうな。そりゃデカい豪邸が必要になるわな。

遠目では気が付かなかったが、やはりと言うべきが、たくさんの人があわただしく動いている。

眠ったまんまのヴァネッサちゃんを背負って馬車から降りたら、歓迎の為に出て来た『メルバーン子爵家一同』様が皆目を点にしてこっちを見てる。

あれ?俺の服装なんかおかしい所あったかね?

「いや、服では無くて背負ってる『装備』に問題があります」

やれやれといった感じでツッコんで来るアイリーン。

「も、申し訳ございませー-ん。」

顔面蒼白でダッシュからのジャンピング土下座スタイルで謝罪を始める子爵を宥めるのに苦労した。イカンイカン、ついつい普段の感覚で居眠り娘を運んでしまった。

ヴァネッサちゃんは別室で兄弟&母親連合にこってり絞れられているみたいなので放っておいて、案内された貴賓室で子爵と被害の詳細を教えて貰う。

「ご存じの通り、ここから草や食材を持って行ったのは王国軍の第二補給部隊です。彼らは滅多に発行されない『戦時下特例権』を持ち出して当家に協力を要請してきました。おかしいとは思いましたが、馬車の数もそれほど無かったので楽観視していたのですが・・・」

 

「実際は大量に物資を持って行かれたと・・・筆頭は家畜や馬に必要な青草、干し草・・・と言うわけですか?」

「はい。どうやって複数のサイロの干し草を持って行ったのかは皆目見当もつかないのですが、彼らは妙な置き土産を残していまして・・・」

一枚の画用紙が目の前に差し出される。そこに書かれているのは干し草を撒いて束ねられた物体、現代社会で言う所の『ロールベールサイレージ』ってやつだ。

ひとつで350キロ以上はある物を作った挙句にわざわざ置いて行ったのか?

「どうも、99個以上は彼らには不要だったようで、他にも無くなった物を調べると99以上持って行かれるものはありませんでした」

・・・オイオイオイ、マジですか・・・転送魔法という線はコストの面でハナから無いと魔法アカデミー元主席のアイリーンが太鼓判を押していたから予想していなかった訳じゃ無いが・・・

「どうやら恭介様以外に『時渡り』が居るようですね」

アイリーンの言葉に頷く。まさか転生特典持ちが同じ世界に来ることが有ろうとは・・・

 

~神様鑑賞中~

 

「マジか・・・確かに一々重複チェックなんてしてないけど、相当なレアケースだな」

 

「調べてみたら、10年前に転生した『先輩』さんですね。出来たら転生者同士の戦いは見たくないのですが」

 

「戦いと言っても『植物図鑑』と『道具袋』・・・吟遊詩人が依頼されたらキレそうな具材だな」

 

「神様は当然、恭介さんを応援するんですよね?」

 

「あんな綺麗な娘さん達・・・じゃなかった、牧場運営を妨害して結果周辺住民を苦しめるなぞ言語道断!坊主には代行としてしっかり働いて貰いたいね!」

 

「結局怒りポイントは『女の子』なんですね。神様なんだから好きに2人目3人目娶れば良いじゃ無いですか?」

 

「ウチ、奥さんが怖すぎて・・・」

 

「ア、ハイ」

 

神様も色々世知辛いと知る天使さんであった。

 

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